地球が誕生したのが46億年前
人類が誕生したのが1億年前
富士山が誕生したのが300年万前
近代登山が誕生したのが200年前
日本の登山文化が誕生したのが100年前
年数はざっくりですが、地球が誕生してから現代に至るまで途方もない時間と歴史がありました。
富士山の原型ができたのが300万年前と言われていて、そんな富士山に登ることって年数を改めて聞くと「すごい」の一言です。
富士山はこれまで何人の登山者をみてきたのだろうか…。最初に富士山を登頂したのは古い伝えでは、頂上に祀られてる「木乃花咲耶媛(このはなさくやひめ)」や馬で登ったとされる「聖徳太子」。記録として残ってるのが「藤原角行」という修験者とされています。人間として本当に最初に登頂したのは誰かということは定かではないようです。
有名な山を初登頂した偉人たちの名前は歴史にも記録にも残りますね。
エベレストの「ジョージ・マロリー」やマッターホルンの「エドワード・ウィンパー隊」、K2の「アルディト・デジオ隊」などなど近代登山を切り拓いた登山家たちが名を連ねています。
もちろん日本でも著名な登山家はたくさんいます。登山家としてだけではなく、北アルプスの表銀座の喜作新道を開拓した「小林喜作」や日本百名山を広めた「深田久弥」なども歴史に名を刻んでいると言えます。
偉大な先人たちが歩いたおかげで、後を続く僕たち現代人は整備された道を歩くことができているという関係性は切り離せません。登山装備やアイテムも日進月歩でどんどん改良され、より良いもの、お洒落なものが手に入りやすくなり、気軽に楽しめるハイキング、もしくは山の麓で過ごすキャンプも人気を集めています。山と人を結ぶグラデーションは確実に薄くなりつつあります。
これまで偉大なる人とそれに関わる先人たちが築いてきた歴史の上を歩いていると思うと胸が熱くなる。
限られた時間をいかに効率よく使うか。
大切な人と過ごす時間をどう優先させるか。
人の多様性をどうしたら認め合うことができるのか。
世界大戦、高度経済成長、ミレニアム、スマホの普及…と、激動の現代社会を乗り越えてこれまでの価値が変わろうとしている。
モノが溢れ必要以上に消費するよりも、モノゴトの体験をシェア、共感することに重きを置くようになった。関係性が長期よりちょっとだけという短期的なものの方が好まれる時代になった。よく言えば、納得できないことを長く我慢する必要がなく、嫌なら離れることができる。チェンジすることが容易で刹那的な愛しさに深みを感じる世界。
悪く言うと飽きっぽい。そして意固地。早すぎる人は次から次へと変えて進んでいく、早さについていけない人はそこに留まり変わらない。早く変わることを正義とする人もいれば、変化することを恐れ、これまでの「今」を正当化することに固執してしまう人もいる。
どちらも正しく意固地。
個人的にはその両方の視点をもっている人が好き。
ここで少しだけ自己紹介。
今の仕事に不満はなく淡々と東京で暮らしている。大きく成功している訳でも、失敗している訳でもない、山歩きと鳥が好きな何者でもない39歳。
もう人間の寿命の半分近く生きていることになる。
35歳のころに山歩きに出会い、大きく価値観が変わった。あまりにも遅い気づきで恥ずかしいのだけど、そのあたりからようやく自分の歩く道が見えてきた。良いも悪いも無意識に留まり続けた場所から、早くて変わり続ける方向に舵を切ったのだ。そのおかげで、早い時間とゆっくりした時間の両方を行き来しているバランスの良い状態が保たれてる気がする。
一通り社会経験をして、仕事にも余裕ができたときに、自分の人生と向き合うことになった30代あるあるの流れに乗ってるだけかもしれないが。
これまでずっとのほほんと過ごしてきたので、今多くのツケがまわってきている。ツケとは、自分がやりたいことを知らず知らずにおし殺して、色んなことに蓋をしてきたこと。それを取り返すためにさらに速度を上げて進んでいかないともう時間がない。
あと人生が今の半分。
これから体力も落ちてくると思うとやらなくていいこと、我慢する必要ないことが小ジワのように細かく見えてくる。
やりたいことというのは偉人たちのように大きな何かを成し遂げることでも、お金を多く稼ぐことでもなく、自分の好きなこと心地よいことだけに時間を使いたいだけ。そのためにもお金を稼ぐことは必要だし、浮いた利益を山歩きの発展に還元していきたい。
こだわることにはとことんこだわり、変えることは固執せずにどんどん変える。文脈の繋がりを知らなければ言っていることがころころ変わってみえてしまうかもしれない。
でも仕方がない、僕たちは飽きっぽいあまのじゃくなのだから。
ここまでは過去と現在のこと。山歩きからは脱線してしまったけど、山が好きになり、生活の一部になっている現状を考えると、それさえも「道」を歩くことと等しいのではないだろうか。
ここからは未来の話。
短期的な世界の現実を受け止め、それを楽しみつつ1年から3年、5年、10年の単位ならやった分だけ進むだけなので、どうなるかはわかるし、自分次第だ。大きな枠組みになる世界の情勢がどうなるかは国のことを考えてくれる人たちに任せ、選択するときがきたら「こっちのがいい」と情報を掻き分けられるぐらいの知識は身につけておきたい。
人との関わり方も同じで一致しなければお互い不幸になるだけなので、人のやること言うことに共感はするけど、一緒にやるとは限らない。残されてる時間は少ないので、任せられることはどんどん任せて、よくなることを願い見守るだけ。
現在を生きてる僕たちは少し先の将来のことから逃れることはできないので、必然的に今と近未来でどう生きていくかを考えることになる。ほかっておいても最適な解を見つけていくと自分たちを信じて進むしかない。じゃあ1万年後、100万年後の未来はどうでしょう?離れすぎてわけワカメですね。地球があるのかさえもわからない。
それならば、考えるだけ無駄となるのだけど、長い歴史を知っている僕たちはそれだとあまりにも悲しすぎるしロマンがない。未来をもっと身近に感じたい。
今から100万年前に暮らしていた人たちの形跡を見て、現代人が新しい発見や知識を得るように、リアルな現実を生きて、山が好きで、歩くのが好きで、そんな愛くるしい一人ひとりの足跡(物語)を残していければ、未来の誰かがみたときに「すごい」と思ってくれるのではないだろうか。
地球が誕生して「山歩きという一本の道」がある。そのときどきの時代の色をつけつつ、世代を越えて道を繋いできた数多くの足跡(物語)が振り向けば存在する。僕たちが歩いてきたこともその中の一つで、これからも歴史を噛みしめ、現代を生き、山歩きを楽しんでいきたい。
100万年後の未来人が化石でもみるかのように僕たちの足跡(物語)が残ってると面白いなぁと。
子どもの頃から歴史が好きで、35歳になってからそこの枠に山が加わった。それでもまだ、頭の中でしか留めることしかできなかったけど、インターネット、スマホ、SNSが広まったことで、価値観も選択肢も増えた。いや、増えたというよりもともとそこにあったのに気づかなかった、気づかないようにしていただけなのかもしれない。
そんな中、残りの人生の時間をそこだけに注力した方が楽しいのではないか?という子どものように問いかけを行い、やれることをやっているのが今。おかげで判断の軸ができたので、うじうじと悩むことはほとんどない。
その軸のおかげで仕事もいっそう楽しくなった。
ただ、残念ながらまだ描いていることの後ろ姿さえ捉えていない。大丈夫かな、間に合うかなという不安もある。
それでもこれまでWebサービスに関わってきたスキルと経験を活かして登山メディアを作り、そこから産まれるサービスを運営していきたい。
話は変わり、妻はアパレルの仕事(作る方)をしている。ずっと続けているので本質的に好きなことなんだなと、自分にない感性とスキルがある妻のことをすごく尊敬している。高い山を目指す登山じゃなくて、山を歩くという行為そのものが同じように好きなので、よく一緒に山歩きをしている。
ふとあるときに「いつか山でも街でも使えるアウトドアブランドを作りたい」と照れながら言った。
すぐさま「じゃあ一緒にやろう」と返事をした。
それをきっかけに、具体的にどうしようね、どんなデザインがいいかなと、家族の話題になることが増えてきた。
本当に作るかどうかはわからないし、家族という近い距離というのもあるけど、同じ目的の中で過ごして話をする時間はとても有意義で心地よい。ここにこそお金には置き換えられない人間の幸福があるのではないかと確信している。
この心地よさをたくさんの人と味わいたいので今運営している登山メディア(山コミュ)のコンセプトを変えようと思う。
山と温泉とグルメの情報発信がコンセプトでしたが、山歩きを深めていくうちに少し違うなぁと違和感を感じてしまったんです。
以前ならこの気持ちに蓋をしてやり過ごすこともできたのだけど、そういうのはもうやめて、じゃあどうしたいの?と整理するためにこの記事を書きました。
ダラダラと書いてしまったこの記事を要約すると
歴史ってすごいなぁ
↓
山歩きしてる一人ひとりに物語はあるよね
↓
100万年後にも届く山歩きの歴史を繋ぐメディアを作りました
↓
一緒に化石になりましょう
人によっては頭おかしいと感じることですね。笑
ただ、今の自分なりに山を歩くことの意味をみいだすことができたのでスッキリしてます。
本日はれてリニューアルできたこのサイトのタイトルは
100万年後に届けたい山と暮らしの登山メディア「山ハレ鳥トケ」
です。
なぜこの名前かというのはこちらを読んでください。
【note】「山ハレ鳥トケ」について
山歩きやサイトへの想いはどんどんnote(無料)に書いていきます。
何をやっていくのかはまた別の機会にお話しますが、格式高い登山情報や詳しいギアの紹介は、すでに他のメディアがやっているので、そこにお任せするとして、山と関わる一人ひとりの暮らしに寄り添う考え方の登山メディアにしていきます。
山に関わる人たちの暮らしが豊かになることが登山業界を盛り上げることにも繋がることになるので、身を守るための登山グッズを開発する会社や登山技術の底上げを計る本や団体、毎年更新される登山地図、遭難防止のGPSアプリの開発、山岳救助のみなさま、山小屋で働くみなさま、里山を守りそこで暮らすみなさま、温泉を運営し、地元の食材を調理するみなさまなどの活躍があるからこそ、今こうして一般人の僕でも楽しい山歩きができています。
その恩返しができる一翼になれるよう精進していきます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
共感できるところがありましたら、シェアいただけると嬉しいです。
そして、もしどこかで会う機会がありましたら山の話をつまみに語り合い、一緒に歴史の化石になりましょう。笑
2018年11月24日
HIKES編集長
宮本 将弘
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