【茅ヶ岳登山・登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

山梨県北杜市と甲斐市にまたがる「茅ヶ岳」(かやがたけ)は、日本百名山を選定した深田久弥氏の終焉の地として有名です。手軽なハイキングコースでありながら、富士山や南アルプス、奥秩父連峰へと連なる抜群の眺望も魅力です。隣接する「金ヶ岳」(かながたけ)も含め、山容が八ヶ岳に似ていることから「ニセ八ツ」という俗称もあります。

この記事では、【深田記念公園をスタートし、深田久弥終焉の地を経て、茅ヶ岳山頂を目指すコース】を実際に歩いてみた行程や魅力を紹介します。

茅ヶ岳とは

茅ヶ岳は山梨県の北杜市と甲斐市にある奥秩父山地の南側にある山です。日本百名山を選定した深田久弥氏が茅ヶ岳の登山中に脳卒中で死去した山でもあり、「深田久弥終焉の地」と呼ばれています。

その遺徳を偲び、韮崎市と韮崎市観光協会、地元山岳会が建てた記念碑がある深田記念公園が麓にあります。茅ヶ岳は、手頃なハイキングコースとして人気があり、山頂からは富士山、北アルプス、南アルプスなど、数々の日本百名山の絶景を堪能できます。

【山名】
茅ヶ岳(かやがたけ)
【山域】
奥秩父山系前衛
【標高】
1,704m
【選定】
山梨百名山、日本二百名山

深田ファン必見!深田記念公園コースを歩く

複数ある茅ヶ岳の登山ルートのなかで深田記念公園からスタートするコースは、登山道入口までのアプローチがよく、深田氏の足跡をたどれるため、深田ファンおすすめのコースです。利用者が多く、山頂までの標準コースタイムが2時間半と程よいため、初心者でも安心して登山を楽しめます。

現在、新型コロナウイルス感染症対策のため、深田記念公園を起点に「登りは女岩ルートで 下りは尾根ルートで」という周り方が推奨されています。

深田記念公園~女岩

深田記念公園駐車場の奥に、深田記念公園と登山道入口があります。深田記念公園は下山後に寄ることにして、山頂を目指します。

しばらくは、道幅の広い緩やかな坂を進みます。緑に囲まれた気持ちの良いハイキングコースです。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

途中、舗装された林道(前山大明神線)を横断します。その後もなだらかな登山道が続きます。駐車場と山頂の標高差が約750mあるのになだらかな道がこんなに続いているので、後半が心配になります。(この後、不安は的中します。)

女岩~茅ヶ岳山頂

スタート地点と山頂の中間くらいのポイントに「女岩」があります。座れるスペースがあるので休憩をとりましょう。

女岩付近は落石で立入禁止のため、迂回ルートで山頂を目指します。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

ここからは、いきなり急登になります。岩がゴロゴロしていたり、足元が滑りやすくなっているため、少し注意が必要です。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

岩場ゾーンが終わると、途中からつづら折りになり歩きやすくなります。ただし、傾斜は相変わらずきついため、自分のペースで登りましょう。やがて、「女岩のコル」といわれる尾根に出ます。

尾根沿いに少し進むと、登山道右手に深田久弥氏の慰霊碑が立っています。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

慰霊碑には、「深田久弥先生終焉之地 1971年3月21日11時23分」と亡くなられた日時が刻まれています。深田記念公園にある案内板によると、深田氏は、親しい山仲間と山頂に向かっている途中、突然脳溢血(のういっけつ)で倒れたそうです。山中の緑に囲まれた穏やかな場所でした。

しばらく故人を偲んだのち、山頂へ向かいます。山頂直下は、手を使って登るような岩場です。途中、木々の隙間から富士山が望めました。

慰霊碑から10分ほどで山頂に到着です。実際に登ってみると、深田氏が本当に山頂までわずかの地点で倒れたということを実感するでしょう。

茅ヶ岳山頂

山頂には、これまでの疲れが吹き飛ぶ360度の大パノラマが広がっています。2つの山頂標識と立体展望盤があります。休憩スペースは充分ありますが、開けている分日陰がないため、熱中症には注意が必要です。

【南東方向】
まず目に飛び込んでくるのが富士山。甲府盆地の先にどっしりと構えています。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

【西方面】
南アルプスの眺めが抜群です!悪沢岳、農鳥岳、間ノ岳、北岳、鳳凰三山、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳が確認できました。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

拡大:鳳凰三山(薬師岳、観音岳、地蔵岳)の後ろに、間ノ岳、北岳が頭を出しています。地蔵岳のオベリスクが目立ちます。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

拡大:雄々しい山容の甲斐駒ヶ岳。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

【北方向】
隣接する金ヶ岳、その後ろに八ヶ岳連峰が見えます。金ヶ岳は、茅ヶ岳と一緒に縦走する人も多いです。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

【北東方面】
金ヶ岳の東方向には瑞牆山、金峰山といった奥秩父連峰が広がります。地蔵岳のオベリスク同様、金峰山の五丈石も特徴があるので判別しやすい山です。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

拡大:金峰山の五丈石。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

正直言って、この景色は想像以上でした。夏場でもこれほど眺めが抜群なので、空気の澄んだ季節はどれほど素晴らしいのか、と期待しないではいられません。

茅ヶ岳山頂~深田記念公園

下山道は、防火帯の「尾根ルート」を下ります。途中、千本桜公園方面に下るルートとの分岐があるので見逃さないように。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

人が少なく静かですが、尾根ルートも急峻な下りです。そして、下りに飽きてきたころ、林道交点に出ます。往路(女岩ルート)の林道交点よりも100mほど上部の地点で、林道を下り、往路の登山道と合流します。

深田記念公園

深田氏が茅ヶ岳登山中に逝去された後、その功績を称えて造られた公園です。記念碑、案内板、東屋、ベンチがあります。「深田久弥と茅ヶ岳」という案内板には、茅ヶ岳での最期の様子などが細かく記されています。また、記念碑には「百の頂に百の喜びあり」と深田氏の残した名言が刻まれています。

深田氏の没後50余年という歳月を経ても色褪せない「日本百名山」。深田氏の聖地をめぐり、また一つ「喜び」を求めて「頂」に登ろう、という励みになるのではないでしょうか。

【茅ヶ岳登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く

茅ヶ岳 コース概要・アクセス情報

深田記念公園コース

【コース】
深田記念公園〜女岩〜深田久弥終焉の地〜茅ヶ岳~深田記念公園
(往路:女岩ルート/復路:尾根ルート)
【コースタイム】
4:15(往路2:30/復路1:45)
【単純標高差】
約760m
【歩行距離】
約6.5km
【登山ポスト】
深田記念公園登山道入口
【トイレ】
深田記念公園駐車場のみ

深田記念公園登山口へのアクセス情報

自家用車

【駐車場名】
深田記念公園駐車場
【住所】
山梨県韮崎市穂坂町柳平2158-3
【アクセス】
中央自動車道「韮崎IC」から約15分。
【駐車台数】
約30台
【料金】
無料
【標高】
940m
【トイレ】
あり

公共交通機関

韮崎駅から、「茅ヶ岳みずがき田園バス 韮崎深田公園線」または「韮崎市民バス 穂坂線」で「深田記念公園」下車。

日帰り温泉

ハイジの村 クララ館内 クララの湯

内風呂から南アルプスが間近に見えます。施設の展望台からは、富士山、南アルプス、八ヶ岳、茅ヶ岳が一望できます。

【住所】
山梨県北杜市明野町浅尾5259-950
【アクセス】
深田記念公園から車で約20分。バスの場合、茅ヶ岳みずがき田園バス「クララ館」バス停。
【時間】
12:00~20:00(受付19:00まで)
【料金】
大人820円(JAF会員割引720円)
【アメニティ】
シャンプー・トリートメント・ボディソープ・ドライヤー
【URL】
ハイジの村 クララ館

※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックください。

参考サイト

【会津駒ヶ岳・登山】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

尾瀬国立公園に属する「会津駒ヶ岳」は、日本百名山に数えられる南会津の名峰です。なだらかな山容が特徴的で、山頂付近に広がる大湿原やお花畑は「天上の楽園」と称されるほど。また、山頂から北にのびる「中門岳」への稜線や「中門大池」の青空リフレクションも見逃せないポイントです。

この記事では、花で埋まる夏の会津駒ヶ岳を、滝沢登山口から会津駒ヶ岳、中門岳まで歩いた行程や、その魅力について紹介します。



会津駒ヶ岳(あいづこまがだけ)とは

会津駒ヶ岳は、福島県南会津郡檜枝岐村にある標高2,133mの山です。頂上周辺は高山植物が多く、草原のようになっています。木道が整備されているため、歩きやすくなっています。

【山名】
会津駒ヶ岳(あいづこまがたけ)
【場所】
福島県南会津郡檜枝岐村(ひのえまたむら)
【標高】
2,133m
【選定】
日本百名山/新・花の百名山/東北百名山/会津百名山/うつくしま百名山
その他
尾瀬国立公園

滝沢登山口コースを歩く

滝沢登山口からのコースは、山頂まで最短距離で登れる、最も利用されているコースです。木道が整備されていて、全体を通して危険箇所や道の不明瞭箇所はありません。距離が長いため、日帰りの場合は早朝に出発するか、宿泊して「天上の楽園」を堪能するのも良いでしょう。

滝沢登山口~水場

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

滝沢登山口の階段をあがって登山スタートになります。ここから「水場」までは、樹林帯のなかをひたすら登る、本コース一番の急登です。登山道の途中には、山頂までの距離標識があり、目安になります。道迷いの心配もありません。

標高を上げていくと「水場」という、視界の開けた休憩ポイントに出ます。「水場」は、正確には登山道と水場との分岐のことで、実際の水場はそこから数分下ったところにあります。

水場~駒の小屋

坂が緩やかになり、森林限界に到達すると、2本の木道が現れます。

すぐに展望の良いベンチがあり、正面には目指す会津駒ヶ岳が望めます。写真左側のピークが会津駒ヶ岳で、右側が中門岳。間のなだらかな稜線を早く歩いてみたい、と心がはやりました。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

ベンチからは高層湿原帯の木道歩き。木道脇には高山植物と池塘が点在し、後ろを振り返れば山並みが広がっています。やがて、木道の先に三角屋根の「駒の小屋」が現れます。この辺りは「池ノ平」と呼ばれ、なんともメルヘンな雰囲気です。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

駒の小屋~会津駒ヶ岳 山頂

「駒の小屋」を右へ曲がり、山頂に向かいます。小屋の前には「駒ノ大池」があり、天気が良ければ池に映る「逆さ会津駒ヶ岳」が見られるので、見逃さないように。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

チングルマ、イワイチョウ、ハクサンコザクラなどが咲き乱れるお花畑の木道を進みます。高さのあるコバイケイソウの群生は圧巻です。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

「駒の小屋」から10分くらいで「中門岳」への巻き道との分岐になり、右に折れたらすぐに山頂です。

振り返ると、先ほどまでいた「駒の小屋」と燧ヶ岳、至仏山、日光連山などの山々が見渡せ、ダイナミックな景色が望めます。小屋近くに残る雪渓もよく見えました。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

会津駒ヶ岳 山頂

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

狭い山頂には、大きな山頂標識とパノラマガイド板、三角点があります。双耳峰の燧ヶ岳と山頂標識のコラボレーションをカメラに収めることができます。木々に囲まれているため、山頂直下のポイントの方が眺めが良いです。

会津駒ヶ岳山頂~中門岳

山頂から「中門岳」へ向かいます。中門岳まで、標準タイムで片道50分のため、時間と体力に余裕があれば行ってみましょう!

中門岳までは、お花畑と池塘を巻くように木道が敷かれています。ほんのりハートを描くような木道の曲線にときめきます。写真の左から3つめのピークが中門岳です。多少アップダウンはしますが、気にならないくらい平坦な稜線歩きです。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

どこまでも続く「コバイケイソウ」の群生。「駒の小屋」付近のものより規模が大きかったです。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

会津駒ヶ岳を代表する花、初夏に咲く「ハクサンコザクラ」の群生です。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

中門岳(ちゅうもんだけ)

ひときわ大きな池塘が「中門大池」で、池畔に「中門岳(この一帯を云う)檜枝岐村」というザックリとした山頂標識とベンチがあります。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

中門大池に映し出されるダイナミックな青空リフレクションは必見!自然の生み出した神秘的な風景に感動します。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

実はここで終わりではありません。中門大池の先には、中門岳の最高地点に続く木道があります。

中門岳最高地点の池塘です。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

終点のベンチの辺りはトンボがたくさん飛んでいて、のどかな雰囲気。ここまで来る人は少ないので、大自然を独り占めするような極上の気分を味わえます。

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

下山道

名残惜しい景色ですが、日帰り登山で時間に余裕がないため下山します。帰りは会津駒ヶ岳山頂をパスして巻き道を通るのも良いでしょう。下山道は、余裕もできて登りとはまた違った視点で風景を見られるのも登山の醍醐味ですよね。

会津駒ヶ岳 コース概要・アクセス情報

滝沢登山口コース ピストン

【会津駒ヶ岳】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン

【行程】
日帰り
【歩行時間】
7:35(往路4:10/復路3:25)
【単純標高差】
940m
【歩行距離】
約12km
【登山ポスト】
滝沢登山口
【トイレ】
駒の小屋
【コース】
滝沢登山口〜水場〜駒の小屋〜会津駒ヶ岳~中門岳 往復

駒の小屋

ゆるかわなTシャツやオリジナルグッズが人気の山小屋。トイレは小屋の奥にあります。(協力金100円)

アクセス情報

自家用車

滝沢登山口駐車場 約20台
・東京方面からの場合、東北自動車道「西那須野塩原IC」から約2時間。
・満車の場合は、沿道に駐車するか、国道沿いの「グラウンド駐車場」を利用。
・トイレはありません。国道沿いの駒ヶ岳登山口にあります。

公共交通機関

東武鉄道「会津高原尾瀬口」駅より会津バスで「駒ヶ岳登山口」バス停まで約1時間。

【料金】
1,790円

下山後の日帰り温泉情報

檜枝岐村は温泉地としても有名。日帰り温泉施設は3つあり、いずれも登山口に近くて便利です。

燧の湯(ひうちのゆ)

[公衆浴場] 源泉掛け流し。景色の良い露天風呂があります。

【住所】
福島県南会津郡檜枝岐村上ノ台208-1
【源泉】
単純硫黄泉(単独使用)
【料金】
大人700円/子供300円

駒の湯(こまのゆ)

公衆浴場は駒ヶ岳登山口から徒歩10分くらいです。

【住所】
福島県南会津郡檜枝岐村下ノ原839-1
【源泉】
アルカリ性単純泉
【料金】
大人600円/子供300円

アルザ尾瀬の郷(あるざおぜのさと)

[総合温泉スポーツ施設] 2022年春リニューアルオープン。別料金でプールも利用可能です。

【住所】
福島県南会津郡檜枝岐村字見通1156-1
【源泉】
アルカリ性単純泉
【料金】
風呂のみの場合:大人700円/子供300円


※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックください。

稜線好き、高層湿地好きにはたまらない穏やかな山

距離は長いですが、最初の急登を抜ければ花と湿原が広がる天空の稜線歩きです。岩場の山とは違う穏やかな山の雰囲気に癒されることでしょう。会津駒ヶ岳山頂から中門岳の間がハイライトなので、せっかく会津駒ヶ岳に登るのであれば中門岳までセットで行くことをおすすめします。

会津駒ヶ岳は、一面草紅葉になる秋の季節や残雪期も人気の山なので、また違う季節にも訪れてみたいと思いました。

参考サイト

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

「カッコソウ」という花をご存知でしょうか。世界中で鳴神山系にしか自生しない花で、国の絶滅危惧種に指定される希少なお花です。そんなカッコソウを見ることができる唯一の山「鳴神山」は、群馬県桐生市の里山。どんな山なのか? 初めて訪れてみました。



鳴神山とは? そこに咲くカッコソウとは?

鳴神山は、群馬県桐生市に位置する里山です。標高は980mで、東峰の「桐生岳」と西峰の「仁田山岳」から成る双耳峰です。

鳴神山を有名にしたのは、何といっても固有種である「カッコソウ」で、毎年4月下旬〜1ヶ月程度の開花時期には県内外から多くの登山者が訪れます。カッコソウは、サクラソウ科の多年草で、紫がかったピンク色をしています。高さ10cm程度と小さく、直径2〜3cmの花が5〜15輪リング状に多段に咲きます。

カッコソウは、かつては普通に見られたといわれていますが、自然環境の変化や人々による採取などが原因で、現在は鳴神山系の限られた場所でのみ自生しています。そのため、環境省のレッドリストで絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧IA類」に指定され、かつ、法律により「国内希少野生動植物種」として保護されています。

また、鳴神山は、カッコソウ以外にも、もう一つの固有種「ナルカミスミレ」や絶滅危惧種
「ヒイラギソウ」など多くの希少植物が生息し、山自体が国や県の保全地域となっています。

低山でありながら山頂からの眺望は素晴らしく、登山道もよく整備されているので、初心者も安心してハイキングが楽しめます。地元では古くから信仰の山として崇められていて、その歴史痕跡をめぐるのもおもしろいです。

鳴神山基本情報

山名・エリア
鳴神山(なるかみやま)-桐生岳・仁田山岳-/群馬県
別称
雷神山(なるかみさん)・雷神嶽(なるかみだけ)
標高
980m
百名山
関東百名山/関東百山/新・花の百名山/ぐんま百名山
その他
環境省生物多様性保全上重要な里地里山(重要里地里山)/群馬県自然環境保全地域

鳴神山の駒形登山口周回コースを歩く

今回、一番メジャーである【駒形登山口を起点に鳴神山山頂、カッコソウ移植地を周回するコース】を歩いてきたので紹介します。はたしてカッコソウには会えるのでしょうか!?

山行概要

日程
2022年4月30日(土) ゴールデンウィーク
天気
快晴
ルート
駒形登山口~鳴神山~カッコソウ移植地~駒形登山口

駒形登山口(スタート)~鳴神山 山頂

駒形登山口

9:00頃、駒形登山口の駐車場に到着。10台ほどの駐車場スペースはすでにいっぱいで、路肩にも車がビッシリと並んでいます。他県ナンバーの多さがこの山の人気を物語っています。登山ゲートには管理の方がいて、パンフレットを手渡し、コースの概要を教えてくれます。

登山道

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

登山開始からしばらく、沢沿いを歩いていきます。稜線上の「肩の広場」まではずっと登りですが、整備された歩きやすい登山道です。沢のせせらぎ、心地よい風、初夏の優しい光に癒されます。あちこちに植生保護柵が張られ、植物が保護されています。スタート時間が遅かったからなのか? 車の数にしては出会う人が少なく、のんびりとした山歩きを楽しめました。

肩の広場

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

広場には「雷神嶽神社(なるかみたけじんじゃ)」が鎮座し、社殿の他にオオカミの狛犬と鳥居があります。一気に山岳信仰を偲ばせるスピリチュアルな雰囲気に。

「肩の広場」から山頂まではすぐです。山頂付近には岩場も登場し、変化に富んだコースが楽しめます。

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

足元には、小さな「フイリフモトスミレ」が健気に咲いていました。葉っぱに美しい白斑が入っています。また、鳴神山の山頂付近には「アカヤシオ」が群生して咲くことでも有名ですが、アカヤシオは終盤をむかえ、代わって鮮やかな「ヤマツツジ」が咲き始めていました。

鳴神山 山頂

桐生岳

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

鳴神山の最高峰、「桐生岳」です。鳴神山には2つの山頂がありますが、一般的には桐生岳を山頂とするようで、山頂標識もあります。山頂には他に、鳥居と4基の石祠が祀られていますが、狭いので、登山客でいっぱいです。難易度がほどよい山なので、ご年配からご家族連れまで、幅広い世代の方が登っていました。

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

山頂からは360度見渡せるダイナミックな景色が広がっています。この日は空気が澄んでいて、上州の山々はもちろん、富士山や東京スカイツリーも見えて最高の登山日和! 1時間半くらいで登れて、この景色が見られるのはお得です♪

仁田山岳

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

もう一つの山頂である「仁田山岳」には、赤い鳥居と2基の石祠があります。桐生岳に比べるとだいぶひっそりとしています。

第一展望台

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

展望がよく、右側に赤城山がよく見えました。岩場に立つと大自然に溶け込んだ写真が撮れるので、撮影スポットとしてもおすすめです!

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

第一展望台から少し進むと「ヒメイワカガミ」が岩場に咲いています。手前に「ヒメイワカガミ 5m先 右岩上部」という標識があるので見つけやすいです。随所でお花たちが楽しませてくれます。

椚田峠

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

カッコソウは椚田(くぬぎだ)峠下の移植地に咲いています。「カッコソウ→3分」という標識が立っています。向かって右の「コツナギ橋登山口」方面に下ります。

カッコソウ移植地

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

カッコソウがたくさん咲いています!!! 小ぶりで可憐なお花です。

移植地は、杉林のなかの斜面です。登山者に踏みつけられないよう、またシカの食害から守るため柵とネットで施錠管理されています。近くには管理の方がいて案内をしてくれます。

柵のなかには、一方通行の遊歩道が整備され、カッコソウはロープで守られています。カッコソウに寄った写真が撮りたい場合はズームレンズがあると便利です。

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

よく見ると花びらの先が裂けていて、ちょうどピンクのハート型に見えるのがまたかわいいです。茎には産毛みたいなものも生えています。

鳴神山に自生するカッコソウは800個体程度(2012年時点)といわれています。保護されている方々の尽力でこうして可憐な姿を見ることができました。

椚田峠~駒形登山口(ゴール)

下山道

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

カッコソウを堪能したら「椚田峠」まで再び戻り、下山開始です。往路より距離は長いものの、坂が緩やかで歩きやすいです。「赤柴登山口」からは林道歩きになります。

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング

「赤柴登山口」付近には、絶滅危惧lB類の「ヒイラギソウ」が群生していて、堅牢な柵で保護されています。名前の由来どおり、葉っぱがヒイラギに似ています。さすがは新・花の百名山! 希少植物の宝庫です。

駒形登山口

登山開始から約3時間で、ゴールの「駒形登山口」駐車場に戻ってきました。午後には、桐生グルメや観光を楽しむ時間的な余裕もありました。

たくさんの人から愛され、低山ながら、沢や岩場、希少植物、眺望、歴史など見どころがギュッとつまった里山でした。また、「ここだけの花を求めて山を登る」というロマンのようなものを感じる山行になりました。

鳴神山 コース・アクセス情報

主要コース

【鳴神山】世界にここだけ! 希少種カッコソウを求めて初夏の里山ハイキング
鳴神山山頂とカッコソウの両方を堪能する2つの周回コースを紹介します。山頂のみ、カッコソウのみの場合は、ピストンが最短コースとなります。

駒形登山口 周回コース(西側)

※今回紹介したコースです。

コース
駒形登山口〜肩の広場〜鳴神山〜棚田峠~カッコソウ移植地~棚田峠~赤柴登山口~駒形登山口
標準コースタイム
3時間
単純標高差
550m
歩行距離
5.8km
トイレ
なし

大滝登山口 周回コース(東側)

コース
大滝登山口〜肩の広場〜鳴神山〜棚田峠~カッコソウ移植地~コツナギ橋登山口~大滝登山口
標準コースタイム
3時間20分
単純標高差
580m
歩行距離
5.2km
トイレ
なし

アクセス情報

自家用車

駒形登山口 駐車場/大滝登山口 駐車場/コツナギ橋登山口 駐車場
※どの駐車場も狭いため、混んでいる場合は路肩に駐車します。

公共交通機関

JR両毛線「桐生駅」からバス(桐生市「おりひめバス」)
【1】おりひめバス・川内線で「吹上」バス停下車→駒形登山口まで徒歩約30分
【2】おりひめバス・梅田線「梅田南小学校前」バス停下車→大滝登山口まで徒歩約90分

おりひめバス時刻表 | 桐生市
(大人200円/子ども市外100円/子ども市内無料)

参考サイト

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。