津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山容から「津軽富士」や「お岩木(山、様)」などと呼ばれ、津軽の人々に親しまれています。津軽岩木スカイラインで八合目まで車でアクセスでき、山頂からは、津軽半島や八甲田山、さらに北海道まで望むことができるため、多くの登山者で賑わいます。
そんな津軽のシンボル・岩木山の魅力や難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。
岩木山(いわきさん)とは
標高1,625mの岩木山は、円錐形の二重式火山で、山頂は、最高峰の岩木山、鳥海山(とりのうみやま、ちょうかいさん)、厳鬼山(がんきさん)の3つのピークから構成されています。古くから信仰の対象として崇められ、山頂には岩木山神社奥宮が鎮座します。また、初夏の頃には、固有種であるミチノクコザクラが咲きます。
登山コースは、独立峰のため四方にのびていて、初心者からベテランまでレベルにあわせて楽しめます。この記事で紹介するのは、最短で山頂に立てる、八合目からのコースです。
リフト九合目から山頂まで約40分のハイキング
津軽岩木スカイラインの終点、八合目にある駐車場からリフトを利用して九合目まで行き、最高峰の「岩木山」を登頂し、復路で岩木山の全貌がよく見える「鳥海山」に立ち寄ります。九合目から山頂までたった40分、標高差150m程度ですが、岩場の急登で登り甲斐もあります。
岩木山八合目 / 標高1,250m
八合目のターミナルには、大型駐車場とレストハウス、展望所があり、レストハウスには、トイレと自販機があります。
リフト乗り場へ向かい、リフトで九合目まで、約10分の空中散歩です。もちろんリフトを利用せず徒歩で向かうことも可能です。
岩木山九合目 / 標高1,470m
リフトを降りると、目の前に岩木山が迫ります。ここから山頂までは約40分です。すぐに「岩木山山頂」と「鳥海山」の分岐があるので、左の岩木山山頂方面へ進みます。崖下には、迫力ある「鳥ノ海噴火口」を見ることができます。火口の脇を進み、岩登りが始まります。
鳳鳴ヒュッテ
一度平坦な場所に出ると、岩木山との鞍部に位置する避難小屋「大館鳳鳴ヒュッテ」が建っています。1964年に起きた高校生の遭難事故後に建てられた「鳳鳴ヒュッテの由来」のプレートと鐘が設置されています。また、ヒュッテ手前に「大館鳳鳴高校山岳部遭難者慰霊碑」があります。鎮魂の祈りとともに気を引き締めて前に進みます。
ここから「第一おみ坂」と呼ばれる岩稜の急登、さらに「第二おみ坂」の急登が続きます。「第一おみ坂」と「第二おみ坂」の間に、平坦な場所があるので、一息ついてから進みましょう。登山道は狭く混んでいますが、「右登り」「右下り」で、すれ違いの配慮がなされていて安心して登れます。
岩木山 山頂 / 標高1,625m
岩がゴロゴロしている広めの山頂には、山頂標識と一等三角点、トイレのある岩木山頂避難小屋、岩木山神社奥宮があり、たくさんの人で賑わっています。ピラミッド型の山頂標識は、なかに鐘が設置されていて独特です。
独立峰の山頂からは、津軽半島、八甲田連峰、白神山地などが一望できる360度の大パノラマ!コンディションが良い日は北海道まで見渡せます。
津軽平野と八甲田連峰を一望!
眼下には、帰りに寄る予定の「鳥海山」も見えます。右にリフト、左に方位盤が設置された「展望ピーク」、途中に山頂があります。
岩木山神社奥宮
山頂標識を奥へ進むと、岩木山神社奥宮が祀られています。鳥居越しに津軽平野が広がる抜群の撮影スポットとなっています。ただし、鳥居より先は断崖絶壁のため、足元にご注意くださいね。
下山
下山は来た道を戻ります。見晴らしが良く、上から眼下の景色が一望できますが、道は急なので慎重に進みます。下山道から眺める鳥ノ海火口がハート型に見えるので、ぜひチェックしてみてください。
鳥海山(とりのうみやま、ちょうかいさん) / 標高1,502m
九合目まで下りたら鳥海山へ向かいます。鳥海山への道はほぼ平坦で、リフトで上って来た観光客の方も歩いています。鳥海山の山頂は、おすすめの撮影ポイント。ここから見える、迫力ある岩木山の姿は一見の価値があるので、ぜひ鳥海山にも立ち寄ってください。
岩木山九合目
九合目のリフト乗り場まで戻り、リフトに乗車します。帰りのリフトも津軽の景色を楽しみながら下ります。
コースの概要・アクセス情報
コース概要
- 【登山コース】
- リフト九合目~岩木山~鳥海山~リフト九合目
- 【単純標高差】
- 約150m
- 【歩行距離】
- 約2km
- 【歩行時間】
- 約1時間30分
- 【プラン】
- 日帰り
- 【トイレ】
- 八合目レストハウス、鳳鳴ヒュッテ、山頂避難小屋
アクセス情報
自家用車
- 【駐車場】
- 岩木山八合目駐車場
- 【収容台数】
- 200台
- 【料金】
- 無料
- 【住所】
- 青森県弘前市百沢東岩木山
- 【アクセス】
- 「津軽岩木スカイライン」終点
- 【津軽岩木スカイライン】
- ・自動車専用の有料道路です。
・冬季通行止めです。 - 【URL】
- 津軽岩木スカイライン
公共交通機関利用
- 【バス】
- 岩木スカイラインシャトルバス
- 【経路】
- 弘前バスターミナルまたは弘前駅~岳温泉(乗換)~スカイライン八合目
- 【料金】
- 岩木白神パス(ICカード限定):大人 往復3,000円
通常運賃:弘前駅~8合目(片道) 2,060円 - 【所要時間】
- 約1時間40分
- 【補足】
- ・弘前バスターミナルは、弘前駅から徒歩5分くらいです。
・期間限定の運行です。2023年は10月末までです。 - 【URL】
- 岩木スカイラインシャトルバス | 弘南バス
岩木山リフト
- 【経路】
- 八合目駅~九合目駅
- 【料金】
- 大人 往復1,000円/片道700円
- 【所要時間】
- 約10分
- 【営業時間】
- 9:00~16:30(上り最終16:00/下り最終16:20)
- 【補足】
- ・定休日にご注意ください(下記URLに記載)。
・冬季運休です。 - 【URL】
- 津軽岩木スカイライン
参考サイト
眺めても美しく登っても魅力ある山
「津軽富士」と呼ばれるだけあって、富士山のように麓からその山容がよく見えます。遠くから見れば長く裾を引く美しい姿、近くに行けば火山らしく荒々しい、迫力ある姿。山頂に立てば、独立峰ならではの360度見渡せる大展望!眺めても登っても魅力的な山です。
今回紹介したコースは、日本百名山ながら手軽に登れるので、これから登山をはじめたい方にもおすすめです。
▼登山やハイキングの体作りの参考に
▼登山をサポートしてくれるアイテム
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
左が石灰が掘られる前、右が現在の武甲山。山が削られることで悲しみの声がある一方、助けられてる面もあり、全部ひっくるめて武甲山なんだと資料館に立ち寄ってわかった。ちなみにチョコレートにも石灰石が使われてることには驚いた!#里山トラベル #武甲山 pic.twitter.com/0XR6Uy5gnk
— m.miyamoto | toritoke.inc. (@masa_yco) February 23, 2020
山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。