【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山容から「津軽富士」や「お岩木(山、様)」などと呼ばれ、津軽の人々に親しまれています。津軽岩木スカイラインで八合目まで車でアクセスでき、山頂からは、津軽半島や八甲田山、さらに北海道まで望むことができるため、多くの登山者で賑わいます。

そんな津軽のシンボル・岩木山の魅力や難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

岩木山(いわきさん)とは

標高1,625mの岩木山は、円錐形の二重式火山で、山頂は、最高峰の岩木山、鳥海山(とりのうみやま、ちょうかいさん)、厳鬼山(がんきさん)の3つのピークから構成されています。古くから信仰の対象として崇められ、山頂には岩木山神社奥宮が鎮座します。また、初夏の頃には、固有種であるミチノクコザクラが咲きます。

登山コースは、独立峰のため四方にのびていて、初心者からベテランまでレベルにあわせて楽しめます。この記事で紹介するのは、最短で山頂に立てる、八合目からのコースです。

リフト九合目から山頂まで約40分のハイキング

津軽岩木スカイラインの終点、八合目にある駐車場からリフトを利用して九合目まで行き、最高峰の「岩木山」を登頂し、復路で岩木山の全貌がよく見える「鳥海山」に立ち寄ります。九合目から山頂までたった40分、標高差150m程度ですが、岩場の急登で登り甲斐もあります。

岩木山八合目 / 標高1,250m

八合目のターミナルには、大型駐車場とレストハウス、展望所があり、レストハウスには、トイレと自販機があります。

リフト乗り場へ向かい、リフトで九合目まで、約10分の空中散歩です。もちろんリフトを利用せず徒歩で向かうことも可能です。

岩木山九合目 / 標高1,470m

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

リフトを降りると、目の前に岩木山が迫ります。ここから山頂までは約40分です。すぐに「岩木山山頂」と「鳥海山」の分岐があるので、左の岩木山山頂方面へ進みます。崖下には、迫力ある「鳥ノ海噴火口」を見ることができます。火口の脇を進み、岩登りが始まります。

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

鳳鳴ヒュッテ

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

一度平坦な場所に出ると、岩木山との鞍部に位置する避難小屋「大館鳳鳴ヒュッテ」が建っています。1964年に起きた高校生の遭難事故後に建てられた「鳳鳴ヒュッテの由来」のプレートと鐘が設置されています。また、ヒュッテ手前に「大館鳳鳴高校山岳部遭難者慰霊碑」があります。鎮魂の祈りとともに気を引き締めて前に進みます。

ここから「第一おみ坂」と呼ばれる岩稜の急登、さらに「第二おみ坂」の急登が続きます。「第一おみ坂」と「第二おみ坂」の間に、平坦な場所があるので、一息ついてから進みましょう。登山道は狭く混んでいますが、「右登り」「右下り」で、すれ違いの配慮がなされていて安心して登れます。

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

岩木山 山頂 / 標高1,625m

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

岩がゴロゴロしている広めの山頂には、山頂標識と一等三角点、トイレのある岩木山頂避難小屋、岩木山神社奥宮があり、たくさんの人で賑わっています。ピラミッド型の山頂標識は、なかに鐘が設置されていて独特です。

独立峰の山頂からは、津軽半島、八甲田連峰、白神山地などが一望できる360度の大パノラマ!コンディションが良い日は北海道まで見渡せます。

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

津軽平野と八甲田連峰を一望!

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

眼下には、帰りに寄る予定の「鳥海山」も見えます。右にリフト、左に方位盤が設置された「展望ピーク」、途中に山頂があります。

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

岩木山神社奥宮

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

山頂標識を奥へ進むと、岩木山神社奥宮が祀られています。鳥居越しに津軽平野が広がる抜群の撮影スポットとなっています。ただし、鳥居より先は断崖絶壁のため、足元にご注意くださいね。

下山

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

下山は来た道を戻ります。見晴らしが良く、上から眼下の景色が一望できますが、道は急なので慎重に進みます。下山道から眺める鳥ノ海火口がハート型に見えるので、ぜひチェックしてみてください。

鳥海山(とりのうみやま、ちょうかいさん) / 標高1,502m

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

九合目まで下りたら鳥海山へ向かいます。鳥海山への道はほぼ平坦で、リフトで上って来た観光客の方も歩いています。鳥海山の山頂は、おすすめの撮影ポイント。ここから見える、迫力ある岩木山の姿は一見の価値があるので、ぜひ鳥海山にも立ち寄ってください。

岩木山九合目

九合目のリフト乗り場まで戻り、リフトに乗車します。帰りのリフトも津軽の景色を楽しみながら下ります。

【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂

コースの概要・アクセス情報

コース概要

【登山コース】
リフト九合目~岩木山~鳥海山~リフト九合目
【単純標高差】
約150m
【歩行距離】
約2km
【歩行時間】
約1時間30分
【プラン】
日帰り
【トイレ】
八合目レストハウス、鳳鳴ヒュッテ、山頂避難小屋

アクセス情報

自家用車

【駐車場】
岩木山八合目駐車場
【収容台数】
200台
【料金】
無料
【住所】
青森県弘前市百沢東岩木山
【アクセス】
「津軽岩木スカイライン」終点
【津軽岩木スカイライン】
・自動車専用の有料道路です。
・冬季通行止めです。
【URL】
津軽岩木スカイライン

公共交通機関利用

【バス】
岩木スカイラインシャトルバス
【経路】
弘前バスターミナルまたは弘前駅~岳温泉(乗換)~スカイライン八合目
【料金】
岩木白神パス(ICカード限定):大人 往復3,000円
通常運賃:弘前駅~8合目(片道) 2,060円
【所要時間】
約1時間40分
【補足】
・弘前バスターミナルは、弘前駅から徒歩5分くらいです。
・期間限定の運行です。2023年は10月末までです。
【URL】
岩木スカイラインシャトルバス | 弘南バス

岩木山リフト

【経路】
八合目駅~九合目駅
【料金】
大人 往復1,000円/片道700円
【所要時間】
約10分
【営業時間】
9:00~16:30(上り最終16:00/下り最終16:20)
【補足】
・定休日にご注意ください(下記URLに記載)。
・冬季運休です。
【URL】
津軽岩木スカイライン

参考サイト

眺めても美しく登っても魅力ある山

「津軽富士」と呼ばれるだけあって、富士山のように麓からその山容がよく見えます。遠くから見れば長く裾を引く美しい姿、近くに行けば火山らしく荒々しい、迫力ある姿。山頂に立てば、独立峰ならではの360度見渡せる大展望!眺めても登っても魅力的な山です。

今回紹介したコースは、日本百名山ながら手軽に登れるので、これから登山をはじめたい方にもおすすめです。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

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【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の秘境100選にも選ばれる自然豊かな景観が魅力の山です。整備されたハイキングコースは、登山初心者から楽しめ、展望の良い「日出ヶ岳(ひでがたけ)」や断崖絶壁の「大蛇嵓(だいじゃぐら)」など見どころが満載です。

この記事では、そんな自然に恵まれた大台ヶ原の魅力や難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

大台ヶ原とは

「近畿の屋根」と呼ばれる大台ヶ原は、標高1,695mの「日出ヶ岳」を最高峰に、ゆるやかな起伏が続く台地状の山地です。日本屈指の豪雨地帯で、豊富な降水が育んだ奥深い自然と神秘的な雰囲気を味わうことができます。一帯は吉野熊野国立公園に属し、ユネスコエコパークとしても登録されています。

大台ヶ原は、主要な展望地のある「東大台」と、原生的な森林が広がる「西大台」に大別されます。このうち「西大台」への入山には、事前の手続きが必要です。今回は、事前手続き不要の「東大台」のハイキングコースを紹介します。

見どころ満載の東大台コースを歩く

東大台は、大台ヶ原最高峰の「日出ヶ岳」をはじめ、見どころである「正木ヶ原(まさきがはら)」、「大蛇嵓」、「シオカラ吊橋」などをめぐる周回コースが整備されています。快適に歩ける登山道には、標識や案内板が十分に設置されていて道迷いの心配もありません。今回は、東大台の周回コースを時計回りに進みます。

大台ヶ原駐車場

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

大台ヶ原ドライブウェイの終点に位置する、大台ヶ原の登山拠点です。約200台駐車できる大型駐車場で、バス停や大台ヶ原ビジターセンター、物産店、公衆トイレなどがあり充実しています。

登山口は複数あるため少し迷うかもしれませんが、東大台コースを時計回りに進む場合は、大台ヶ原ビジターセンター左の登山口からスタート(写真)となります。なお、ルート途中にトイレはありませんので、出発前に済ませておくと良いでしょう。

スタートしてしばらくは、平坦な登山道が続きます。少し歩くと石畳が敷かれた緩い坂道になりますが、スニーカーでも歩けるほど安全な道です。30分くらい歩くと、展望台に突き当ります。

展望台

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

天気が良ければ、熊野灘(くまのなだ)や尾鷲湾(おわせわん)、志摩半島、そして知多半島まで一望できます。

目的の「日出ヶ岳」へは、一度周回ルートを外れてピストンします。「展望台」から左手に折れると「日出ヶ岳」、右手に折れると「正木峠」になります。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

展望台から日出ヶ岳までは、片道300mくらいですが、木道階段の急登です。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

日出ヶ岳(ひでがたけ) / 標高1,695m

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

大台ヶ原の最高峰です。山頂には、一等三角点と木製の展望台があります。晴れていれば、360度の大パノラマで、大峰連山や熊野灘が一望でき、気象条件が良ければはるか遠くの富士山が見えることも!日の出スポットとしても人気です。

日出ヶ岳から展望台に戻り、「正木峠」を越えて「正木ヶ原」を目指します。正木峠周辺は、トウヒの立ち枯れとミヤコザサの絨毯、そのなかに白い木道階段が続く、大台ヶ原の象徴的な風景が広がっています。

晴れたら熊野灘が見渡せる絶景ですが、霧の正木峠は絵画のように神秘的で美しく、それはそれで得した気分に!途中に展望デッキがあり、景色を堪能しながら休憩ができます。
【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

階段が終わり、生きている木も目立つようになってくると「正木ヶ原」にでます。

正木ヶ原(まさきがはら) / 標高1,641m

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

標識と展望デッキ、案内板があります。立ち枯れや倒木だけでなく、生きている木も混在しています。「比べてみてください」と書かれた案内板には、昭和44年の写真が掲載され、かつては深い森だったことがわかります。美しいと感じた立ち枯れの風景が、森林破壊が進んで形成されたことに複雑な心境になりました。ぜひ見比べてくださいね。

正木ヶ原を過ぎると樹林帯となり、「尾鷲辻(おわせつじ)」に立つ東屋が見えてきます。ショートカットで駐車場に戻れる「中道」との分岐になっています。目指す「大蛇嵓」から「シオカラ吊橋」への道は高低差があるため、時間や体力に自信がない場合は、アップダウンの少ない「中道」を通って駐車場へ戻るのも良いでしょう。

「尾鷲辻」から平坦な木道歩きが続きます。「牛石ヶ原(うしいしがはら)」へでると、神武天皇(じんむてんのう)と、その隣に「ヤタガラス」をかたどった像が立っています。像の前には「牛石」と呼ばれる、牛が寝ているような形をした岩もあります。広場になっているため、休憩中の人で賑わっています。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

「牛石ヶ原」を抜けて少し行くと、「大蛇嵓」へ続く道との分岐があり、周回コースから一度外れてピストンします。「大蛇嵓」へは、片道300mくらいですが、岩場や根っこで足場が悪いので、注意して歩いてください。最後に、木道階段をあがるとパッと視界が開けます。

大蛇嵓(だいじゃぐら) / 標高約1,578m

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

大蛇嵓の先端は高低差1,000mほどの谷底で、スリリングです。頑丈な鎖柵がありますが、高所恐怖症の方には厳しいかもしれません。岩場は先端へ向けて下り坂となっているため、滑らないように注意が必要です。

目の前には、弥山(みせん)、釈迦ヶ岳、八経ヶ岳(はっきょうがたけ)など大峰連山の大パノラマ、眼下にはシンボルである「不動返し」が見えます。木々が色鮮やかに染まる秋の紅葉シーズンは、一層見事な景色が広がります。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

右に、「ブッシュマン」と呼ばれるクライミングルートがある「蒸籠嵓(せいろぐら)」の岩壁が迫ります。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

北西方向の山の中に小さく見える「中の滝」は、実は落差250mもあり、日本の滝100選に選ばれる名瀑ですので、訪れた際は探してみてくださいね。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

大蛇嵓から分岐まで引き返し、「シオカラ吊橋」を目指します。標高差約160mを一気に下ります。シオカラ谷までの道は、春はシャクナゲが楽しめます。

シオカラ吊橋 / 標高1,420m

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

吊橋からは、渓谷美が堪能できます。スリルある大蛇嵓から一転、穏やかな清流に癒されます。

吊橋からは下った分登り返すイメージで、ここがルート一番の登り坂です。周囲の自然を満喫しながら進みましょう。坂が緩やかになってきたら、ゴールは近いです。

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

大台ヶ原駐車場

【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く

駐車場をはさみ、往路とは真逆の登山口(駐車場売店横)にでます。

コースの概要・アクセス情報

コース概要

【東大台コース】
大台ヶ原駐車場→日出ヶ岳→正木ヶ原→大蛇嵓→シオカラ吊橋→大台ヶ原駐車場
【単純標高差】
約275m
【歩行距離】
約7.5km
【歩行時間】
約4時間
【プラン】
日帰り
【トイレ】
大台ヶ原駐車場

アクセス情報

自家用車

【駐車場】
大台ヶ原駐車場(大台山上駐車場)
【収容台数】
約200台
【料金】
無料
【住所】
奈良県吉野郡上北山村小橡660-1
【アクセス】
国道169号線(東熊野街道)から奈良県道40号線(大台ヶ原ドライブウェイ)に入り約20km。大台ヶ原ドライブウェイ終点。

公共交通機関利用

近鉄・大和八木駅からバスが運行しています。

【バス】
イオンモール橿原~大和八木駅~橿原神宮前駅~大台ヶ原
【料金】
2,700円
【便数】
※1日1往復のみ
【補足】
※ICカード使用可能です。
※途中、「湯盛温泉杉の湯」でトイレ休憩があります。
※電車とバスがセットになったお得なきっぷ「大台ヶ原 探勝日帰りきっぷ」があります。
【URL】
奈良交通公式ホームページ

※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックしてください。

西大台への入山について

利用調整地区である「西大台」に入山するためには、事前手続きが必要です。

【申請】
インターネットまたは電話
【料金】
1,000円
【補足】
※交付された「立入認定証」を当日持参。
※事前レクチャー受講。
【URL】
西大台地区 | 環境省吉野熊野国立公園 大台ヶ原 | 環境省

参考サイト

豪雨地帯ならではのダイナミックな景観と自然美を満喫

日本一の豪雨地帯でありながら気軽にハイキングコースを楽しめる大台ヶ原。この地ならではの豊かな自然と変化に富んだコースが楽しめます。晴れる日は少ないようですが、霧の風景も幻想的で美しく、大台ヶ原らしい風情が味わえるでしょう。

今回は東大台コースを歩きましたが、大台ヶ原の自然や地形に興味がわいたので、次回は事前準備をして西大台コースも歩いてみたいです。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

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【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

表丹沢の「塔ノ岳(とうのだけ)」は、展望の良さと都心からのアクセスのしやすさで人気の山です。標高は1,500mにも満たない山ですが、登り応えのある登山道や見晴らしの良い尾根の縦走など、初心者からベテランまで幅広い層に親しまれています。

この記事では、多くの人が訪れる塔ノ岳の魅力や難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

塔ノ岳とは

「神奈川県の屋根」といわれる広大な丹沢山塊。そのほぼ中央に位置する「塔ノ岳」は、標高1,491mの表丹沢の主峰です。アクセスの良さだけではなく、バラエティ豊かな登山道や、富士山、相模湾、都心が一度に見渡せる好展望地としても人気の高い山です。

山頂からは東西南北に大きな尾根がのびていて、丹沢登山の交差点としても賑わっています。近隣には、日本百名山の「丹沢山(たんざわさん)」や鍋焼きうどんが有名な「鍋割山(なべわりやま)」があります。

塔ノ岳のおすすめ登山コース

日帰りで塔ノ岳を目指す場合、ヤビツ峠からの「表尾根縦走コース」と、大倉からの「大倉尾根コース」の2つの主なコースがあります。表丹沢縦走コースは、ヤビツ峠を起点にいくつかのピークを越えて塔ノ岳を目指す縦走コース。一方、大倉尾根コースは、通称「バカ尾根」と親しみを込めてよばれており、大倉からほぼ一直線に塔ノ岳を目指すコースです。

両者とも特色がある登山道なので、バスでアクセスする場合、往路と復路で登山道を変えて2つのコースを利用するとより充実した山行になるでしょう。特におすすめは、標高の高い「ヤビツ峠」からスタートし、表尾根を縦走して塔ノ岳を目指し、バスの本数が豊富な「大倉」へ下山する行程です。

【表尾根縦走コース】ヤビツ峠→二ノ塔→三ノ塔→烏尾山→行者岳→新大日→塔ノ岳

表尾根縦走コースは、塔ノ岳から東にのびる大きな尾根で、起点となる「ヤビツ峠」から二ノ塔、三ノ塔、烏尾山(からすおやま)、行者岳(ぎょうじゃたけ)、新大日などのピークを経て「塔ノ岳」を目指します。アップダウンはありますが、見晴らしの良い稜線歩きで、途中には鎖場やヤセ尾根などスリリングな場所もあり、日帰りで縦走の醍醐味が味わえるコースです。

ヤビツ峠 / 標高761m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

塔ノ岳と大山の鞍部に位置する表尾根縦走コースの起点です。バス停の前に、広いトイレと登山ポストがあり、塔ノ岳や大山などに向けて準備する登山客で賑わっています。

塔ノ岳方面は、「国民宿舎 丹沢ホーム ヤビツ峠売店」前の舗装道路(県道70号線秦野清川線)を北に進みます。しばらくは、緩やかな下りです。

富士見橋

ヤビツ峠から20分ほど進むと「富士見橋」があり、その先の左手に「寺山富士見橋公衆トイレ」と塔ノ岳への標識があります。そこを左折して林道を登っていきます。

表尾根登山口

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

林道を5分くらい進むと、今度は右手に表尾根の登山口があります。ここから本格的な登山道の始まり。木道階段の急登が続きます。途中、林道と交差する箇所がありますが、林道を左に15mくらい下って、再び登山道へ入っていきます。

標高1,144mの「二ノ塔」まで一気に登る、本コースで一番キツく感じる箇所です。途中、眺めの良い場所やベンチがあるので、休憩しながらマイペースに登っていきましょう。綺麗に整備された木道が現れると二ノ塔までもうすぐです。

二ノ塔 / 標高1,144m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

広い場所ではありませんが、ベンチがあります。急登を終えたポイントのため、多くの人が休憩しています。木の間から富士山が見えますが、次のポイントである「三ノ塔」の方が眺めが良いので、疲れが回復したら先に進みましょう。三ノ塔までは15分くらいで、一度下って登り返します。

三ノ塔 / 標高1,205m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

視界が開けて広々とした山頂には、ベンチ、方位盤、トイレ、無人の避難小屋が整備されています。富士山や南アルプス、相模湾、丹沢の山並みが一望できる360度の大パノラマで、多くの人が思い思いの時間を過ごしています。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

三ノ塔から少し進むと「三ノ塔地蔵菩薩(さんのとうじぞうぼさつ)」というお地蔵さんが鎮座しています。お地蔵さんは訪れる度に衣装をチェンジしているので、お地蔵さんの衣装チェックも登る楽しみのひとつです。今回は置き物とペアルックでした。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

そして、お地蔵さんから望む景色が本コース一番のおすすめ展望スポット!目の前は開け、これから向かう塔ノ岳への稜線をすべて見渡すことができます。塔ノ岳山頂と同じくらい素晴らしい景色です。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

お地蔵さんから「烏尾山」へは左折して木道階段を一気に下っていきます。途中、三ノ塔と烏尾山の鞍部に狭い木橋があり、そこから緩く登り返します。烏尾山は三ノ塔より標高が低く、お地蔵さんの目線からでも下の方に見えるのがわかります。

烏尾山(からすおやま) / 標高1,136m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

登り返しの木道階段を登っていくと、三角屋根が特徴的な「烏尾山荘」にでます。そのまま進んでいくと、広々とした「烏尾山」に到着します。山頂は展望が良く、ベンチ、方位盤、トイレが整備されています。烏尾山は、ちょうど登りの中間地点で、歩いて来た「三ノ塔」方面も、これから向かう「塔ノ岳」方面もよく見えます。

烏尾山からは、アップダウンを繰り返して塔ノ岳へ向かいます。「行者岳」に近づくにつれ、簡単な鎖場がでてきて、今までの穏やかな雰囲気と変わってきます。

行者岳(ぎょうじゃたけ)(または行者ヶ岳・ぎょうじゃがたけ) / 標高1,180m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

山頂は狭く、標識と「役行者(えんのぎょうじゃ)」の姿の描かれた石碑があります。

「行者岳」から「政次郎ノ頭(まさじろうのあたま)」までは、岩場、鎖場、ヤセ尾根の連続するスリリングな場所を通ります。特に「行者の鎖場」は一番の難所で、鎖が2本設置されており、上から下を覗くとなかなかの高度感があります。下りは足場が見えづらいので十分注意してください。また、ハイシーズンは渋滞になることもあるため、登りと下りの人で譲り合って通過しましょう。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

鎖場を通過すると、両側が切り立ったザレ場の大崩落地にでます。崩落した上に架かる橋を慎重に渡っていきます。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

ザレ場を抜け、長い木道階段をあがると「政次郎ノ頭」、その少し先にベンチのある「書策小屋跡(かくさくこやあと)」があります。

この付近は見晴らしが良く、振り返ると、歩いてきた三ノ塔、烏尾山や秦野市街が一望できます。ただし、遮るものがない分、日差しも強烈です。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

新大日(しんだいにち) / 標高1,340m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く
石が敷き詰められたスペースにベンチがあります。「新大日」からは、多少のアップダウンはあるものの比較的緩やかな登山道です。樹林に囲まれた木道歩きで雰囲気があります。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

途中「木ノ又小屋(きのまたごや)」を過ぎ、最後に、塔ノ岳直下のガレ場の急登を登れば山頂です。

塔ノ岳(とうのだけ) / 標高1,491m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

山頂は広く、中央に「塔の岳 山頂 1491M」と書かれた大きな山頂標識と、拘留尊仏如来(くるそんぶつにょらい)の石仏と石碑が祀られています。富士山に向かうようにベンチが階段状に設置され、大勢の人が座れるように整備されています。

西方面に富士山と南アルプス、東、南方面には、登って来た表尾根の山々や大山、相模湾が見渡せる360度の開けた大展望です。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

山頂の北側に通年営業の「尊仏山荘(そんぶつさんそう)」が立っています。宿泊すれば、都心の夜景と星空を同時に楽しむことができる、一度は泊まりたい山小屋です。トイレは建物の左奥にあります。

ゆっくり堪能したら、下山開始!下山の「大倉尾根」は、塔ノ岳の南端から木道階段を下りて行きます。

【大倉尾根】塔ノ岳→金冷シ→花立山荘→堀山の家→駒止茶屋→見晴茶屋→大倉

標高差約1,200mを一直線に下る通称「バカ尾根」とよばれる人気コースです。単調な木道階段をひたすら下り、最後は丹沢の登山基地「大倉」にでます。足に負担がかかるので、トレッキングポールがあると良いでしょう。往路の表尾根に比べおもしろみは感じられませんが、人が多く、整備された登山道と点在する山小屋やベンチに安心感を持って歩くことができます。

金冷シ(きんひやし) / 標高1,368m

山頂から15分くらい下った分岐点「金冷シ」で、大倉尾根は左折します。この分岐を直進すると鍋焼きうどんが有名な「鍋割山」へ行けます。

花立山荘 / 標高1,300m

しばらくは、眼下に相模湾を見渡しながら下っていきます。「花立」の開けた木道、傾斜のあるザレ場を過ぎると、右手に「花立山荘」の白い建物が見えてきます。夏季限定のかき氷が名物で、山頂直下で食べるかき氷は格別です。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

やがて、樹林帯の木道階段が続く尾根道に入っていき、展望はなくなります。「堀山の家」までは、急斜面の下りが続きます。途中、平坦な木道とベンチのある「茅場平(かやばだいら)」を通過します。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

堀山の家 / 標高950m

大倉尾根のほぼ中間地点にある山小屋です。小屋の脇には休憩するベンチがあり、たくさんの人が休憩をしています。「堀山の家」から「駒止茶屋」までは傾斜が緩み、一息つける場所です。また、「堀山」にかかる緩やかな登りの区間もあります。

駒止茶屋(こまどめちゃや) / 標高905m

駒止茶屋から急斜面を下ると、周囲をイロハモミジに覆われた散策路のような道になり、癒されます。ぜひ秋の紅葉の時季に訪れたい場所です。

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

見晴茶屋 / 標高612m

駒止茶屋からさらに30分ほど下ったところにあります。小屋の前の登山道沿いに大きなデッキや公衆トイレがあり、休憩しやすくなっています。「見晴茶屋」というだけあって、目の前は展望が開け秦野市内が見渡せます。目線が変わり、結構下ってきたのを実感します。

その先の「雑事場ノ平(ぞうじばのたいら)」で、水場やテント場のある「大倉高原山の家」を経由して大倉尾根に合流することもできますが、ほとんどの人は大倉尾根を直進します。

観音茶屋 / 標高350m

「観音茶屋」に着いたらゴールは近いです。小屋の前を通り過ぎようとしたとき、おかみさんが「お疲れさまでした」と声をかけてくれて、励みになりました!

やがて舗装された道にでます。「大倉の清水(しみず)」という水飲み場がリニューアルして、人だかりができていました。大倉尾根の登山口まで来ると「丹沢大山国定公園」の案内板があります。以前は「丹沢クリステル・キャサリン姉妹」という名物マネキンが立っていましたが、数年前に近くの大野山(おおのやま)へ移転されたようです。

大倉 / 標高290m

【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く

丹沢登山の拠点。トイレ、洗い場、レストハウス、秦野戸川公園があり賑わっています。大倉に下る場合、渋沢行きのバスの本数が多いため、バスの時間を気にせず下山できるのも嬉しいポイントです。

コースの概要・アクセス情報・周辺情報

コース概要

【コース】
往路:ヤビツ峠→二ノ塔→三ノ塔→烏尾山→行者岳→新大日→塔ノ岳(表尾根縦走コース)
復路:塔ノ岳→金冷シ→花立山荘→堀山の家→駒止茶屋→見晴茶屋→大倉(大倉尾根コース)
【単純標高差】
往路:730m/復路:1,201m
【歩行距離】
14.4km
【歩行時間】
7時間(往路4:40/復路2:20)
【トイレ】
ヤビツ峠、大倉、塔ノ岳山頂、各山小屋など

電車・バスでのアクセス情報

ヤビツ峠

【経路】
小田急線 秦野駅~ヤビツ峠
【バス乗場】
秦野駅北口➃番
【料金】
片道 大人570円
【所要時間】
約50分
【補足】
※バスの本数が少ないです。
※休日は混みます。座りたい方は早めに並ぶことをおすすめします。
※秦野駅のバス乗場に登山ポストが設置されています。
【時刻表】
神奈川中央交通

大倉

【経路】
大倉~小田急線 渋沢駅北口
【料金】
片道 大人250円
【所要時間】
約15分
【補足】
※バスの本数が多く安心です。
【時刻表】
神奈川中央交通

お得な切符

丹沢・大山エリアの小田急線と神奈中バスが乗り降り自由な切符「丹沢・大山フリーパス」(本ルートの場合Bキップ)があります。特に、下山後の途中下車(温泉など)を考えている場合、利用するとお得です。券売機やアプリなどで購入可能です。

※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

立ち寄り温泉

鶴巻温泉 弘法の里湯(こうぼうのさとゆ)

秦野市が運営する公共の湯です。

【料金】
大人 平日800円/休日1,000円(2時間)
【入浴時間】
10:00~21:00
【定休日】
月曜日(祝日の場合は翌平日)、12月31日
【設備】
大浴場、露天風呂、サウナ、食事処、休憩室、土産処、足湯(無料)
【アメニティ】
リンスインシャンプー、ボディソープ、ドライヤー
【アクセス】
小田急線 鶴巻温泉駅から徒歩2分
【URL】
弘法の里湯 | 秦野市

※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

参考サイト

登った先にある山頂の景色と達成感が魅力

明るく開放的な登山道は、人も多く、歩きやすく整備されており、休憩ポイントやトイレも比較的多く、安心です。また、特に表尾根縦走コースは、低山とは思えないほど展望の良い尾根歩き、さらに鎖場もあり、変化に富んでいます。天気によっては展望が望めない時もありますが、それも気にならないくらい行程がおもしろいです。

日帰りとしては長いコースですが、たどり着いた山頂からの見事な景色と達成感はひとしお。何度も足を運びたくなる魅力が詰まっています。アクセス抜群で、登り応えと達成感が味わえるため、初心者からレベルアップしたい人や本格的な登山シーズンに向けたトレーニングをしたい人に最適です。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

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【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

栃木・群馬県境の足尾山地に属する袈裟丸山(けさまるやま)は、アカヤシオの名所として名高い山で、シーズン中はたくさんの登山客で賑わいます。冬枯れの山を一面ピンクに染めるアカヤシオの群生は、一度見たら忘れないほどのインパクトです。また、見晴らしのよい登山道や好展望、野生動物との出会いなど、アカヤシオ以外の魅力にもあふれています。

この記事では、アカヤシオ最盛期の袈裟丸山を実際に歩いた様子や、袈裟丸山へのアクセス方法、登山レベル、花の時季などを紹介します。

袈裟丸山(けさまるやま)とは

栃木県日光市と群馬県沼田市、みどり市にまたがる標高1,878mの山で、日本三百名山に選定されています。前袈裟丸山、中袈裟丸山、後袈裟丸山、奥袈裟丸山、法師岳の総称で「袈裟丸連峰」とも呼ばれます。最高峰は奥袈裟丸山(標高1,961m)ですが、一般的には一等三角点がある前袈裟丸山(標高1,878m)を袈裟丸山といいます。

初夏はアカヤシオをはじめとする花や新緑、秋は紅葉と、四季折々の景観が楽しめます。また、ニホンジカやカモシカの生育地でもあるため、登山道で出会うこともあるかもしれません。

アカヤシオとは?見頃はいつ?

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

アカヤシオはツツジの一種で、関東地方では栃木県、群馬県、埼玉県付近の山で見られます。特徴は、枝先に1輪だけ花を付け、花冠は5つに裂け、淡いピンク色で大きな丸みを帯びており、柔らかい印象があります。

袈裟丸山は比較的標高が高いため、アカヤシオは遅咲きで、一般的にはGWあたりが見頃とされています。ただし、雨風に弱く気候によって見頃が左右されるためタイミングを計るのが難しく、さらに当たり年・外れ年もあり、そんな儚さがこの花の魅力を一層引き立てています。年によって見頃が大きく変わるため、SNSなどで最新情報をチェックするのがよいでしょう。

袈裟丸山の主な3つのコース

袈裟丸山へは、「郡界尾根コース」「弓の手コース」「塔ノ沢コース」の3つの主要コースがあります。いずれも群馬県みどり市側からのアプローチになります。「弓の手コース」と「塔ノ沢コース」は、途中の「賽(さい)の河原」で交わります。

郡界尾根コース

「郡界尾根登山口」から登るコースで、シャクナゲの群生が見事です。前袈裟丸山と奥袈裟丸山をつなぐ「八反張(はちたんばり)」付近の風化が激しく通行禁止となっているため、最高峰の「奥袈裟丸山」を目指す場合は本コースを利用します。

弓の手コース

「折場登山口」から「賽の河原」を経て「前袈裟丸山」を目指すコース。3つのコースのなかで登山口の標高が一番高いため、マイカー利用の場合、比較的楽に登頂できます。本コースは見晴らしのよい尾根が特徴です。

塔ノ沢コース

「塔ノ沢登山口」から「賽の河原」を経て「前袈裟丸山」を目指すコース。公共交通機関を使う場合は、駅に最も近い「塔ノ沢登山口」を利用します。コースの途中に、袈裟丸山を象徴する「寝釈迦」が横たわっています。

それぞれのコースに見どころがありますが、この記事では、袈裟丸山に初めて登る方やアカヤシオ観賞目的の登山に最もおすすめな「弓の手コース」を紹介します。

弓の手コースで前袈裟丸山へ

起点となる折場登山口から見晴らしのよい弓の手コースを進み、アカヤシオの群生地を抜け、小丸山、前袈裟丸山を目指します。帰りも同じルートを戻る、往復約6時間の日帰りコースです。コースタイムはやや長めですが、登山道はよく整備されていて初心者でも気軽に楽しめるコースです。

写真を撮ったり、花見をしながら自分のペースでのんびり歩いていきましょう。

折場登山口(おりばとざんぐち) / 標高1,200m

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

駐車場のある「折場登山口」からスタートします。東屋、トイレ、登山ポスト、案内板があります。

しばらくは、整備された木道の階段を上っていきます。「北回りコース(健脚者向)」と「南回りコース(一般者向)」の分岐がありますが、北回りコースは、標識がなくなり通行禁止のロープがはられているため、南回りコースで進みます。(※2023年5月現在)

「関東ふれあいの道」の一部でもある登山道は綺麗に整備されていて、ヤマツツジ、シロヤシオ、ミツバツツジと、色とりどりのお花が出迎えてくれます。シロヤシオはアカヤシオの後に咲きますが、タイミングがよければ同時期に観賞することができます。アカヤシオを含めて、一度に4色のツツジを見られるなんてラッキーですよね。

オレンジ色のヤマツツジ

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

まだ蕾の多いシロヤシオ

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

登山道に咲き乱れるミツバツツジ

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

登山開始からすぐに「弓の手コース」の見どころである、見晴らしのよい笹原の尾根に出ます。西側の展望が開けていて、目的地である前袈裟丸山と小丸山が望めます。先はまだまだ長いように感じました。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

景色のよい尾根を登りきると、山のなかへ入っていきます。道幅は広く起伏も緩やかで歩きやすい道です。登山道脇には、植生保護エリアのロープがはられている箇所も見かけるようになります。

やがて「つつじ平」と呼ばれるアカヤシオの群生地に。ここから先はアカヤシオのオンパレード!目を奪われてしまい、なかなか前に進むことができません。「つつじ平」にはアスレチック遊具のような展望台が立っています。スリルのある垂直の梯子をよじ登った先にある展望台からは、袈裟丸山の全貌やアカヤシオに覆われた小丸山が望めます。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

賽の河原 / 標高1550m

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

出発して1時間くらいで、折場登山口と小丸山の中間地点である「賽の河原」に到着。ケルン(石積み)がたくさんある広場で、独特の雰囲気があります。ここは塔ノ沢コースとの分岐点であり、「関東ふれあいの道」を辿る場合は、このまま塔ノ沢コースへ下ります。

「賽の河原」付近では野生のニホンジカに遭遇。すれ違う方々に「あそこに鹿がいるよ!」と声をかけられました。普段見ることのない野生動物に出会うと、嬉しくて人に伝えたくなりますよね。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

この付近は、アカヤシオのトンネルになっています。登山道のはずれに、アカヤシオに囲まれるように「雨量観測所」の鉄塔が立っています。緩やかなアップダウンを繰り返しつつ「床水起」という石柱のある小ピークを過ぎると、賽の河原に似たケルンの広場に出ます。

その先、東側がアカヤシオの大群生地となっていたので、立ち寄ってみました。

どこまでも広がるピンクの世界にうっとり。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

密度が濃く活き活きしたアカヤシオがいっぱいです。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

アカヤシオ観賞を目的にいろんな山に登りましたが、やはり袈裟丸山のアカヤシオは圧巻!何度もリピートしたくなる山です。思ったよりも人が少なく静かに観賞できました。

小丸山(小袈裟) / 標高1,676m

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

展望がよく充分なスペースもあるため、ランチ休憩している人たちで賑わっています。皇海山、日光白根山、庚申山、男体山などが一望できます。皇海山は、奥袈裟丸山の先に位置し縦走することもできますが、難易度は高いです。

小丸山から前袈裟丸山へ向かう道は、小丸山直下で一気に下ります。10分くらい進むと、広くて平坦なスペースに黄色い蒲鉾型をした「小丸山避難小屋」が見えてきます。小屋の近くにトイレもあります。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

「小丸山避難小屋」からは登り返しになりますが、笹原と規則的にのびたダケカンバが美しく、気持ちよく歩くことができます。やがて、樹林帯に入り急登となります。登山道は狭く、木の根や岩場にロープもはってありますが、慎重に進めば問題ないレベルです。

樹林帯を抜けると前袈裟丸山の取り付きにでます。展望も開け、西側に赤城山が望めます。振り返れば、歩いてきた尾根や小丸山のピンクに染まった山肌も楽しめるでしょう。

裾野が美しい赤城山

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

アカヤシオでピンクに染まる尾根

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

前袈裟丸山 / 標高1,878m

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

出発してから約3時間(休憩除く)で山頂に到着。山頂の標識と一等三角点があります。広いスペースには木陰もあり、ランチ休憩をしている人が多くいました。

山頂の展望はよくないので、後袈裟丸方面へ少し進み、開けた場所まで行ってみましょう。360度とはいきませんが、北方面の奥袈裟丸山を中心に、その西側は苗場山、谷川岳、上州武尊山、至仏山などの上越の名峰、東側は皇海山、日光白根山、男体山などの栃木の名峰が望める絶好の展望スポットです。

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

残雪の残る至仏山(奥に越後駒ヶ岳がひょっこり)

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

険しくも美しい谷川連峰

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

皇海山の奥に日光白根山

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

この先、後袈裟丸山に行く途中の「八反張」の風化が激しく通行を禁止されており、山頂には注意喚起の看板が立っています。

復路は同じルートを戻りますが、西日に照らされたアカヤシオや上から望む弓の手コースの尾根道はまた違った美しさがあるので、最後まで必見です。

コースの概要・アクセス情報・周辺情報

コース概要

【出発地】
折場登山口
【単純標高差】
678m
【歩行距離】
11km
【歩行時間】
5時間40分(往路:3時間10分/復路:2時間30分)
【トイレ】
折場登山口、小丸山避難小屋
【コース】
往復:折場登山口 ~ 賽の河原 ~ 小丸山 ~ 前袈裟丸山

アクセス情報

自家用車

【駐車場】
折場登山口駐車場
【台数】
25~30台
【料金】
無料
【アクセス】
国道122号(わたらせ渓谷鐡道)沿いの、「沢入駅(そうりえき)」付近から林道小中西山線へ入るか、または「小中駅(こなかえき)」付近から県道268号へ入り、林道小中西山線へ進みます。山道の運転に慣れてない場合は、「沢入駅」からの方が道幅が広めで距離が短いためおすすめです。

公共交通機関

駅から一番近い登山口が「塔ノ沢登山口」(塔ノ沢コース)です。

【登山口】
塔ノ沢登山口
【最寄駅】
わたらせ渓谷鐡道「沢入駅」
【徒歩】
4.8km / 約1時間30分
【URL】
わたらせ渓谷鐵道

立ち寄り温泉

水沼駅温泉センター

【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く

駅構内に温泉がある珍しい施設で、河童がマスコットキャラクターです。

【料金】
大人 平日650円/休日800円
【入浴時間】
10:30~20:00
【定休日】
不定休
【設備】
大浴場、露天風呂、サウナ、食事処、休憩室、土産処
【アメニティ】
シャンプー、リンス、ボディソープ、ドライヤー、タオル類は有料
【アクセス】
わたらせ渓谷鉄道「水沼駅」(国道122号沿い)
【URL】
水沼駅温泉センター

参考サイト

誰でも気軽に季節を感じる登山が楽しめる袈裟丸山

袈裟丸山のアカヤシオは、特に「つつじ平」から「小丸山」まで密集しています。アカヤシオの観賞が目的であれば「小丸山」までで充分です。登山道は明瞭で特に危険個所はありません。

でも、せっかくなら山頂まで登って好展望を楽しみたいところ。袈裟丸山頂上からの展望はよくないですが、少し北側に進めば本コース一番の展望スポットがあります。小丸山から前袈裟丸山へは、急登のロープ場もあり達成感が味わえるでしょう。

岩場に咲くことが多いアカヤシオですが、袈裟丸山は歩きやすい登山道から見ることができます。また、広く分布しているため、もし麓で散ってしまっていても、山頂の方では活き活きしたアカヤシオに出会えることも!誰でも気軽に、季節を感じながら登山を楽しめるのが嬉しい山です。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

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【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山への登山道は、かつては根本山神社の参道であり、歴史的痕跡と修験道らしいスリルが味わえます。また、春のアカヤシオや秋の紅葉といった四季折々の植物も魅力です。

この記事では、根本山のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

根本山(ねもとやま)とは

栃木県と群馬県の境に位置する「根本山」は、標高1,199mの山。関東百名山、栃木百名山、ぐんま百名山に選定されています。周囲には「森林浴の森日本100選」「水源の森百選」に選ばれた桐生川源流林と清流があり、自然豊かな山です。

中腹には、江戸時代に山岳信仰の対象として親しまれた「根本山神社」があり、山神が祀られています。また、登山道には参道への道標とされた丁石や石灯籠が残り、かつての隆盛を偲ばせています。

山頂の展望はありませんが、樹々の間からは赤城山や日光連山といった北関東の名峰が望めます。近隣の「熊鷹山(くまたかやま)」山頂からは360度の展望が楽しめるため、縦走するのもおすすめです。

【根本山周回】往路:根本沢コース / 復路:中尾根コース

根本山登頂にはいくつかのコースがありますが、今回は群馬県側の「不死熊橋」を起点として、往路は沢沿いの「根本沢コース」、復路は尾根道の「中尾根コース」を下る、時計回りの周回ルートを紹介します。全行程5時間程度の日帰りコースです。

なお、コースで紹介している「右岸」「左岸」は、川を上流から下流に向かって眺めたとき、右側が右岸、左側が左岸となりますのでご留意ください。

【往路】根本沢コース:不死熊橋→籠堂跡→根本山神社→行者山→中尾根十字路→根本山

根本沢コースは、中・上級者向きで「不死熊橋」から桐生川源流の根本沢に沿って歩きます。ほどよく整備された自然豊かな登山道で、岩場やクサリ場、高巻き、渡渉が連続する難易度の高いコースです。また、かつて根本山神社の参道だったため、歴史探索としても興味深いコースです。

不死熊橋入口(ふじくまばしいりぐち)駐車場 / 標高570m

群馬県桐生市街から県道337号を北上した先の、林道三境線の分岐にある駐車場がスタート地点となります。トイレは駐車場にも山頂にもないため、事前に立ち寄っておきましょう。駐車場からはゲート奥の車道へ進みます。立派な「根本山登山口」の道標があるのでわかりやすいです。

不死熊橋(根本沢登山口) / 標高600m

駐車場から5分くらい歩くと、根本山の案内板、登山ポストなどがあります。「根本山参詣路の歴史遺産案内図」は、根本沢コースの見どころが詳細に記されているので、写真を撮っておくとよいでしょう。

すぐ先に沢コースの取り付きとなる「不死熊橋」とゲートがあります。中尾根コースは直進、根本沢コースは左俣の登山道を登っていきます。根本沢コースには「上級者」の看板があって若干怯みます。

いきなり急登になっており、ロープを使って沢の左岸をよじ登ります。もし、ここで自信が持てなければ中尾根コースを選択しましょう!

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

根本沢コース

急登を登ると沢沿いの道になります。標識(丁石)やピンクテープを目印に進みますが、丁石は登るにつれて数が減っていくのがおもしろいです。途中、道がわかりづらい場所は、ピンクテープを見失わずに進みましょう。根本沢コースは、トラバースや高巻きする箇所、飛び石に沿って渡渉する箇所があるため、おのずと慎重になります。

「二十丁」の丁石を過ぎると、沢の左岸をトラバースする高巻き道に入ります。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

春は、淡いピンク色をした「アカヤシオ」が咲くことでも有名な根本山。途中、かわいらしいアカヤシオに目を奪われがちですが、沢よりかなり高いところをトラバースするので足元には注意が必要です。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

高巻きをあがったところに中尾根コースとの分岐があり、中尾根コースに合流できます。

「天狗のかけ橋」というアルミ梯子の橋があります。上部のロープを掴みながら渡る、アスレチック感満載の橋でドキドキします。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

「根本山まで3.5km」の標識を過ぎてしばらくは、比較的穏やかな沢の右岸を進みます。「十四丁」(ヒノキデ沢出合)からは、ハナネコノメやネコノメソウを眺めながら水際近くを歩きます。こんなにも多くのハナネコノメの群生は初めて見たので驚きました。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

「炭焼きカマド跡」の標識で、「高巻き(トラバース)」と「根本古道(沢沿い)」の分岐があります。どちらへ進むか迷いましたが、沢沿いの道を選択しました。特に危険はなかったです。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

橋がなくなってしまった「シオジ橋」の標識を右岸から左岸へ渡渉し、「十丁」「九丁」を通過すると、「根本山まで2.5km」の標識があります。慎重に進んでいるせいか、1km進むのにも時間が長く感じられます。

その後も、何度も渡渉しつつ、「金穴沢出合」「大割沢出合」「六丁」「小割沢出合」「五丁」へと歩を進めていきます。

「五丁」の先、「魚止の滝」で右岸を巻くロープが高巻きと沢沿いとに分かれています。はじめは高巻きのロープへ向かいましたが、かなり足場が悪く高度も感じたので引き返して沢沿いのルートへ変更。沢沿いのルートは、ボルトのステップが設置された岩場もありますが、難なく通過できました。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

やがて「木根畑沢出合」を過ぎると、沢は細くなり、石碑が点在するスピリチュアルな雰囲気に。「二丁」付近には、石祠2基、続いて「鈴臺(鈴台)」とその説明板があります。説明板によると、鈴臺の正面のマークは、根本山神社のシンボル「天狗のハウチワ」とのこと。その後も、岩の上に立つ「奉献根本山神社」の石塔、参道の名残りである18段の石段、そして2つめの「奉献根本山神社」の石塔と、歴史の面影を次々とたどります。

籠堂(こもりどう)跡 / 標高910m

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

かつて籠堂があった場所で、「男坂(表坂)」と「女坂(裏坂)」の分岐となっています。休憩できる広めのスペースと、石灯篭と案内板、江戸期の鉄ハシゴがあります。案内板によると、かつては籠堂の周辺に女人堂や御供所などの施設があったようで、当時の隆盛が偲ばれます。

歴史に思いを馳せながら、一休みしましょう。山頂までは、まだ1.5km残っています。

籠堂跡から先は、沢から離れ、緊張感の続く登山道となります。今までは、山を巻くように長い道なりをゆったり進んできましたが、ここからは一気に高度を稼ぎ追い込みに入っていくイメージです。

分岐は、右俣が男坂、左俣が女坂になっており、標識に「初めて根本山神社へ参詣する方は裏坂へどうぞ」とも記されています。男坂を見ると、枯れた沢の岩場を登っていくようで「男坂(表坂)危険大」の標識があったため、慎重を期して女坂を選択しました。

女坂に進むとすぐに鉄ハシゴが現れます。このハシゴも籠堂跡にあったハシゴと同時期(江戸期)に寄進された物。一部が破損してロープで処置されていますが、江戸期のものが今も使われていることに感心します。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

女坂といっても、岩がゴロゴロしている急登のクサリ場や足場の悪い道が続きます。途中、石塔や首の欠けた薬師如来像が立っています。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

やがて、クサリ場を登った先に「根本山神社」が見えてきます。男坂との合流地点でもあります。

根本山神社本社 / 標高1,000m

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

行者山鞍部に立つ「根本山神社本社」。どうやって建てたのか…と不思議に思うほどの断崖の上に、根本山神社の本殿と釣鐘堂があります。社殿は老朽化につき立入禁止となっており、穴の開いた拝観窓口から手をのばしてお賽銭を入れます。覗き込むと立派な御本殿がありますが、足場が悪いため長居はできない状況で、拝観も一苦労です。

神社から先は、ヤセ尾根、岩場、クサリ場の連続です。クサリと、岩場、木の根っこを掴んで慎重に登っていきます。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

獅子岩

クサリ場を登ったところにある大きな岩です。岩上まで慎重に登ると、石祠があり、正面には日光白根山が望めます。根本山は基本的にあまり展望が良くないため、展望が良い箇所は貴重です。

その後もクサリ場は続きます。そして、獅子岩から10分くらい進んだヤセ尾根に根本山神社の奥社があります。

根本山神社奥社(奥ノ院)

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

ここから先はクサリ場がなくなり、少し落ち着いた尾根道になります。

行者山(峰の平) / 標高1,120m

山というよりは小高いピークです。樹木に覆われ展望はありません。「行者山」の小さな標識があります。

行者山からは、左へ折れますが、直進方向にも尾根道が続いています。地図にはないバリエーションルートがあるようですが、この辺りは地図上でUの字を描くルートで、方向感覚が狂うかもしれません。道迷いに充分注意してください。

「江戸期の鉄鎖」を経由して、一度鞍部へ下がり、再び登り返します。

中尾根十字路 / 標高1,160m

中尾根ルートとの合流地点です。分岐を左に折れて、道なりに進むと15分程度で根本山の山頂に着きます。

根本山 山頂 / 標高1,199m

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

山頂には立派な標識があります。ランチ休憩するには充分なスペースがあり、自然林のなかで休息ができます。ただし、樹木に囲まれているため、展望は望めません。

山頂の少し先に「天狗の見晴らし」という展望スポットがあるので、足を延ばしてみましょう。枯れ木が天狗に見えます。アカヤシオで有名な袈裟丸山(けさまるやま)、皇海山(すかいさん)、赤城山が望めます。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

山頂からは、十二山や熊鷹山への登山道がのびています。熊鷹山は展望が良く、根本山とセットで登る人が多い山ですが、今回は時間に余裕がないため下山します。

【復路】中尾根コース:根本山→中尾根十字路→石祠→不死熊橋駐車場

根本山への最短ルートであり、尾根伝いの歩きやすいコースのため、初心者や家族連れでも楽しめる一般的なコースです。

中尾根十字路 / 標高1,160m

山頂から中尾根十字路まで引き返し、中尾根十字路をそのまま、不死熊橋へ向かって尾根道を進みます。春は、アカヤシオやトウゴクミツバツツジを愛でながら下ります。アカヤシオは、根本沢コースよりたくさん咲いていました。

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

石祠のピーク / 標高860m

半分以上下った中腹に石祠があります。

中尾根取付 / 標高670m

最後に、ヒノキの植林帯を下ると、中尾根コースの取り付きである根本沢林道にでます。駐車場までは、左の林道を下るコースと直進するショートカットコースがあります。ショートカットコースは、急斜面を下り山の中に入って根本沢コースの最初の急登に合流します。荒れた道や急斜面にお腹いっぱいであれば、林道を進むのが無難でしょう。

不死熊橋駐車場 / 標高570m

特に休憩もしなかったので、山頂から1時間半くらいで駐車場に到着。根本沢コースに比べ、明瞭で単調な道だったため、あっという間でした。

屋敷山ミツマタ群生地

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

根本山の近くには、ミツマタで有名な「屋敷山ミツマタ群生地」があります。根本山の駐車場から30分くらい歩いたところにある大群生地で、より近くまで車で行くことも可能です。今まで関東周辺のミツマタのハイキングスポットにはいくつか訪れましたが、ここの規模は圧巻です。シーズンであれば立ち寄ってみるのも良いでしょう。

コースの概要・アクセス情報

コース概要

【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き

【行程】
不死熊橋入口駐車場~≪根本沢コース≫~根本山~≪中尾根コース≫~不死熊橋入口駐車場
【単純標高差】
約630m
【歩行時間】
約3時間半/約1時間半
【歩行距離】
約4.3km/約3km
【トイレ】
なし
途中、梅田湖と県道337号沿いにあり

アクセス情報

アクセス難易度は、特に公共交通機関利用の方には高めです。

自家用車

【駐車場】
不死熊橋入口駐車場
【台数】
約15台(または路肩)
【料金】
無料
【アクセス】
桐生市街から梅田湖の分岐を県道337号へ。道は徐々に細くなり、車のすれ違いも困難な道となります。

公共交通機関

最寄りのバス停から徒歩1時間以上かかります。

【電車・バス】
電車:JR「桐生」駅
バス:おりひめバス梅田線 桐生駅北口 → 「梅田ふるさとセンター前」
下車後、徒歩約1時間半
【料金】
大人:片道200円
【時刻表】
おりひめバス | 桐生市

参考サイト

知る人ぞ知る!個性あふれるスリル満点の山

根本山は標高1,199mですが、豊かな自然のなかを歩く爽快感と、スリリングな岩場を乗り越えたあとの達成感が味わえる山です。そのうえ、歴史も感じられ、低山とは思えない充実した山歩きを楽しめるでしょう。他に登っている人も少ないため、特に静かな山歩きを好む方におすすめです。

知名度はそれほど高くない山ですが、個人的には、もっと名前が知れてもいいと思うほどおもしろい山でした。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花がありますよね。この記事では、春の山に咲く花のなかで人気の高い「ミツマタ」の魅力と、ミツマタが楽しめるハイキングスポット「不動尻ミツマタ大群生地」を紹介します。山の斜面一帯を黄色で埋め尽くす光景は圧巻です。

不動尻ミツマタ大群生地

今回紹介する「不動尻ミツマタ大群生地」は、都心からアクセスの良い東丹沢に位置する、神奈川県内最大規模を誇るミツマタ群生地です。不動尻までは舗装された林道歩きとなり、ハイキング感覚で山歩きが楽しめます。不動尻周辺は、ハイキングコースが整備されていて、一枚岩の「不動の滝」も見どころ。

足を延ばせば「大山(おおやま)」や「鐘ヶ嶽(かねがたけ)」、「日向山(ひなたやま)」などに登ることもでき、ルートバリエーションも豊富です。

不動尻のミツマタの見頃は、年により変動しますが、例年3月中旬〜4月上旬頃です。

ミツマタ(三椏)とは

まだ肌寒さの残る3月中旬頃に咲き始めるミツマタ。名前の通り、枝が「三つ又」に分かれ、その先に黄色く丸い形をしたかわいいお花を咲かせます。無数の黄色い花が森を覆うように広がる様は幻想的です。また、高さが1〜2mくらいなので、ミツマタと一緒に写真撮影したり、近寄って観賞したりすることができます。ただし、マナーを守ってミツマタを傷つけないよう配慮してくださいね。

林道歩きでミツマタ群生地を目指す

「広沢寺(こうたくじ)温泉」をスタートして、「二の足林道」を通り、ミツマタ大群生地である「不動尻」を目指します。

広沢寺温泉 → 二の足林道 → 不動尻ミツマタ大群生地

広沢寺温泉 / 標高約125m

「広沢寺温泉」バス停のすぐ近くに「広沢寺前駐車場」があります。駐車場には、トイレ、水場、登山ポストがあり、準備を整えて出発することができます。ミツマタの時季の不動尻はたいへん人気があり、大勢のハイカ―が訪れます。

不動尻までは、舗装された林道を約3.5km(約1時間)歩きます。コースは1本道でわかりやすく、起伏も緩やかです。スニーカーでも歩けますが、軽登山靴があれば安心です。

二の足林道ゲート

30分くらい歩くと二の足林道のゲートがあります。不動尻にあったキャンプ場の閉鎖に伴い、ここから先は車両通行止となっています。ゲート手前には湧き水があります。

山の神隧道(やまのかみずいどう、山神トンネル)

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

ゲートから10分くらい進むとトンネルがあります。全長200mほどの、照明のない薄暗いトンネルです。照明がないせいか、案外長く感じるので、暗闇が苦手な方はライトがあると良いでしょう。

二の足林道終点

二の足林道終点後は、谷太郎(やたろう)分岐のある「一の橋」、「二の橋」を渡り、右に谷太郎川を見ながら進んでいきます。林道は終点となりますが、舗装された道が続きます。途中、キブシ、ダンコウバイ、ハナネコノメ、ハルユキノシタ、フサザクラなどの春のお花たちに出合え、ミツマタの群生を見る前から花探しに夢中になってしまいます。

フサザクラは、見た目が唐辛子みたいなユニークなお花です。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

ミツマタの群生がついに登場!沢沿いにたくさん咲いています。その脇には、ベンチと仮設トイレが設置されているので、ベンチで一休み。ミツマタの甘い香りを運ぶ春のそよ風が心地良いです。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

最後に「三の橋」を渡ったら不動尻に到着です。

不動尻ミツマタ大群生地

不動尻広場(不動尻キャンプ場跡地) / 標高約430m

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

不動尻の中心の広場は、元キャンプ場だったこともあり広々したスペースになっています。新たにテーブルとベンチが設置され、ランチ休憩に最適です。暖かい日は、春のピクニック気分を味わえることでしょう。

広場周辺がミツマタ大群生地で、山の斜面にもたくさんのミツマタが自生しています。モノクロの世界を一気に鮮やかにするミツマタは、何度見てもかわいくて元気の出るお花です。

カメラは、前ボケを意識するとふんわりした一枚を撮ることができますよ。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

不動の滝

広場のミツマタを堪能したら「不動の滝」を目指します。不動尻の広場までは歩きやすい林道でしたが、ここから先は沢を渡ったり滑りやすい箇所を通ったりするため登山靴が必要です。

広場の奥、大山沢に沿って進みます。最初はミツマタのトンネルを抜けていきます。途中にハイキングコースの分岐がありますが、直進します。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

何度か沢を渡ります。飛び石もあり足場が悪いため、落ちないように注意しましょう。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

不動の滝は、高低差こそ少ないですが、大きな一枚岩の美しい滝です。岩に着生した苔の雰囲気も趣があります。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

滝の近くにはたくさんの「ハナネコノメ」が咲いています。「ハナネコノメ」は、白い花びらに雄しべの赤い葯(やく)が特徴的な花。5cmほどの小さなお花でかわいらしいです。ミツマタはもちろん、ハナネコノメを見るのを目的として不動尻に訪れる人も少なくありません。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

不動尻まできたら「不動の滝」まで足を延ばして、マイナスイオンたっぷりの滝やハナネコノメもぜひ堪能してくださいね。

不動尻ハイキングコース

広場を拠点にミツマタが楽しめるハイキングコースが整備されています。ジグザグの周回コースで、1周約1時間、150mくらいの高低差がある山道です。

不動の滝から少し引き返し、ハイキングコース分岐を左に折れ、ジグザグの狭い坂道を登っていきます。ハイキングコースを時計回りに周るルートとなります。道の左右は、ミツマタに囲まれたミツマタ回廊です。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

コースの一番上で大山方面から下ってくる道(分岐)と合流して、不動尻広場の方へ下ります。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

上から見下ろすミツマタの群生も圧巻!ミツマタは下を向いて咲くので、上から見ると黄色ではなく白いポンポンに見えます。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

不動尻ハイキングコースは高低差があるため、時季によっては、蕾~満開の、さまざまな過程のミツマタが楽しめます。また、寒暖差のある時季でもあるため、年によってはミツマタと雪とのコラボレーションという珍しい光景も見られます。

【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!

コースの概要・アクセス情報

コース概要

【行程】
往復:広沢寺温泉~二の足林道ゲート~山の神隧道~不動尻(ハイキングコース)
【単純標高差】
約470m
【歩行時間】
約3時間半
【歩行距離】
約9km
【トイレ】
広沢寺前駐車場
仮設トイレ:山の神隧道の入口、一の橋、不動尻広場の手前

アクセス情報

公共交通機関

【電車・バス】
電車:小田急小田原線「本厚木」駅 下車
バス①:厚木バスセンター~本厚木駅~広沢寺温泉(広沢寺温泉入口)
バス②:伊勢原駅~広沢寺温泉入口
【料金】
①片道370円 ②片道310円 ※ICカード利用可
【所要時間】
約30~40分
【補足】
※「厚木バスセンター」は、本厚木駅から徒歩約5分。
※広沢寺温泉BSは便数が少ないため、広沢寺温泉入口BSを利用する方が多い。広沢寺温泉BS〜広沢寺温泉入口BS間は徒歩15分くらい。
【時刻表】
神奈川中央交通

※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

公共交通機関

【駐車場】
広沢寺前駐車場
【台数】
約30台
【料金】
無料
【アクセス】
東名厚木ICから約20分

立ち寄り温泉

広沢寺温泉 玉翠楼(こうたくじおんせん ぎょくすいろう)

七沢温泉郷の一軒宿で秘湯の情緒があります。露天風呂も開放的。美人の湯といわれる強アルカリ源泉の湯でお肌つるつるに。

【場所】
神奈川県厚木市七沢2607
【料金】
大人1,000円
【時間】
平日11:00~16:00 / 土日・祝日11:00~17:00
【URL】
日帰り入浴 | 広沢寺温泉 玉翠楼

※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

参考サイト

春に楽しめる関東近郊のハイキングスポット

私にとって、この時季の恒例スポットとなっている「不動尻」。ミツマタが楽しめるハイキングスポットは各地にありますが、「不動尻」は都心からのアクセスが良いうえに、群生の規模が大きいため、満足感があります。また、ミツマタだけでなく、ハナネコノメの花や不動の滝など見どころが多いのも魅力のひとつ。

林道歩きは、山やハイキングをこれから始めたい人にとっても無理なく楽しめるでしょう。本格的な夏山シーズンを前に、この時季にしか出合えない「山に春を告げる花」を見つけに、山へ出掛けてみてはいかがでしょうか。

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【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひとつ。山頂からは、標高2,000m弱の山とは思えない大パノラマが広がります。ロープウェイを使用すれば登山初心者でも登りやすく、また首都圏からのアクセスの良さから、登山道に行列ができるほど人気の山です。

年間を通じて魅力のある山ですが、この記事では積雪期の谷川岳登山を紹介します。ロープウェイを利用し「天神平」から谷川岳山頂を目指す、雪山初心者でも挑戦しやすい「天神尾根ルート」を歩きます。

谷川岳とは

「谷川岳」は、群馬県と新潟県の県境「三国山脈」にある「谷川連峰」の盟主。太平洋側と日本海側の空気が交わる気候の変化の激しいエリアですが、その特異性から、標高1,977mの山でありながら1,500m付近で森林限界となり、それより先では高山で見られる植物や景色が広がります。

山頂部には穏やかな景色が広がっていますが、その反面、一ノ倉沢などの急峻な岩壁を有し「魔の山」といわれる側面があることも特徴で、ハイキングからクライミング、沢登り、スキー、観光とバラエティに富んだアクティビティが楽しめる人気の山です。

なお、谷川岳の積雪期は、11月上旬〜4月中旬頃です。

天神尾根ルートを歩く

季節を問わず、谷川岳を初めて登るのに定番のコースです。谷川岳ロープウェイ「天神平」からスタートして、なだらかに起伏する天神尾根を歩き、谷川岳山頂の「トマの耳」「オキの耳」へ。下山は同じコースを下ります。快晴に恵まれれば、日帰りで白銀の世界を満喫できるでしょう。

天神平(てんじんだいら)/標高1,319m

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

まずは、登山のスタート地点となる「天神平(谷川岳天神平スキー場)」を目指します。谷川岳ロープウェイで山麓の「土合口駅」(標高746m)からスキー場のある「天神平駅」(標高1,319m)まで高低差約570mを約10分で上がります。スキー場に訪れているスキー客も一緒に移動します。

ロープウェイを降りるとスキー場があります。ゲレンデの横でアイゼンを装着し、準備を整えて出発します。登山道にはトレースがしっかりつき、また登山客が連なっているため道迷いの心配はありません。目の前には、目指す双耳峰の谷川岳山頂が望めます。

スキー場の脇の登山道を登っていきます。最初からいきなりの急登で辛いかもしれません。少し歩くと樹林帯になりますが、景色は開けています。やがて、天神峠からの合流点である「天神尾根」と交わります。

尾根道に出ると、起伏が緩やかになり歩きやすくなりますが、1ヶ所、急斜面を下るトラバースがあるので気を付けましょう。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

熊穴沢避難小屋(くまあなさわひなんごや)/標高1,465m

雪の下に埋もれていて使用不可です。積雪量の目印となる赤い柱だけが立っていました。豪雪地帯であることを実感します。

「熊穴沢避難小屋」を過ぎると、本格的な登りになります。急登で辛いですが、このあたりから森林限界を越えるため、視界は完全に開けます。後ろを振り返れば、燧ヶ岳(ひうちがたけ)、至仏山(しぶつさん)、上州武尊山(じょうしゅうほたかやま)、赤城山など上州の名峰が一望でき、高度を上げていることが感じられるでしょう。

天狗の留まり場

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

展望のよい岩場です。急登を登り切ったあとの癒しスポットで、登山客で賑わっています。少し先には「天神ザンゲ岩」もあります。

しばらくは目印など人工物が何もない、青と白の世界。コントラストが眩しいです。日焼け止めとサングラスは必須ですね!

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

左手に見える「俎嵓(まないたぐら)」への稜線が美しいです。「俎嵓」は本来谷川岳になる予定だった山ですが、国土地理院の誤記により現在の谷川岳になりました。その左奥には浅間山が望めます。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

谷川岳肩ノ小屋/標高約1,910m

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

熊穴沢避難小屋から1時間以上登り続けて、肩ノ小屋に到着。冬季は、無人の避難小屋になっており、トイレは使えません。また、ここは日本三大急登のひとつ「西黒尾根」との分岐点です。「西黒尾根ルート」は、ロープウェイを使わずに谷川岳を目指す強者ルートです。

ケルンや標識には「エビの尻尾」が付着していて、雪山らしい風景が堪能できます。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

なお、肩ノ小屋の正面は、本ルート最大の写真スポットなので見逃さずに!

肩ノ小屋の西側から上越国境である谷川連峰の主脈が伸びています。この尾根道を進むと、万太郎山、仙ノ倉山、平標山(たいらっぴょうやま)を経て、三国峠へとつながります。個人的には、いつか縦走したい憧れの稜線です。写真左奥に浅間山、右奥に苗場山が望めます。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

しばらく絶景を堪能したあと、山頂へ向かいます。肩ノ小屋から「トマの耳」まではすぐの距離です。

トマの耳(薬師岳)/標高1,963m

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

天神平スキー場を出発して2時間半くらいで、最初の山頂「トマの耳」に到着です。また、トマの耳には「薬師岳」、オキの耳には「谷川富士」という別称がそれぞれありますが、国土地理院の誤記により、この2つが「谷川岳」と呼ばれるようになりました。ちなみに、「トマ」は「手前」、「オキ」は「奥」という意味があるようです。「トマの耳」からは、上信越の山をはじめ360度の大パノラマが広がっています。

「トマの耳」から「オキの耳」までは10分くらいです。2つの峰の尾根間は、道幅が狭く登山者とのすれ違いには気を付けましょう。また、、雪庇(せっぴ)のある東側斜面(写真左)に立ち入らないように注意が必要です。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

オキの耳(谷川富士)/標高1,977m

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

谷川岳の山頂「オキの耳」は、「トマの耳」より14mほど高い場所にあります。

「オキの耳」からも360度の大パノラマが楽しめます。空気の澄んだ冬には、真っ青な空と、真っ白な山並みがどこまでも続き、ため息が出るほどの美しさです。雪山登山の醍醐味は、夏では味わえないこの凛とした景色を堪能できることではないでしょうか。

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ

下山

【【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
下山は、登って来た道を引き返します。下りは渋滞が分散されていて、快適です。ただし、下山時は疲労が蓄積しており、それに加えて気が緩みやすいため、思わぬ大ケガにつながりかねません。油断せず最後まで気を引き締めて下りましょう。

コースの概要・アクセス情報

コース概要

雪山は、夏と違い天候や雪の状態によって所要時間が左右されるため、時間に余裕を持った計画をしましょう。また、谷川岳は天候の変化の激しい山です。早めに下山するよう心がけましょう。

【行程】
往復:天神平~熊穴沢避難小屋~谷川岳肩ノ小屋~トマの耳~オキの耳
【単純標高差】
約660m
【歩行時間】
4時間半
【歩行距離】
約6.5km
【トイレ】
天神平

アクセス情報

谷川岳ロープウェイ

【経路】
「土合口駅」(標高746m)~「天神平駅」(標高1,319m)
【料金】
往復:大人3,000円、子ども1,500円
※スキー場営業期間中は、片道券の販売は休止しています。
【運行】
【4月~11月】平日:8:00~17:00 / 土日祝:7:00~17:00
【12月~3月】全日:8:30~16:00
※点検、天候などにより運休の場合があります。
【施設】
レストラン、売店
【割引】
モンベルクラブ会員割、JAF会員割
【ホームページ】
谷川岳ロープウェイ
※当日の運行状況はTwitterをCHECK!

自家用車

【駐車場】
谷川岳ロープウェイ駐車場
【台数】
立体駐車場1,000台、屋外駐車場500台
【料金】
普通車500円(冬季の土日祝と1月1~3日は1,000円)、大型車1,000円
【アクセス】
関越自動車道「水上IC」から国道291号線を谷川岳方面へ14km(約25分)

公共交通機関

【バス】
①上越新幹線「上毛高原駅」下車後、「谷川岳ロープウェイ」行きバス(約50分)
②JR上越線「水上駅」下車後、「谷川岳ロープウェイ」行きバス(約25分)
【時刻表】
関越交通のホームページ

水上温泉(みなかみおんせん)

谷川岳の麓にあり、群馬県を代表する温泉地です。日帰り温泉も充実しています。

【場所】
群馬県利根郡みなかみ町
【URL】
みなかみ18湯 | みなかみ町観光協会公式サイト

※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。

参考情報

【谷川岳インフォメーションセンター】
谷川岳周辺の自然や資料を紹介する展示が見られます。
ホームページ:谷川岳インフォメーションセンター
【群馬県谷川岳登山指導センター】
登山届・登山計画書の受理のほか、電話での問い合わせに対応しています。
TEL:0278-72-3688

雪山の魅力と達成感が味わえる山

今回紹介した天神尾根コースは、標高差700m未満、コースタイムは往復4時間半程度と雪山経験のある方なら問題なく登れるコースです。天候に恵まれたため、装備も軽アイゼンとトレッキングポールのみで問題ありませんでした。そのうえ、空気の澄んだ冬の谷川岳は360度の大絶景!無理せず雪山の醍醐味が味わえる、非常に満足度の高い山です。

ただし、冒頭でも記述したとおり、非常に気象条件が厳しいエリアでもあります。天候確認はもちろんのこと、適切な装備と準備を万全に行って快適に雪山登山を楽しみましょう。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

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【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にまたがる山です。三国山を中心にハイキングコースが整備され、富士山の眺めの良さが人気のコースとなっています。特に、隣接する「鉄砲木ノ頭(明神山)」は富士山と山中湖の好展望地で、三国山とセットで登る方が多いです。

この記事では、山中湖の南側に位置する「籠坂峠」からスタートして、大洞山、三国山、鉄砲木ノ頭と3つの山を縦走する「三国山・パノラマ台ハイキングコース」を紹介します。

三国山基本情報

【山名】
三国山(みくにやま)
【所在地】
神奈川県、山梨県、静岡県
【標高】
三国山1,343m/大洞山1,383m/鉄砲木ノ頭1,291m

三国山・パノラマ台ハイキングコースを歩く

山中湖の南岸を東西にのびる「三国山・パノラマ台ハイキングコース」。「籠坂峠」からスタートして「大洞山」、「三国山」と登り、「三国峠」を経て「鉄砲木ノ頭」に登り、最後に「山中湖パノラマ台」へ下る、日帰りコースです。

【前半】籠坂峠 → アザミ平 → 三国山

籠坂峠 / 標高1,104m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

国道138号線にある「籠坂峠」は、山梨県と静岡県の境界にある峠です。標高1,104mと高い位置からスタートのため、気負わずに挑むことができます。

まず、「籠坂峠」バス停から左側へのびる脇道を進み、「山中湖村公園墓地」の敷地に入ります。公衆トイレ(冬期は閉鎖)があり、この公園墓地の奥が「三国山ハイキングコース」入口となります。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

足元は、落ち葉と富士山の火山砂礫によってソフトな感触です。少し進むと「畑尾山・立山(たちやま、太刀山)」分岐の道標が立っています。右へ進むと「畑尾山・立山」を経由して「アザミ平」へ、左へ進むと「アザミ平」への近道になります。立山には展望台がありますが、今回は、立ち寄らず「アザミ平」を目指して左へ進みます。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

V字溝になった狭い道を進みます。この付近からブナ林が広がります。途中に立つブナの巨木「天狗ブナ」も見どころです。展望がなく、木々の枯れた晩秋の時季は寂しい風景ですが、新緑や紅葉の時季は気持ちの良いハイキングが楽しめます。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

アザミ平

稜線にでると視界が開けます。「アザミ平」からは、広々とした自然庭園のような景色が広がり、富士山や御殿場の街並みを望むことができます。アザミ平の野原を過ぎると、ブナ林の稜線歩きとなります。晩秋の時季は、マユミの赤い実が鮮やかで印象的でした。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

大洞山(おおぼらやま) / 標高1,383m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

別名「角取山(つのとりやま)」ともいわれています。本コースの最高地点ですが、樹林に囲まれているため展望はありません。山頂の手前のやせ尾根に「角取神社奥の院」が祀られています。

「大洞山」から「三国山」へは、起伏の少ない広々とした尾根道で、のんびりと山の風景を堪能できるでしょう。途中の「楢木山(ならきやま)」、「ヅナ峠」を過ぎると、三国山に到着します。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

三国山 / 標高1,343m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

その名の通り、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にまたがる山です。山頂標識のある場所は標高1,320m(1,328mとしている標識もあり)で、ベンチがあり、休憩できるスペースがあります。木の隙間から富士山が見えますが、展望は良くないです。

その先の「三国峠」までは、一気に下ります。

【後半】三国峠 → 鉄砲木ノ頭 → 山中湖パノラマ台 → 三国山ハイキングコース入口

三国峠 / 標高1,168m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

車道(山中湖小山線)にでます。三国峠を境に、西側が山梨県、東側が神奈川県となっています。駐車場があり、ここから「三国山」を目指す場合は、30分くらいで山頂に立つことができます。

「鉄砲木ノ頭」へは、車道を横断して、再度登山道へ入っていきます。ここからは、背丈より高いススキゾーンになります。三国山周辺の登山道とは異なる雰囲気です。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

鉄砲木ノ頭(てっぽうぎのあたま)(明神山) / 標高1,291m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

山頂に着いて、まず目に飛び込んでくるのが、裾野までよく見える富士山です。そして、眼下に山中湖、奥には南アルプスが一望できます。

冠雪した富士山をズーム。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

南アルプスの白峰三山(農鳥岳、間ノ岳、北岳)方面。鉄砲木ノ頭は、富士山の展望で有名ですが、南アルプスも全景が望める贅沢なポイントです。

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

山頂は広々としていて、「山中諏訪神社奥宮」が鎮座しています。富士山を目の前に望む、抜群のパワースポットですね。

山頂からは「山中湖パノラマ台」に向けて下ります。再度、ススキゾーンですが、視界は開けていて、下りながら眺める富士山もまた魅力的です。パノラマ台からスニーカーで登ってくる方が結構多くいましたが、傾斜があり滑りやすい箇所もあるため、軽登山靴があると良いでしょう。

山中湖パノラマ台 / 標高約1,090m

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

車でアクセスでき、富士山の絶景ポイントとして知られているため、一般観光客の方で賑わっています。「鉄砲木ノ頭」からの景色と比べると、富士山を下から望む視線にはなりますが、素晴らしい眺めです。

パノラマ台からは、真下のハイキングコースを山中湖畔へ向けて下ります。

三国山ハイキングコース入口 / 標高約990m

ゴールです。「三国山ハイキングコース入口」バス停のある車道(国道413号)にでます。

出発地点方面へ戻る場合は、山中湖沿いの国道413号をバスまたは徒歩で戻ります。徒歩の場合、30分程度で「森の駅 旭日丘」に着くので、湖を眺めながら戻るのもおすすめです。

三国山・パノラマ台ハイキングコースの概要・アクセス情報

コース概要

【【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース

【行程】
籠坂峠 → アザミ平 → 大洞山 → 三国山 →三国峠 → 鉄砲木ノ頭 → 山中湖パノラマ台 → 「三国山ハイキングコース入口」バス停
【単純標高差】
約390m
【歩行時間】
約4時間
【歩行距離】
約9km
【トイレ】
山中湖村公園墓地、山中湖パノラマ台、山中湖交流プラザきらら

アクセス情報

自家用車

【駐車場】
三国峠、パノラマ台、山中湖畔駐車場、山中湖交流プラザきらら
【料金】
三国峠、パノラマ台、山中湖畔駐車場:無料
山中湖交流プラザきらら:村外300円
【アクセス】
東富士五湖道路「山中湖IC」、もしくは東名高速御殿場ICから国道138号線を経て山中湖へ

公共交通機関

【バス停】
籠坂峠
【路線】
富士急バス:御殿場~山中湖~富士急ハイランド~河口湖駅(富士河口湖温泉郷)
【URL】
富士急バス
【補足】
高速バスのターミナル「山中湖旭日丘」のある「森の駅 旭日丘」から徒歩でもアプローチ可能(約30分)

参考サイト

起伏が少なくミニ縦走が楽しめる山

鉄砲木ノ頭は、ススキに覆われた、富士山と山中湖の好展望地。富士山の眺めが目当てであれば、鉄砲木ノ頭だけでも満足できるでしょう。パノラマ台や三国峠の駐車場から30分くらいで登れるアクセス抜群の山です。

一方、三国山周辺は、火山砂礫の登山道やブナ林の原生林など大地の息吹と豊かな自然を感じることができます。花の季節には、サンショウバラや固有種であるフジアザミも魅力です。鉄砲木ノ頭だけでは物足りない方はぜひ足をのばしてみるといいでしょう。今回紹介したコースは、起伏が少なく気軽にミニ縦走を楽しむことができるため登山初心者にもおすすめです。

四季折々の魅力があり、1年を通じて楽しめる三国山・鉄砲木ノ頭。雄大な富士山を眺めて、清々しい気分になってみてはいかがでしょうか。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

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【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボクなどを有する自然豊かな山です。剣ヶ峰、弥山(みせん)、天狗ヶ峰、三鈷峰(さんこほう)など複数ピークで構成された独立峰で、裾野を広げた優美な山容は「東の富士山、西の大山」と称されるほど。山頂からは雄大な自然と、そのむこうに日本海が一望できます。

また、古くから信仰の対象として崇められてきた歴史や文化も魅力です。最高峰の剣ヶ峰(標高1,729m)は、崩壊により立入禁止となっているため、西側の弥山(標高1,709m)を目指します。(現在、立ち入り禁止ではなく、「縦走路のご利用はお控えください」と注意喚起されています)

鳥取・大山基本情報

【山名】
大山(だいせん)
【別称】
伯耆大山(ほうきだいせん)、伯耆富士、出雲富士
【所在地】
鳥取県
【エリア】
大山山系
【標高】
1,729m(剣ヶ峰) / 1,709m(弥山)
【選定】
日本百名山、新日本百名山、花の百名山、新・花の百名山、日本百景
【その他】
大山隠岐国立公園(だいせんおきこくりつこうえん)

「夏山登山道」と「行者コース」で弥山を目指す

山頂の弥山へは、「夏山登山道」「行者コース」の2つのコースがあり、五合目付近で合流します。今回は、往路にメジャーな「夏山登山道」、復路に大山寺を経由する「行者コース」で弥山を目指すコースを紹介します。

経路:大山ナショナルパークセンター → 夏山登山道 → 山頂 → 石室 → 行者コース → 大山寺 → 大山ナショナルパークセンター

大山ナショナルパークセンター / 標高750m

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

大山寺バス停のある「大山ナショナルパークセンター」は、トイレ、シャワー、コインロッカーなど大山登山の起点となる充実した施設です。

「大山ナショナルパークセンター」からは、大山寺に続く「御幸参道本通り」を抜けていきます。2、3分歩きアンテナショップ「大山時間shop」を右に曲がり、車道にでると「南光河原駐車場」が見えてきます。「夏山登山口」は駐車場のすぐ先です。

夏山登山口

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

車道から脇道へ入っていきます。

一度大山寺の境内に入り、石畳の階段を上っていくと、国指定重要文化財の「大山寺阿弥陀堂」があります。大山寺に現存する寺院の中では最古の建築物です。

「大山寺阿弥陀堂」を過ぎ、ブナ林のなかの木道階段を上っていきます。夏山登山道の道はまっすぐで、一合ごと、さらに100mごとにも標識があり、道迷いの心配はありません。登りが続くので、疲れたら上を向いてブナの息吹を感じると癒されますよ。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

六合目避難小屋 / 標高1,350m

2020年に改修工事が完了したばかりの、抜群の大山北壁展望スポットです。白くむき出しになった荒々しい岩肌は圧巻で、三鈷峰、ユートピア避難小屋、天狗ヶ峰、剣ヶ峰、弥山が一望できます。携帯トイレブースがあります。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

「六合目避難小屋」からは森林限界となり、風景は一気に変わります。ただし、本格的な登山道になり岩場もでてくるため、景色にばかり気を取られず足元にも注意が必要です。道幅も狭いため、登り下りで譲り合って進みましょう。

完全に展望が開けると、日本海を見下ろす空中散歩となります。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

米子平野、弓ヶ浜、中海、日本海が一望できます。登っていくにつれ、見上げていた北壁もどんどん目の前に迫ってくるため、より雄大さを感じるでしょう。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

大山のダイセンキャラボク純林

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

標高1,600m付近から山頂までは、人の背丈ほどのダイセンキャラボクが広がる木道歩きになり、傾斜は緩やかです。木道は途中で左右に分岐していて、ダイセンキャラボクの純林を1周するルートが整備されています。

大山のダイセンキャラボク純林は、キャラボクの群落として日本最大を誇っていて、国の特別天然記念物に指定されています。秋には、真ん中に種のようなものがある不思議な赤い実をつけます。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

弥山(大山頂上) / 標高1,709m

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

山頂には、頂上碑とデッキ、大山頂上避難小屋があります。この日は絶好の登山日和でデッキは大勢の登山客で賑わっていました。「大山頂上避難小屋」は、六合目避難小屋同様、2020年に改装したばかりで綺麗です。冬期以外は、売店が営業しています。

山頂からは、米子平野や日本海が一望できますが、剣ヶ峰方面は規制ロープが張られているため、視界が一部さえぎられます。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

石室(いしむろ)

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

復路は、山頂から「石室」を経由しながらダイセンキャラボク純林の木道を歩きます。こちらの眺めも絶景で、特に弓ヶ浜の美しい曲線がよく見渡せます。途中に、かつて避難用として造られた「石室」があります。その近くには「地蔵ヶ池」と「梵字ヶ池」があり、小さな湿原のようです。

往路で通った木道と合流して、「行者谷分かれ」までは往路と同じルートを下ります。

行者谷分かれ

六合目避難小屋を過ぎて「行者谷分かれ」から「行者ルート」に入ります。樹林帯の急勾配の階段で、より自然を感じる登山道です。

元谷

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

一気に下ると「元谷」というガレ場の河原にでます。河原を横切って進みますが、岩に赤いペイントがされているので、その通りに行けば道迷いや危険はないでしょう。

そそり立つダイナミックな北壁は圧巻の迫力です。激しい崩壊により形成された北壁は、冬季アルパインクライミングのメッカとされています。険しさと穏やかさを併せ持つ大山も魅力のひとつです。

元谷を過ぎると分岐があり、登山道は左へ進みます。右の道は工事用道路のため通行禁止です。間違えやすいポイントのため、注意しましょう。

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

大山寺周辺も歩いてきましたので紹介します。

大神山神社奥宮

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

やがて、国の重要文化財である「大神山神社奥宮」の裏手にでます。社殿は全国最大級の権現造りで壮大です。※2022年〜2025年(予定)修繕工事中です。

興味深いのが、大神山神社の神門です。「後向き門」(逆門)といわれ、かんぬきが外側についています。1875年の移設の際に向きを調整しなかったため、逆向きに立っていると言われています。

奥社から大山寺まで、日本一長い石畳の参道を下っていきます。静粛で神秘的な雰囲気に身も心も癒されます。

賽の河原・金門

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

参道の途中に、「賽の河原・金門」への分岐があるので立ち寄ってみます。標識に従って賽の河原へ下りていくと、賽の河原越しに北壁が見えます。下流側の巨大岩を割ったような岸壁が「金門」で、かつて神門とされていたパワースポットです。

大山寺本堂

山岳信仰に帰依する修験道の修行道場として栄えた大山寺。開山1300余年の歴史を持つ古刹です。本社と奥宮、2社両参りをして「大山さんのおかげ」を受けます。

境内には「宝牛(たからうし)」の像があります。撫でれば願いが叶うという魔法の牛なので、撫でてご利益アップを狙いましょう!

【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く

最後は、お土産屋や食事処、カフェなどが並ぶ「御幸参道本通り」を通って、スタート地点の「大山ナショナルパークセンター」に戻ります。時間があれば、「大山ナショナルパークセンター」の目の前の「大山自然歴史館」に立ち寄ってみるのもいいでしょう。大山の自然や歴史について展示している資料館で、入館料は無料です。

鳥取・大山のコース概要・アクセス情報

【コース概要】夏山登山道、行者コース

【行程】
大山ナショナルパークセンター → 夏山登山道 → 弥山(大山頂上) → 行者コース → 大山寺 → 大山ナショナルパークセンター
【単純標高差】
約960m
【歩行時間】
約6時間
【歩行距離】
約7km
【トイレ】
大山ナショナルパークセンター、大山頂上避難小屋、六合目避難小屋(携帯トイレブース)、元谷避難小屋、大山寺公衆便所など

【アクセス情報】夏山登山口

自家用車

【駐車場】
南光河原駐車場、下山駐車場、県営大山駐車場
【料金】
冬期のみ有料
【アクセス】
米子自動車道「米子IC」より県道24号線(大山観光道路) 約15分

公共交通機関

【バス】
日本交通 鳥取エリア「観光道路経由 本宮・大山線」
【経路】
米子駅~大山寺
【料金】
730円
※現金のみ。
※1,000円札以外の紙幣は両替不可。
【時刻表】
日本交通 鳥取エリア

参考サイト

小学生も手軽にチャレンジできる山

登山道がよく整備され人も多いため、道迷いの心配がなく安心して登山が楽しめます。麓から望む大山は雄大なので標高差を感じますが、予想よりも歩きやすく比較的すんなり登れました。ほとんどの登山者は、軽めのザックにトレッキングポールという軽装備です。

訪れた日は、ちょうど地元の小学校の登山学習が行われていて賑やかでした。子どもから若者、ご年配の方まで幅広い年齢層の方に人気です。見どころや魅力がいっぱいで、登り甲斐も感じられるため、登山初心者にたいへんおすすめの山です。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

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【御嶽山・登山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

長野県と岐阜県の県境に位置する「御嶽山(おんたけさん)」は、剣ヶ峰を主峰として、摩利支天山(まりしてんやま)、継子岳(ままこだけ)、継母岳(ままははだけ)などの複数のピークで形成される成層火山です。古くから山岳信仰の山として崇められ、登山道には無数の霊神碑(れいじんひ)が林立します。

2014年の噴火は記憶に新しいところ。現在は、噴火警戒レベルがレベル1※に下げられ、期間限定で剣ヶ峰まで登れるようになりました。この記事では、2022年紅葉シーズンの御嶽山を実際に歩いたときの様子や混雑状況などを紹介します。
※登山時の2022年10月現在

御嶽山の登山情報

【山名】
御嶽山(おんたけさん)、木曽御嶽山
【山域】
御嶽山系
【標高】
3,067m(剣ヶ峰)
【選定】
日本百名山、新日本百名山、花の百名山、ぎふ百山

山小屋グルメも堪能!紅葉の黒沢口コースを歩く

御嶽山の登山道は複数ありますが、2022年時点で剣ヶ峰まで行けるのは、登山シーズンの黒沢口登山道のみです。黒沢口は、御嶽山最古の登山道で、御岳ロープウェイを使って一気に七合目(標高2,150m)まで行くことができます。日本百名山で標高3,000m峰の山ですが、ロープウェイや整備された登山道により登山初心者でも楽しめる山です。今回は、紅葉や登頂目的だけでなく、話題の山小屋グルメも紹介します。

御岳ロープウェイ飯森高原駅 → 女人堂 → 石室山荘 → 剣ヶ峰

御岳ロープウェイ飯森高原駅 / 標高2,150m

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

まずは、御岳ロープウェイで七合目の「黒沢口登山口」にアクセスします。ロープウェイは6人乗りのカプセル型で、約80台が運行していますが、この日は3連休初日の登山日和で、運行前から行列ができていました。目の前に広がる紅葉と北アルプス、中央アルプスの眺めが抜群で、約15分間の空中散歩が楽しめます。

飯森高原駅(山頂駅)でロープウェイを降車して、左手の黒沢口登山口へ向かいます。登山口から行場山荘までは、原生林に囲まれた「しらびその小径」を10分ほど進みます。ウッドチップが敷かれたほぼ平坦なハイキングコースです。

七合目:行場山荘(ぎょうばさんそう) / 標高2,130m

名物は手作りの「ちからもち」。近くには、御嶽山を開いた覚明霊神を祀る「覚明社」があります。ここまでは、登山装備をしていない観光客の方も訪れています。

行場山荘からは、本格的な山道になります。道幅の狭い樹林帯で、この日は混雑による渋滞のためマイペースに進むことはできませんでした。やがて、樹木が低くなり笹が生い茂るなか、八合目にある山小屋「女人堂」に到着します。

八合目:女人堂(にょにんどう) / 標高2,470m

一気に視界が開けます。八合目には、山小屋「女人堂」と休憩ベンチ、「阿波ケ岳霊神場」というたくさんの霊神碑が林立しています。

そして、休憩ベンチからは真っ赤なナナカマド、真っ青な空、雄大な御嶽山がすばらしい眺めです。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

女人堂は、剣ヶ峰方面と、三ノ池、継子岳方面につづく三ノ池トラバースルートとの分岐点です。三ノ池トラバースルートは、崩落等のため通行規制がありますが、登山道の状況により通行可能です。

少し休憩をして女人堂を出発!剣ヶ峰へは分岐を左手に進み、錦秋の登山道へ入っていきます。ルート一番の紅葉スポットです。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

高度を上げて、見下ろす紅葉もすばらしいです。赤い屋根は女人堂です。乗鞍岳の頭が少し見えましたが、雲がなければ北アルプスが望めます。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

金剛童子霊神場(こんごうどうじれいじんば)

女人堂から少し進むと、「金剛童子霊神場」という霊神碑が林立するエリアが再び現れます。かつて、ここから先は女人禁制、神の聖域とされていました。

中央アルプス・南アルプスの展望がいいです。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

森林限界に達し、ハイマツ帯に入っていきます。また道幅が狭くなり、渋滞していました。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

明治不動

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

ハイマツ帯を抜けると、明治不動霊神碑と半鐘のある広場にでます。見晴らしがよく、一休みしている人が多いです。御嶽山では、ところどころに半鐘があり、登山者が突けるようになっています。

明治不動からは、岩稜帯の登りになります。景色がどんどん変化していきます。岩場は、足元に注意は必要ですが、手を使うほどではありません。見上げた先の断崖には「石室山荘」が立ってます。渋滞は緩和されました。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

九合目:石室山荘(いしむろさんそう) / 標高2,820m

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

急斜面の岩の階段を上った先に「石室山荘」があります。小屋のなかが登山道になっていて、名物のおしるこを食べている人や休憩している人の間を通り抜けていきます。なかなかない、おもしろい体験です。

覚明堂

石室山荘の上に「覚明堂休泊所」がありますが、現在は廃業しています。霊神碑が林立し、御嶽山を開いた覚明霊神の墓所もあります。小さな鳥居をくぐって進みます。

「二ノ池」との分岐を過ぎると「黒沢十字路」にでます。十字路を直進すると、噴火後に設置された避難シェルターと「御嶽山噴火災害慰霊碑」があります。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

最後に、大きな鳥居のある82段の石段をあがったら剣ヶ峰です。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

御嶽山頂上 剣ヶ峰/標高3,067m

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

御嶽山の最高峰です。「御嶽神社頂上奥社」が鎮座しています。剣ヶ峰の山頂標識は新しく立派です。ただ、この標識を撮影するのに長蛇の列ができていて、混雑時の富士登山を思い出すほどでした。

山頂からの眺望は、東に八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、富士山、西に白山などの両白山地、北に乗鞍岳などの北アルプスが望めます。この日は、だんだんと雲に覆われてしまい周囲の山々を望むことはできませんでしたが、その分ダイナミックな雲海を見ることができました。

近くには、御嶽山の一ノ池、二ノ池、摩利支天山、継子岳、王滝頂上が見えます。写真は、王滝頂上へつづく八丁ダルミ(立入禁止)と、2014年の噴火時に噴火口となった地獄谷方面です。

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

ゆっくりできる山頂ではないので、早めに下山します。

二の池ヒュッテを経て下山

復路は、往路と同じ道を下りますが、その前に、もう一つの目的である、御嶽山の名物グルメをいただきます。目的のグルメは、山頂付近の山小屋「二の池ヒュッテ」で数量限定販売の担担麺です。早い日にはお昼前に完売してしまうという人気ぶり。はやる気持ちが抑えられません!

二ノ池 / 標高約2,900m

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

「二の池ヒュッテ」は、山頂直下の火口湖「二ノ池」から「賽の河原」方面へ5分ほど歩いたところにあります。剣ヶ峰からお鉢巡りは立入禁止となっているため、「黒沢十字路」まで戻り、左手へ折れて「二ノ池」へ向かいます。

標高2,900m付近にある二ノ池は「日本最高所の湖」です。しかし、火山灰に埋もれてしまって池は枯れている様子です。今後復活することを願うばかりです。

池畔を進みます。この辺りは、赤い砂礫に覆われ異世界のような雰囲気です。池畔には「ニノ池山荘」がありますが、目的の「二の池ヒュッテ」は、その先の「賽の河原」方面へ5分ほど歩いたところにあります。

二の池ヒュッテ / 標高2,895m

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

小屋の前にある小鳥のオブジェ、売店にあるオリジナルグッズがかわいく、女子受けする小屋です。

二の池ヒュッテ 軽食メニュー 担担麺 1,200円

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

麺は細めの生麺で、京都の担担麺専門店「まる担 おがわ」が監修している本格派です。麺がのびないうちに食べるのが小屋の方のおすすめ。山の上とは思えないクオリティです。この日は限定30食で、担担麺を求めて次々とお客さんが入ってきていたので、すぐに完売してしまいそうな勢いでした。

※2022年の営業は終了しています。
※担担麺は、材料の状況により提供できない日があります。近況は、二の池ヒュッテの公式SNSもチェック!

登山道には氷の華が咲く

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

訪れた2日前に御嶽山では初雪が降りました。この日も冷え込んだため、9合目より上では、規制ロープや植物、霊神碑に氷が付着していました。山は、あっという間に冬シーズンですね。

御嶽山のコース概要・アクセス情報

【コース概要】御嶽山 黒沢口コース

【行程】
御岳ロープウェイ飯森高原駅 ~ 女人堂 ~ 石室山荘 ~ 剣ヶ峰 ピストン
※復路は「二の池ヒュッテ」を経由して下山
【日程】
2022年10月8日(土) 日帰り
【単純標高差】
約920m
【歩行時間】
約6時間
【歩行距離】
約8km
【トイレ】
御岳ロープウェイ各駅、各山小屋
【登山ポスト】
御岳ロープウェイ各駅
※御嶽山は登山計画書の提出が必要です。必ず提出しましょう。

【アクセス情報】御岳ロープウェイ

2022年で現在の運営会社が撤退します。来年度以降については、長野県木曽町が新しい事業者を募集しています。そのため、2022年の情報となります。

【経路】
五合目「鹿ノ瀬駅(山麓駅)」(標高1,570m) ~ 七合目「飯森高原駅(山頂駅)」(標高2,150m)
【料金】
往復:大人2,600円、子ども1,300円
【所要時間】
約15分
【運行】
・登山シーズン限定(2022年は6月25日~11月6日)
・天候により運休する場合あり
【施設】
センターハウス、お土産売り場、レストラン、展望デッキなど
【URL】
https://asumo-g.co.jp/ontakerope/

【自家用車】御岳ロープウェイ「鹿ノ瀬駅」

【駐車場】
御岳ロープウェイ駐車場
【台数】
約1,500台
【料金】
無料

【公共交通機関】御岳ロープウェイ「鹿ノ瀬駅」

【バス】
木曽町生活交通システム「観光路線 御岳ロープウェイ線」
【経路】
JR中央本線「木曽福島駅」 ~ 御岳ロープウェイ
【料金】
片道:1,500円、子ども750円
【所要時間】
約1時間
【運行】
春・夏・秋シーズン特定日
【URL】
木曽町生活交通システム情報 | 長野県木曽町

URL一覧

山小屋

・二の池ヒュッテ(担担麺を提供している山小屋)

▽近況はSNSでチェック!

・二の池ヒュッテFacebook | ・二の池ヒュッテInstagram
・行場山荘(七合目)
・女人堂(八合目)
・石室山荘(九合目)
・二ノ池山荘(二ノ池畔)

御嶽山 噴火関連情報

御嶽山には火口周辺規制がでています。気象庁や自治体が発信する最新情報を事前に必ず確認しましょう。また、登山する際はヘルメットを持参するなどの安全対策をしましょう。

自然の美しさと厳しさを教えてくれる独特の雰囲気をもつ山

【御嶽山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン

独立峰で遠くからもその山容がよく見える山で、個人的には空木山から眺めた御嶽山が深く印象残っています。独特の雰囲気をもつ御嶽山ですが、実際に登ってみると、ロープウェイを使えば比較的容易に山頂に立て、また山小屋や登山客も多く、安心した登山ができました。霊神碑が林立する神々しさ、自然の美しさと厳しさを教えてくれる御嶽山。次回は、山小屋に宿泊して、のんびり他の池やピークを巡ってみたいです。

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【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

日本百名山のひとつ「八甲田山」は、岩木山とともに青森県を代表する山です。八甲田山という単独峰はなく複数火山の総称で、八甲田山というと主峰大岳(八甲田大岳)を目指す方が多いです。その魅力はなんといっても広大な湿原で、春〜夏は高山植物、秋は一面の草紅葉を楽しむことができます。

この記事では、紅葉シーズンの八甲田山を実際に歩いたときの様子や行程、難易度、アクセスなどを紹介します。

八甲田山(はっこうださん)とは

八甲田山は、青森県青森市の南側にそびえる大岳(標高1,585m)を主峰とする18の山々からなる複数火山の総称で、日本百名山の一つです。「八甲田山」と名がつく単独峰が存在するわけではなく、複数の火山や溶岩円頂丘で構成される火山群を総じて八甲田山と呼んでいます。

八甲田山の基本情報

【山名】
八甲田山(はっこうださん)、八甲田連峰
【主峰】
大岳(おおだけ)※高田大岳と区別し「八甲田大岳」とも呼ばれる
【地域】
青森県、十和田八幡平国立公園十和田八甲田地域
【標高】
1,585m(大岳)
【選定】
日本百名山、新・花の百名山
【紅葉シーズン】
9月下旬~10月頃

木道歩きと眼下に広がる草紅葉を楽しむコース

八甲田大岳を目指す場合、八甲田ロープウェーを使って縦走するか、酸ヶ湯温泉を起点に周回するルートが人気です。

紹介するのは、酸ヶ湯温泉を起点に八甲田大岳に登る周回ルート。5時間程度の行程で、大岳の大展望や毛無岱の紅葉、地獄湯の沢といった八甲田山の魅力が満載の、初心者向きのコースです。また、下山後には、酸ヶ湯温泉で疲れを癒す楽しみもあります。

【往路】酸ヶ湯温泉 → 毛無岱 → 八甲田大岳山頂

酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)

スタートとなる「酸ヶ湯温泉」周辺には、酸ヶ湯公共駐車場、酸ヶ湯インフォメーションセンター、公衆トイレがあります。

登山口は、酸ヶ湯温泉を挟んで2つあります。右回りで周回する場合は、バス停からすぐの酸ヶ湯温泉脇の登山口から、逆に左回りで周回する場合は、酸ヶ湯温泉から少し離れた酸ヶ湯公共駐車場や酸ヶ湯インフォメーションセンター近くの登山口からスタートします。ほとんどの登山客は左回りでしたが、今回は、右回りの行程で進みます。

登山口からは、しばらく樹林帯を登っていきます。途中、後ろを振り返ると、酸ヶ湯温泉と駐車場が小さく見え、高度を上げているのを感じます。しばらく歩くと、やがて平坦な道になり、樹林帯を抜けると景色が開けた湿地帯「毛無岱(けなしたい)」にでます。

毛無岱(けなしたい)

「毛無岱」は、標高の低い「下毛無岱」と標高の高い「上毛無岱」の2段になっていて、その間に木道階段が設置されています。

まずは「下毛無岱」を進みます。草紅葉の広がる平坦な木道歩きです。右手には八甲田大岳、後ろを振り向けば岩木山が見えます。途中、見晴らしのよい「下毛無岱展望所」があり、多くの登山客で賑わっています。

展望所を進むと、「錦の屏風」といわれる秋の八甲田山を象徴する景色が迫ってきます。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

「錦の屏風」に飛び込み、上毛無岱へ続く280段の階段を上って行きます。そして、この階段上部から見下ろす「下毛無岱」の景色が圧巻!極彩色の大パノラマに思わず足を止めてしまいます。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

階段を上りきると「上毛無岱」に入り、景色のよい「上毛無岱展望所」を通過していきます。写真正面は、赤倉岳、井戸岳、八甲田大岳です。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

大岳避難小屋

やがて、井戸岳と八甲田大岳の鞍部に立つ無人小屋「大岳避難小屋」に到着します。トイレはありますが、水場はありません。八甲田ロープウェーから登るコースとの分岐となっているため、ここから人が増えてきます。

井戸岳噴火口

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

山頂まではあと一息。山頂の手前から見た井戸岳噴火口は、ハート型に見えます。縁起がよさそうなので写真におさめておきましょう!

八甲田大岳山頂

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

山頂は、広々としていて、周囲はロープで囲われています。

360度の大パノラマで、東北の山々から下北半島、北海道にいたるまで北の大地を堪能できます。写真は山頂直下から撮ったもので、手前に毛無岱全貌と田茂萢岳(たもやちだけ)にあるロープウェー乗り場、奥に青森市街と陸奥湾方面、右に岩木山がうっすら見えます。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

【復路】八甲田大岳山頂 → 仙人岱 → 地獄湯の沢 → 酸ヶ湯温泉

山頂から仙人岱方面に下ります。目の前には、南八甲田連峰の雄大な風景が広がります。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

仙人岱(せんにんたい)

毛無岱と比較すると規模の小さな湿原です。途中、「八甲田清水(辰五郎清水)」という湧き水と、「仙人岱避難小屋」への分岐があります。

地獄湯の沢

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

「仙人岱」を過ぎると一気に雰囲気が変わります。硫黄のにおいの立ち込めるガレ場の沢は、先ほどまでの穏やかな景色とは対照的です。有毒ガスへの注意喚起を促す看板もあり、八甲田山が火山であることを実感します。

紅葉のトンネル

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

地獄湯の沢を過ぎると再び樹林帯へ。カラフルな紅葉のトンネルを抜けていきます。

ハウチワカエデが、燃えるように赤く染まっています。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

途中、有毒ガスで樹木が立ち枯れた一帯があり、異様な雰囲気です。さまざまな顔を持つ八甲田山は、樹林帯歩きでも登山客を飽きさせません。

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

下山

【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山

やがて登山口の鳥居が現れます。鳥居から、そのまま舗装道路を少し下り、右手に入ると「酸ヶ湯温泉」の公衆トイレ横にでます。下山後は、名湯「酸ヶ湯温泉」で汗を流しましょう!

八甲田山のコース概要・アクセス情報

【コース概要】酸ヶ湯温泉周回コース 右回り

【行程】
酸ヶ湯温泉 → 毛無岱 → 八甲田大岳 → 仙人岱 → 地獄湯の沢 → 酸ヶ湯温泉
【単純標高差】
約700m
【歩行時間】
約5時間
【歩行距離】
約9km
【トイレ】
酸ヶ湯温泉、大岳避難小屋、仙人岱避難小屋

【アクセス情報】酸ヶ湯温泉

自家用車

■酸ヶ湯公共駐車場

【台数】
約150台
【料金】
無料

公共交通機関

■JRバス東北 みずうみ号

【経路】
青森駅~酸ヶ湯温泉
【料金】
片道1,360円
【補足】
・期間限定(例年、11月から翌年の4月まで運休。ただし、2021年11月から2022年4月は本数を限定して青森駅〜酸ヶ湯温泉間はバスの運行あり。最新の情報についてはJRバス東北の公式ホームページをご確認ください。)
・予約不要
・交通系ICカード使用可能
【URL】
https://www.jrbustohoku.co.jp/route/

八甲田ロープウェー

八甲田ロープウェーを使ったコースもおすすめ。標高1,300mまで一気に上がることができます。

【住所】
青森県青森市荒川寒水沢1-12
【時間】
9:00~16:20(冬季15:40)
【料金】
大人 片道1,250円(往復2,000円)/子ども 片道450円(往復700円)/小学校入学前無料
【補足】
・天候や整備により運休します。当日の公式ホームページをご確認ください。
・ホームページには八甲田山の紅葉情報も載っています。
【URL】
八甲田ロープウェー

酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)

東北屈指の名湯で、160畳もある総ヒバ造りの大浴場「ヒバ千人風呂」が有名です。千人風呂は混浴ですが、男女別の浴場もあります。バス待ちの時間調整にも最適です。

【住所】
青森県青森市荒川南荒川山国有林酸湯沢50番地
【時間】
7:00~21:00
【料金】
大人1,000円/子ども500円 ※タオル付
【URL】
国民保養温泉地 酸ヶ湯温泉

※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックしてください。

変化に富んだ歩きやすい山

八甲田山は、山頂の大展望、眼下に広がる草紅葉、ハート型の噴火口、地獄湯の沢など、非常に変化に富んだ山でありながら、歩きやすいことが魅力の山です。

一足早く訪れる紅葉や、夏とは違った山の雰囲気を味わいに八甲田山へでかけてみてはいかがでしょうか。

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【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

双六岳(すごろくだけ)は、北アルプスの裏銀座縦走コースの主稜線で、槍ヶ岳方面や三俣蓮華岳方面、笠ヶ岳方面など北アルプスの稜線が合わさる場所にあります。穏やかな山容と、その上に浮かぶような槍ヶ岳の展望が美しいとSNSなどで話題。また、花の百名山にも選出されており、山頂直下のカールにはお花畑が広がっています。

この記事では、初心者でも双六岳を目指せる「新穂高温泉往復1泊2日コース」の行程やアクセス情報、撮影スポットなどを紹介します。

双六岳とは

双六岳(すごろくだけ)は、長野県大町市と岐阜県高山市にまたがる飛騨山脈の裏銀座の主稜線に位置する標高2,860mの山です。山名の由来は、神通川水系最上流部の双六谷にすごろくの碁盤に似た盤の石があることや「四五六谷」が転化して双六谷になったとする説など諸説は様々です。
(引用:wikipedia)

【山名】
双六岳(すごろくたけ)
【山域】
飛騨山脈/北アルプス/裏銀座
【標高】
2,860m
【選定】
花の百名山、ぎふ百名山、新高山市100景

槍ヶ岳の展望とお花いっぱいの登山道を歩く

今回紹介する「新穂高温泉から双六岳を目指すコース」は、利用者が多く特に危険箇所もないため、初心者でも楽しめるコースとなっています。距離の長いコースですが、コースの途中には山小屋や水場が点在しているので安心です。本行程では、1日目に双六小屋まで登る1泊2日コースを紹介しますが、体力に自信がない方や遅い時間にスタートする場合は、途中の山小屋に宿泊して日数をかけて登るのがおすすめです。

【1日目】新穂高温泉 → わさび平小屋 → 鏡平 → 双六小屋(泊)

新穂高温泉(標高1,090m)

スタートとなる新穂高温泉の「新穂高センター」には、奥飛騨温泉郷観光案内所、新穂高登山指導センターが併設され、登山ポスト、トイレ(24H)、自動販売機があります。双六岳方面だけでなく、新穂高ロープウェイや槍・穂高方面への登山口でもあり、多くの登山客で賑わっています。

新穂高温泉からは、左俣林道と右俣林道にわかれていて、双六岳方面は「左俣林道」なので間違わないようにしましょう。左俣林道は、舗装された道で歩きやすいです。途中、「笹新道登山口」の分岐を通過していきます。

左俣林道を1時間ほどで「わさび平小屋」に到着です。

わさび平小屋(標高1,400m)

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

わさび平小屋の前には、野菜やスイカ、ドリンクなどが流水で冷やされています。水は無料でわけてもらえますし、外トイレはとても綺麗です。お風呂もあるらしく、魅力的な山小屋です。

夏場に訪れたらぜひ食べたいそうめん!自然のなかで食べるそうめんは格別ですよ。

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

小池新道

わさび平小屋から少し進むと、奥丸山分岐があり「小池新道」に入っていきます。ここから本格的な登山道の始まりです。

しばらく進むと、岩場が多くなり「秩父沢」にでます。秩父沢は、雪解け水の流れる涼スポットで、無雪期は木橋がかけられています。その後、岩に「チボ岩」と書かれたガレ場、「イタドリヶ原」を通過すると「シシウドヶ原」に到着します。シシウドヶ原は、開けた場所にベンチがあり休憩に最適です。

シシウドヶ原からは木道が現れ、1時間ほどで次のポイントである「鏡平」に到着します。

鏡平(標高2,300m)

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

鏡平付近には木道が敷かれていて、手前に「鏡池」、その先に「鏡平山荘」があります。

「鏡池」は、槍・穂高連峰が水面に映る「逆さ槍」の絶景ポイントです。池畔に広めのベンチがあり、「逆さ槍」を眺めながらゆっくり休憩ができます。「鏡平山荘」には、名物のかき氷があり、テラスは一息つく登山客で賑わっています。

そして、鏡平から弓折乗越までが、本ルート一番の急登!休憩しながらマイペースで登りましょう。周りの登山者を追い越し、また追い抜かれ、を繰り返して顔見知りになっちゃう「登山あるある」を楽しんでみるのも良いかもしれません。

急登を登った先で鏡平小屋と鏡池を見下ろすと、かなり登ってきたことを実感するでしょう。

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

弓折乗越(ゆみおりのっこし)

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

弓折岳、笠ヶ岳方面との分岐です。ここからは、森林限界に達して稜線沿いを歩く天空ロード。槍ヶ岳を横目に、お花畑が点在します。なかでも「花見平」のお花畑は規模が大きく、馬の背のような形をした双六岳とのコラボレーションは、双六岳を象徴する景観のひとつです。

お花の盛りは過ぎてしまっていますが、最盛期はお花でいっぱいの花見平。

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

花見平を過ぎるとハイマツ帯になります。運が良ければ雷鳥にも出会えるかも!?

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

双六小屋(標高2,550m)

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

ハイマツ帯を抜けると、双六池とテント場が見えてきて、その先に、宿泊する「双六小屋」が立っています。双六小屋は、双六岳と樅沢岳(もみさわだけ)の鞍部に位置し、小屋からは日本百名山である「鷲羽岳」がよく見え、絶好のロケーションです。

山小屋で鷲羽岳を見ながら生ビール!

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

【2日目】双六小屋 → 双六岳 → 鏡平 → わさび平小屋 → 新穂高温泉

2日目の行程は、双六岳に登り、その後往路と同じ道を下山します。

双六小屋(標高2,550m)

双六小屋に大きな荷物をデポして、身軽に双六岳へ向かいます!

登っている途中からのご来光。眼下に赤い屋根の双六小屋と奥に樅沢岳。双六小屋が鞍部に位置しているのがよくわかります。

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

登り始めは岩場の急登ですが、やがて広くてなだらかな砂礫地帯に到達します。背の低いハイマツや草が点々としていて、山の上とは思えない独特な雰囲気です。

そして、後ろを振り返ると…

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

広い台地状に一本だけのびる稜線、その先に北アルプスのシンボル・槍ヶ岳の雄姿。穏やかな双六岳と対照的な、荒々しい岩稜帯に目を奪われ、なかなか前に進むことができません。たくさんの人がこの風景を見るために双六岳へ登るのも納得の景色です。

双六岳(標高2,860m)

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

絶景に魅了されていると、あっさり山頂に。山頂からは、槍ヶ岳はもちろん、笠ヶ岳、黒部五郎岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳など裏銀座の名峰が360度見渡せます。

下山

下山は、双六岳山頂の少し先にある分岐から「中道」を通って双六小屋まで下りるルートでも良いでしょう。夏場はお花畑が広がっています。双六小屋で荷物をピックアップして、往路と同じ道を下ります。

双六岳のコース概要・アクセス情報

【コース概要】新穂高温泉往復1泊2日

【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ

【行程】
1日目:新穂高温泉 → わさび平小屋 → 小池新道 → 鏡平 → 弓折乗越 → 双六小屋
2日目:双六小屋 → 双六岳 → 弓折乗越 → 鏡平 → 小池新道 → わさび平小屋 → 新穂高温泉
【単純標高差】
約1,770m
【歩行時間】
1日目:7時間20分 2日目:7時間10分
【歩行距離】
約30km
【トイレ】
新穂高温泉登山口、わさび平小屋、鏡平小屋、双六小屋

双六小屋

標高2,550m、双六岳と樅沢岳の鞍部に位置する山小屋です。

【料金】
1泊2食13,000円/素泊まり9,000円(※他、個室あり)
【TEL】
0577-34-6268/現地090-3480-0434
【収容人数】
150名
【ポイント】
・水が豊富、コンセントあり、ご飯が美味しくて快適な山小屋です。
・宿泊者は、縦走している人が多く、情報交換ができるかも!?
【ホームページ】
双六小屋 | 北アルプス 双六小屋グループ

※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックください。

【アクセス情報】新穂高温泉

自家用車

登山者専用の無料駐車場と有料駐車場があります。

■市営「新穂高第3駐車場」 無料
登山指導センターの500m~1kmほど手前/仮設トイレあり

■市営「県有公共駐車場」 協力金1,000円/泊
登山指導センター近く

※その他の駐車場や詳細は、駐車場マップよりご確認ください。

公共交通機関

松本バスターミナルと平湯温泉、都心からも直通バスがあり、比較的アクセスしやすいです。

■濃飛バス

■アルピコ交通

立ち寄り温泉

■奥飛騨温泉郷 平湯温泉「ひらゆの森」
源泉かけ流しの16の露天風呂が自慢で、食事処、土産処も充実している総合温泉施設。公共交通機関を利用する場合、高速バス乗換時の時間調整にも便利です。

カメラを持ってでかけたい山

双六岳の稜線は、山雑誌やSNSなどで一度は目にしたことのある風景ではないでしょうか。初心者にとっては、距離が長く感じるかもしれませんが、槍ヶ岳や北アルプスの美しさを堪能できる山です。また、双六岳から雲ノ平や槍ヶ岳、黒部五郎岳など、縦走したいルートや行きたい山を見つけるキッカケになるかもしれません。

双六岳でしか出会えない絶景を求めて、フォトジェニックな山旅にでかけてみてはいかがでしょうか。

▼登山やハイキングの体作りの参考に

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