長野県と岐阜県の県境に位置する「御嶽山(おんたけさん)」は、剣ヶ峰を主峰として、摩利支天山(まりしてんやま)、継子岳(ままこだけ)、継母岳(ままははだけ)などの複数のピークで形成される成層火山です。古くから山岳信仰の山として崇められ、登山道には無数の霊神碑(れいじんひ)が林立します。
2014年の噴火は記憶に新しいところ。現在は、噴火警戒レベルがレベル1※に下げられ、期間限定で剣ヶ峰まで登れるようになりました。この記事では、2022年紅葉シーズンの御嶽山を実際に歩いたときの様子や混雑状況などを紹介します。
※登山時の2022年10月現在
御嶽山の登山道は複数ありますが、2022年時点で剣ヶ峰まで行けるのは、登山シーズンの黒沢口登山道のみです。黒沢口は、御嶽山最古の登山道で、御岳ロープウェイを使って一気に七合目(標高2,150m)まで行くことができます。日本百名山で標高3,000m峰の山ですが、ロープウェイや整備された登山道により登山初心者でも楽しめる山です。今回は、紅葉や登頂目的だけでなく、話題の山小屋グルメも紹介します。
まずは、御岳ロープウェイで七合目の「黒沢口登山口」にアクセスします。ロープウェイは6人乗りのカプセル型で、約80台が運行していますが、この日は3連休初日の登山日和で、運行前から行列ができていました。目の前に広がる紅葉と北アルプス、中央アルプスの眺めが抜群で、約15分間の空中散歩が楽しめます。
飯森高原駅(山頂駅)でロープウェイを降車して、左手の黒沢口登山口へ向かいます。登山口から行場山荘までは、原生林に囲まれた「しらびその小径」を10分ほど進みます。ウッドチップが敷かれたほぼ平坦なハイキングコースです。
名物は手作りの「ちからもち」。近くには、御嶽山を開いた覚明霊神を祀る「覚明社」があります。ここまでは、登山装備をしていない観光客の方も訪れています。
行場山荘からは、本格的な山道になります。道幅の狭い樹林帯で、この日は混雑による渋滞のためマイペースに進むことはできませんでした。やがて、樹木が低くなり笹が生い茂るなか、八合目にある山小屋「女人堂」に到着します。
一気に視界が開けます。八合目には、山小屋「女人堂」と休憩ベンチ、「阿波ケ岳霊神場」というたくさんの霊神碑が林立しています。
そして、休憩ベンチからは真っ赤なナナカマド、真っ青な空、雄大な御嶽山がすばらしい眺めです。
女人堂は、剣ヶ峰方面と、三ノ池、継子岳方面につづく三ノ池トラバースルートとの分岐点です。三ノ池トラバースルートは、崩落等のため通行規制がありますが、登山道の状況により通行可能です。
少し休憩をして女人堂を出発!剣ヶ峰へは分岐を左手に進み、錦秋の登山道へ入っていきます。ルート一番の紅葉スポットです。
高度を上げて、見下ろす紅葉もすばらしいです。赤い屋根は女人堂です。乗鞍岳の頭が少し見えましたが、雲がなければ北アルプスが望めます。
女人堂から少し進むと、「金剛童子霊神場」という霊神碑が林立するエリアが再び現れます。かつて、ここから先は女人禁制、神の聖域とされていました。
中央アルプス・南アルプスの展望がいいです。
森林限界に達し、ハイマツ帯に入っていきます。また道幅が狭くなり、渋滞していました。
ハイマツ帯を抜けると、明治不動霊神碑と半鐘のある広場にでます。見晴らしがよく、一休みしている人が多いです。御嶽山では、ところどころに半鐘があり、登山者が突けるようになっています。
明治不動からは、岩稜帯の登りになります。景色がどんどん変化していきます。岩場は、足元に注意は必要ですが、手を使うほどではありません。見上げた先の断崖には「石室山荘」が立ってます。渋滞は緩和されました。
急斜面の岩の階段を上った先に「石室山荘」があります。小屋のなかが登山道になっていて、名物のおしるこを食べている人や休憩している人の間を通り抜けていきます。なかなかない、おもしろい体験です。
石室山荘の上に「覚明堂休泊所」がありますが、現在は廃業しています。霊神碑が林立し、御嶽山を開いた覚明霊神の墓所もあります。小さな鳥居をくぐって進みます。
「二ノ池」との分岐を過ぎると「黒沢十字路」にでます。十字路を直進すると、噴火後に設置された避難シェルターと「御嶽山噴火災害慰霊碑」があります。
最後に、大きな鳥居のある82段の石段をあがったら剣ヶ峰です。
御嶽山の最高峰です。「御嶽神社頂上奥社」が鎮座しています。剣ヶ峰の山頂標識は新しく立派です。ただ、この標識を撮影するのに長蛇の列ができていて、混雑時の富士登山を思い出すほどでした。
山頂からの眺望は、東に八ヶ岳、南アルプス、中央アルプス、富士山、西に白山などの両白山地、北に乗鞍岳などの北アルプスが望めます。この日は、だんだんと雲に覆われてしまい周囲の山々を望むことはできませんでしたが、その分ダイナミックな雲海を見ることができました。
近くには、御嶽山の一ノ池、二ノ池、摩利支天山、継子岳、王滝頂上が見えます。写真は、王滝頂上へつづく八丁ダルミ(立入禁止)と、2014年の噴火時に噴火口となった地獄谷方面です。
ゆっくりできる山頂ではないので、早めに下山します。
復路は、往路と同じ道を下りますが、その前に、もう一つの目的である、御嶽山の名物グルメをいただきます。目的のグルメは、山頂付近の山小屋「二の池ヒュッテ」で数量限定販売の担担麺です。早い日にはお昼前に完売してしまうという人気ぶり。はやる気持ちが抑えられません!
「二の池ヒュッテ」は、山頂直下の火口湖「二ノ池」から「賽の河原」方面へ5分ほど歩いたところにあります。剣ヶ峰からお鉢巡りは立入禁止となっているため、「黒沢十字路」まで戻り、左手へ折れて「二ノ池」へ向かいます。
標高2,900m付近にある二ノ池は「日本最高所の湖」です。しかし、火山灰に埋もれてしまって池は枯れている様子です。今後復活することを願うばかりです。
池畔を進みます。この辺りは、赤い砂礫に覆われ異世界のような雰囲気です。池畔には「ニノ池山荘」がありますが、目的の「二の池ヒュッテ」は、その先の「賽の河原」方面へ5分ほど歩いたところにあります。
小屋の前にある小鳥のオブジェ、売店にあるオリジナルグッズがかわいく、女子受けする小屋です。
二の池ヒュッテ 軽食メニュー 担担麺 1,200円
麺は細めの生麺で、京都の担担麺専門店「まる担 おがわ」が監修している本格派です。麺がのびないうちに食べるのが小屋の方のおすすめ。山の上とは思えないクオリティです。この日は限定30食で、担担麺を求めて次々とお客さんが入ってきていたので、すぐに完売してしまいそうな勢いでした。
※2022年の営業は終了しています。
※担担麺は、材料の状況により提供できない日があります。近況は、二の池ヒュッテの公式SNSもチェック!
訪れた2日前に御嶽山では初雪が降りました。この日も冷え込んだため、9合目より上では、規制ロープや植物、霊神碑に氷が付着していました。山は、あっという間に冬シーズンですね。
2022年で現在の運営会社が撤退します。来年度以降については、長野県木曽町が新しい事業者を募集しています。そのため、2022年の情報となります。
▽近況はSNSでチェック!
・二の池ヒュッテFacebook | ・二の池ヒュッテInstagram
・行場山荘(七合目)
・女人堂(八合目)
・石室山荘(九合目)
・二ノ池山荘(二ノ池畔)
御嶽山には火口周辺規制がでています。気象庁や自治体が発信する最新情報を事前に必ず確認しましょう。また、登山する際はヘルメットを持参するなどの安全対策をしましょう。
独立峰で遠くからもその山容がよく見える山で、個人的には空木山から眺めた御嶽山が深く印象残っています。独特の雰囲気をもつ御嶽山ですが、実際に登ってみると、ロープウェイを使えば比較的容易に山頂に立て、また山小屋や登山客も多く、安心した登山ができました。霊神碑が林立する神々しさ、自然の美しさと厳しさを教えてくれる御嶽山。次回は、山小屋に宿泊して、のんびり他の池やピークを巡ってみたいです。
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左が石灰が掘られる前、右が現在の武甲山。山が削られることで悲しみの声がある一方、助けられてる面もあり、全部ひっくるめて武甲山なんだと資料館に立ち寄ってわかった。ちなみにチョコレートにも石灰石が使われてることには驚いた!#里山トラベル #武甲山 pic.twitter.com/0XR6Uy5gnk
— m.miya(宮本将弘) (@masa_yco) February 23, 2020
山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。
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