登山の魅力的の一つに「季節の違いによって全く違った表情を見せてくれること」と答える登山者は多いでしょう。気温や湿度などの環境や景色はもちろん、登山者の数も時期によって極端に変化し得ます。
同じ山でも時期をずらせば、そのように変化に富んだ登山を楽しめる一方、持っていく装備や計画を立てるにあたって、その難易度や注意点も違ってくるのです。
春の花、秋の紅葉、冬の雪景色と山は季節によって見た目も変わり1年中楽しめるものです。一方、時期によっては難易度も変わってきますので注意しましょう。
冬が過ぎ去り街ではぽかぽか陽気に包まれ過ごしやすい時期になりますが、山はまだまだ雪山です。標高2,000m以上の山ではアイゼンやピッケルが必須になってくるため、初心者には難易度が高いです。雪崩の起きやすい時期でもありますので、十分ご注意ください。
4〜5月に入れば低山やハイキングなら歩きやすい気温なので、春の花や若葉を楽しむことができます。
冬が過ぎ去り街ではぽかぽか陽気に包まれ過ごしやすい時期になりますが、山はまだまだ雪山です。標高2,000m以上の山ではアイゼンやピッケルが必須になってくるため、初心者には難易度が高いです。雪崩の起きやすい時期でもありますので、十分ご注意ください。
4〜5月に入れば低山やハイキングなら歩きやすい気温なので、春の花や若葉を楽しむことができます。
6月は梅雨の時期ですね。雨が続き登山計画がなかなか予定通りにいかないことも多いです。でも山にとっては夏を迎えるための大事な時期。雨により雪が溶けその下には、高山植物たちが花を咲かせようと準備しているのです。
7〜8月は雪が溶けて高い山のベストシーズンになります。富士山を筆頭に北アルプスや八ヶ岳など人気の山は嫌になるぐらい混雑します。槍ヶ岳を登るための渋滞の様子がSNSで広まるぐらいです。
逆に低山は暑すぎるうえ、虫も多いので熱中症や虫除け対策が必要になります。荷物が重たくなりますが水分は多目に持参しましょう。
秋が近づくにつれて気候も良くなり歩きやすくなるため、紅葉目当てのハイカーが多くなります。観光地化している低山が賑わいますね。逆に標高2,000mを超える山は早いところでも9月末ごろには雪が積もることもありますので、アイゼンやピッケルなどの冬山装備が必要になってきます。
雪山に慣れていない方は一人で登山することを避けて、経験者と行動するようにしましょう。
冬の山は春から秋とはうって変わり、低山でも雪が積もっていたり日の当たらない道は凍っていたりします。チェーンスパイクや軽アイゼンは必須になります。歩いているときは暑いですが、少し止まって休憩するだけでも冷えてきますので防寒対策もしっかり準備しましょう。
高山は冬山装備はもちろんのこと、雪山ならではの専門知識や技術が必要になってきますので経験豊富な人と一緒に行くようにしましょう。
季節によって違うのは難易度だけではなく、高山植物の開花の有無と、山頂から見える景観の違いにも気をつけたいところです。
高山植物はその名の通り、標高の高い地域に生息している植物で、短い期間でのみ開花した状態を見せます。例えば、日光の戦場ヶ原でよく見られるため名付けられた「ニッコウキスゲ」などは、例年7月中旬頃に開花し、8月にはもうほとんど見られなくなります。
そういった希少性のある花は、その地域の観光案内所等が運営するブログで逐一写真付きで開花情報を紹介してくれるので、積極的に利用したいですね。
冬は花も木々も枯れ景観が寂しいイメージがありますが、空気が乾燥して澄んでいるので、低山でも山頂からかなり遠くまで見通せる、という魅力があります。
真夏は外を歩くだけでも汗が吹き出て、それだけでおっくうになります。ましてや登山なんてとんでもない、と思われるかもしれません。ですが実は、高山に登る絶好の時期とも言われています。
まず標高3,000m級の高山は基本的にバスや車、ケーブルカー等で上の方にある登山口まで行くことができるため、そこから登山を開始できるという山も多いです。
例えば日本最高峰の富士山は標高2,390mから開始できます。そこまでの標高になると、地上との気温差は15度程にもなるので肌寒く感じます。登っていくとさらに気温も下がるので、夏とは言え防寒対策はしっかり準備しましょう。
高山を登りきった先には、地上ではまず味わえない冷涼な風と、そして雄大な景色が目の前に広がっていることでしょう。
秋は色鮮やかな紅葉が美しい季節ですが、登山ではより一層輝きを増します。赤々と燃えるような木々のトンネルや、道中の沢や滝に映し出されるコントラストは、格段の美しさを演出してくれるでしょう。
登りきったあと、山頂からの絶景を目にすれば、思わず疲れも吹き飛ぶというものです。
そんな魅力的な紅葉登山ですが、注意しておきたい点もあります。秋は日没時間が早い上、一度太陽が沈み始めると、あっという間に辺りは暗くなってしまいます。
午後3時を回ってから気温も急に下がってきます。初めての紅葉登山へ挑む場合は、防寒具をしっかり準備し、余裕をもって、早朝から登山を開始するのがよいでしょう。
できれば暗くなる前に下山を終えておきたいですね。
手袋を購入する際に重要なのがフィット感です。人間の手はそれぞれに個性があります。指の長さ、太さも違いますし、人によって手に触れるものの感覚も異なってくるでしょう。
初めて手袋を購入するのでしたらまずは試着してみることをおすすめします。
季節によって混雑状況が変わります。もっとも混雑が激しくなるのは、やはり高山のハイシーズンである夏でしょう。特に8月は、お盆をピークに子どもの夏休みということもあって、いつでも混み合っています。比較的空いているのは7月上旬の梅雨の時期か、夏休みも終わった9月上旬でしょうか。
北アルプスの上高地や表銀座といった人気スポットは、人の渋滞に巻き込まれることもあります。
紅葉の時期は、多くのハイカーが山を訪れます。例えば世界一登山客が多いと言われる高尾山は、登山道が満員電車のような大混雑を度々起こしています。
日常を離れ山に癒されにきたのに人が多すぎて逆に疲れてしまったなんてことも。
その他、神社がある山には参拝だけの方も多くやってきますし、開山や8月10日の山の日では各地でイベントも開催されているので事前にチェックしておきましょう。
登山だけではなく、その地域の催しごとに参加するのも楽しいですね。
冬の山は遭難事故が多発するほど危険が伴います。例えば、富士山の開山は例年7月~9月中旬頃ですがそれ以外は入山規制があり、11月頃からはほぼ完全な雪山となるので、登山は庵の方から開始しなければなりません。
夏に通れた登山道も全て通行止めです。いずれにせよ、開山シーズン以外は食事休憩の取れる山小屋も締めている所ばかりなので、十分な体力、雪山専用の装備、そして豊富な経験を必要とします。
長野県の山岳景勝地、上高地などは、標高1,500m程度で比較的平坦な高原を散策できる観光地ですが、冬期はやはり規制が敷かれ、湿原なども通行禁止となります。冬期の高山や高原はベテランでも命を落とす事があり、相当の覚悟が必要と言わざるを得ないでしょう。
その時期ならではの登山の特徴を紹介しました。
山は時期に合わせて装備や持ち物も変わりますが、逆に日本の四季をダイレクトに感じることができるので同じ山でも何回でも楽しむことができます。
季節に応じて登る山の高さを調整しつつ一年を通じて登山を満喫してみてはいかがでしょうか。
▼季節を通じて楽しむための本
▼登山をサポートしてくれるアイテム
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
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