大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ごぜんやま)」。そのたおやかな印象の名前に似合わず、急な登りが続くきついルートで知られています。
この記事では、奥多摩・御前山へのアクセス方法や登山の難易度、奥多摩湖からスタートする日帰りルートを紹介します。
御前山は東京都奥多摩町に広がる奥多摩山域の中央部に位置する山で、三角すいの美しい山容が見る者を魅了します。標高は1405mで、奥多摩の山の中では三頭山に次いで2番目(山梨県、埼玉県との境界にある雲取山を含めると3番目)に高い山です。
御前山、大岳山、三頭山は奥多摩三山と呼ばれ、関東百名山・花の百名山に選ばれています。また、カタクリの自生地として人気があり、開花を迎える4月頃には毎年多くの登山者がカタクリの群落を見に訪れます。
御前山は東京都西多摩郡奥多摩町と檜原村(ひのはらむら)の境界に位置します。
登山口へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合の最寄駅はJR青梅線奥多摩駅です。都心からの場合、新宿駅などからJR中央線に乗り、立川駅でJR青梅線・青梅行きに乗り換え、青梅駅でJR青梅線・奥多摩行きに乗り換えるのが一般的です。
奥多摩駅からは西東京バス「奥多摩湖」「鴨沢西」「丹波」「小菅の湯」「峰谷」「留浦」行きに乗車し、約20分で奥多摩湖バス停に到着します。
マイカーを利用する場合は、青梅街道を進み、国道411号線を山梨方面に向かいます。駐車は「奥多摩 水と緑のふれあい館」隣接駐車場や水根駐車場、大麦代園地駐車場(いずれも無料)を利用しましょう。
御前山の山名の由来は、大岳山を男性と見立て、それに対する「姫御前」からきているといわれています。また、山の形が神様に供える盛り飯「御膳」に似ているからという説もあります。
御前山の難易度は中級レベルで、初心者には体力的にきつい山といえるでしょう。
この記事で紹介している奥多摩湖から登るコースの場合、標高差800m以上で急勾配が続くため、かなり体力を必要とします。とはいえ、技術が必要な岩場やクサリ場はないので、休憩しながらじっくりと登っていけば初心者でもチャレンジ可能です。
奥多摩湖からスタートする人気のコース。登り始めから急登が続く。
奥多摩湖から登り、栃寄大滝を見ながら境橋へ下りるコース。
奥多摩湖から登り、アップダウンを繰り返しながら奥多摩駅へ戻るロングコース。
奥多摩湖バス停を出発し、大ブナ尾根を経て御前山へ登り、境橋バス停へ下るコース(先に紹介した3つのうち2番目のコース)を日帰りで歩いてきました。
JR青梅線・奥多摩駅からバスで20分。奥多摩湖バス停で下車します。バス停のすぐ近くにトイレがあるので済ませておきましょう。
登山口は小河内(おごうち)ダムの堰堤を渡った対岸側にあります。
登山口の手前にベンチとテーブルがあるので、ここで支度を整えるのもいいでしょう。登山道からほんの5分ほど階段を上ると最初の展望スポット、展望広場があります。展望広場からは奥多摩湖が一望できます。
呼吸を整える間もなく、序盤から急登が始まります。登山道は木の根がむき出しになっていますが、歩きやすく危険に感じるところはありません。
ただ、傾斜がかなりきついので、序盤から張り切ってしまうとすぐにバテてしまう恐れがあります。心拍数を上げすぎないよう注意しながら、できるだけゆっくり、じっくりと登っていきましょう。
登山口から1時間ほどで急登を登り終え、サス沢山に到着します。この山頂は展望台になっており、眼下に奥多摩湖、その奥に奥多摩の山々が見渡せます。晴れていれば、日本百名山の大菩薩嶺も見えますよ。
サス沢山から次のピーク「惣岳山」まではさらに400mほど高度を上げていくので、ここでしっかりと休憩して栄養補給をしましょう。
サス沢山を過ぎると傾斜がゆるやかになりますが、約20分歩くと再び大ブナ尾根の急登が始まります。この辺りでは道にゴロゴロとした岩が増えてきます。また、途中には1か所だけ開けた場所があり、晴れた日には遠くに富士山を望むことができます。
一度小さく下り、再び登ると2つ目のピークである惣岳山に到着します。ここまで来れば、御前山の山頂まであと少しです。惣岳山の山頂には眺望はなく、休憩ベンチのある広場のような雰囲気です。春にはこの周辺がカタクリの群生地となります。
惣岳山を過ぎると傾斜も緩やかになり、木の階段が整備された歩きやすい道になります。御前山の山頂までは約20分。急登を登り切った自分自身を労いつつ、あと少し頑張りましょう。
標高1405mの御前山の山頂に到着です。山頂は広く、ベンチが設置されています。木々に覆われているため眺望はありませんが、日陰で涼しく休憩することができます。新緑の美しい景色の中でゆっくりと昼休憩を楽しみました。
下山は奥多摩都民の森(体験の森)を通ってトチノキ広場、栃寄大滝を経由し、境橋バス停へ向かいます。右に曲がれば湯久保尾根に向かう分岐を逆に左に曲がると、すぐに御前山避難小屋があり、奥にはトイレが備わっています。
小屋を過ぎたら、つづら折りの道をひたすら下っていきます。体験の森に入ると、いくつもの散策コースに分かれているので、分岐ごとに設置されている地図看板を参考に現在地を確認しながら下りましょう。
御前山避難小屋から1時間ほどでトチノキ広場に到着。ここからは登山道の栃寄沢コースが通行止めのため、舗装路に進みます。舗装路に並行して登山道が存在していますが、滑りやすく歩きにくいため、ここは素直に舗装路を利用することをおすすめします。
トチノキ広場から境橋バス停までの所要時間は約1時間です。途中には栃寄大滝、ワサビ田やヤマメの養殖場があり、奥多摩の豊かな自然を感じることができます。
国道411号に出ると、行きのバスで通り過ぎた境橋バス停がすぐに現れます。ここからバスに乗って奥多摩駅まで戻ります。
奥多摩エリアは東京方面からのアクセスが良く、日帰り登山におすすめです。今回は6月下旬に登ったので、カタクリの季節は過ぎてしまっていましたが、新緑のブナ林はさわやかで素晴らしい景色を見ることができました。
御前山は奥多摩三山の中でも標高差が一番大きく、健脚者向けの山です。しかし逆に言えば、急登が好きな方やトレーニングをしたい方にとってはたまらない山でしょう。ぜひこの記事を参考に、御前山の急登を踏破して達成感を味わってみてくださいね。
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今日は新潟糸魚川〜長野松本を結ぶ塩の道の続きで、穂高〜安曇追分まで歩いてきました。本当はもっと歩きたかっけど、雨が振り出したので断念。塩の道の宿場町となる歴史ある穂高宿から安曇野の象徴とも言える北アルプスを背景にした田園風景を歩く。最高でした。#塩の道 #里山トラベル pic.twitter.com/iA3Rk9cSM1
— m.miyamoto | toritoke.inc. (@masa_yco) August 27, 2022
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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