【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、ふたらさんじんじゃ)の御神体として山岳信仰の対象となっており、日本百名山にも選ばれる栃木県を代表する山のひとつです。

この記事では、男体山の登山ルート、難易度、アクセス方法、そして筆者が実際に歩いて感じた印象について紹介します。

男体山とは

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

栃木県の奥日光に位置する男体山は、標高2,486メートルの火山です。日光連山の代表的な存在であり、日本百名山にも認定されています。また、西暦780年代より山岳信仰の対象とされ、山頂には日光二荒山神社の奥宮が祀られています。(以下、「日光二荒山神社」を「二荒山神社」と記載します。)

毎年7月31日から8月7日まで、奈良時代末より続く「男体山登拝講社大祭」(登拝祭)が開催され、期間中、深夜24時に多くの人が山頂を目指す夜間登拝がおこなわれます。2023年は、4年ぶりに夜間登拝が実施されました。

男体山の場所とアクセス

男体山は栃木県日光市の市街地から、クネクネと48か所ものカーブを曲がる「いろは坂」を登った先、中禅寺湖の北岸にあります。

登山口となる二荒山神社中宮祠へは、JR日光線・日光駅および東武日光駅からバスでアクセスが可能です。JRまたは東武日光駅前のバスロータリーより「湯元温泉」行に乗車し「二荒山神社中宮祠」で下車。所要時間はJR日光駅から56分、東武日光駅から53分です。

マイカー利用の場合は、日光宇都宮道路(日光道)の清滝ICから国道120号線(いろは坂)を経由し15㎞ほどで二荒山神社中宮祠に到着します。登山者用の無料駐車場は二荒山神社中宮祠の宝物館の裏に10台分、国道沿いに20台分あります。

男体山の入山料と登山できる期間

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

男体山は二荒山神社の所有地のため登拝期間が決められており、登山をするには登拝料が必要です。例年、4月25日から11月11日までが登拝期間で、入山時に登拝料一人1000円(小中学生は無料)を現金で納めます。

男体山の難易度

男体山の主な登山ルートは、二荒山神社を起点とするものと志津乗越を起点とするものの2つがありますが、どちらも難易度は中級です。

この記事で紹介している二荒山神社往復コースの場合、標高差が1200m以上あり、四合目からは終始急勾配の直登が続くタフな登りになります。ただし、岩場やすべりやすい場所があるものの、クサリ場など技術が必要な箇所はなく、滑落や落石の危険は少ないコースであり、技術よりも体力が求められます。

男体山の主要コース

二荒山神社起点 男体山 往復コース

【標高差】
1245m
【歩行時間】
6時間
【コース】
二荒山神社中宮祠 → 四合目 → 八合目(瀧尾神社) →男体山(帰りは同じルートをピストン)

二荒山神社~男体山~志津峠~梵字飯場跡(ぼんじはんばあと)~三本松バス停 縦走コース

【標高差】
1285m
【歩行時間】
7時間22分
【コース】
二荒山神社中宮祠 → 四合目 → 八合目(瀧尾神社) →男体山→志津避難小屋→志津峠→林道分岐→梵字飯場跡→裏男体山林道起点→三本松バス停

梵字飯場跡~志津峠~男体山 往復コース

【標高差】
1102m
【歩行時間】
7時間4分
【コース】
梵字飯場跡→林道分岐→志津峠→志津避難小屋→男体山(帰りは同じルートをピストン)

二荒山神社起点 男体山 往復コースを歩く

二荒山神社起点 男体山 往復コース(紹介したコースの1番目)を実際に歩きました。

二荒山神社中宮祠~四合目

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

登山のスタート地点は「二荒山神社中宮祠」バス停です。バスを降りると、向かい側に二荒山神社の鳥居がありますので、ここから石段を上って神社の境内に進みましょう。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

境内では、登山者登録と拝観料1000円を納め、登拝の安全祈願のお守りを受け取ります。このコース中、トイレは神社の敷地内にしかありませんので、出発前に済ませておくことをおすすめします。また、敷地内には飲み物の自動販売機もあり、飲み物を補給することができます。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

境内の奥から登山開始です。一合目までは石の階段が続き、二合目からは木の根が張った樹林帯となります。最初から急勾配が続くので、ウォーミングアップとして無理のないペースで登ってください。

三合目からは、やや緩やかな舗装路が続きます。この区間は息を整えながら30分ほど進みましょう。

四合目~八合目

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

四合目からは再び登山道に戻ります。このエリアの手前には、中禅寺湖を一望できる展望スポットがあるので、ここで休憩を取るのもいいでしょう。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

四合目からしばらくは樹林帯が続き、五合目、六合目に近づくにつれて傾斜が急になってきます。五合目を過ぎると、中禅寺湖が広がる素晴らしい景色が広がりますが、その後は「観音薙(かんのんなぎ)」と呼ばれるガレ場の急な登りが待っています。

この区間は岩と岩の間の段差が大きく、足を持ち上げるたびにじわじわと体力を削られるような険しい道が続きます。
【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

四合目から1時間半ほどすると、鳥居が現れ、やがて「八合目 瀧尾神社」と書かれた石碑と避難小屋に到着します。ここを過ぎると森林限界を超え、長かったガレ場も終わりです。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

九合目を越え山頂に近づくと、赤茶色の砂礫が広がり、火山らしい景色へと変わります。鳥居が見えたら山頂まではあと少し。ですが、ここまでの急登で脚の疲労がたまっているところに、踏ん張りのききにくい砂礫の道でさらに脚の筋肉を使うことになり、かなりキツく感じました。

男体山山頂~二荒山神社奥宮

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

男体山の山頂、日光二荒山神社奥宮に到着しました。山頂は広く、景色が360度見渡せます。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

奥宮に向かって左手側には二荒山大神の像が祀られており、右手側に進むと鐘楼や神剣があります。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

男体山のシンボルともいえる、天を突き刺すような御神剣。高さは約3.6mもあります。その大きさゆえ、季節や時間によっては御神剣に太陽の光が反射し、麓から光って見えることがあるそうです。

【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山

南西方面からは中禅寺湖を見下ろすことができます。この日の山頂到着時には雨が降っていましたが、一瞬だけ晴れ間に恵まれ、雲の間から中禅寺湖と戦場ヶ原を眺めることができました。

下山は登りと同じ道を戻ります。急な斜面を下るため、二荒山神社に到着する頃には踏ん張りがきかなくなるほど脚に疲労がたまる結果に。体力的には相当にハードな山であることを再認識しました。

男体山(コース)の概要

【出発地】
二荒山神社入口
【標高差】
1245m
【歩行距離】
7.6km
【歩行時間】
6時間
【トイレ】
二荒山神社敷地内
【備考】
二荒山神社敷地内に自動販売機あり
【コース】
二荒山神社中宮祠 → 四合目 → 八合目(瀧尾神社) →男体山(帰りは同じルートをピストン)

男体山まとめ

男体山は二荒山神社の御神体として祀られている山であり、合目ごとに標識や避難小屋が整備されています。登山道も整備されており、日帰り登山コースとして距離はそれほど長くありませんが、五合目から七合目にかけての岩の直登区間はかなりの体力を要します。

私は実際に登ってみて、想像以上に体力を消耗するタフな山行だと感じました。ですので初心者向けの山とはいえませんが、自分の体力を試したい、ステップアップしたいと考えている人にはぜひチャレンジしてほしい山です。

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【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は標高3000mに迫る標高がありながら、ロープウェイを使って気軽に雲の上の絶景登山を楽しめる、アルプスデビューにおすすめの山です。

「標高が高くて涼しい山に行きたい!」「日帰りで気軽にアルプスの絶景を楽しみたい!」そんな登山初心者におすすめです。

この記事では、木曽駒ヶ岳のルートや難易度、アクセス、絶景ポイント、実際に歩いてみた感想をお伝えします。

木曽駒ヶ岳とは

木曽駒ヶ岳は中央アルプスの最高峰であり、標高は2956mです。日本百名山や花の百名山にも数えられます。

初心者でもアルプスの雄大な景色を手軽に楽しめるところが、木曽駒ヶ岳の魅力のひとつです。ロープウェイ千畳敷駅から木曽駒ヶ岳の頂上までは標高差350m程度で、片道わずか1時間50分ほどで到着します。

360°展望が開けた山頂からは、富士山、北岳、間ノ岳の日本最高3峰が見られるほか、南アルプスと北アルプスの山々、御嶽山なども見られます。また、途中に山小屋も点在し、トイレの利用や休憩もできるので登山初心者でも安心して登れる山です。

氷河が作り出した絶景「千畳敷カール」

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

駒ヶ根ロープウェイ千畳敷駅を出てすぐ、目の前に広がっているのが千畳敷カールです。カール(Cirque)とは、山岳地帯や高地に見られる地形の一種で、氷河が地表を削り出す過程で形成されるくぼんだ凹地のことをいいます。

千畳敷カールは高山植物の宝庫としても知られ、初夏にはタカネザクラ、チングルマ、ハクサンイチゲ、コイワカガミ、コマウスユキソウなどが咲き乱れます。

コマウスユキソウは、エーデルワイスの仲間で中央アルプスの特産種であり、木曽駒ヶ岳から空木岳にかけての稜線などの一部にしか生息しない貴重な高山植物です。

駒ヶ根ロープウェイ周辺は、観光客向けにホテルやテラス、遊歩道などが整備されているので、登山装備なしの観光客も大勢訪れます。秋には紅葉の見事な景観を求める観光客でにぎわいます。

木曽駒ヶ岳の場所とアクセス

木曽駒ヶ岳は長野県上松町・木曽町・宮田村の境界に位置します。登山の起点となるロープウェイ「しらび平駅」はマイカー規制区間にあるため、路線バスでのみアクセス可能です。

公共交通機関利用の場合は、伊那バス「JR駒ヶ根駅始発、駒ヶ岳ロープウェイ駅(しらび平)行き」に乗ります。終点のしらび平までの所要時間は約45分です。

マイカー利用の場合は、菅の台バスセンターで駐車し、そこから路線バスに乗車して終点のしらび平まで行きます。

ロープウェイ駅に行くにはバスに乗るしか手段がないので、夏山シーズンと紅葉シーズンは、登山客と観光客でかなりの混雑が見込まれます。特に菅の台バスセンターは1〜2時間待ちになることもあるので覚悟しましょう。

木曽駒ヶ岳の名前の由来

駒とは馬のことです。木曽駒ヶ岳は雪解けの時季に中岳付近に駒(馬)の雪形が現れることから名づけられました。

なお、南アルプスには甲斐駒ヶ岳がありますが、木曽駒ヶ岳を西駒、甲斐駒ヶ岳を東駒と、ふたつの駒ヶ岳を呼び分けています。

木曽駒ヶ岳の難易度

木曽駒ヶ岳の難易度は初級レベルで、登山初心者や小学生でも登れる山です。ロープウェイを降りてから山頂までの標高差は350mほどで、所要時間も往復で4時間くらいなので、日帰りで余裕をもって歩けます。

ただし、標高が3000m近くあるので、人によっては高山病の症状が出る場合も。また、山頂までの稜線には遮るものがないので、夏でも10℃を下回ったり強風が吹いたりすることがあります。レインウェアや防寒着は忘れず持参しましょう。

木曽駒ヶ岳の主要コース

観光客向け!千畳敷カールとお花畑を楽しむ「剣ヶ池散策コース」

【標高差】
約65m
【歩行時間】
一周50分
【コース】
ホテル千畳敷(千畳敷駅) →八丁坂分岐→ホテル千畳敷(周回)

ロープウェイ山頂駅から木曽駒ヶ岳をピストン「千畳敷コース」

【標高差】
約344m
【歩行時間】
3時間40分
【コース】
千畳敷駅→八丁坂分岐→乗越浄土→宝剣山荘→中岳→駒ヶ岳頂上山荘→木曽駒ヶ岳(帰りは同じルートをピストン)

中級者向き「馬の背・濃ヶ池一周コース」

【標高差】
約344m
【歩行時間】
5時間25分
【コース】
千畳敷駅→八丁坂分岐→乗越浄土→宝剣山荘→中岳→駒ヶ岳頂上山荘→木曽駒ヶ岳→馬の背→濃ヶ池→駒飼ノ池→乗越浄土→八丁坂分岐→千畳敷駅

ロープウェイ駅から木曽駒ヶ岳を往復する「千畳敷コース」を歩く

「千畳敷コース」(紹介したコースのうち2番目)を実際に歩きました。

千畳敷駅~八丁坂分岐

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

駒ヶ岳ロープウェイ「しらび平駅」から「千畳敷駅」までは7分30秒で到着します。4〜11月は30分間隔、12〜3月は60分間隔で運行していますが、混雑時は臨時便も運行します。なお、ロープウェイの定員は61人です。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

ロープウェイの終点「千畳敷駅」の標高は2,612mで、ロープウェイの駅として標高日本一です。さらに、終点駅と始点駅の高低差は950mで、こちらも日本一です。

この日の千畳敷駅の気温は11.1℃と真夏とは思えない気温でした。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

千畳敷駅を出るとすぐ、「日本一空に近いテラス」といわれる絶景テラス「SO・RA・TO・KI」に出ます。晴れていれば目の前にいきなり千畳敷カールの絶景を見ることができます。

この日は雨が降っていたため、千畳敷カールもこれから登る木曽駒ヶ岳への登山道も残念ながら見えませんでした。展望は望めそうになかったものの、少しでも天候が良くなることを祈って山頂まで登りました。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

信州駒ヶ岳神社の脇から登山開始です。まずは高山植物が咲く遊歩道を20分ほど進み「八丁坂分岐点」へ。八丁坂は急斜面の岩の道で、コースの中で一番の難所です。八丁坂より先は登山装備が必要な険しい登山道となります。

八丁坂は丸太の足場や木の橋などで整備されていますが、登山客で混雑しているときはすれ違いが困難な箇所もあります。お互いに譲り合いながら進みましょう。

進むほどに傾斜がきつくなり、道も狭くなっていくので足場を確認しながら進みます。稜線に出るまでの30分ほどが頑張りどころです。

乗越浄土~宝剣山荘

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

八丁坂を登り詰めると稜線に出ます。一気に視界が開けたところが「乗越浄土(のっこしじょうど)」です。標識の「宝剣岳・中岳・駒ヶ岳」方面へと進みましょう。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

乗越浄土から少し進むと見える青い屋根の建物が「宝剣山荘」です。宝剣山荘には食堂や売店があり、外にはテーブルとイスが並んでいて休憩ができます。宝剣山荘の左側から裏手に出ると中岳方面と宝剣岳への分岐があるので、中岳方面へ進みましょう。

中岳~駒ヶ岳頂上山荘~木曽駒ヶ岳

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

景色の開けた歩きやすい尾根道を20分ほどゆるやかに登っていくと中岳山頂(標高2925m)に到着です。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

この日はまったく見えませんでしたが、晴れていれば木曽駒ヶ岳の山頂が見えてきます。霧が出ていると道迷いしやすいので、両サイドのロープを頼りに進みましょう。

中岳山頂から一旦下り、テント場(キャンプ指定地)になっている駒ヶ岳頂上山荘を過ぎて20分ほど登れば木曽駒ヶ岳の山頂です。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

千畳敷駅から2時間ほどで木曽駒ヶ岳の山頂に到着しました。山頂は開けていて、景色が360度見渡せます。しかし写真を見ての通り、この日は霧に包まれ、山頂からの大絶景はあいにく見られませんでした。

天気が良ければ中央アルプスの峰々をはじめ、御嶽山とその向こうに北アルプス、八ヶ岳、南アルプスの大パノラマが広がります。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

山頂の木曽駒ヶ岳神社へ、次に来たときは美しい景色が見られるようお参りし、風が強いので早々に下山を開始しました。下りのコースは、来た道を折り返すルートです。来たときと同様に道に張られたロープを頼りにして迷わないように進みましょう。

【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山

八丁坂分岐点まで下り、せっかくなので遠回りして遊歩道を歩いてみました。八丁坂分岐からホテル千畳敷までの遊歩道は30分弱で歩けます。

また、遊歩道のお花畑では7月中旬から8月中旬にかけてコバイケイソウ、チングルマ、コイワカガミなどの高山植物が見頃を迎えます。剣ヶ池のある広場は千畳敷カールを正面から眺められる絶景スポットなので、時間に余裕があればゆっくり散歩を楽しむのもおすすめですよ。

木曽駒ヶ岳(千畳敷コース)の概要

【出発地】
駒ケ岳ロープウェイ「しらび平駅」
【標高差】
344m
【歩行距離】
3.66km
【歩行時間】
3時間40分
【トイレ】
しらび平駅、千畳敷駅
、宝剣山荘、天狗荘、駒ヶ岳頂上山荘※山小屋のトイレは有料
【コース】
しらび平駅→千畳敷駅→八丁坂分岐→乗越浄土→宝剣山荘→中岳→駒ヶ岳頂上山荘→木曽駒ヶ岳(帰りは同じルートをピストン)

木曽駒ヶ岳まとめ

木曽駒ヶ岳は中央アルプスの最高峰でありながら、初心者でも気軽にアルプス登山に挑戦できる山です。今回の山行では雄大な景色は見られず残念だったので、またチャレンジしたいと思います。

標高の高い山は体力と技術が求められるため、登山初心者が到達するには経験が必要です。しかし木曽駒ケ岳は、高山ならではの感動を初心者が先取りできます。そして、「もっと経験を積んで、感動する景色にもっとたくさん出会いたい」と思わせてくれる山です。

木曽駒ヶ岳で圧巻の景色と感動を味わってみてくださいね。

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【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ごぜんやま)」。そのたおやかな印象の名前に似合わず、急な登りが続くきついルートで知られています。

この記事では、奥多摩・御前山へのアクセス方法や登山の難易度、奥多摩湖からスタートする日帰りルートを紹介します。

御前山とは

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

御前山は東京都奥多摩町に広がる奥多摩山域の中央部に位置する山で、三角すいの美しい山容が見る者を魅了します。標高は1405mで、奥多摩の山の中では三頭山に次いで2番目(山梨県、埼玉県との境界にある雲取山を含めると3番目)に高い山です。

御前山、大岳山、三頭山は奥多摩三山と呼ばれ、関東百名山・花の百名山に選ばれています。また、カタクリの自生地として人気があり、開花を迎える4月頃には毎年多くの登山者がカタクリの群落を見に訪れます。

御前山の場所とアクセス

御前山は東京都西多摩郡奥多摩町と檜原村(ひのはらむら)の境界に位置します。

登山口へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合の最寄駅はJR青梅線奥多摩駅です。都心からの場合、新宿駅などからJR中央線に乗り、立川駅でJR青梅線・青梅行きに乗り換え、青梅駅でJR青梅線・奥多摩行きに乗り換えるのが一般的です。

奥多摩駅からは西東京バス「奥多摩湖」「鴨沢西」「丹波」「小菅の湯」「峰谷」「留浦」行きに乗車し、約20分で奥多摩湖バス停に到着します。

マイカーを利用する場合は、青梅街道を進み、国道411号線を山梨方面に向かいます。駐車は「奥多摩 水と緑のふれあい館」隣接駐車場や水根駐車場、大麦代園地駐車場(いずれも無料)を利用しましょう。

御前山の名前の由来

御前山の山名の由来は、大岳山を男性と見立て、それに対する「姫御前」からきているといわれています。また、山の形が神様に供える盛り飯「御膳」に似ているからという説もあります。

御前山の難易度

御前山の難易度は中級レベルで、初心者には体力的にきつい山といえるでしょう。

この記事で紹介している奥多摩湖から登るコースの場合、標高差800m以上で急勾配が続くため、かなり体力を必要とします。とはいえ、技術が必要な岩場やクサリ場はないので、休憩しながらじっくりと登っていけば初心者でもチャレンジ可能です。

御前山の主要コース

奥多摩湖バス停~サス沢山~惣岳山~御前山往復コース

奥多摩湖からスタートする人気のコース。登り始めから急登が続く。

【標高差】
約992m
【歩行時間】
登り3時間10分/下り2時間30分
【コース】
奥多摩湖 → サス沢山 → 惣岳山(そうがくさん) → 御前山 (往復)

奥多摩湖~御前山~栃寄大滝~境橋コース

奥多摩湖から登り、栃寄大滝を見ながら境橋へ下りるコース。

【標高差】
約1209m
【歩行時間】
登り3時間10分/下り2時間50分
【コース】
奥多摩湖 → サス沢山 → 惣岳山 → 御前山 → 御前山避難小屋 → トチノキ広場→栃寄大滝 (とちよりおおたき)→ 境橋バス停

奥多摩湖~御前山~鋸山~奥多摩駅コース

奥多摩湖から登り、アップダウンを繰り返しながら奥多摩駅へ戻るロングコース。

【標高差】
約1458m
【歩行時間】
7時間15分
【コース】
奥多摩湖 → サス沢山 → 惣岳山 → 御前山 →クロノ尾山 → 鞘口山(さいぐちやま) → 鋸山 (のこぎりやま)→ 愛宕山(あたごやま) → 奥多摩駅

御前山(奥多摩湖~境橋コース)を歩く

奥多摩湖バス停を出発し、大ブナ尾根を経て御前山へ登り、境橋バス停へ下るコース(先に紹介した3つのうち2番目のコース)を日帰りで歩いてきました。

奥多摩湖~サス沢山

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

JR青梅線・奥多摩駅からバスで20分。奥多摩湖バス停で下車します。バス停のすぐ近くにトイレがあるので済ませておきましょう。

登山口は小河内(おごうち)ダムの堰堤を渡った対岸側にあります。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

登山口の手前にベンチとテーブルがあるので、ここで支度を整えるのもいいでしょう。登山道からほんの5分ほど階段を上ると最初の展望スポット、展望広場があります。展望広場からは奥多摩湖が一望できます。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

呼吸を整える間もなく、序盤から急登が始まります。登山道は木の根がむき出しになっていますが、歩きやすく危険に感じるところはありません。

ただ、傾斜がかなりきついので、序盤から張り切ってしまうとすぐにバテてしまう恐れがあります。心拍数を上げすぎないよう注意しながら、できるだけゆっくり、じっくりと登っていきましょう。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

登山口から1時間ほどで急登を登り終え、サス沢山に到着します。この山頂は展望台になっており、眼下に奥多摩湖、その奥に奥多摩の山々が見渡せます。晴れていれば、日本百名山の大菩薩嶺も見えますよ。

サス沢山から次のピーク「惣岳山」まではさらに400mほど高度を上げていくので、ここでしっかりと休憩して栄養補給をしましょう。

惣岳山~御前山山頂

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

サス沢山を過ぎると傾斜がゆるやかになりますが、約20分歩くと再び大ブナ尾根の急登が始まります。この辺りでは道にゴロゴロとした岩が増えてきます。また、途中には1か所だけ開けた場所があり、晴れた日には遠くに富士山を望むことができます。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

一度小さく下り、再び登ると2つ目のピークである惣岳山に到着します。ここまで来れば、御前山の山頂まであと少しです。惣岳山の山頂には眺望はなく、休憩ベンチのある広場のような雰囲気です。春にはこの周辺がカタクリの群生地となります。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

惣岳山を過ぎると傾斜も緩やかになり、木の階段が整備された歩きやすい道になります。御前山の山頂までは約20分。急登を登り切った自分自身を労いつつ、あと少し頑張りましょう。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

標高1405mの御前山の山頂に到着です。山頂は広く、ベンチが設置されています。木々に覆われているため眺望はありませんが、日陰で涼しく休憩することができます。新緑の美しい景色の中でゆっくりと昼休憩を楽しみました。

御前山避難小屋~栃寄大滝~境橋バス停

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

下山は奥多摩都民の森(体験の森)を通ってトチノキ広場、栃寄大滝を経由し、境橋バス停へ向かいます。右に曲がれば湯久保尾根に向かう分岐を逆に左に曲がると、すぐに御前山避難小屋があり、奥にはトイレが備わっています。

小屋を過ぎたら、つづら折りの道をひたすら下っていきます。体験の森に入ると、いくつもの散策コースに分かれているので、分岐ごとに設置されている地図看板を参考に現在地を確認しながら下りましょう。

御前山避難小屋から1時間ほどでトチノキ広場に到着。ここからは登山道の栃寄沢コースが通行止めのため、舗装路に進みます。舗装路に並行して登山道が存在していますが、滑りやすく歩きにくいため、ここは素直に舗装路を利用することをおすすめします。

トチノキ広場から境橋バス停までの所要時間は約1時間です。途中には栃寄大滝、ワサビ田やヤマメの養殖場があり、奥多摩の豊かな自然を感じることができます。

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

国道411号に出ると、行きのバスで通り過ぎた境橋バス停がすぐに現れます。ここからバスに乗って奥多摩駅まで戻ります。

御前山(奥多摩湖~境橋コース)の概要

【出発地】
西東京バス「奥多摩湖」バス停
【標高差】
1209m
【歩行距離】
11.3km
【歩行時間】
6時間
【トイレ】
奥多摩湖、御前山避難小屋、トチノキ広場
【コース】
奥多摩湖 → サス沢山 → 惣岳山 → 御前山 → 御前山避難小屋 →トチノキ広場→ 栃寄大滝 → 境橋バス停

御前山まとめ

【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山

奥多摩エリアは東京方面からのアクセスが良く、日帰り登山におすすめです。今回は6月下旬に登ったので、カタクリの季節は過ぎてしまっていましたが、新緑のブナ林はさわやかで素晴らしい景色を見ることができました。

御前山は奥多摩三山の中でも標高差が一番大きく、健脚者向けの山です。しかし逆に言えば、急登が好きな方やトレーニングをしたい方にとってはたまらない山でしょう。ぜひこの記事を参考に、御前山の急登を踏破して達成感を味わってみてくださいね。

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【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢の山深さが感じられる静かな山で、「西丹沢の盟主」とも呼ばれています。毎年5月下旬から6月上旬になるとツツジやシロヤシオが美しく咲き誇り、多くの登山客が訪れます。

この記事では、起点となる西丹沢ビジターセンターへのアクセス方法や登山の難易度、ツツジ新道から檜洞丸を経由し犬越路(いぬこえじ)を下山する日帰りルートを紹介します。

檜洞丸とは

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

檜洞丸(ひのきぼらまる)は、神奈川県の西丹沢に位置する山です。標高は1,601mで、丹沢山系では神奈川県最高峰の蛭ヶ岳(ひるがたけ、1673m)に次ぐ高さを誇ります。西丹沢エリアは東丹沢エリアの大山や塔ノ岳に比べ登山者が少ないため、静かにじっくりと山を味わいたい方におすすめの山です。

5月下旬から6月上旬にかけては、シロヤシオやトウゴクミツバツツジなどの花々が一面に咲き誇ります。ピンクや白の色鮮やかな花が、今を盛りと咲き乱れる様は、まるで山全体がツツジの絨毯に覆われたようです。

檜洞丸の場所とアクセス

檜洞丸登山の起点となる「西丹沢ビジターセンター」へは電車とバスでアクセスが可能です。
小田急線「新松田駅」から富士急湘南バスに乗車し、終点の「西丹沢ビジターセンター」で下車。バスの所要時間は1時間11分と長く、本数も限られているので早めに出発しましょう。新松田駅の案内所では往復乗車券を購入できます(現金決済のみ)。
なお、西丹沢ビジターセンター行きのバスはJR御殿場線の山北駅・谷峨(やが)駅からも乗車可能です。

マイカーの場合は、東名高速大井松田ICから西丹沢ビジターセンター駐車場まで国道246号、県道76号を経て約26km。ビジターセンター前に10台分の無料駐車場と手前の道路の路肩に50台ほどの駐車スペースがあります。

檜洞丸の難易度

檜洞丸は中級レベルの難易度を持つ山です。最も一般的なツツジ新道の往復コースでも、標高差が1000m以上あり、コースタイムは約5時間30分かかるため、普段から山に登り慣れており、一定の体力と脚力を持つ方に向いています。なお、この記事で紹介しているツツジ新道~犬越路周回コースはさらに難易度が上がります。

檜洞丸から犬越路へのルートは全体的に足場が悪く、途中、ほぼ垂直のクサリ場や長いハシゴの難所があり、アップダウンも繰り返します。充実したルートといえますが、反面、技術と体力が求められます。さらに、下りのみで3時間以上かかるロングコースでもあり、初心者にはおすすめしません。

以上のように、檜洞丸は登山になれた中級者向けの山だということを留意しておいてください。。

檜洞丸(ツツジ新道~犬越路周回コース)を歩く

西丹沢ビジターセンターからツツジ新道を登り、檜洞丸山頂から犬越路、用木沢(ようきざわ)出合へと下る周回コースを日帰りで歩いてきました。

西丹沢ビジターセンター~ツツジ新道入口~ゴーラ沢出合

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

出発地点は西丹沢ビジターセンターです。こちらでは登山の情報や地図などを入手できます。また、山頂付近の青ケ岳山荘までトイレがないので、ここで済ませておきましょう。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

ビジターセンターから北へ進み、道路沿いを歩きます。キャンプ場を過ぎて5分ほど歩くと、右手にツツジ新道の登山道入口が現れます。ここから登山道に入りましょう。

ゴーラ沢出合までは、1時間ほどのゆるやかな登りが続きます。途中にはいくつかの谷や尾根があり、木の橋が架けられています。ゆっくり渡れば特に危険はありませんが、高さがあるため高所恐怖症の方には少し勇気が必要かもしれません。

ツツジ新道は山頂に近づくにつれ急登になるので、ゴーラ沢出合まではウォーミングアップを兼ねて焦らず進みましょう。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

しばらく歩くと、右手に沢のせせらぎが聞こえてきます。その音に導かれるように進むと、すぐにゴーラ沢出合に到着します。ここでは対岸に渡る必要があるので、注意して進みましょう。

対岸に渡り、左手に進んでいくと石の階段が見つかります。ただし、この箇所は迷いやすいので、地図を確認することをおすすめします。また、もしここで川の水量が増えていて対岸に渡れない状況であれば、この先はより危険な可能性があるため、引き返すのが賢明です。

展望園地~石棚山稜分岐~檜洞丸山頂

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

ゴーラ沢出合を過ぎると、本格的な登りが始まります。一部、木の階段で舗装されていますが、ルートのほとんどは岩が混じった道をひたすら登り続けることになります。1時間ほど登ると、ベンチのある展望園地に到着しますので、ここでゆっくり休憩を取りましょう。

さらに1時間ほど標高を上げると、ようやく石棚山稜分岐に到達します。途中には、何カ所かクサリ場がありますが、クサリを使わずに登れるレベルですので安心してください。

山頂に近づくにつれて、木の階段の割合が多くなってきます。登り続ける中で疲れを感じたら、無理せず休憩を取りましょう。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

私が訪れたのは5月下旬で、シロヤシオは終わりかけでしたが、登山道の脇には目の覚めるようなピンクのトウゴクミツバツツジがたくさん咲いていました。新緑の中に濃いピンク色が映え、まさに桃源郷のような美しさです。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

石棚山稜分岐を過ぎればきつい登りは終わり、山頂までしばらく平坦な木道が続きます。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

檜洞丸の山頂に到着しました。山頂は木々に覆われており、眺望はあまり得られませんが、広々としているため、ゆっくり休んで山頂を楽しめます。

なお、山頂にはトイレがありませんので、山頂から5分ほど下った場所にある青ヶ岳山荘でトイレや売店を利用しましょう。

小笄~大笄~犬越路

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

昼休憩を終えたら、犬越路へ向かいます。まずは左側に富士山を眺めながら木の階段を下り、熊笹ノ峰(くまささのみね)、小笄(ここうげ)、大笄(おおこうげ)といったピークをアップダウンしながら下っていきます。

ただし、各ピークに特別な看板や表示はなく、ただ通過するだけです。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

小笄から大笄までは急峻な地形で、足を置く場所に迷うような急斜面や垂直のクサリ場、ハシゴが連続します。予想外のキツさに驚くかもしれませんので、単調な下り道を想定せずに注意して進みましょう。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

特にクサリ場の岩は崩れやすいので要注意です。私自身も、足を踏み外すことはなかったものの、落石を引き起こしてしまいました。常に慎重に足場を確認しながら進んでください。

犬越路~用木沢出合 ~西丹沢ビジターセンター

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

犬越路には無人の避難小屋があり、トイレとベンチを利用することができます。ここまで来れば危険なクサリ場やハシゴはありませんので、ほっと一息つけるでしょう。

ちなみに、犬越路の地名は、武田信玄が小田原城を攻めた際、犬を先頭にして峠を越えたという伝説に由来します。それほど険しい山道だったのでしょう。

【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介

犬越路から用木沢出合まで、あと少し。急な下りを終えると、その後は涼しい沢沿いを歩きます。途中、何カ所か川を横断する必要がありますが、残念ながら橋が崩壊し流されてしまっていたため、橋の前後で渡れそうな場所を探さなければなりませんでした。

川の水量が増えている場合は、渡るのが困難になる可能性がありますので、慎重に判断しましょう。用木沢出合までのルートにも危険箇所が多いと感じたので、初心者は避けたほうが無難です。

用木沢出合から西丹沢ビジターセンターまでは、舗装路を20分ほど歩けば到着です。

檜洞丸(ツツジ新道~犬越路周回コース)の概要

【出発地】
西丹沢ビジターセンター
【標高差】
1057m
【歩行距離】
12.1km
【歩行時間】
7時間10分
【トイレ】
西丹沢ビジターセンター、青ヶ岳山荘、犬越路避難小屋
【備考】
青ヶ岳山荘の売店は、宿泊者がいない時は閉まっていることがあるため注意
【コース】
西丹沢ビジターセンター → ツツジ新道入口 → ゴーラ沢出合 → 石棚山稜分岐 → 檜洞丸山頂 → 小笄 → 大笄 → 犬越路 → 用木沢出合 → 西丹沢ビジターセンター

檜洞丸まとめ

檜洞丸の魅力やアクセス方法、登山ルートの概要を紹介しました。檜洞丸は丹沢山系の中でも比較的登山者が少なく、静かな山歩きが楽しめます。

この記事で紹介したコースは中級者レベルで登山技術と体力が必要なので、初心者にはツツジ新道のピストン(往復)がおすすめです。原生林がそのまま残る丹沢の深部で、雄大な景色と美しい花のトンネルを体験してみてくださいね。

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【大楠山・登山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

神奈川県三浦半島の最高峰、大楠山(おおぐすやま)。海に囲まれた半島に位置するため、東京湾、房総半島、横浜市街地、富士山、箱根連山、伊豆半島などが見渡せる360度の大パノラマが魅力の山です!

この記事では、絶景を楽しめる大楠山ハイキングの魅力や難易度、アクセス方法や5つのハイキングコース、実際に歩いてみた感想を紹介します。

大楠山とは

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

大楠山(標高241.3m)は神奈川県の三浦半島を南北に連なる「三浦丘陵」の最高峰です。
標高はあまり高くありませんが、頂上からは360度の大パノラマが広がり、「かながわの景勝50選」や「関東百名山」の一つにも数えられます。

逗子市や横須賀市の市街地からほど近い場所にありながら、自然が保護されており、桜や梅など季節の花々を楽しめます。

大楠山の場所とアクセス

大楠山への主要な登山口は5ヶ所あり、それぞれの登山口へは電車とバスを利用してアクセスできます。

一例として、この記事で紹介している前田橋コースの場合、京急逗子線「逗子・葉山駅」もしくはJR横須賀線・湘南新宿ライン「逗子駅」から京浜急行バス「横須賀市民病院行き」、「長井行き」、「佐島マリーナ行き」のいずれかに乗車し、「前田橋バス停」で下車します。前田橋バス停までの所要時間は30分ほどです。

車でアクセスする場合は、各登山口付近にある県営の無料駐車場やコインパーキングが利用できます。

大楠山の難易度

大楠山は標高差200mほどで、登山道もよく整備されているため、気軽なハイキングが楽しめます。ファミリーや登山初心者でも無理なく登れるでしょう。

ただし夏場は日差しが強く、山頂付近でも気温が高いので、熱中症対策が必要です。帽子や多めの水分補給などの対策を忘れないようにしましょう。

大楠山の主要5コースを紹介

ここからは、大楠山ハイキングの主要な5つのコースを紹介します。

前田橋コース

前田橋バス停からスタートし、川沿いの前田川遊歩道を進んで大楠山山頂を目指すコースで、大楠山山頂までの所要時間は約70分です。次に紹介する衣笠コースと合流してその先の衣笠山公園までつなぐこともできます。

衣笠コース

JR衣笠駅から衣笠山公園を経由し、大楠山山頂へ向かうロングルートで、JR衣笠駅から大楠山山頂までの所要時間は約135分です。衣笠山公園は2000本の桜が見られる神奈川県屈指のお花見スポットでもあります。

大楠芦名口コース

大楠芦名口バス停から大楠山山頂を目指すコースで、所要時間は約60分です。車の通れる林道がコース途中まで続き、遊歩道歩きがメインのやさしいコースで、体力に自信がない方や子どもにもおすすめです。登山口周辺にコンビニエンスストアがあるので、現地で食料などの調達もできます。

塚山・阿部倉コース

「かながわの景勝50選」の一つ「塚山公園」や歴史スポットを散策しながら大楠山山頂を目指すコースで、歩くのはアップダウンのある舗装路がメインです。

京浜急行電鉄本線「安針塚駅」を出発し、最初に目指す塚山公園にあるのは、三浦按針夫妻の供養塔「安針塚」。歴史好きならぜひ立ち寄ってほしいスポットです。安針塚駅から大楠山山頂までの所要時間は約130分です。

湘南国際村コース

5コース中、大楠山山頂までの距離がもっとも短いコースで、湘南国際村センター前バス停(逗子駅から京急バス「湘南国際村センター前行き」で約30分)から山頂までの所要時間は約40分です。

登山口の標高が高いため、標高差がもっとも少ないコースでもあります。自然豊かなハイキングコースを進むと、急傾斜の階段がいきなり現れます。階段を上りきった後も上り坂が続くので、短いとはいえ登りごたえのあるコースです。

大楠山~衣笠山公園(前田橋コース~衣笠コース)を歩く

前田橋コースと衣笠コース(上記で紹介したコースのうち1番目と2番目)をつないだロングコースを実際に歩きました。

前田橋バス停~前田川遊歩道~大楠山山頂

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

JR横須賀線逗子駅から京浜急行バスで約30分、「前田橋バス停」で下車します。バスを降りたら交差点を左へ入り、200mほど歩くと遊歩道の起点「お国橋」があります。ここから階段を下りて前田川遊歩道へ入ります。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

前田川遊歩道は、大楠山登山口へ続く川沿いのハイキングコース。階段や飛び石、平均台のような木橋があり、アスレチック気分で楽しく歩けます。

前田川は大楠山から流れてきた湧き水が集まってできた清流で、自然環境が残る美しい川です。アユやサワガニなど、水辺の生物が姿を見せることもあります。

大楠山山頂~横浜横須賀道路歩道橋

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

前田川遊歩道から大楠山ハイキングコースへ入り、ここから大楠山山頂までなだらかな登り道が50分ほど続きます。登山道はきれいに整備されていて歩きやすく、途中に案内標識があるので迷わず山頂まで向かうことができました。

道の先に白い塔が見えてきたら、山頂まであと少しです。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

白い塔は大楠山レーダ雨量観測所で、隣には展望台もあります。大楠山山頂にあるらせん階段状の展望塔は現在閉鎖されているため、景色を楽しむならこちらの展望台がおすすめです。

また、山頂のトイレも閉鎖されているので、この展望台の隣に設置されている大楠平トイレを利用しましょう。このトイレは清潔で、トイレットペーパーも設置されていました。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

大楠平から階段を上れば大楠山の頂上です。頂上は広場になっていて、ベンチも多数あり、のんびり休憩や食事ができます。

山頂の周りには遮るものがなく、東側には東京湾とその向こうに房総半島、西側には相模湾、その先に箱根連山や富士山が見えることも。山頂の大楠山ビューハウスの展望塔は残念ながら閉鎖されていましたが、下からでも十分に美しい景色を見ることができました。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

大楠山を下山し、続いて衣笠山公園を目指します。急な下りの階段が200段以上続いたあと、ゴルフ場の脇の道を一気に下ります。途中に立っている「衣笠城址・衣笠山公園」の標識を頼りに進みましょう。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

登山道が終わり、車道に出ます。ここの真新しい大きな建物は、横須賀ごみ処理施設「エコミル」です。エコミルの前にはハイカー用の公衆トイレとベンチ、自動販売機があるので休憩場所にピッタリです。一気に下って疲れたら、ここで休憩していきましょう。

横浜横須賀道路歩道橋~衣笠山公園~衣笠駅

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

エコミルの前の車道を少し進むと、再び山道へ。途中、横浜横須賀道路を横断する歩道橋を渡りますが、歩道橋は幅が広く、車道とは完全に分離されているので、安全に渡ることができます。

歩道橋を渡ったあと、平坦な山道を衣笠城址方面へ進みます。大善寺を過ぎ、いったん国道26号線に出たあと、衣笠山公園へ向かう登山口から再び山道に入ります。登山口は畑の脇にあり、分かりにくいので標識を見逃さないようにしましょう。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

衣笠山山頂(標高134m)までは15分ほどで到着。山頂の展望台からは東京湾方面が見渡せます。この衣笠山公園は、日露戦争の戦死者を慰霊するための記念碑が建てられ、さらに桜が植えられたのち、明治40年に開園した公園です。

今では2000本以上の桜が咲き誇る桜の名所として知られており、全国の「さくらの名所100選」にも選ばれています。私が訪れた時季は新緑の季節でしたが、3月下旬から4月初旬に訪れるとお花見トレッキングができますよ。

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

衣笠神社方面へ下り、衣笠商店街のアーケードを抜けるとゴールのJR衣笠駅です。

衣笠は2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも活躍した三浦一族ゆかりの地。時間に余裕があれば鎌倉時代の史跡やお寺巡りをしてみてはいかがでしょうか。

大楠山~衣笠山公園(前田橋コース~衣笠コース)の概要

【出発地】
京浜急行バス「前田橋」バス停
【標高差】
241.3m
【歩行距離】
10.5km
【歩行時間】
4時間30分
【トイレ】
大楠平、横須賀ごみ処理施設「エコミル」前、衣笠山公園付近(3ヶ所あり)、衣笠駅
【備考】
大楠山山頂トイレ、展望塔は2023年4月現在臨時休業中
【コース】
前田橋バス停 → 前田川遊歩道 → 大楠山ハイキングコース入口 → 大楠山 → 横須賀ごみ処理施設「エコミル」 → 横浜横須賀道路歩道橋 → 衣笠山公園 → 衣笠駅

大楠山まとめ

【大楠山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング

三浦半島最高峰の大楠山は、東京や横浜からアクセスしやすく、登山初心者やファミリーにおすすめの山です。

この記事で紹介した前田橋コースと衣笠コースをつなぐロングコースは、三浦半島を日帰りで横断しつつ、2つのピークからの景色も楽しめ、三浦丘陵の魅力を気軽に味わえます。三浦半島の自然や歴史に触れながら、のんびりとハイキングを楽しんでみてくださいね。

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トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが、実はまったく異なるスポーツです。どちらも自然の中で行うアクティビティですが、コースや速度、必要な技術や装備、そしてリスクなどの点で大きな違いがあります。

そこでこの記事では、トレイルランと登山の違いについて解説します。

トレイルランとは?

トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

トレイルランの定義と特徴

トレイルランとは、山や森林、草原、海岸など自然の中を走るスポーツです。舗装された平坦な道を走るのとは違い、石や岩、木の根、階段などがある不安定で高低差のある道(トレイル)を走ります。

アメリカやヨーロッパで以前から人気のあるスポーツで、日本ではランニングや登山の人気が相まって2010年ごろから愛好者が増えました。

トレイルランのコース

トレイルランでは自然の中を走るため、コースが複雑です。急な登り坂や下り坂、石や木の根のある登山道はもちろん、コースによっては沢を渡ったり岩場を越えたりする場合もあります。一般的なランニングとは違い、走るフィールドによって見える景色が変化に富み、また季節ごとに違った自然が楽しめます。

守るべきルールとマナー

トレイルランを行うにあたっては、舗装路を走るのとは異なるルールやマナーがあります。例えば自然環境を守るため、コースから外れてはいけません。張られたロープの内側を走り、草木を踏みつけたりしないようにしましょう。また、ゴミを捨てることももちろん禁止されています。出たゴミはすべて持ち帰りましょう。

その他、狭い登山道で他のトレイルランナーや登山者とすれ違う場合は、登りの人が優先されます。下りの場合は、足を止めて脇によけ、道を譲りましょう。また、もし相手が譲ってくれたとしても、走りながらの追い越し、すれ違いは危険なので、必ず徒歩で行い、譲ってくれた人に挨拶を忘れないようにしましょう。

必要な装備と準備

トレイルランは登山よりも軽装備にする必要があります。ここからは、トレイルランに特徴的な基本の装備を5つ紹介します。

シューズ

トレイルランには専用のシューズが必要です。トレイルラン用のシューズはローカットで、見た目はランニング用のシューズと似ていますが、ソールに違いがあります。トレイルラン用のシューズはソールのグリップ力が高いため、岩場やぬかるみなど足場の悪い場所でも滑りにくく、安定した走行ができるのが特徴です。

バックパック

バックパックの容量は、10〜12Lくらいのものが汎用性が高く、初心者におすすめ。トレイルラン用のバックパックは背中の上部に重心がくるようになっており、ベストのようなフィット感があるのが特徴です。

ウェア

トレイルランには吸汗性の高いウェアが適しています。さらに、吸い取った汗を外へ逃がす速乾性のあるものが良いでしょう。また、雨や寒さなどの天候に対応できる防水性や防風性の高いジャケットも必須アイテムです。容量の小さいバックパックに入れるため、軽量で小さく折りたためるものが、より良いです。

ハイドレーションシステム

ハイドレーションとは、ソフトバッグをザックの荷室に収納し、長く伸びたチューブから給水するアイテムで、走りながら水を飲むことができます。

ザックの胸あたりにある前ポケットに収納するボトルタイプもありますが、ハイドレーションは背中に重みがあるため、重心がより安定します。また、ボトルタイプより容量も大きく持ち運べる水分量が多いので、初心者におすすめです。

行動食

エネルギージェルは糖分が豊富で消化しやすく、手軽にすばやくエネルギー補給ができるため、行動食に最適です。その他、糖質が高く、すぐにエネルギー源となるドライフルーツやようかん、高カロリーのグラノーラバー、また食べたものをエネルギーに変換するのを助けるナッツなどは、軽量で食べやすく、持ち運びもしやすいのでおすすめです。

トレイルランでは発汗によって体内の塩分も失われやすいため、糖分に加えて塩分の補給も欠かせません。その点、塩で炒ったナッツなら塩分も同時に摂ることができます。また、効率よく塩分補給ができる塩分タブレットも良いでしょう。同じ味のものばかりでは飽きてしまうので、甘いものや塩味のもの、また食感の異なるものなどを何種類か携行するのがポイントです。

トレイルランの魅力

トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

自然と一体化できる

トレイルランの魅力は、自然と一体化したような気持ちになれることです。街中のアスファルトの道路では味わえない、山や森の緑、川のせせらぎなど自然の美しさを楽しめます。さらに、自然は季節や気候条件、時間帯によっても表情が変わるので飽きが来ません。

刻々と景色の変わる自然の中の道を、ただ走ることに集中していると、頭がスッキリし、ストレス解消やリフレッシュにもつながるでしょう。

ランニングよりも運動効果が高い

不規則な地形やアップダウンのあるコースを走ることで、足腰の筋力が強化されるほか、バランス感覚や反応力も同時に養われます。また、トレイルは地面が柔らかいため、アスファルトの道路でのランニングと比べて骨や関節の痛みのリスクが減らせるのも嬉しいポイントです。

レースへの出場を目標にできる

トレイルランは全国で多くのレースが開催され、世界的に有名なレースもあります。走るモチベーションを上げるために、レースへの出場や入賞を目標にするのもおすすめです。また、トレイルランのレースは参加者同士のコミュニケーションが活発なので、トレイルランを一緒に楽しむ仲間を作ることもできます。

トレイルランと登山の違い

トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

コースの違い

一般的に、トレイルランは通常のハイキングコースや登山コースを利用します。登山では整備されていない登山道を歩くこともありますが、トレイルランでは、きれいに整備された登山道で、急勾配が比較的少なく走りやすい道が多いです。またスピードが速いため、距離の長いコースが好まれます。

走る/歩く速度の違い

当然のことながら、トレイルランのほうがスピードが速く、短時間でコースを駆け抜けます。そのため、登山では基本的に山頂までを往復しますが、トレイルランの場合は登山口から山頂までを1日何往復もする人もいます。

ただし、トレイルランは急な上り坂や足元が悪い場所では走る速度を緩めたり、歩いたりすることもあり、ペースは一定ではありません。

必要な技術の違い

トレイルランは、基本的には走ることができれば誰でも始められますが、登りや下りの際には、体重移動やステップの踏み方など、少しのテクニックが必要です。例えば、上りでは手で太ももを上から押しつけながら登る「パワーウォーク」や、下りでは膝を曲げ、腕や上半身でバランスを取るようにしてリズムよく走るテクニックなどがあります。

一方、登山では登る山や季節によってはロープワークや岩場でのクライミング技術など、専門的な技術が必要になる場合があります。

装備の違い

すでに紹介したとおり、トレイルランで必要な装備は、ローカットのランニングシューズ、ランニングウェア、ハイドレーションなど、走るために最低限の軽量な装備がほとんどです。

反対に、登山では登山靴やアイゼン、ピッケル、ヘルメットなど、専用の装備が必要になることもあり、荷物は多くなりやすいです。またトレイルランは基本的に日帰りですが、登山の場合は山で何泊もする場合があるため、着替えや食料など必要な荷物も多くなります。

リスクの違い

登山には、高山病や落石、雪崩などの自然災害に加え、高所からの転落や事故のリスクがあります。一方、トレイルランにおいては、足を捻ったり、転倒したりなど、ケガのリスクがあります。また、どちらにも共通して、天候の急変や動物に遭遇するリスクがあるため、周囲の状況を常に把握し、安全第一で行動することが大切です。

トレイルランと登山の違いを知ってもっと山を楽しもう

トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう

トレイルランと登山の違いを紹介しました。どちらも自然の中で体を動かすことができ、リフレッシュできるアウトドア・アクティビティです。トレイルランを始めてみたい場合、まずは初心者向けのコースで試してみることをおすすめします。

また、安全に楽しむためには、必要な装備の携行やトレイルでのルール、マナーを守ることが大切です。それさえクリアすれば、スタイルは人それぞれ。自分に合ったスタイルで山の魅力を存分に味わってくださいね。

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【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがたけ)です。人気の山とはいえ、「低山なのにけっこうキツい」「クサリ場があって初心者には危険」という感想も聞かれますが、実際にはどんな山なのでしょうか?

この記事では初心者でも楽しめる伊豆ヶ岳のルートや難易度について紹介します。また、伊豆ヶ岳から足腰の神様「子ノ権現(ねのごんげん)」を目指す縦走コースを実際に歩いてみたので、ぜひ参考にしてください。

伊豆ヶ岳とは

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

伊豆ヶ岳は埼玉県飯能市にある標高851mの山。駅からのアクセスが良く、低山ながら登りごたえのあるコースが魅力で、奥武蔵の中でも一二を争う人気の山です。1年を通して登ることができ、山頂や尾根道からは美しい展望が開けています。

また、縦走ルート上には足腰守護の神仏である「子ノ権現天龍寺」があり、登山者に人気のスポットとなっています。伊豆ヶ岳の名前の由来は諸説あり、案内板によると、

  • 突峰状の山容を表すアイヌ語の「イズ」からついたという説
  • 山頂から伊豆が見えるからという「伊豆ヶ岳」説
  • 柚子の木が多く生えていたからという「柚ヶ岳」説
  • 山麓で温泉が湧き出ていたからという「湯津ヶ岳」説

など、色々な説があるようです。

伊豆ヶ岳の場所とアクセス

伊豆ヶ岳は埼玉県飯能市に位置し、登山の起点となるのは西武秩父線の「正丸(しょうまる)駅」です。池袋駅から西武池袋線直通で、正丸駅までの所要時間は1時間30分ほど。

車でアクセスする場合は、正丸駅の隣のコインパーキングが便利です。駐車できる台数は20台ほどなので、早めに到着することをおすすめします。

伊豆ヶ岳の難易度

伊豆ヶ岳は、正丸駅から山頂への往復であれば初心者でも問題なく登れる山です。ただし縦走コースになるとアップダウンの連続となるため体力が必要です。

危険箇所は山頂直下にある「男坂」。ここは岩の急斜面を登る長いクサリ場です。しかし落石の危険があるため現在はロープが張られ、実質的に通行禁止となっています。ほとんどの登山者はもう一つの「女坂」のほうを登るので危険はありません。

なお、伊豆ヶ岳から子ノ権現まではエスケープルートがないので、縦走コースを目指す場合は早めの出発を心がけましょう。

主な3つのコースを紹介します。

【初心者向け】正丸峠周回コース

コース
【正丸駅】→【正丸峠】→【小高山】→【五輪山】→【伊豆ヶ岳】→【五輪山】→【正丸駅】
【コースタイム】
3時間50分
【累積高低差】
約598m
【総距離】
約7.5km

【健脚者向け】伊豆ヶ岳~子ノ権現~西吾野駅コース

コース
【正丸駅】→【五輪山】→【伊豆ヶ岳】→【古御岳(こみたけ)】→【高畑山】→【天目指峠(あまめざすとうげ)】→【 子ノ権現】→【小床(こいか)集落】→【西吾野(にしあがの)駅】
【コースタイム】
6時間
【累積高低差】
約1090m
【総距離】
約11.0km

【健脚者向け】正丸峠~伊豆ヶ岳~吾野駅ロングコース

コース
【正丸駅】→【正丸峠】→【小高山】→【五輪山】→【伊豆ヶ岳】→【古御岳】→【高畑山】→【天目指峠】→【 子ノ権現】→【浅見茶屋】→【吾野駅】
【コースタイム】
7時間
【累積高低差】
約1100m
【総距離】
約13.5km

伊豆ヶ岳~子ノ権現(正丸駅~西吾野駅)縦走コースを歩く

伊豆ヶ岳から子ノ権現を目指す縦走コース(紹介したコースのうち2番目)を実際に歩きました。

正丸駅~馬頭観音堂~伊豆ヶ岳

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

スタートとなる西武秩父線正丸駅には、改札を出て左手にトイレがあります。この先、子ノ権現までトイレがないのでここで済ませておきましょう。また、正丸駅の周辺にはコンビニエンスストアがないので、必要な買い物は到着前に済ませておいてください。

伊豆ヶ岳の登山口へは、駅の右手の階段を下り20分ほど車道を歩きます。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

車道がカーブしているところに登山口(馬頭観音堂)があります。ここからしばらくは沢沿いの登山道です。傾斜がゆるく歩きやすい道が続きます。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

実谷のふたまたの標識は見逃しやすいので注意しましょう。右へ進む「名栗げんきプラザ」はかめ岩・大蔵山方面で、伊豆ヶ岳までは遠回りになります。まっすぐ行くと伊豆ヶ岳へショートカットできますが、急登が続く道です。今回はまっすぐ進み、五輪山へと向かいました。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

雑木林の中の荒れた急坂を登り、一気に高度を上げると開けた場所に出ます。縦走路の一つ目のピーク、五輪山(標高770m)に到着です。休憩ベンチが4つほどありますが、展望はありません。

五輪山から下るとすぐに、伊豆ヶ岳山頂へ向かう「男坂」「女坂」の分岐があります。正面にそびえる岩の壁が男坂で、右側からゆるやかに登る道が女坂です。男坂は落石が多く転落事故も起こっていることから基本的に通行禁止です。女坂はクサリ場など危険な箇所はなく、安全に伊豆ヶ岳山頂へ登れます。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

登山開始から1時間40分ほどで伊豆ヶ岳(標高851m)の山頂に到着しました。山頂は広く、腰掛けて休憩できるような岩があります。西側の眺望が開けていて、武甲山や武川岳を望めます。晴れていてもさすがに伊豆方面までは見えませんね。

古御岳~高畑山

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

伊豆ヶ岳から下り、登り返して20分ほどで古御岳(標高830m)に到着しました。ここには小さな屋根付きの休憩所があります。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

古御岳からさらに30分ほどで高畑山(標高695m)に到着です。この辺りからはアップダウンがあまりない平坦な道が多くなります。杉林からも光が差し、さわやかな雰囲気の中を進みます。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

途中で巨大な送電線鉄塔が現れました。この辺りが登山ルートの中間地点。急登がないため、キツくない分単調に感じるかもしれませんが、時間を確認しながら着実に進みましょう。

天目指峠~巨大な白い手~子ノ権現

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

しばらく林道と並行した登山道を進むと車道に出ます。子ノ権現方面へふたたび山に入ると「天目指峠」の看板があります。

天目指峠という名前は、「天目(アマメ)」=豆柿(親指大の小さな柿)が豊富に採れること、そして「指(さす)」(焼畑農業のこと)を合わせて名づけられたとのことです。子ノ権現から近い場所なので仏教に関連した名前なのかと思っていましたが、まったく違うことに驚きました。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

子ノ権現に到着する手前の山中に面白いものがあるので、ぜひ立ち寄ってみてください。巨大な白い手のモニュメントです。これは彫刻家の西雅秋氏が制作したもので、子ノ権現天龍寺に寄贈されたものだそうです。

Googleマップからも確認できるほど巨大で不思議な見た目をしているため、過去にテレビで取り上げられたこともあります。実際に見ると人の身長よりも大きく、指に腰掛けたり手のひらに乗ったりできますよ。子ノ権現へお参りする際にぜひ訪れたい珍スポットです。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

子ノ権現は天台宗の山寺で、正式には大鱗山雲洞院天龍寺といい、武蔵野観音第三十二番札所です。標高640mの地点にあり、足腰の神として知られているため登山者に人気があります。いつまでも足腰が丈夫でいられるように、私もお参りしました。

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

境内には1足2トンともいわれる、日本一の鉄の大わらじが置かれています。大きな赤い仁王像、天然記念物の二本杉など、その他の見どころも多数。社務所では登山リュックの形をした「登山守」(500円)をいただくこともできます。

小床集落~西吾野駅

【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山

子ノ権現から車道を進むとすぐに吾野駅への分岐があり、少し進んだところに西吾野駅への分岐があるので、道を間違えないように注意しましょう。西吾野方面へ薄暗い杉林を下ると、民家が点在する「小床集落」です。そこからは車道を歩き、ゴールの西吾野駅に到着します。

伊豆ヶ岳~子ノ権現(正丸駅~西吾野駅)縦走コースの概要

【出発地】西武秩父線正丸駅
【標高差】
607m
【歩行距離】
11.3km
【歩行時間】
6時間
【トイレ】
正丸駅、子ノ権現、西吾野駅
【備考】
子ノ権現に自動販売機あり
【コース】
正丸駅→五輪山→伊豆ヶ岳→古御岳→高畑山→天目指峠→ 子ノ権現→小床集落→西吾野駅

伊豆ヶ岳まとめ

伊豆ヶ岳は知名度が高く、気軽に登れる山というイメージでしたが、伊豆ヶ岳までの急登と子ノ権現までの細かいアップダウンのある縦走路に、予想以上に体力を削られました。

今回歩いたコースのようにいくつも山をつないだ低山縦走コースでは、より奥深い山行が楽しめてレベルアップにもつながります。初心者からベテランまで楽しめる伊豆ヶ岳登山をぜひ楽しんでみてくださいね。

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【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも653mと低山ばかりのコースですが、岩稜のクサリ場やヤセ尾根などアルプスさながらのスリルも味わえます。

この記事では、破風山(皆野アルプス)のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

破風山(皆野アルプス)とは

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

破風山(はっぷさん)は標高626mの山です。標高が低くさまざまなコースが選べるため、初心者でも季節を問わず登山が楽しめます。中でも前原山・破風山・大前山・天狗山を結ぶコースは「皆野(みなの)アルプス」と呼ばれ、景色を楽しみながら縦走できて人気です。

破風山の頂上をはじめ、ルート上の各所で眺望が楽しめるのも魅力で、皆野町や秩父市の街並みの向こうに武甲山や美の山、宝登山(ほどさん)などが望めます。また、破風山は江戸時代末期~明治時代初期に定められたとされる「秩父八景」の一つにも選ばれており、昔から長く愛され続けている秩父地方の名所です。

このように、破風山は低山でありながら、景色やバラエティに富んだコースが魅力の山です。

破風山の場所とアクセス

破風山の場所は秩父郡皆野町と秩父市との境です。主要な登山口だけでも8つあり、距離やレベルに合わせて自由にルート設定ができます。

この記事で紹介する皆野アルプスのコースは、秩父鉄道皆野駅をスタートし、大渕登山口から破風山を目指します。その後、「秩父華厳前」バス停へ下山し、皆野町営バスで皆野駅まで戻るルートをたどります。

都内からスタート地点の皆野駅までの所要時間は、電車で2時間10〜20分ほど。マイカー利用の場合は、皆野駅周辺の有料駐車場、もしくは秩父華厳の滝の無料駐車場を利用すると便利です。その他、大渕登山口の手前の県道44号線沿いの「破風山登山口駐車場」も利用できます。

破風山の難易度

破風山の難易度は初級レベルです。札立峠から天狗山のルートにはクサリ場やヤセ尾根がありますが、それほど高い技術は必要なく、注意しながら進めば子どもでも問題なく通過できるでしょう。分岐にも案内看板が立っているので、道迷いの心配もありません。

ただし、今回歩いてみたところ、道をふさぐような倒木が放置されている箇所がいくつかあったので注意が必要です。

皆野アルプス(前原山・破風山・大前山・天狗山)を歩く

皆野駅から前原山・破風山・大前山・天狗山を縦走する皆野アルプスのコースを日帰りで歩いてきました。

皆野駅~大渕登山口~前原山

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

秩父鉄道の皆野駅がスタート地点です。皆野駅のトイレは改札内にあります。皆野駅から徒歩2分の場所にあるコンビニエンスストアで食料や水を購入できます。秩父華厳の滝方面から登る場合は、駅前にある町営バス発着所からバスに乗車しましょう。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

大渕登山口までの所要時間は30分ほど。皆野駅から県道43号線を進み、皆野橋を渡ります。県道脇に入り、民家の横を通り抜けたところが大渕登山口です。

登山道に入ると、いきなりの急登。一つ目のピークである前原山までは30分ほどで到着するので、体が温まるまでは無理せずゆっくり登っていきましょう。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

一つ目のピーク、「前原山」(標高347m)に到着です。ここからは眺望がなく、まだ麓の道を走る車の音も聞こえます。ここから先は前原岩稜と呼ばれる尾根道を進み、だんだん眺望が開けてきます。

三又ピーク~男体拝 ~猿岩

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

前原岩稜を越えるとしばらく樹林帯の登りが続きます。ロープが張ってある箇所が一部ありますが、ロープを使わなくても問題なく通過できるでしょう。

三又ピークを越え、登山口から2時間ほどで「男体拝(なんたいおがみ)」という展望が開けた場所に出ます。その名の通り、遠くに日光の男体山を望めるビュースポットです。ここから先の道は「関東ふれあいの道」となります。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

男体拝からさらに50分ほど歩くと、猿岩という奇岩が現れます。登山道の脇にいきなり巨岩があるので目立ちますが、形が猿に似ているかどうかはよくわかりませんでした。

猿岩からさらに進むと、破風山の山頂直下に屋根付きの休憩場所があります。20人くらいは座れそうな、広くて立派な休憩所です。破風山の山頂はあまりスペースがなくベンチもないので、食事や休憩を取るならこの休憩所を利用するのがおすすめです。

破風山~札立峠~如金峰

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

登山開始から2時間30分、「破風山」(標高626m)の山頂に到着しました。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

山頂からは南側の展望が開けていて、秩父盆地や武甲山が一望できます。低山の連なりのなかで、武甲山だけはひと目見てわかるほどの存在感がありました。

この日は平日だったためか破風山山頂まで誰ともすれ違うことがなく、山頂の景色も一人占めできて得した気分です。山頂でゆっくりと休憩を取ったら次のピークへ向けて出発します。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

破風山山頂から一旦下ったところに「札立峠(ふだたてとうげ)」があります。この峠は 秩父札所三十四ヶ所観音霊場の巡礼道で、33番菊水寺から34番水潜寺へ向かう途中の場所です。

昔、大干ばつのときに、旅の僧からの「雨を祈らば観音を信ぜよ」という教えで「樹甘露法雨(じゅかんろほうう)」の札を立てたことから名づけられたと伝わっています。

札立峠には分岐があります。一つは、南は菊水寺・頼母沢(たのぶさわ)方面へ向かい、北は水潜寺方面へ向かう「関東ふれあいの道」の一部でもある「江戸巡礼古道」で、もう一つは皆野アルプスのコースです。

皆野アルプスのルートは「如金峰(にょっきんぼう)コース」となるので、案内板を見て間違わないよう注意して進みましょう。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

札立峠から登り返すと、また奇岩があります。この岩が如金峰コースの名前の由来となっている「如金峰」です。ここに祀られている「如金さま」は疣(いぼ)取りの神様と伝えられています。

ここから先の道はクサリ場や左右が切れ落ちたヤセ尾根が続くので、ストックを使っていたらこの辺りでしまっておくといいでしょう。

大前山~天狗山~「秩父華厳前」バス停

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

クサリ場とヤセ尾根を通過すると「武蔵展望台」があります。北側と南側が開けていて、群馬方面が見渡せます。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

武蔵展望台からさらに10分くらいで皆野アルプスの最高峰「大前山」(標高653m)に到着です。破風山よりも標高は高いですが、展望はあまりありません。

大前山を過ぎたところに皆野アルプス最大の難所のクサリ場があります。垂直に近い岩場を下るのでかなり高度を感じます。焦らず三点支持を守って慎重に下りましょう。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

クサリ場を越えたら間もなく最後のピーク「天狗山」(標高655m)に到着します。こちらも眺望はなく祠があるのみで、頂上らしさはありません。天狗山の手前に巻き道があるので、ピークをショートカットすることも可能です。

天狗山からはひたすら下山するのみ。樹林帯を進むと「大前集落」に出ます。民家のある舗装路からふたたび登山道へ入って進むと「華厳の滝登山口」があります。

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

華厳の滝登山口を左折したところに「秩父華厳前」バス停があります。ここから皆野町営バスで皆野駅まで戻れます。皆野駅までの所要時間は27分です。

秩父華厳の滝

【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)

せっかくなので、バスを待つ間に「秩父華厳前」バス停からすぐのところにある「秩父華厳の滝」にも寄ってみました。バス停から滝までは徒歩5分ほどです。日光の華厳の滝に似ていることから名づけられたそうで、落差約12mの崖を流れ落ちる迫力のある滝です。

さらに坂を登って滝の上の道に出ると、かなり個性的な表情の不動明王のモニュメントもあるので、時間があればぜび寄ってみてほしいスポットです。

皆野アルプス(破風山・前原山・大前山・天狗山)の概要

【出発地】
秩父鉄道皆野駅
【標高差】
459m
【歩行距離】
8km
【歩行時間】
4時間15分
【トイレ】
皆野駅(改札内)、秩父華厳の滝(観光トイレ)、皆野駅バス発着所(まちなか観光トイレ)
【コース】
皆野駅 → 大渕登山口 → 前原山 → 三又ピーク → 男体拝 → 猿岩 → 破風山 → 札立峠 → 如金峰 → 大前山 → 天狗山 → 「秩父華厳前」バス停

破風山(皆野アルプス)まとめ

皆野アルプスは、アルプスの名に恥じない、魅力あふれるルートだと感じました。破風山からの素晴らしい展望はもちろん、岩場や尾根歩き、ちょっとスリリングなクサリ場など、まさにアルプスをコンパクトにしたような雰囲気が感じられます。電車の駅からアクセスできる気軽なアルプスをぜひ体験してみてくださいね。

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【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳信仰の対象として人気の山であり、現在はケーブルカーで手軽にアクセスできることから、参拝者や観光客で1年中にぎわっています。

この記事では、丹沢・大山のルートや難易度、アクセス、紅葉ポイント、実際に歩いてみた感想を紹介します。

丹沢・大山(おおやま)とは

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

大山(標高1252m)は、周囲に同じような高さの山がない独立峰で、麓から見てすぐにわかるほどきれいな三角形をした山です。

丹沢の山々は急勾配が多いのが特徴ですが、大山は中腹の大山阿夫利神社までケーブルカーで行くことができ、登山道も歩きやすいよう整備されているので、登山初心者や子ども連れの登山に向いています。

一年中多くの参拝客が訪れますが、10月下旬から11月上旬は紅葉が見頃を迎えるベストシーズンで特ににぎわい、期間中は夜間にライトアップもおこなわれます。

丹沢・大山の場所とアクセス

大山は神奈川県伊勢原市にあります。都心からは小田急線を使って簡単にアクセス可能です。

大山の主な登山口である大山ケーブル駅へは、小田急線伊勢原駅から神奈川中央交通・大山ケーブル行きのバスで25分、バス停からさらに徒歩15分で到着します。新宿駅からの所要時間はおよそ2時間です。

マイカー利用の場合は、新東名高速道路の伊勢原大山ICより大山ケーブルバス停近くの市営大山第1・2駐車場まで10分程度です。

丹沢・大山の難易度

往復にケーブルカーを利用する阿夫利神社コースであれば、難易度は初級レベルです。ゆっくり登っても往復4時間以内で下山できるので、中腹やこま参道で観光や食事を楽しむこともできます。

登山道はしっかり整備されていて、ところどころに石の階段や木道があります。標識や丁目石が置かれ、道迷いの心配もありません。

丹沢・大山の主要コース

阿夫利神社コース

ケーブルカーを利用して中腹の大山阿夫利神社へ。そこから夫婦杉、富士見台を経て大山山頂(阿夫利神社本社)をピストンするコースです。標準コースタイムは3時間30分と時間に余裕をもって歩けます。

阿夫利神社~見晴台周回コース

登りは阿夫利神社コースと同じ。下山は見晴台方面へ下り、大山阿夫利神社へ戻る周回コースです。見晴台にはベンチとテーブルがあり、昼休憩にぴったりの場所です。標準コースタイムは往復ケーブルカー利用で3時間30分です。

ヤビツ峠コース

ヤビツ峠レストハウスからイタツミ尾根を登るピストンコース。山頂までの標準コースタイムは1時間20分と短く、スタート地点からの標高差も一番小さいコースです。

このコースは眺望こそ少ないですが、自然の魅力を感じながら登れます。ヤビツ峠コースはバスの本数は少なめですが、喧騒を避けて静かに歩きたい方におすすめです。

阿夫利神社~見晴台周回コースを歩く

紅葉が見頃の11月中旬に、阿夫利神社~見晴台周回コースを実際に歩いて紅葉スポットを巡ってきました。

大山ケーブルバス停~こま参道~大山ケーブル駅

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

小田急線伊勢原駅からバス停「大山ケーブル」まで。そこから昔なつかしい雰囲気のおみやげ店や飲食店が並ぶ「こま参道」を歩いて大山ケーブル駅まで向かいます。こま参道の階段は362段。ここを上るだけで登山前のいいウォーミングアップになりますよ。

今回は大山寺の紅葉を見たいので、ケーブルカーを利用せずに駅の左側にある登山道へと進みます。

女坂~大山寺

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

ケーブルカーを利用しない場合の登山道は、女坂と男坂の2ルートの道があります。女坂は比較的ゆるやかで途中に大山寺に立ち寄ることができるルートで、男坂はきつい坂がひたすら続く健脚向けルートです。今回は大山寺へ向かう女坂を選択しました。

女坂には「女坂の七不思議」と呼ばれる見どころが設けられているので、七不思議の看板を見つけながら登るのも楽しいですよ。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

女坂を20分ほど登ると、真っ赤に染まった紅葉スポットが現れました!紅葉を通り抜けた太陽の光が石階段を赤く染め、その美しさに思わず足を止めてしまいます。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

大山寺へ続く階段の紅葉も見事な色づきで、まるで紅葉のトンネルをくぐっているかのような、幻想的な雰囲気です。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

大山寺(おおやまでら)は山岳宗教の社寺で、山号を雨降山(あふりさん、あぶりさん)といいます。弘法大師が開祖ではなく、住職を務めたと伝わる珍しいお寺です。

西暦755年の開山以来、幾度かの大火にみまわれ消失したり、弾圧により破壊されたりしましたが、そのたびに再建され明治時代に現在の場所に移ったとのこと。奥深い山の中にある、荘厳な雰囲気を感じるお寺でした。

阿夫利神社下社~大山山頂

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

大山寺から眼下を走るケーブルカーを眺めながら40分ほど進むと、大山阿夫利神社下社に到着です。

大山は信仰の歴史が古く、奈良時代から信仰されていたといわれています。江戸時代になると講(町内会や同業者組合のようなもの)を作って集団で大山詣りツアーを行うのが人気となり、信仰と行楽を兼ね備えた庶民の観光スポットとしてもにぎわいました。

ここから、山頂までさらに登りますが、その前に「大山名水」をくむのがおすすめ!社務所の脇の小さな入り口から中へ入ると、龍のモニュメントの口からおいしい湧き水が出ていますよ。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

阿夫利神社下社から表参道を出発すると、いきなり長い階段上りが始まります。しばらく急な階段が続くので、ここで息が上がらないよう、なるべくゆっくり上るのがポイントです。

ここからは「〇丁目」と書かれた丁目石が設置されており、山頂が28丁目となります。目安にしながら進みましょう。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

道中には、8丁目に「夫婦杉」という樹齢5〜600年の巨木や、15丁目に「天狗鼻突岩」という穴の開いた岩など、いくつか見どころがあるので、休憩もかねて楽しみながら進みましょう。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

20丁目にあるのが「富士見台」。晴れていれば遠くに富士山が望めるスポットですが、この日は残念ながら雲がかかっていました。

ここからさらに進み、25丁目にはヤビツ峠方面との合流地点があります。ベンチのある箇所は少ないので、見つけたら無理せず、休憩をとりながらペースを守って登りましょう。

大山山頂~見晴台~二重の滝~大山ケーブル駅

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

鳥居が見えたら山頂はすぐそこ。標高1252mの大山阿夫利神社本社に到着しました。山頂からは伊勢原市内、横浜や東京方面が見渡せます。晴れていれば東京スカイツリーや横浜のランドマークタワーも見られますよ。

山頂付近には休憩ベンチやテーブルがたくさんあるので、ゆっくり休憩できます。見晴台方面へ少し下りたところにも休憩できる広場がありますので、混雑時にはそちらに行ってみるといいでしょう。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

下山は見晴台方面へ。登ってきた表参道と比べるとゆるやかで、木道や木の階段が整備されているので歩きやすい道です。

雷ノ峰(いかづちのみね)尾根をゆるやかに下ると見晴台という広場に出ます。ここは東側・北側の展望が開ける休憩スポット。大山は独立峰なので、それぞれのスポットから全方位の景色を見ることができるのも魅力です。

【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山

見晴台から平坦な道をさらに20分ほど下り、阿夫利神社下社へ戻ってきました。下山はケーブルカーを使い、6分でケーブルカー駅へ。そこからこま参道を下りてバス停まで10分ほどです。

阿夫利神社~見晴台周回コースの概要

【出発地】
大山ケーブル(バス停)
【標高差】
947m
【歩行距離】
6.4km(下りケーブルカー利用)
【歩行時間】
4時間30分
【トイレ】
大山ケーブル(バス停)、大山ケーブル駅、大山寺、大山阿夫利神社下社、山頂(本社)
【備考】
大山阿夫利神社下社に飲食店あり
【コース】
大山ケーブル(バス停) → こま参道 → 大山ケーブル駅 → 女坂 → 大山寺 → 大山阿夫利神社下社 → 富士見台 → 大山山頂(大山阿夫利神社本社) → 見晴台 → ケーブル阿夫利神社駅

丹沢・大山まとめ

丹沢大山は、美しい山容を持つだけでなく、深い歴史があり人々の信仰を集めてきた人気の山です。都心からのアクセスが容易で、中腹までケーブルカーが利用でき、トイレや飲食店も豊富にあるため気軽に登山にチャレンジできます。

大山周辺はおみやげ店や温泉などもあり、登山のあとも楽しみがいっぱいのエリアなので、ぜひ訪れてみてくださいね。

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【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴルジュ(両側から岸壁が迫った渓谷)の迫力ある景色が見られ、クサリ場や岩場のちょっとしたスリルも体験できます。棒ノ嶺(ぼうのれい)とも呼ばれます。

また棒ノ折山は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で話題となった平安時代末期から鎌倉時代初期の武将、畠山重忠ゆかりの山でもあります。この記事では、棒ノ折山のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。

棒ノ折山(棒ノ嶺)とは

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

棒ノ折山は奥武蔵エリアにある標高969mの山。白谷沢の渓流沿いを登っていくコースが人気で、夏に登るとせせらぎの音が爽快です。白谷沢の核心部であるゴルジュでは、棒ノ折山ならではの迫力ある景色が楽しめます。

低山ではありますが、コースの途中で沢を横切ったり、クサリ場を登ったり、せまい岩場の急登があったりとスリル満点。これらの箇所を越えたときの達成感が味わえる山です。

棒ノ折山の名前の由来

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

「棒ノ折山」の名前の由来となったのは、鎌倉時代の武将「畠山重忠」。武勇のほまれ高く、その清廉潔白な人柄で「坂東武士の鑑」と称された人物です。2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、中川大志さんが畠山重忠役を演じています。

重忠は鎌倉に出向くときに棒ノ折山のふもとの道を通っていましたが、美男子で有名な重忠をひと目見ようと女性が集まってきたので、うっとうしく思い棒ノ折山へ登りました。すると、あまりの眺望の素晴らしさに力がみなぎり、思わず石棒を折ってしまったというエピソードが山の名前の由来となっています。

ただし、山の名前の由来には諸説あり、ただ単にこの山で愛用の石棒が折れたからという説もあります。奥多摩側の百軒茶屋から登る登山道沿いにある祠には、その折れた石棒の片割れといわれる石柱が祀られています。

棒ノ折山の場所とアクセス

棒ノ折山は東京都西多摩郡奥多摩町と埼玉県飯能市との境にあります。東京方面から白谷沢コースの登山口へアクセスするには、池袋駅から西武池袋線急行で飯能駅へ。そこから国際興業バスの「ノーラ名栗・さわらびの湯」経由「湯の沢」「名栗車庫」「名郷」行きのいずれかに乗り、「ノーラ名栗・さわらびの湯」で下車します。

所要時間は、池袋駅~飯能駅約50分、飯能駅〜ノーラ名栗・さわらびの湯約40分。

マイカーの場合は、さわらびの湯の登山者専用の大きな駐車場(第3駐車場)が無料で利用できます。また、白谷橋付近にも5〜10台程度の駐車場があります。

棒ノ折山の難易度

一番ポピュラーな白谷沢コース(沢登りコース)の難易度は初級程度です。登山道は丸太の階段が崩落している箇所はありますが、ほとんど整備されていて登りやすい道です。ただし沢沿いは濡れていて滑りやすい箇所や、急登でクサリ場になっている箇所があり、天候によっては難易度が上がるので、初心者であれば天候が荒れない日を選ぶのがいいでしょう。

また、11月下旬頃から4月頃までの雪が積もる期間の沢登りコースは凍結で滑りやすく危険なので、初心者にはおすすめできません。

白谷沢~滝ノ平尾根周回コースを歩く

沢登り気分を味わえる一番人気の白谷沢コースから棒ノ折山の山頂を目指し、滝ノ平尾根から出発地点へ下る周回コースを実際に歩いてきました。

ノーラ名栗・さわらびの湯バス停~有間ダム~白谷沢登山口

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ノーラ名栗・さわらびの湯バス停で下車すると、アウトドア施設「ノーラ名栗」があります。この先にはトイレ施設がないので、ノーラ名栗の駐車場奥のトイレを利用しましょう。

白谷沢登山口へはバス停から25分ほどアスファルトの車道を歩きます。

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

バス停から10分ほど歩くと有間ダムに出ます。ここはバイクのツーリングに人気の場所で多くのバイクが停まっていました。

ダムの堤上を渡ったら右へ曲がり、白谷橋までダムを右に見ながら進みます。

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

白谷沢コースの登山口には登山届のポストがありました。ここから登山道が始まります。

白谷沢~岩茸石

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杉林の中をゆるやかに登っていくと、いつしか沢沿いの道に。幾度か沢を横切る際、足元ばかりに注意しているとルートを見失いそうになるので、案内標識を確認しながら進みましょう。

せせらぎを聴きながらさらに進むと、両側から岩壁がのしかかってくるようなゴルジュが現れます。ここが白谷沢コースの一番の見どころ。一般山道とは思えないほどの迫力ある光景に圧倒されながら通過していきます。

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

岩場の急登にはクサリ場が設けられていますが、三点支持に気を付ければ難しくはありません。登山者が多い日だと渋滞するので、間隔を空けながらゆっくり進みましょう。

クサリ場を越えると間もなく「白孔雀の滝」が現れ、そこを過ぎると岩場が終わります。岩場がなくなるとしばらく丸太の階段が続く登りやすい道が続きます。林道を横切ったところに休憩ベンチがあるので、その先の急登に備えましょう。

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

休憩場所から20分ほど登ると「岩茸石」に到着します。5mほどの巨岩とベンチがあり、棒ノ折山山頂方面、下山コースとなる河又名栗湖入口バス停方面、トウギリ林道方面(現在は通行止め)への分岐ポイントとなっています。

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いくつか階段がありますが、ほとんど崩落しており利用禁止の貼り紙がありました。ここは無理せず脇道を通りましょう。

権次入(ゴンジリ)峠~棒ノ折山山頂

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岩茸石から山頂方面へ25分ほど登ると「権次入(ゴンジリ)峠」に到着。ベンチがたくさん並んでいる広場で、黒山・高水三山方面への分岐もあります。山頂までは残り15分ほどです。

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棒ノ折山山頂(969m)に到着しました。山頂はとても広く、東屋やベンチが多数設けられています。この日も山ごはんを楽しむ登山者で賑わっていました。

北側から東側にかけて開けた山頂からは、奥武蔵の山並みが一望できます。気象条件が良ければ、日光連山や谷川岳まで見られる日もあります。

棒ノ折山山頂~滝ノ平尾根~ノーラ名栗・さわらびの湯バス停

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

山頂の景色をたっぷり楽しんだら下山を開始します。下山にかかる時間は1時間45分ほどです。

まずは登りと同じ道を岩茸石まで戻り、岩茸石の左脇に回り込み河又名栗湖入口バス停方面へ。しばらくなだらかな尾根道を進み、途中3回アスファルトの林道に出ますが、そのまま横切りふたたび登山道へ入ります。

杉林の道は木の根が張り巡らされていて傾斜も急なので、つまずかないように注意しましょう。登りの岩場とはまた違う緊張感があり、思ったよりも疲労感がありました。

【棒ノ折山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山

登山ポストのある地点まで下山してきました。このまま橋を渡って、突き当たりの左手にある坂を登るとノーラ名栗・さわらびの湯へ到着します。帰りのバス時間を確認し、余裕があればさわらびの湯へ立ち寄るのもいいでしょう。

棒ノ折山白谷沢~滝ノ平尾根周回コースの概要

【出発地】
国際興業バス「ノーラ名栗・さわらびの湯」バス停
【標高差】
969m
【歩行距離】
8.3km
【歩行時間】
4時間10分
【トイレ】
ノーラ名栗駐車場付近
【備考】
ノーラ名栗に売店・自動販売機あり
【コース】
「ノーラ名栗・さわらびの湯」バス停 → 白谷橋登山口 → 岩茸石 → 権次入(ゴンジリ)峠 → 棒ノ折山 → 岩茸石 → 滝ノ平尾根→ 「ノーラ名栗・さわらびの湯」バス停

棒ノ折山まとめ

棒ノ折山は、一般コースなのに爽快な沢登り気分を味わえる珍しい山です。ゴルジュの迫力と沢沿いを進む面白さはほかの山ではなかなか体験できません。

また畠山重忠ゆかりの山ということで、大河ドラマで畠山重忠に興味を持った方は歴史に思いを馳せながら登る楽しさも味わえるのではないでしょうか。

都内からも楽にアクセスもでき、下山後に温泉が利用できるところも嬉しいポイント。
ぜひ棒ノ折山に登ってみてくださいね。

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