「山歩きのことを体系的に学びたい」
そう考えるようになったのは、山登りを始めて2年が経とうとするときでした。山登りはあまりソロでは行かずに、誰かと行くことが多いのでこの機会にガイド資格を取って自然の案内ができたらいいなあと決心したのです。
「自然ガイドへの道」と称して、これから資格取得までに学んだこと、やったことを書いていきます。同じ価値観や目標を持った人の参考になれば幸いです。
自然ガイドをやることに実は資格は必要ありません。今から僕も「自然ガイドやってます!」といえばできるのです。
だからといって誰にでもできるものでもありません。多くの登山経験があることはもちろんのこと、登る山のコースやリスク回避、同行者の体力の調整、天候の判断、何かあったときのためのファーストエイドなど、山の中で起こる様々な事象の対応と判断を連続的にしなくてはなりません。
さらに同行者に山を楽しんでもらうために、登っている山の歴史や成り立ち、そこから見える山々のことなど、山や地域、風土や民俗の知識も必要になってきます。
自然ガイド(ネイチャーガイドとも呼ばれます)をするにはどうすれば良いでしょうか。現状をみると資格ありなしを含めて大きく3つに分けられています。
・民間でガイドを行う(資格なし)
・自治体主導でガイドを行う(定められた条件を満たす)
・日本山岳協会が発行する資格を取得する
僕が目指しているのは「日本山岳協会」が発行する自然ガイド資格をとることです。
本来の目的である「山のことを体系的に学ぶ」ためには、一番効率よくわかりやすい道だと考えています。もっときちんと学びたい方は国際自然環境アウトドア専門学校という資格取得に向けた学校もありますので、そこで学ぶのもいいかもしれません。
ガイド資格には自然ガイドだけではなく、ガイドができる対象範囲やレベルに応じた資格が発行されています。
・自然ガイドステージⅠ
・自然ガイドステージⅡ
・登山ガイドステージⅠ
・登山ガイドステージⅡ
・登山ガイドステージⅢ
・山岳ガイドステージⅠ
・山岳ガイドステージⅡ
・国際山岳ガイド
その他にも「フリークライミングインストラクター」や「スキーガイドステージⅡ+登山ガイドステージⅡ」も用意されています。
この中で目指しているのは「自然ガイドステージⅠ」で、試験は筆記と実技があるようです。実技試験は何日か泊まって行うようなので仕事をされている方はお休みをとる必要があります。
「自然ガイドステージⅠ」の内容的には
国内において 無積雪期に、人間社会と隣接する里地・里山・山地・高原において自然、歴史、民俗等を解説する自然ガイド行為を行う事が出来る。※自然ガイド単独資格者は、ピークハントが主たる目的となる登山ガイド業務は、行ってはならない。
となっています。
僕がやりたいことは「国内において無積雪期に、人間社会と隣接する里地・里山・山地・高原において自然、歴史、民俗等を解説する自然ガイド行為」で十分なので、これより先のガイドは望んでいません。(今のところ!)
「自然ガイドステージⅡ」との違いはガイドの対象範囲の差ですね。もしかすると欲が出てステージⅡの資格を取りたくなるかもしれませんが、まだ何もできていないので、他のことは考えず目的に向かっていきます。
各資格について細かな内容は日本山岳ガイド協会のホームページにてご確認ください。
【参考】
公益社団法人日本山岳ガイド協会
「自然ガイドステージⅠ」の試験を受けるためには条件を満たさなければいけません。
受験資格の項目にはこう記されています。
「満20歳以上で健康で体力があり、通算100日以上の自然活動経験を有する者」
年齢や体力は問題ないとして「100日以上の自然活動経験」とは一体なにをもって自然活動経験というのかがわかりませんでした。それをどのように証明するのかも今の時点では不明なのでどこかで掘り下げる必要がありそうです。そもそも自然活動経験がなんなのかをみていきます。
自然活動経験について調べてみると、さすがウィキペディア先生といわんばかりに出てきました。他のサイトも同じようなことが書いてあるので恐らく下記のことだろうと想定します。
自然の中で自然を利用して行う各種活動であり、具体的にはキャンプ、ハイキング、スキー、カヌーといった野外活動、動植物や星の観察といった自然・環境学習活動、自然物を使った工作や自然の中での音楽会といった文化・芸術活動、一次産業体験(農作業体験・漁業体験等)などを含んだ総合的な活動である。(Wikipediaより)
う〜ん、とにかく自然でなにかしらの経験を100日以上積んだかどうかということなのでしょうか。もちろんネットに書いてあることと、日本山岳ガイド協会が求めている「自然活動経験」の定義が違うかもしれないので証明する方法とともに確認する必要がありそうです。
登山経験と併せて過去のキャンプやハイキングを合算すると恐らく100日以上は経験してる気がしますが、一度洗い出して整理してみます。そもそも日数が足りなかったら応募することすらできないのでかなり重要なポイントです。
自然ガイド資格のことを学ぶためには「日本山岳ガイド協会」が販売している教本をいくつか取り寄せる必要があります。本屋に売っていないか回ってみましたがどこにも見当たらなかったことから「日本山岳ガイド協会」ホームページから購入するしかなさそうです。
ということで早速購入することに。今回自然ガイド資格ということで下記の3冊を購入しました。
・ガイドの基礎的知識教本 改訂版(3,000円)
・自然・登山ガイドの専門的知識教本 (3,000円)
・山のファーストエイド教本 (3,000円)
筆記試験の問題集も販売していますが、これを先に見てしまうと「試験対策」としてのお勉強になってしまうので最後に購入することにします。その他の本ももしかすると必要になってくるかもしれませんが、そのときはそのときに購入しようと思います。自然ガイドの資格を取りたい人はこの本を買って!というセットになっているとありがたいですね。
ネットの便利さに慣れてしまった人にはハードルが高くなりますが、本の購入は指定の用紙をプリントアウトして、欲しい本にチェックと必要事項を記入してFAXします。その後、指定の銀行口座に料金を振り込みます。今回は合計9,000円を指定の口座に振り込みしました。
しばらく時間がかかるのかなと思っていましたが、なんと料金を振り込んでからわずか2日で届きました!早い対応ありがとうございます。本が届くと一層モチベーションが上がりますね!
自然ガイドのことを体型的に学びたく申し込みしたら2日で届きました!
近い未来のために必要な資格。どうやって取得すればいいのかも調べたけど時系列的なものがなかったので何かの参考になればと取得までを記事にしていきます。
これから迎えるAI時代の山登りの楽しみ方を模索していきたい pic.twitter.com/iujtRLLNt4
— 宮本 将弘 (@masa_yco) 2018年3月28日
今回僕は3冊でしたが、これが正解ではないのでご自身が必要だなと思ったものを購入するようにしてください。本の購入ページはこちらになります。
【教本の購入はこちら】
公益社団法人日本山岳ガイド協会の刊行物一覧
ガイドを応募している会社の多くは「資格を取得している人」が必須なこともあり、ガイドをしている人のほとんどが資格を持っています。資格なしで自然ガイドもできるとありましたが、実際どんなものなのか気になりますね。
資格を必須としていない場合のガイドは、自治体や民間の団体が開催する子どもと一緒にする自然体験や短時間のハイキングといったもので、比較的小さな規模で行われてるものが多いようにみえます。
もちろん資格がないといっても経験豊富な人が案内するので、参加する場合は不安にならずに案内人やイベント情報をよく見て判断してください。
ガイド資格はなくても、そのエリアならではの条件に合格できれば自治体公認のガイドになることも可能です。有名な公認ガイトとして世界自然遺産に認定されている「屋久島公認ガイド」や「白神山地のガイド」が挙げられます。
その他にも広大な自然を誇る北海道では地域ごとに公認ガイド制度がありますし、ジオパークと呼ばれる古代の地層を案内する公認ガイド制度も各地にあります。
山好きが集まる長野県でも「信州登山案内人」というエリア限定のガイド資格もあるので、既に好きなエリアが決まっていれば、そこだけの公認ガイドを目指すのも良いですね。
「ガイドは人の命を預かっている」という心構えも必要です。トムラウシ山遭難事故や白馬遭難事故などガイド付きの登山ツアーで起きた事故は引率したガイドに責任が問われます。それは僕の目指している自然ガイドも同じこと。
山は楽しい反面、危険なことも起こりうるものです。その場その場で的確な判断や対応が求めらることを理解しないといけません。
将来的にどれくらいの頻度でガイドの仕事をするかどうかは未定ですが、「山歩きのことを体系的に学びたい」という思いを実現すべく、自然ガイドへの道を歩いていきます。今回は第一歩として自然ガイドの資格について知り、必要な教本を取り揃えました。これから色々学んでいくのが楽しみです。
▼山歩きを始める前に読んでおきたい本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
登山での食事はみんなどうしてる?カロリー重視で軽くて気軽さが大事
登山の楽しみの一つは「食事!」と答える方も少なくないでしょう。山でいただく食事は格別です。登山はエネ…
登山のおすすめ時期はいつ?山の季節によって変わる難易度や注意点
登山の魅力的の一つに「季節の違いによって全く違った表情を見せてくれること」と答える登山者は多いでしょ…
大地の記憶と自分の記憶を巡る旅。地球を「はぎ取る」展 体験レポート
山を歩いていると山肌が露出している光景をよく見かけます。その時はあまり気にせず山を歩きますが、そうい…
登山でタイツは必要?効果やデメリット、人気メーカーをご紹介!
登山をする多くの人が着用しているタイツは険しい山を登るための必須アイテムになりつつありますね。近年で…
100万年後の山歩き。山ハレ鳥トケへの想い
地球が誕生したのが46億年前 人類が誕生したのが1億年前 富士山が誕生したのが300年万前 近代登山…
趣味の一つに「登山」という選択。登山の魅力や気になる費用
人それぞれ好みはあるけれど、趣味の一つの選択に「登山」を入れるのはいかがでしょうか?というお話です。…
登山は季節ごとに変化する。春夏秋冬の魅力を知り日本の自然を味わおう!
日本には美しい四季があり、その四季に合わせた登山の魅力や楽しみ方があります。同じ山でも季節によって全…
トレッキングのおやつは何を持っていく?おやつの重要性と最適な選び方
トレッキングや登山の楽しみの一つともいえる山でのおやつ。「何食べようかな〜」と選ぶときも楽しいですよ…
【御岳山】ロックガーデン山歩き。ゆっくり歩くと見えてくる「小さな世界」
東京都・奥多摩にある御岳山。ロックガーデンと呼ばれる沢沿いを歩くコースは東京屈指の癒しスポットです。…
登山の防寒着は何にしよう?防寒着の素材と用途に合わせた選び方
秋冬シーズンだけではなく、真夏であっても高い山は気温が低くなります。一年を通して登山に防寒着は欠かせ…
登山でサコッシュが重宝される理由。便利な持ち物とおすすめブランド
サコッシュとは小型のショルダーバッグのことです。元々は自転車のロードレースなどで使用されていましたが…
トレッキングポールは登山に必要?初心者こそ揃えておきたい理由と選び方
登山の際、トレッキングポールを使うと体への負担を分散させ、歩行時の推進力をアップさせることができるの…
登山向けクッカーの選び方。素材の特徴とおすすめクッカー
みなさんはクッカーについて何かこだわりを持っていますでしょうか。特にこだわりなく、ただの鍋だと認識し…
登山のもしもに備える非常食。行動食との違いや適切な食料とは
登山やハイキングの食料は、みなさんはどのくらい持っていきますか? 「その日食べたい分を持っていく」と…
登山しながら御朱印巡り。苦労してまで欲しい霊山の御朱印
みなさんは趣味の一つとして、御朱印集めが密かに流行っているのをご存じでしょうか?御朱印集めにハマる女…
ひとり登山の魅力とは。リスクを知りつつ、安全登山を心掛けよう
山雑誌では、毎年必ず単独行の特集が組まれるほど、ひとり登山の人気は高まっています。ひとり登山は、グル…
里山活動は未来の街作り。活動の目的やwithコロナの里山暮らし
2020年4月7日コロナの感染拡大防止のため日本でも緊急事態宣言が発令されました。それによって外出自…
登山者の年齢層はどれくらい?遭難事故の傾向や若い世代の特徴
登山と言えばかつては大学や社会人の山岳部や山岳会をイメージされていましたが、1990年代には中高年の…
夏山登山の服装をチェック!山にあわせた快適な服選びと基礎知識
夏は富士山を代表として、多くの高山が開放される時期です。最も登山に適した季節ともいえますが、服装選び…
登山で使う寝袋(シュラフ)の選び方。対応温度や収納性をチェック!
日帰り登山に慣れてきたら宿泊登山にもチャレンジしてみたくなるものです。寝袋(シュラフ)で寝るなんて想…
登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方
「日帰り登山だからヘッドライトは必要ない」と考える方もいらっしゃいますが、ヘッドライトは必需品です。…
登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ
登山をするにあたって、必ずと言っていいほどついて回るのが虫問題です。一般的には虫除けスプレーを身体に…
泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー
日帰り登山に慣れてきたら泊り登山にチャレンジしたいと考える方は少なくありません。「山小屋」を利用すれ…
登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!
登山を楽しく安全に行うには、事前の準備がとても重要です。特に前日の行動において注意しておきたいことが…
登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!
登山でいざというときに役立つのが「ホイッスル」です。滑落や遭難、ケガで動けなくなったときに救助を呼ぶ…
初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!
「体力がないから山に登る自信ない…」「遭難とか怖そう…」など、登山は未経験者からすると距離が遠いイメ…
登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント
登山用のヘルメットと聞くと経験豊富な登山者が穂高岳や槍ヶ岳などの高い山で使うものと、低山やハイキング…
春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山
長い冬が終わり春の暖かい気候に恵まれると、途端に登山心がうずくものですね!春から登山を初めてみたいと…
登山で遭難しないために知っておきたいこと。過去から学び万が一に備える
登山遭難者は毎年増加傾向にあり、山での遭難は他人事ではありません。登山は危険と常に隣合わせです。対応…