春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花がありますよね。この記事では、春の山に咲く花のなかで人気の高い「ミツマタ」の魅力と、ミツマタが楽しめるハイキングスポット「不動尻ミツマタ大群生地」を紹介します。山の斜面一帯を黄色で埋め尽くす光景は圧巻です。
今回紹介する「不動尻ミツマタ大群生地」は、都心からアクセスの良い東丹沢に位置する、神奈川県内最大規模を誇るミツマタ群生地です。不動尻までは舗装された林道歩きとなり、ハイキング感覚で山歩きが楽しめます。不動尻周辺は、ハイキングコースが整備されていて、一枚岩の「不動の滝」も見どころ。
足を延ばせば「大山(おおやま)」や「鐘ヶ嶽(かねがたけ)」、「日向山(ひなたやま)」などに登ることもでき、ルートバリエーションも豊富です。
不動尻のミツマタの見頃は、年により変動しますが、例年3月中旬〜4月上旬頃です。
まだ肌寒さの残る3月中旬頃に咲き始めるミツマタ。名前の通り、枝が「三つ又」に分かれ、その先に黄色く丸い形をしたかわいいお花を咲かせます。無数の黄色い花が森を覆うように広がる様は幻想的です。また、高さが1〜2mくらいなので、ミツマタと一緒に写真撮影したり、近寄って観賞したりすることができます。ただし、マナーを守ってミツマタを傷つけないよう配慮してくださいね。
「広沢寺(こうたくじ)温泉」をスタートして、「二の足林道」を通り、ミツマタ大群生地である「不動尻」を目指します。
「広沢寺温泉」バス停のすぐ近くに「広沢寺前駐車場」があります。駐車場には、トイレ、水場、登山ポストがあり、準備を整えて出発することができます。ミツマタの時季の不動尻はたいへん人気があり、大勢のハイカ―が訪れます。
不動尻までは、舗装された林道を約3.5km(約1時間)歩きます。コースは1本道でわかりやすく、起伏も緩やかです。スニーカーでも歩けますが、軽登山靴があれば安心です。
30分くらい歩くと二の足林道のゲートがあります。不動尻にあったキャンプ場の閉鎖に伴い、ここから先は車両通行止となっています。ゲート手前には湧き水があります。
ゲートから10分くらい進むとトンネルがあります。全長200mほどの、照明のない薄暗いトンネルです。照明がないせいか、案外長く感じるので、暗闇が苦手な方はライトがあると良いでしょう。
二の足林道終点後は、谷太郎(やたろう)分岐のある「一の橋」、「二の橋」を渡り、右に谷太郎川を見ながら進んでいきます。林道は終点となりますが、舗装された道が続きます。途中、キブシ、ダンコウバイ、ハナネコノメ、ハルユキノシタ、フサザクラなどの春のお花たちに出合え、ミツマタの群生を見る前から花探しに夢中になってしまいます。
フサザクラは、見た目が唐辛子みたいなユニークなお花です。
ミツマタの群生がついに登場!沢沿いにたくさん咲いています。その脇には、ベンチと仮設トイレが設置されているので、ベンチで一休み。ミツマタの甘い香りを運ぶ春のそよ風が心地良いです。
最後に「三の橋」を渡ったら不動尻に到着です。
不動尻の中心の広場は、元キャンプ場だったこともあり広々したスペースになっています。新たにテーブルとベンチが設置され、ランチ休憩に最適です。暖かい日は、春のピクニック気分を味わえることでしょう。
広場周辺がミツマタ大群生地で、山の斜面にもたくさんのミツマタが自生しています。モノクロの世界を一気に鮮やかにするミツマタは、何度見てもかわいくて元気の出るお花です。
カメラは、前ボケを意識するとふんわりした一枚を撮ることができますよ。
広場のミツマタを堪能したら「不動の滝」を目指します。不動尻の広場までは歩きやすい林道でしたが、ここから先は沢を渡ったり滑りやすい箇所を通ったりするため登山靴が必要です。
広場の奥、大山沢に沿って進みます。最初はミツマタのトンネルを抜けていきます。途中にハイキングコースの分岐がありますが、直進します。
何度か沢を渡ります。飛び石もあり足場が悪いため、落ちないように注意しましょう。
不動の滝は、高低差こそ少ないですが、大きな一枚岩の美しい滝です。岩に着生した苔の雰囲気も趣があります。
滝の近くにはたくさんの「ハナネコノメ」が咲いています。「ハナネコノメ」は、白い花びらに雄しべの赤い葯(やく)が特徴的な花。5cmほどの小さなお花でかわいらしいです。ミツマタはもちろん、ハナネコノメを見るのを目的として不動尻に訪れる人も少なくありません。
不動尻まできたら「不動の滝」まで足を延ばして、マイナスイオンたっぷりの滝やハナネコノメもぜひ堪能してくださいね。
広場を拠点にミツマタが楽しめるハイキングコースが整備されています。ジグザグの周回コースで、1周約1時間、150mくらいの高低差がある山道です。
不動の滝から少し引き返し、ハイキングコース分岐を左に折れ、ジグザグの狭い坂道を登っていきます。ハイキングコースを時計回りに周るルートとなります。道の左右は、ミツマタに囲まれたミツマタ回廊です。
コースの一番上で大山方面から下ってくる道(分岐)と合流して、不動尻広場の方へ下ります。
上から見下ろすミツマタの群生も圧巻!ミツマタは下を向いて咲くので、上から見ると黄色ではなく白いポンポンに見えます。
不動尻ハイキングコースは高低差があるため、時季によっては、蕾~満開の、さまざまな過程のミツマタが楽しめます。また、寒暖差のある時季でもあるため、年によってはミツマタと雪とのコラボレーションという珍しい光景も見られます。
※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。
七沢温泉郷の一軒宿で秘湯の情緒があります。露天風呂も開放的。美人の湯といわれる強アルカリ源泉の湯でお肌つるつるに。
※情報は変更されている可能性があります。最新の情報をご確認ください。
私にとって、この時季の恒例スポットとなっている「不動尻」。ミツマタが楽しめるハイキングスポットは各地にありますが、「不動尻」は都心からのアクセスが良いうえに、群生の規模が大きいため、満足感があります。また、ミツマタだけでなく、ハナネコノメの花や不動の滝など見どころが多いのも魅力のひとつ。
林道歩きは、山やハイキングをこれから始めたい人にとっても無理なく楽しめるでしょう。本格的な夏山シーズンを前に、この時季にしか出合えない「山に春を告げる花」を見つけに、山へ出掛けてみてはいかがでしょうか。
▼登山やハイキングの体作りの参考に
▼登山をサポートしてくれるアイテム
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HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
こういう景色や山道が好きなんですが、同じような方います? #里山トラベル pic.twitter.com/y2tOkLOKlU
— m.miya | toritoke.inc (@masa_yco) September 28, 2019
山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。
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