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隠岐諸島の絶景をさがしに西ノ島の天空の道を歩く

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隠岐諸島の絶景をさがしに西ノ島の天空の道を歩く
島根半島から北東に約65km。隠岐諸島は島前(どうぜん)と呼ばれる西ノ島、中ノ島、知夫里島(ちぶりじま)と島後(どうご)と呼ばれる隠岐の島の4つの有人島と約180の小島からなる島々です。その隠岐諸島の西に位置するのがその名のとおり西ノ島。

西ノ島の西部に素敵な散歩道があります。海を眺め、のどかに草を食む馬を愛で、やわらかい光と心地よい潮風を頬に感じながら、海抜200mを超える天空の道を歩きました。

西の島の概要

西の島は、隠岐諸島の島前(どうぜん)の西に位置する島です。昔、火山だったこの島は、起伏が激しく、ダイナミックで動きのある風景とのどかな風景が混在する美しく不思議な島です。

歴史・産業・自然

隠岐諸島は、約1万年前に現在のような離島になりました。かつては島ではなく、ユーラシア大陸の一部でしたが、大陸の一部から湖の底になり、海底になり、島根半島とつながった陸地となり、やがて島となりました。

このような過程をたどり、独特の生態系や文化が生まれました。1963年には「大山・隠岐国立公園」に指定、2013年には「地球を学び丸ごと楽しめる場所」であるユネスコ世界ジオパークに認定されています。

隠岐は歴史的に古い島であるといわれています。大陸間海上交通の要衝として、古代国家の体制が確立すると、島でありながら一国として扱われました。律令時代から近世までは流刑の島として、遠流刑に処せられた人々を受け入れてきました。

近世は、北前船の風待港として栄え、上方文化の影響を強く受けました。このような歴史的背景から、島には史跡が数多く残されています。現在の西ノ島では、漁業、観光、畜産が主要産業となっています。

畜産について注目すべきは、地区の住民であれば土地の所有に関係なく誰でも平等に牛馬を放牧できるということ。島を散歩しているとのんびり草を食む牛や馬と出会います。

島へのアクセス

西ノ島には空港がありません。島にたどり着くための本州からの交通手段は航路のみ。七類港(島根県松江市)や境港(鳥取県境港市)からフェリーか高速船を利用して島に渡ります。

フェリーだと最短で約2時間半、高速船で約2時間。2つの港の最寄りの空港は米子鬼太郎空港です。米子鬼太郎空港から七類港間はバスが運行していますし、境港へはJRとバスが運行しています。

隠岐の島には隠岐世界ジオパーク空港があるので、大阪や出雲縁結び空港から隠岐の島へ飛行機で移動し、その後、航路で西ノ島へ移動するという方法もあります。

島到着!別府港から摩天崖遊歩道へ

西ノ島の玄関口、別府港に到着!摩天崖遊歩道を歩く場合、別府港から町営バスやタクシー、レンタサイクルを利用して移動します。シーズン中は、港から国賀浜まで1日数本ですが町営バスが運行しているので、事前に時刻表を調べておきましょう。

別府港から浦郷まで車で移動後、歩いて国賀浜へ

西ノ島を訪れたのはオフシーズン中の11月。オフシーズン中は、港から遊歩道の入口となる国賀浜までのバスが運行していません。仕方ないので、港から浦郷まで宿の送迎車で移動後、浦郷から国賀浜まで歩きました。

海を眺めながら、国賀海岸線道路を歩きます。漁業神、海上守護神として島内で信仰されている由良比女(ゆらひめ)神社や牛が100頭入るといわれる西ノ島で一番大きい100頭牛舎の前を通り、1時間ほど歩いて国賀浜へ到着。道すがら、道路をゆっくり横断して草地へのんびり向かう牛たちに遭遇しました。

由良比女神社

別府港から由良車庫までは年間をとおして町営バスが運行しており、途中、由良比女神社での乗り降りも可能です。目的地に向かって効率良くまっすぐに進むよりも、たまには、のんびりと途中で寄り道しながらゆっくり歩くのもいいかもしれません。そうすることで、そこにある風景を心をとおして見つめて、自分の中に取りこめるのではないか。牛たちがのんびり歩く姿を眺めていたら、そんな気がしました。

別府港からE-BIKE(電動自転車)で摩天崖展望台駐車場へ

別府港に到着したら、まず、立ち寄りたいのが西ノ島町観光協会。第2ターミナル1階の事務所でマップなどの資料をいただきましょう。

西ノ島町観光協会では、有料で自転車を借りることができます。ママチャリ、電動アシスト付きの自転車(電動アシスト付きママチャリ)、E-BIKEが借りられます。E-BIKEは電動アシスト付きのスポーツバイク。電動アシスト付きママチャリよりも軽く、小回りが効き、軽快な動きが可能です。

西ノ島は坂道が多く、別府港から摩天崖展望台駐車場まで行く場合はアップダウンがきついので、小回りが効き、坂道もらくらく走ることができるE-BIKEがおすすめです。E-BIKEは当日でも空いていれば借りられますが、台数が限られているため、事前に観光協会に予約を済ませておきましょう。

E-BIKEを借りると無料でヘルメットや自転車用ザック、ズボンバンド、E-BIKEバッテリー充電器などの付属品も借りられるので、装備に関しても安心です。

観光協会の方から使用方法、注意事項等、説明を受けたら、ヘルメットをかぶって出発!別府港から摩天崖展望台駐車場(E-BIKE駐輪可能)まで、坂道はみっちり電動アシストを利用して、1時間ほど走りました。

走行速度は、E-BIKEに装備されているモニターでチェックすることができます。下り坂ではついスピードが出てしまうので、あわててブレーキをかけながら、時速10~20kmくらいのスピードで走ったところ、往復で2時間かかりませんでした。

摩天崖展望台駐車場から国賀浜までゆっくりと風景を楽しみ、途中、休憩をとりながら、しっかり歩いて往復するなら、少なくとも5時間はE-BIKEを借りたいところです。

天空の遊歩道を歩く

摩天崖遊歩道は、摩天崖から国賀浜にいたる約2.3km、高低差約250mにわたる遊歩道。西ノ島の北側から西側にかけて、約13kmにわたって高さ200mから250mの海食崖(かいしょくがい)が続く国賀海岸の一部が遊歩道として整備されています。歩くと片道約70分。体中で自然を感じられる素晴らしい散歩道です。

国賀浜から摩天崖へ(のぼり)

国賀浜から遊歩道を歩き始める場合、摩天崖まで上り道となります。スタート地点となる国賀浜駐車場から国賀神社までは下り道。途中、公衆トイレもあるので安心です。国賀神社は浜の脇にたたずむ小さな神社で毎年4月下旬になると町長以下、観光関係者が神社に集い、一年の国賀観光の安全を祈願しているそうです。

神社に立ち寄り、道中の安全を祈願してから歩き始めるのもよいかもしれません。夏になると神社裏手の浜では、トウテイランやハマゴウなどが咲き誇ります。遊歩道の両脇にはハマゴウの群生地が広がっており、7月中旬から8月上旬頃にかけて青紫色の花を咲かせるそうです。歩き始めて早々、草を食む馬に出会いました。

通天橋

放牧地の中にある遊歩道なので、馬や牛と出会うのは当然です。雄大な海を背景にのんびりと草を食む馬の姿をいつまでも眺めていたい気持ちをおさえて、歩を進めます。荒々しい海の存在を嫌でも想像してしまうような細長く鋭利な姿で海中からそびえ立つ観音岩などの奇岩怪石が集まる国賀海岸の天上界を傍目に歩き抜けると通天橋と呼ばれる海上に大きくせり出した岩のアーチが近づいてきます。

波の浸食によってできた洞窟が入口部分だけを残して崩れてできたアーチ。赤茶色、くろがね色、ラクダ色、色とりどりの地層が幾重にも重なっています。

アーチをくぐり抜けた気分になって摩天崖までひたすら上ります。遊歩道は土道ですが、ところどころ階段が整備されていて歩きやすいです。上りきったところで一気に展望が開けます。馬たちがのんびり草を食んでいる草原は、高さ257mの摩天崖の頂上から見ると天空に浮かぶ草色のじゅうたんのよう。

空と海の間に浮かぶ草色に輝く荒々しい海がつくった大絶壁、摩天崖。がんばって上りきった先にひらける景色に感動もひとしおです。絶景を堪能したら、なだらかな下り道を歩いて摩天崖展望台駐車場へ抜けます。

摩天崖から国賀浜へ(くだり)

摩天崖展望台駐車場から歩き始める場合は、なだらかな上りの後、摩天崖頂上に到達します。上りといっても国賀浜からの上りに比べると断然楽なので、体力に自信がない方や時間的に余裕がない方は、ワクワク感は低下しますが摩天崖展望駐車場から摩天崖頂上までピストンで歩くのもありです。

せっかくなので、摩天崖から望むのどかな風景とは対照的な天上界の風景も味わって欲しい気はしますが。摩天崖頂上から国賀浜へ抜ける下りはかなり急なところもあるので、足元を十分確認しながら歩きましょう。

ライター所感

美しくのどかな摩天崖と切り立った奇岩がそびえ立つ天上界。まるで静と動のように対照的な自然。その自然に身を置き、そこを歩くことで、荒々しい海や大地の鼓動の中で穏やかに移ろいゆく不思議な生命の営みを感じました。

レンタル自転車の時間を気にして歩く私のかたわらでは、馬や牛がゆっくり草を食み、静かに流れる時間がありました。今度は、花々が咲き、草原を彩る夏に歩きたいです。

参考:
島根県ホームページ (https://www.pref.shimane.lg.jp/tourism/tourist/kankou/oki_shoukai/)
西ノ島町ホームページ (http://www.town.nishinoshima.shimane.jp/)
西ノ島観光協会ホームページ (https://nkk-oki.com/japan/

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