山梨県の大月市にある百蔵山(ももくらやま)は、JR中央線の駅から登れるアクセス抜群の山です。
「秀麗富嶽十二景」に選ばれる富士山の眺望を楽しんだあとは、日本三奇橋の一つ「猿橋」を巡る町歩きに出かけてみましょう!
この記事では百蔵山のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。山歩き、富士山ビュー、観光と楽しみが詰まったルートをぜひ歩いてみてください。
百蔵山は標高は1,003mの日帰りで登れる山です。山梨百名山のひとつで、隣り合っている「扇山」「権現山」とあわせて「郡内三山(ぐんないさんざん)」と呼ばれることもあります。
百蔵山という名前は、大月に伝わる桃太郎伝説に由来します。それによると、桃太郎の入った大きな桃は百蔵山の麓から桂川をどんぶらこと流れてきたそう。
さらに大月市には「犬目」「鳥沢」「猿橋」という地名もあり、古くからの言い伝えや伝説が数多く残っています。
百蔵山は山梨県大月市にあり、最寄り駅はJR中央本線の猿橋駅です。
JR新宿駅からだと中央線利用で約80分で到着します。
猿橋駅から百蔵山登山道までは徒歩可能な距離です。
下山や縦走をする場合は「梨の木平登山口」「百蔵山登山口」バス停へのハイキングバスも利用できます。
バスの運行条件は公式サイトで確認してくださいね。
【公式サイトで時刻をチェック!】
富士急バス株式会社(ハイキングバス)
また車移動の場合は、中央道「大月」IC~国道20号線~大月市営総合グラウンド駐車場の利用が便利です。
大月市営総合グラウンド駐車場は無料で利用でき、トイレや自動販売機もあります。
猿橋駅から西ルート、東ルートを周遊するコースの場合、標高差は675mでコースタイムは4時間15分です。
西ルートは登りがゆるやかで危険箇所はなく、小学生の子どもでも難なく登っていましたよ。
東ルートは山頂直下に長いクサリ場の急登があるので注意して進まなければいけませんが、クサリ場以外は西ルートと同じくゆるやかな林道です。
分岐ごとに標識もあり道もわかりやすいので、じっくりとペースを乱さずに長く歩く練習としても最適な山でしょう。
百蔵山で人気のルートを3種類紹介します。
百蔵山登山で最も一般的なルート。30分ほど民家の並ぶ車道を歩き、ゆるやかな登山道を進むと1時間ほどで富士山と道志の山々を望む展望台へ到着します。そこから20分ほどで百蔵山山頂へ。帰りは東ルートから市営総合グラウンドまで戻り、同じ道を猿橋駅へ向かいます。
県道505号の福泉寺前バス停からスタートし、金比羅宮、大同山山頂を経て西ルートと合流し、山頂を目指すルートです。倒木帯が何箇所かあり、金毘羅宮を超えると急な登りになるので注意。帰りは西ルートから猿橋駅へと下ります。
百蔵山を経て、同じく秀麗富嶽十二景に選ばれている「扇山」へと縦走する歩きごたえのあるルートです。西ルートから百蔵山山頂へ、そこからコタラ山方面へ向かい扇山山頂へ。帰りは鳥沢駅へと下ります。
猿橋駅から西ルートで登り、東ルートで下る周回コースを歩いてきました!
スタートはJR中央本線の猿橋駅。北口を出てまっすぐ200mほど進むとコンビニエンスストアがあるので、昼食や行動食はここで調達しましょう。
なお、登山口までの道路沿いにはたびたび自動販売機があるので、飲み物は途中でも購入できます。西ルートは登山道に入ってすぐのところに水場もありますよ。
市営総合グラウンドからすこし登ったところの分かれ道は標識通り左へ。
さらに10分ほどで右ルートと左ルートの分岐があります。今回は富士山の見える展望台のある右ルートを選びました。ここからもアスファルトの道路が続きますが、傾斜が急になるので登山道に入る前から思ったよりも体力が削られました。
登山道に入る少し手前に「有料トイレ」の看板が。おそらく普通の民家でトイレを提供しているのだと思います。
西ルートで登る場合は、市営総合グラウンド以降はここの有料トイレしかないので、あらかじめトイレを済ませておきましょう。
有料トイレの向かいには可愛らしいトトロがいましたよ!
猿橋駅から50分ほどでやっと登山道に入ります。正直ここまで来るのにも標高差250mほどあり、アスファルトからの照り返しの暑さもあってかなり疲れました。
可能であればバスかタクシーでショートカットするか、車移動をおすすめしたいです。
登山道に入るとすぐにカウンターが設置されているので1回押します。
さらに登山者カウンターから少し進んだところに水場があります。この沢を横断した先が登山道の続きです。
地図では等高線の間隔がせまいところを直登するように見えますが、実際はつづら折りの道をジグザクと登っていくので傾斜はきつくありません。
40分ほどつづら折りの道を登り続けて、富士山のビューポイントである展望台に到着しました。
この日は富士山は雲に隠れてしまいましたが、雲がない日は写真の右側に富士山、左側に大月の町並みと丹沢方面の山々が見渡せます。
展望台から15分ほどで葛野コースとの分岐に到着。
せっかくなので、一旦葛野コース方面へ向かい大同山の山頂へ。山頂からの展望はなく、三角点と小さな標識だけがありました。
大同山を分岐まで戻り、百蔵山山頂へと進みます。
標高1003mの百蔵山山頂に到着です。
山頂からも富士山が眺められるのですが、この日は残念ながら雲の中でした。それでも晴れて気持ちのいい風が吹いていたので、山頂にはたくさんの登山客がお昼ごはんを食べたり、寝転がっていたりしていましたよ。
東ルートで下山することにしたので、山頂から扇山方面へ進みます。途中、扇山と猿橋駅の分岐を猿橋駅方面へ。
ここからはちょっとスリリングなクサリ場です。傾斜がきついので下りの場合はクサリを利用しながら慎重に下りましょう。
クサリ場を抜ければ、西ルートと同じようなゆるやかなつづら折りの道になります。
登山道を抜けると浄水場の道に出ます。
トンネルを抜けた先に「百蔵山登山口公衆便所」があります。掃除が行き届いたキレイなトイレです。ここからさらに歩くと西ルートと東ルートの分岐ポイントに戻ります。
市営総合グラウンドから下ったところに立派な鳥居があったのでお参りしました。春日神社(春日宮)という無人の神社です。
桂川沿いの道を東に進み、日本三大奇橋のひとつ「甲斐の猿橋」へと足を運びました。
長さ30.9mの猿橋は、橋脚を全く使わずにつくられた木の橋で、両側から張り出した「はねぎ」で支えられています。
この珍しい構造の起源はわかっていませんが、西暦600年頃に作られ、いまも現役で渡れる橋というのは驚きです!百蔵山に登ったら、猿橋にもぜひ立ち寄ってみてくださいね。
百蔵山といえば「秀麗富嶽十二景」に数えられる富士山ビューが魅力ですが、今回の山行のように富士山が望めなくても十分魅力のある山だと感じました。
実際に登ってみるとすれ違う登山客は地元の人が多く、子供から高齢者まで慣れ親しんでいる里山という雰囲気があり心地良かったです。アクセスもよく、桜や紅葉など季節ごとの景色も楽しめ、観光スポットにも立ち寄れるという楽しみの詰まった百蔵山にぜひ登ってみてくださいね。
▼日帰り登山を楽しめる本
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HIKES編集長の山歩きをTwitterで発信、山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
昨日は三頭山を歩きました。コースが丁寧に整備されおり運営の方々の想いが伝わる道でした。朝の8時から12時ぐらいでしたが、木で日差しが遮られ涼しく歩けます。午後以降は暑いかも🤔低山やっぱりいいな。 pic.twitter.com/H3Ev5q7Nty
— 宮本将弘 | masahiro miyamoto (@masa_yco) July 25, 2021
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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