秩父山系の西側に位置する瑞牆山(みずがきやま)は、何十もの岩が組み合わさる不思議な形をした山です。山頂に近づくと荒々しい岩場が続き、途中にきつい急登やクサリ場がありますが、慎重に進めば初心者でも日帰りで登れます。
また登山口からわずか50分でテント場に着くので、初めてのテント泊にもおすすめです。実際に1泊2日のテント泊で瑞牆山を登ってきたので、瑞牆山に興味を持った方は参考にしてください。
瑞牆山は山梨県北杜市にあり、日本百名山にも選定されている標高2,230mの山です。山のほぼすべてが黒雲母の花こう岩でできており、遠くから眺めると、まるで岩の要塞のように見えるカッコいい山です。
奇岩・巨岩がそびえる瑞牆山はフリークライミングやボルダリングの聖地として、クライマーにも人気。登山コースには弘法大師空海によって梵字が刻まれたといわれる伝説の岩など、ワクワクするビューポイントもあります。
今回私は公共交通機関を使いましたが、JR中央本線韮崎駅から瑞牆山荘行きのバスは1日の本数が少ないため計画をしっかり立てて臨みましょう。瑞牆山荘の先に約100台の無料駐車場があるため、マイカーでのアクセスが便利です。
瑞牆山は初心者でも日帰りで登れる山ですが、急登や岩をよじ登る箇所もあるので体力に自信のない方は、無理ない計画を立てましょう。
瑞牆山荘を出発するコースの場合、富士見平小屋までは特に危険個所はありませんが
、富士見平小屋から山頂に至るまでは岩場が連続するため滑らないよう注意が必要です。
登山道はしっかり整備されているので道迷いの心配はありませんが、クサリ場やハシゴがあるのでグリップの利く登山靴とグローブは必須です。
一般的なメインルートは瑞牆山荘から富士見平小屋を経て山頂を目指す、往復5時間、標高差720mの瑞牆山荘からのピストンです。その他に、みずがき山自然公園から不動滝を経由する「不動滝ルート」があります。
今回は瑞牆山荘から山頂を目指すメインルートを歩きました。交通機関を利用したため、時間に無理ないよう富士見平小屋のテント場で1泊して、翌日山頂に登る1泊2日の様子をお伝えします。
出発地点は瑞牆山荘です。登山口までは、新宿駅から特急あずさで韮崎下車、そこから山梨峡北交通バス「瑞牆山荘行き」の終点で下車します。
公共交通機関を使った場合、登山口への到着は早くても10時過ぎになり、帰りの最終バスも15時代と早いので、小屋かテントで1泊するのがおすすめです。私は富士見平小屋にてテント泊しました。
富士見平小屋までの所要時間はおよそ50分。緩やかなミズナラの林道を進むと、徐々に傾斜がきつくなっていきます。
テント泊装備を背負って歩くのも50分だけだから楽勝!と思いきや、歩き始めて10分ほどで傾斜がきつくなってきました。途中、富士見林道という車道(一般車両は通行禁止)を横切った先に、金峰蔵王権現を祀った里宮神社があるので参拝するのもおすすめです。
私はザックの重さに疲労困憊で、うっかり里宮神社への分岐を見逃してしまいました……。
さらに登っていくと急に視界が開け、目の前に目指す瑞牆山の姿が!あの山頂まで行くと思うと、ワクワクする気持ちがありながらも畏れ多いような気もしてきます。
ここにはベンチがあるので、休憩しながらゆっくり瑞牆山を眺めることも可能です。富士見平小屋まではもうすぐ。
富士見平小屋に到着。丸太小屋づくりのかわいらしい外観の山小屋です。
山小屋への宿泊は約35名収容可能となっており、テント場は約100張まで対応できます。テント場は予約不要で利用できる優しいシステムとなっています。
富士見平小屋で受付を済ませ、今日はテントで1泊します。テント場には「女子専用」の看板があり、女性だけでも安心して利用できるような配慮がありました。
無料の水場が小屋から少し下ったところにありますが、手間を省きたい方は水筒やウォーターパックは多めに用意しておくのがおすすめです。
翌日はテントを張ったまま、荷物はデポして身軽に山頂を目指します。富士見平小屋から山頂までは大体2時間ほどです。
小屋の左側から林の中をゆるやかに登ったのち、谷まで一気に下りきったところが天鳥川出合(あまどりがわであい)。川を石伝いに渡るとその先に巨大な岩が現れます。
目の前に巨岩の「桃太郎岩」が姿を現しました!想像していたよりも大きくて大迫力です。
岩の隣に階段があるので、比較すると大きさが想像できると思います。特徴的な真ん中の割れ目は人がギリギリ入れるくらいの幅。一体どうなってこの割れ目ができたのか想像もつきませんが、人の力では真似できない自然のパワーを感じます。
桃太郎岩を過ぎてからはひたすら岩をよじ登っていきます。クサリ場もいくつかありますが、三点支持で慎重に進めばそこまで怖くはありません。
場所によってはクサリを迂回できるところもあります。この辺りからはトレッキングポールが邪魔になるのでザックにしまっておきましょう。
桃太郎岩から1時間ほどで大ヤスリ岩が見えました!
瑞牆山のシンボルともいえる天を突くような巨岩のタワーです。この岩はクライマーに人気ですが、早朝だったのでクライマーの姿は見れませんでした。
瑞牆山山頂(標高2230m)に到着しました!山頂は広いですが先は切れ落ちているので、足を滑らせたら落ちそうでちょっと怖かったです。
この日は晴天だったので、山頂からは金峰山、富士山、南アルプス、八ヶ岳などが一望でき、素晴らしい眺めでした。
下山はもと来た道を下ります。富士見平小屋までは1時間30分ほど。テントを撤収し、瑞牆山荘までは40分ほどで到着します。
瑞牆山は遠くから見ると近寄りがたく、登るのが難しいイメージがありますが、意外にも日帰りで登れるお手軽な百名山です。
頂上に近づくに連れ岩場の急登が増えますが、慎重に登っていけばクリアできます。また、登山口からテント場までの道のりが短いので、初めてのテント泊にもおすすめです。
富士見平小屋をベースキャンプにして、瑞牆山と隣の金峰山の百名山2座を登頂もできますよ!
▼日帰り登山を楽しめる本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterで発信、山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
おはようございます、昨日は約一年ぶりぐらいの登山、棒ノ嶺へ行って来ました。リハビリぐらいに考えてたけど、思った以上に体力が落ちててぐったりでした。山歩きの回数増やしていく。 pic.twitter.com/VKNMpE4yXX
— 宮本将弘 | masahiro miyamoto (@masa_yco) July 18, 2021
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
至仏山(しぶつさん)
尾瀬ヶ原を一望できる花の宝庫「至仏山」 【山域】尾瀬【標高】2,228m 尾瀬といえば水芭蕉が有名で…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
奥穂高岳(おくほたかだけ)
日本第3位の高峰「奥穂高岳」雄大に聳え立つ姿に圧巻 【山域】北アルプス南部【標高】3,190m 日本…
【金時山】金太郎伝説を巡る日帰り登山!頂上から富士を望む
箱根にある金時山は富士山を綺麗に眺めることができる天下の秀峰として知られています。それ以外に金太郎伝…
日光白根山(にっこうしらねさん)
ロープウェイで関東の最高峰「日光白根山」へ!天空の足湯やカフェも満喫 【山域】日光山系【標高】2,5…
【赤城山(黒檜山)】大沼を眼下にバラエティ豊かなコースを歩く、初心者におすすめの百名山
日本百名山の一つに数えられる群馬県の赤城山(あかぎやま)は、大沼や小沼などのカルデラ湖を囲む周辺の山…
十勝岳(とかちだけ)
火山ならではの迫力を味わえる日本百名山「十勝岳」 【山域】十勝岳連峰【標高】2,077m 十勝岳は十…
【那須岳(茶臼岳・朝日岳)】火山のダイナミックな光景と紅葉をロープウェイを利用して楽しむ日帰り登山
那須岳(なすだけ)は栃木県北部に位置する那須連山、特に「茶臼岳(ちゃうすだけ)」「朝日岳(あさひだけ…
【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂
津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山…
【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山
男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、…
【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山
中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は標高3000mに迫る標高がありながら、ロープウェイ…
【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く
奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の…
【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山
大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ご…
【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く
表丹沢の「塔ノ岳(とうのだけ)」は、展望の良さと都心からのアクセスのしやすさで人気の山です。標高は1…
【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介
檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢の山深さが感じられる静かな山で、「西丹沢の盟主」とも呼ばれています。…
【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く
栃木・群馬県境の足尾山地に属する袈裟丸山(けさまるやま)は、アカヤシオの名所として名高い山で、シーズ…
【大楠山・登山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング
神奈川県三浦半島の最高峰、大楠山(おおぐすやま)。海に囲まれた半島に位置するため、東京湾、房総半島、…
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…