丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にまたがる山です。三国山を中心にハイキングコースが整備され、富士山の眺めの良さが人気のコースとなっています。特に、隣接する「鉄砲木ノ頭(明神山)」は富士山と山中湖の好展望地で、三国山とセットで登る方が多いです。
この記事では、山中湖の南側に位置する「籠坂峠」からスタートして、大洞山、三国山、鉄砲木ノ頭と3つの山を縦走する「三国山・パノラマ台ハイキングコース」を紹介します。
山中湖の南岸を東西にのびる「三国山・パノラマ台ハイキングコース」。「籠坂峠」からスタートして「大洞山」、「三国山」と登り、「三国峠」を経て「鉄砲木ノ頭」に登り、最後に「山中湖パノラマ台」へ下る、日帰りコースです。
国道138号線にある「籠坂峠」は、山梨県と静岡県の境界にある峠です。標高1,104mと高い位置からスタートのため、気負わずに挑むことができます。
まず、「籠坂峠」バス停から左側へのびる脇道を進み、「山中湖村公園墓地」の敷地に入ります。公衆トイレ(冬期は閉鎖)があり、この公園墓地の奥が「三国山ハイキングコース」入口となります。
足元は、落ち葉と富士山の火山砂礫によってソフトな感触です。少し進むと「畑尾山・立山(たちやま、太刀山)」分岐の道標が立っています。右へ進むと「畑尾山・立山」を経由して「アザミ平」へ、左へ進むと「アザミ平」への近道になります。立山には展望台がありますが、今回は、立ち寄らず「アザミ平」を目指して左へ進みます。
V字溝になった狭い道を進みます。この付近からブナ林が広がります。途中に立つブナの巨木「天狗ブナ」も見どころです。展望がなく、木々の枯れた晩秋の時季は寂しい風景ですが、新緑や紅葉の時季は気持ちの良いハイキングが楽しめます。
稜線にでると視界が開けます。「アザミ平」からは、広々とした自然庭園のような景色が広がり、富士山や御殿場の街並みを望むことができます。アザミ平の野原を過ぎると、ブナ林の稜線歩きとなります。晩秋の時季は、マユミの赤い実が鮮やかで印象的でした。
別名「角取山(つのとりやま)」ともいわれています。本コースの最高地点ですが、樹林に囲まれているため展望はありません。山頂の手前のやせ尾根に「角取神社奥の院」が祀られています。
「大洞山」から「三国山」へは、起伏の少ない広々とした尾根道で、のんびりと山の風景を堪能できるでしょう。途中の「楢木山(ならきやま)」、「ヅナ峠」を過ぎると、三国山に到着します。
その名の通り、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にまたがる山です。山頂標識のある場所は標高1,320m(1,328mとしている標識もあり)で、ベンチがあり、休憩できるスペースがあります。木の隙間から富士山が見えますが、展望は良くないです。
その先の「三国峠」までは、一気に下ります。
車道(山中湖小山線)にでます。三国峠を境に、西側が山梨県、東側が神奈川県となっています。駐車場があり、ここから「三国山」を目指す場合は、30分くらいで山頂に立つことができます。
「鉄砲木ノ頭」へは、車道を横断して、再度登山道へ入っていきます。ここからは、背丈より高いススキゾーンになります。三国山周辺の登山道とは異なる雰囲気です。
山頂に着いて、まず目に飛び込んでくるのが、裾野までよく見える富士山です。そして、眼下に山中湖、奥には南アルプスが一望できます。
冠雪した富士山をズーム。
南アルプスの白峰三山(農鳥岳、間ノ岳、北岳)方面。鉄砲木ノ頭は、富士山の展望で有名ですが、南アルプスも全景が望める贅沢なポイントです。
山頂は広々としていて、「山中諏訪神社奥宮」が鎮座しています。富士山を目の前に望む、抜群のパワースポットですね。
山頂からは「山中湖パノラマ台」に向けて下ります。再度、ススキゾーンですが、視界は開けていて、下りながら眺める富士山もまた魅力的です。パノラマ台からスニーカーで登ってくる方が結構多くいましたが、傾斜があり滑りやすい箇所もあるため、軽登山靴があると良いでしょう。
車でアクセスでき、富士山の絶景ポイントとして知られているため、一般観光客の方で賑わっています。「鉄砲木ノ頭」からの景色と比べると、富士山を下から望む視線にはなりますが、素晴らしい眺めです。
パノラマ台からは、真下のハイキングコースを山中湖畔へ向けて下ります。
ゴールです。「三国山ハイキングコース入口」バス停のある車道(国道413号)にでます。
出発地点方面へ戻る場合は、山中湖沿いの国道413号をバスまたは徒歩で戻ります。徒歩の場合、30分程度で「森の駅 旭日丘」に着くので、湖を眺めながら戻るのもおすすめです。
鉄砲木ノ頭は、ススキに覆われた、富士山と山中湖の好展望地。富士山の眺めが目当てであれば、鉄砲木ノ頭だけでも満足できるでしょう。パノラマ台や三国峠の駐車場から30分くらいで登れるアクセス抜群の山です。
一方、三国山周辺は、火山砂礫の登山道やブナ林の原生林など大地の息吹と豊かな自然を感じることができます。花の季節には、サンショウバラや固有種であるフジアザミも魅力です。鉄砲木ノ頭だけでは物足りない方はぜひ足をのばしてみるといいでしょう。今回紹介したコースは、起伏が少なく気軽にミニ縦走を楽しむことができるため登山初心者にもおすすめです。
四季折々の魅力があり、1年を通じて楽しめる三国山・鉄砲木ノ頭。雄大な富士山を眺めて、清々しい気分になってみてはいかがでしょうか。
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▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
今日は半年ぶりぐらいの山歩きになる、日和田山ハイキングに行って来ました。巾着田を眺めるこの景色は好きだなー🌞#里山トラベル pic.twitter.com/v2fNgbou1e
— m.miya | marketing (@masa_yco) August 1, 2020
山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。
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