皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも653mと低山ばかりのコースですが、岩稜のクサリ場やヤセ尾根などアルプスさながらのスリルも味わえます。
この記事では、破風山(皆野アルプス)のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。
破風山(はっぷさん)は標高626mの山です。標高が低くさまざまなコースが選べるため、初心者でも季節を問わず登山が楽しめます。中でも前原山・破風山・大前山・天狗山を結ぶコースは「皆野(みなの)アルプス」と呼ばれ、景色を楽しみながら縦走できて人気です。
破風山の頂上をはじめ、ルート上の各所で眺望が楽しめるのも魅力で、皆野町や秩父市の街並みの向こうに武甲山や美の山、宝登山(ほどさん)などが望めます。また、破風山は江戸時代末期~明治時代初期に定められたとされる「秩父八景」の一つにも選ばれており、昔から長く愛され続けている秩父地方の名所です。
このように、破風山は低山でありながら、景色やバラエティに富んだコースが魅力の山です。
破風山の場所は秩父郡皆野町と秩父市との境です。主要な登山口だけでも8つあり、距離やレベルに合わせて自由にルート設定ができます。
この記事で紹介する皆野アルプスのコースは、秩父鉄道皆野駅をスタートし、大渕登山口から破風山を目指します。その後、「秩父華厳前」バス停へ下山し、皆野町営バスで皆野駅まで戻るルートをたどります。
都内からスタート地点の皆野駅までの所要時間は、電車で2時間10〜20分ほど。マイカー利用の場合は、皆野駅周辺の有料駐車場、もしくは秩父華厳の滝の無料駐車場を利用すると便利です。その他、大渕登山口の手前の県道44号線沿いの「破風山登山口駐車場」も利用できます。
破風山の難易度は初級レベルです。札立峠から天狗山のルートにはクサリ場やヤセ尾根がありますが、それほど高い技術は必要なく、注意しながら進めば子どもでも問題なく通過できるでしょう。分岐にも案内看板が立っているので、道迷いの心配もありません。
ただし、今回歩いてみたところ、道をふさぐような倒木が放置されている箇所がいくつかあったので注意が必要です。
皆野駅から前原山・破風山・大前山・天狗山を縦走する皆野アルプスのコースを日帰りで歩いてきました。
秩父鉄道の皆野駅がスタート地点です。皆野駅のトイレは改札内にあります。皆野駅から徒歩2分の場所にあるコンビニエンスストアで食料や水を購入できます。秩父華厳の滝方面から登る場合は、駅前にある町営バス発着所からバスに乗車しましょう。
大渕登山口までの所要時間は30分ほど。皆野駅から県道43号線を進み、皆野橋を渡ります。県道脇に入り、民家の横を通り抜けたところが大渕登山口です。
登山道に入ると、いきなりの急登。一つ目のピークである前原山までは30分ほどで到着するので、体が温まるまでは無理せずゆっくり登っていきましょう。
一つ目のピーク、「前原山」(標高347m)に到着です。ここからは眺望がなく、まだ麓の道を走る車の音も聞こえます。ここから先は前原岩稜と呼ばれる尾根道を進み、だんだん眺望が開けてきます。
前原岩稜を越えるとしばらく樹林帯の登りが続きます。ロープが張ってある箇所が一部ありますが、ロープを使わなくても問題なく通過できるでしょう。
三又ピークを越え、登山口から2時間ほどで「男体拝(なんたいおがみ)」という展望が開けた場所に出ます。その名の通り、遠くに日光の男体山を望めるビュースポットです。ここから先の道は「関東ふれあいの道」となります。
男体拝からさらに50分ほど歩くと、猿岩という奇岩が現れます。登山道の脇にいきなり巨岩があるので目立ちますが、形が猿に似ているかどうかはよくわかりませんでした。
猿岩からさらに進むと、破風山の山頂直下に屋根付きの休憩場所があります。20人くらいは座れそうな、広くて立派な休憩所です。破風山の山頂はあまりスペースがなくベンチもないので、食事や休憩を取るならこの休憩所を利用するのがおすすめです。
登山開始から2時間30分、「破風山」(標高626m)の山頂に到着しました。
山頂からは南側の展望が開けていて、秩父盆地や武甲山が一望できます。低山の連なりのなかで、武甲山だけはひと目見てわかるほどの存在感がありました。
この日は平日だったためか破風山山頂まで誰ともすれ違うことがなく、山頂の景色も一人占めできて得した気分です。山頂でゆっくりと休憩を取ったら次のピークへ向けて出発します。
破風山山頂から一旦下ったところに「札立峠(ふだたてとうげ)」があります。この峠は 秩父札所三十四ヶ所観音霊場の巡礼道で、33番菊水寺から34番水潜寺へ向かう途中の場所です。
昔、大干ばつのときに、旅の僧からの「雨を祈らば観音を信ぜよ」という教えで「樹甘露法雨(じゅかんろほうう)」の札を立てたことから名づけられたと伝わっています。
札立峠には分岐があります。一つは、南は菊水寺・頼母沢(たのぶさわ)方面へ向かい、北は水潜寺方面へ向かう「関東ふれあいの道」の一部でもある「江戸巡礼古道」で、もう一つは皆野アルプスのコースです。
皆野アルプスのルートは「如金峰(にょっきんぼう)コース」となるので、案内板を見て間違わないよう注意して進みましょう。
札立峠から登り返すと、また奇岩があります。この岩が如金峰コースの名前の由来となっている「如金峰」です。ここに祀られている「如金さま」は疣(いぼ)取りの神様と伝えられています。
ここから先の道はクサリ場や左右が切れ落ちたヤセ尾根が続くので、ストックを使っていたらこの辺りでしまっておくといいでしょう。
クサリ場とヤセ尾根を通過すると「武蔵展望台」があります。北側と南側が開けていて、群馬方面が見渡せます。
武蔵展望台からさらに10分くらいで皆野アルプスの最高峰「大前山」(標高653m)に到着です。破風山よりも標高は高いですが、展望はあまりありません。
大前山を過ぎたところに皆野アルプス最大の難所のクサリ場があります。垂直に近い岩場を下るのでかなり高度を感じます。焦らず三点支持を守って慎重に下りましょう。
クサリ場を越えたら間もなく最後のピーク「天狗山」(標高655m)に到着します。こちらも眺望はなく祠があるのみで、頂上らしさはありません。天狗山の手前に巻き道があるので、ピークをショートカットすることも可能です。
天狗山からはひたすら下山するのみ。樹林帯を進むと「大前集落」に出ます。民家のある舗装路からふたたび登山道へ入って進むと「華厳の滝登山口」があります。
華厳の滝登山口を左折したところに「秩父華厳前」バス停があります。ここから皆野町営バスで皆野駅まで戻れます。皆野駅までの所要時間は27分です。
せっかくなので、バスを待つ間に「秩父華厳前」バス停からすぐのところにある「秩父華厳の滝」にも寄ってみました。バス停から滝までは徒歩5分ほどです。日光の華厳の滝に似ていることから名づけられたそうで、落差約12mの崖を流れ落ちる迫力のある滝です。
さらに坂を登って滝の上の道に出ると、かなり個性的な表情の不動明王のモニュメントもあるので、時間があればぜび寄ってみてほしいスポットです。
皆野アルプスは、アルプスの名に恥じない、魅力あふれるルートだと感じました。破風山からの素晴らしい展望はもちろん、岩場や尾根歩き、ちょっとスリリングなクサリ場など、まさにアルプスをコンパクトにしたような雰囲気が感じられます。電車の駅からアクセスできる気軽なアルプスをぜひ体験してみてくださいね。
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今日は半年ぶりぐらいの山歩きになる、日和田山ハイキングに行って来ました。巾着田を眺めるこの景色は好きだなー🌞#里山トラベル pic.twitter.com/v2fNgbou1e
— m.miya | marketing (@masa_yco) August 1, 2020
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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