登山では水分補給がとても大切だとわかっていても、どんな飲み物をどれくらい持っていけばいいのかは悩むものです。水は重いので荷物を増やしたくありませんが、水がないために脱水症状を起こしてしまうのも怖いですよね。
今回は飲み物の役割と必要な量、おすすめの飲み物や飲み方をご紹介します!
人の体の60~70%は水分で、そのうち2%を失えば喉が渇き、3%に達すると体調に支障が生じると言われています。脱水症状が激しいと動けなくなり、一人では下山できないような状況になると命の危機にも直結します。
登山では想像以上に水分が失われます。汗だけでなく、呼気からも水分は出ていくからです。脱水症状は高山病や血液の粘性増、運動能力の低下やむくみ、頭痛、吐き気、痙攣などにもつながります。
汗の成分は水だけでなくナトリウム(塩分)やカリウムが含まれているので、水分と共にこれらの成分も補わなければいけません。水はもちろん大切なのですが、水ばかり摂取していると尿の量が増えて脱水症状になったり、水中毒(低ナトリウム血症)になったりすることもあります。また、カリウム不足は筋肉の不調を招きます。
ではどれくらいの水が必要なのでしょうか。汗かきの人、体型、気温、体調、登山時間などさまざまな要素を考えなくてはいけませんが、目安のようなものがあったらいいなと思いませんか。あくまでも目安ですが参考にしてください。
*自分の体重×行動時間×5ml=必要な水分量
例えば、体重80kgの人が往復6時間の登山に出掛けるとします。
80kg×6H×5ml=2,400ml つまり2.4Lの水分が必要ということです。
汗かきの人や暑い時の登山であれば1~3割増しの水があると安心ですね。
水分補給のポイントとしては「喉が渇く前にこまめに少しずつ飲む!」です。喉が渇くまで我慢して水を一気飲みしたとしても消化器官でうまく吸収されず無駄になってしまうことがあるからです。まだ喉が渇いていないと感じても30分に1回100~200mlを目安に補給したいものですね。
登山前、登山後の水分補給もお忘れなく!
登山にはぜひ「水」を持っていってください。水分補給をすべてスポーツ飲料にしてしまうと、逆に喉が渇いたり、水が飲みたくなったりすることがあるからです。
水があれば水分補給だけでなく、さまざまな用途にも使えます。例えば、登山の楽しみの一つに山ごはんがあります。クッカーと水があればお湯を沸かしてお料理ができます。山で食べるカップラーメンやスープは格別です。ご飯を炊くこともできますね。コーヒーやココアなど温かい飲み物にも使えます。
怪我をしてしまった時の洗浄にも水は役立ちます。「擦り傷、切り傷は水で洗い流す」ことが基本です。このような場合、スポーツ飲料しか持っていないと困りますよね。
登山に持っていく飲み物は基本的には水で十分です。一緒に塩の効いたおにぎりや梅干しなどで失った塩分も補うことができます。
スポーツ飲料がおすすめなのはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラル類やビタミン類が含まれており、発汗により失われた成分を補い、すばやく吸収することができるからです。
おにぎりにお茶(日本茶)、食後のコーヒーは定番ですが、利尿作用があるためたくさん飲むことはおすすめできません。しかしカフェインには体を活性化させ、集中力を高める働きがあるので適量であればメリットもあります。
ちなみに麦茶にはカフェインが含まれていないのでお茶好きには安心です。ジュースなどの甘い飲み物は飲み口がいいですが、飲んだ後、喉が渇くのでおすすめできません。
水分が必要とはいえ重い荷物を背負って登るのはつらいものです。途中の沢やロッジで水が販売されているなら、そこで購入するのも手です。麓で買うよりも値段は高めですが、体力の消耗を抑えることができ楽に楽しく登れます。
登る予定のコースを調べるときには水を調達できる店があるかもチェックしておきたいものですね。
沢の水は見た目も清く、飲めば健康になりそうな気すらしますが実は危険です。有名な「名水」とされている水は定期的に水質管理されているので安全ですが、生水には菌や不純物が含まれている可能性があります。
山小屋やキャンプ場からの汚水、上流からの動物の死骸や糞などにより汚染されているからです。それらの菌によって体調不良をもたらす可能性もありますので気をつけましょう。
冬は汗をかかないイメージですが、水分補給はもちろん必要です。冷たい飲み物ばかりでは体を冷やし、体力も落ちてしまうので、水以外に温かい飲み物を準備するのがおすすめです。
小休憩のときに温かくて美味しい飲み物があるとほっとするものです。例えば、血行を促進し、濃厚な甘みのあるココア、スパイスの入ったインド式ミルクティーのチャイ、体を温める生姜湯などは人気がありますね。お湯を注ぐだけでできるフリーズタイプのおしるこや甘酒などは体も温まり、エネルギーにもなるのでよいですよ。
温めるためのバーナーやクッカーがない方は、山専用の高性能のボトルがおすすめです。二重栓になっているので標高の高い山でも開けにくくなることがありません。そのうえ、6時間経っても77℃を保つ保温力。大き目のボトルであれば飲み物だけでなく、カップ麺にも使える優れものです。
登山に一番最適な飲みものは「水」ですね。山に登る前にコンビニでペットボトルの水を買うのもいいですが、ゴミになったり、その都度購入しなければいけないデメリットもあります。
持ち運びに便利な登山用の水筒にあらかじめ水を入れて持って行くのがおすすめです。水筒はプラスチックでできた軽いものや丈夫なビニールででき、折りたたみ可能なものまでありますので、用途に合わせて好きなデザインの水筒を選んでみてください。
▼登山用に使える便利な水筒
▼水をまとめ買い!
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東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
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