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大天井岳は北アルプスの人気縦走コースである「表銀座縦走」と「常念山脈縦走」の中継地にあります。
コースでは巻き道があり、頂上まで登る人が少ないからか、縦走の通過点というイメージが強いです。
一方、頂上を目指せばほぼ独占状態になるため、密かなスポットとして登山者に親しまれています。
健脚であれば大天井岳をゴールとした燕岳→大天井岳の日帰りコースも可能です。
大天井岳は常念山脈の最高峰であり、日本二百名山に選定されています。
大天井岳の場所や特徴、山で見られる植物など基本情報をご紹介します。
大天井岳は長野県の大町市・安曇野市・松本市にまたがる標高2,922 mの山です。
北アルプス(飛騨山脈)と常念山脈の結び地点に位置しています。
もっとも近い登山口は、表銀座縦走、常念山脈縦走のスタート地点になる「中房温泉」
次に近いのが常念岳の最短登山口になる「一ノ沢登山口」になります。
大天井岳の読み方、由来について
基本的には「おてんしょうだけ」と読むのが一般的ですが、別の読み方として「だいてんじょうだけ」や「おおてんじょうだけ」とも呼ばれています。
大天井岳付近にある山小屋は2つあり、大天荘(だいてんそう)、大天井(おてんしょう)ヒュッテと呼び方が違います。
おてんしょうだけという名前の由来には2つの諸説があります。
1つは、梓川源流の二ノ俣谷を上りつめた最高所ということで、「御天上」または「御天所」(おてんしよう)が転訛したとされ、2つ目が、松本城の天守閣に似ていることから「おてんしゅかく」が「おてんしょう」に変わったとされています。
単純に高いという意味で「大天井(おおてんじょう)」と呼ばれることもあるので、「おてんしょうだけ」と「だいてんじょうだけ」「おおてんじょうだけ」はいずれも正しいといったところでしょうか。
槍ヶ岳へ繋がる表銀座コースを開拓した「小林喜作」
北アルプスの表銀座コースは、登山経験や装備はもちろん必須ですが、比較的誰もが歩きやすい人気コースになっています。
そんな表銀座コースを切り開いたのが猟師で登山案内人でもあった小林喜作(1875年~1923年)です。
もともと、槍ヶ岳に行くには3~4日ほどかかるのが一般的でしたが、小林喜作は猟をする時に使っていた道を3年がかりで整備し、現在のように1~2日で槍ヶ岳に行けるようになったとされています。
その切り開かれた登山道は、大天井岳から槍ヶ岳に至る東鎌尾根にあり「喜作新道」と呼ばれています。
喜作新道は、槍ヶ岳が良く見え、高山植物が豊富なコースになっており、いつしか「北アルプスの表銀座」と呼ばれるようになりました。
まさに表銀座コースは小林喜作が開拓したと言っても過言ではありません。
今でも安全に楽しく表銀座コースを歩くことができるのは小林喜作のおかげだと言えますね。
感謝、感謝です。
小林喜作は殺生ヒュッテ(当時は殺生小屋)も創設し、快適に登山ができるよう整備していたとされています。
その功績を称え、切通岩の下りたところに「喜作レリーフ」がありますので、表銀座コースを訪れた際は是非ご覧ください。
小林喜作についてもっと詳しく知りたい方は下記リンクよりご確認ください。
表銀座に「喜作新道」を開いた小林喜作 曇野市ゆかりの先人たち
(安曇野市ホームページ)
また、山本茂実著作「喜作新道」では事実をもとに当時にことが細かく描写されているので読み応えのある作品になっています。
大天井岳の頂上からの景色
大天井岳の頂上からは槍ヶ岳をメインに贅沢な景色を眺めることができます。
頂上も広々して、人もあまりいないため、景色を独占することができるのも魅力です。
槍ヶ岳を正面に大喰岳、大キレット、北穂高岳、奥穂高の北アルプス。
遠くに八ヶ岳、富士山、甲斐駒、北岳など中央、南アルプスという壮大な山の景色が眺望できます。
最高の景色が待っている大天井岳付近には特別天然記念物のライチョウも生息しているので、運が良ければ出迎えてくれるかもしれません。
表銀座コース、常念山脈縦走の通過点に留めておくのが勿体ないくらい大天井岳には魅力がつまっています。
大天井岳周辺は森林限界になり、ハイマツが分布しています。それほど多くはないですが、高山植物が花を咲かせます。
夏(7~8月)ミヤマキンバイ、キバナシャクナゲ、コマクサ など
秋(9~11月)オンタデ、トリカブト など
大天井岳のコースは北アルプスの表銀座コース、常念山脈縦走が人気ですが、ここでは大天井岳をゴールとした「燕岳~大天井岳コース」をご紹介いたします。
健脚の方なら日帰りも可能ですが、早朝に中房温泉を出発し、日が沈む前に戻ってくることになるため、忙しくなります。
燕岳と大天井岳の2座を目指すコースです。北アルプスの入門としても最適です。
中房温泉から出発し、まずは燕岳を目指しますが、いきなり最初の難関、北アルプス三大急登の一つ「合戦尾根」が待ち構えています。
三大急登と聞くときつそうなイメージですが、登山道はよく整備されている上、コース上に第1~3ベンチ、富士見ベンチと約50分ごとに休憩ポイントがあるので思ったよりバテずに登ることができます。
合戦小屋まで行けば視界が開け比較的ゆるやかなコースが燕山荘まで続きます。
コースから少し離れてしまいますが、燕山荘から約20分で燕岳頂上に到着します。
燕岳に関してはこちらのページを参照ください。
【燕岳(つばくろだけ)】
北アルプス・表銀座の玄関「燕岳」ケーキが食べられる「燕山荘」も大人気
燕山荘でケーキを食べたいところですが、1日目はその思いを帰りにとっておき大天荘へ向かいます。
大下りの頭はその名のとおり急斜面を下っていきます。砂で足を滑らせないようゆっくり下りましょう。
その先にある切通岩には前段でご紹介した 「喜作レリーフ」が設置されています。切通岩付近は鎖や梯子があるのでご注意ください。
大天荘から大天井岳までは約10分なので時間が余っていれば、1日目に登ることもできます。
槍ヶ岳が美しく見える大天井岳を十分に満喫してください。
※山小屋の情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
①登山する際は必ず地図を持っていきましょう。※コンパスもあるのがベストです。
②山歩きの基本3大装備「登山靴」「ザック」「レインウェア」を準備して登山に挑みましょう。※それ以外にも行程や季節により異なりますので山行計画に合った装備や道具を準備しましょう。
③登山届けの提出、山岳保険も忘れずに。
④登山に慣れていない方は、できるだけ経験者と行くようしましょう。
⑤危険を感じたら引き返すようにしましょう。
⑥冬や残雪期の登山は技術や装備が必要です。無理な計画をせずご自身に合った登山計画を立ててください。
⑦北アルプスの三大急登の合戦尾根はペースをやや落としバテないよう調整しながら登りましょう。
⑧稜線上は遮るものがないため天候が急な天候に変化に注視し、雷を伴う場合は引き返すようにしてください。
▼山の地図は登山・トレッキングに必ず持参しよう!
▼道に迷った時でもすぐに居場所がわかる便利な「GPS」
大天井岳登山を十分楽しんだ帰りは、汗を流して着替えたいですよね。
日帰り入浴可能な温泉をご紹介します。
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登山をする上で天気はもっとも重要な情報と言えます。平地は晴れていても山は雨なんてことも多々あります。特に夏の天気は変わりやすいため事前に天気の状況を把握しておきましょう。
全国レジャースポットの詳しい天気予報を掲載している「てんきとくらす」を参考にしています。
大天井岳の天気を見る
(てんきとくらす)
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