鍋割山と言えば山頂にある鍋割山荘で販売される鍋焼きうどんが有名ですが、それ以外にもブナの原生林が見られることも魅力の一つ。都内からのアクセスも良く多くの登山客が訪れる人気の山ですが、標高差が大きいため体力がない方にはきつい登山になります。慣れた経験者と一緒に行くことをオススメします。
鍋割山の場所や特徴、山で見られる植物など基本情報をご紹介します。
鍋割山は神奈川県にある丹沢大山国定公園内にある丹沢山地南部に属する標高1,273mの山です。秦野市、松田町、足柄上郡、山北町をまたがるように位置しています。近辺に塔ノ岳があり、鍋割山から塔ノ岳へと縦走するコースも人気です。
登山口への出発点となる大倉バス停周辺は秦野市堀山下にあたり、秦野戸川公園や丹沢の歴史や自然情報を学ぶことができる秦野ビジターセンターがあります。その他にも登山の前泊者や観光客のために「どんぐり山荘」や「大倉山の家」など民宿が営業しています。
秦野市堀山下は農家さんが立ち並び「農園ハイク」という収穫体験イベントが不定期で開催されています。道路沿いには、採れたての野菜を販売する無人販野売所も設置されており、帰りのお土産として楽しむことができます。
全国には鍋割山という名前の山がいくつか存在しています。関東周辺では、東京都青梅市と西多摩郡奥多摩町の境に属している別の鍋割山があります。御岳山から大岳山を目指すコースにあるため、土地勘のない登山最初の頃は間違えてしまいそうです。
鍋割山という名前の由来は諸説が2つあります。
一つは、遠くから見ると「鍋を半分に割ったような形状」をしていることから呼ばれたという説。もう一つは北側にある鍋割沢から派生した説です。鍋割沢のナベをナメ(滑)とし、滑らかな所がないゴロゴロした岩ばかりだったことから、「滑が割れた沢」からいつしか鍋割沢と呼ばれるようになりました。そうして鍋割沢の上にある山ということで鍋割山と呼ばれるようになったようです。
鍋割山といえばやっぱり山頂にある鍋割山荘で販売している「鍋焼きうどん」ではないでしょうか。もっともピークになるのが、ゴールデンウィークがある5月や紅葉の見頃を迎える11月頃で、鍋焼きうどんを目当てにした登山客で頂上が賑わいます。
待ち時間だけで1時間以上かかることもあるため、下山時間を考慮した登山計画を立てましょう。
山頂までは道のりは長く標高差もあるため、登頂した時の喜びはなんとも言えません。疲れた身体で食べる鍋焼きうどんがこれまた美味しく「絶品」とされる人気の由縁がわかります。
気になるうどんは、少し甘みのある味で天ぷら・キノコ・ホウレン草・卵など具だくさん。お腹も十分満たされます。鍋割山名物「鍋焼きうどん」は一度食べても損はない一品です。
天気が良ければ鍋割山頂上からの眺望は素晴らしく、富士山や西丹沢の山々、関東平野などを眺めることができます。富士山を見ながら食べる鍋焼きうどん。なんとも贅沢な時間を過ごすことができます。
スペースの広い頂上では、疲れた身体を休ませるためにお昼寝をする登山客もちらほら見かけます。時間があればゆっくりくつろぐのも良いでしょう。
鍋割山は鍋焼きうどんだけではなく、登山道では色とりどりの花を咲かせます。また、頂上周辺にはブナの原生林をみることができるのも鍋割山の魅力です。
春(4~6月)ミツバツツジ、ナガバノスミレサイシン、スミレ、シロヤシオ など
夏(7~8月)ケイワタバコ、ヤマユリ、ツチアケビ など
秋(9~11月)リンドウ、ウメバチソウ など
鍋割山の主要コースをご紹介します。ここではもっともポピュラーな「西山林道コース」をご紹介します。アクセ方法や山小屋情報など、登山計画の参考にしてください。
【交通機関を利用される方】
小田急「渋沢駅」よりバスで移動します。バスの時間に限りがあるためご注意ください。
①小田急線「渋沢駅」下車
②「渋沢駅」より神奈川中央交通バス「大倉行」にて「大倉バス停」にて下車(約20分 200円)
【参考リンク】
神奈川中央交通 バス時刻表
【お車でアクセスされる方】
車で大倉へアクセスする場合、東名高速道路「秦野中井I.C」から約30分程かかります。
駐車場は秦野戸川公園内にある大倉駐車場(有料)が登山口から一番近い場所にあります。
大倉駐車場
【参考リンク】秦野戸川公園 駐車場案内
※情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
大倉バス停から二俣までは西山林道という舗装された広い道を歩きます。アップダウンも危険な箇所もないのでウォーミングアップといった感じでひたすら歩きます。途中で「黒竜ノ滝」や「尾関廣」さんの銅像が見られます。
「黒竜ノ滝」は、コースから外れないと見ることができないため余裕のある時に行くことをオススメします。
「尾関廣(おぜき ひろし)」さんは、全日本山岳連名を結成しのち会長を務め、指導員制度をつくり海外登山を推進したとされています。また、神奈川県山岳連盟会長、丹沢国定公園化運動、県立登山訓練所設立などに尽力されたとし、今の登山技術を多くの人に伝えた第一人者として銅像が設置されています。
二俣から少し進むとミズヒ沢が見えはじめ、その辺りで西山林道の終着点を迎えます。
沢を渡る手前辺りにペットボトルに入った水がたくさん置いてあります。
何故こんな所に?と考えてしまいますが、鍋割山荘では雨水を使わないため、下からの水道水の運搬が必要です。小屋を支えるために余裕のある登山客が水を運ぶことが一種の通例になっています。
サイズも大小ありますので一度チャレンジしてみるのも面白いですよ。
もちろん強制ではないため“余裕”のある方のみが運ぶようにしてください。
水を運んだからといって何かもらえる訳ではなく、あくまでボランティアになります。
後沢乗超から先に来るといよいよ本格的な山登りが始まります。今までが嘘だったようにひたすら急坂が続くので、小まめに休憩をとりながら歩きましょう。
心がくじけそうになるぐらいきつい登りが続きますが、時折見える三ノ塔や檜洞丸など丹沢の山々にエネルギーをもらえます。「ここが頂上かな?」と思えるピークが何回か続くため、登山道だけではなく、気持ちのアップダウンにも揺さぶられるのがこのコースの嫌らしいところです。
鍋割山頂上は見晴しが良いため、到着すると心がとても晴れやかになります。名物の鍋焼きうどんを食べている登山客の姿を見るとさらにテンションが上がります。
スペースは広々しているので疲れた体を休ませてあげましょう。
ミズヒ沢付近から持ってきたペットボトルは鍋割山荘の入口近くに置く場所があるので、忘れないようご注意ください。自分が持ってきた水が他の誰かのために使われることを考えるとちょっと嬉しいですね。
名物「鍋焼きうどん」が人気の山小屋
【参考リンク】鍋割山荘
※山小屋の情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
鍋割山頂上からは金冷シまで進み、大倉尾根を下っていきます。時間と体力に余裕があれば塔ノ岳へ寄っていくことも可能です。余裕がなければ大倉尾根の下りは体力を消耗するので無理せず下山しましょう。
①登山時は必ず地図を持っていきましょう。※コンパスも忘れずに。
②山歩きの基本3大装備「登山靴」「ザック」「レインウェア」を準備して登山に挑みましょう。※行程や季節により異なりますので山行計画に合った装備や道具を準備しましょう。
③登山届けの提出、山岳保険も忘れずに。
④登山に慣れていない方は経験者と行くようにしてください。
⑤危険を感じたら引き返すようにしましょう。
⑥冬や残雪期の登山は技術や装備が必要です。無理な計画をせずにご自身に合った登山計画を立ててください。
⑦動物に遭遇してもエサを与えないようにしてください。
⑧ゴミは持ち帰るようにしましょう。
⑨丹沢の山々はヒルが多いことで有名です。整備されていない獣道や脇道に入らず、登山道を歩きましょう。
▼山の地図は登山・トレッキングに必ず持参しよう!
▼道に迷った時でもすぐに居場所がわかる便利な「GPS」
鍋割山登山を十分楽しんだ帰りは、汗を流して着替えたいですよね。日帰り入浴可能な温泉をご紹介します。
小田急「東海大学駅前駅」から徒歩5分の綺麗な施設
※料金や営業時間などの情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
小田急「鶴巻温泉駅」から徒歩2分の人気温泉
※料金や営業時間などの情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
登山をする上で天気はもっとも重要な情報と言えます。平地は晴れていても山は雨なんてことも多々あります。特に夏の天気は変わりやすいため事前に天気の状況を把握しておきましょう。
全国レジャースポットの詳しい天気予報を掲載している「てんきとくらす」を参考にしています。
鍋割山の天気を見る
(てんきとくらす)
鍋割山登山時のグルメをご紹介いたします。
年に1回は食べておきたい、名物「鍋焼きうどん」
鍋焼きうどんのイメージが強い鍋割山。それ以外にも頂上から眺めることができる富士山や丹沢の山々は素晴らしく、山稜付近には見事なブナの原生林を見ることができるので魅力がつまった山でもあります。下山時に歩く大倉尾根にはいくつもの山荘が立ち並び、休憩がてら軽食を楽しむこともできます。
春や秋が人気ですが、一年を通じて楽しめる山なので登山計画の一つに入れてみてはいかがでしょうか。
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