大菩薩嶺は都内からのアクセスも良く、バスで標高をかせげるため2,000m級の山にチャレンジしたいという方におすすめの山です。整備された登山道、見晴らしの良い景色、日帰り登山が可能という魅力たっぷりの大菩薩嶺をご紹介いたします。
大菩薩嶺の場所や特徴、山で見られる植物など基本情報をご紹介します。
大菩薩嶺は山梨県にある標高2,057mの山で、深田久弥の日本百名山に選定されています。
周辺の山には鶏冠山(とさかやま)と小金沢山(こがねざわやま)があります。
大菩薩嶺へのアクセスはJR「甲斐大和駅」からバスで上日川峠まで行き、そこから出発するのが一般的なコースです。
※冬期は上日川峠行きのバスは運休しているため、アクセスにご注意ください。
大菩薩嶺という名前の由来は色々あります。
一つは、平安時代の武将「源 義光(みなもと の よしみつ」(甲斐武田の祖・新羅三郎義光)が奥州遠征の際に「南無八幡大菩薩」と唱えたからという説。
二つ目は、大菩薩嶺を山宮とする神部神社(かんべじんじゃ)に観音菩薩がまつられていることから大菩薩嶺と命名されたと言われています。
ちなみに「南無八幡大菩薩」と唱えるのは、「南無」がおすがりする、委ねるという意味があり、「八幡」は八幡信仰が「武運の神様」なので「南無八幡大菩薩」は勝敗を神様におすがりします~と意味が込められています。昔の武将たちは武運を願うときに「南無八幡大菩薩」と唱えていました。
大菩薩峠は江戸時代のころ、食料や木材などの物資を運ぶ旧青梅街道(武蔵国と甲斐国を結ぶ道)の重要な峠であり、最大の難所とされていました。1878年頃より道が整備され旧ルートは閉鎖、現在の登山道になりました。旧峠は、現在「賽の河原」として残っています。
大菩薩嶺の知名度が上がったのは、深田久弥の日本百名山より少し前に出版された中里介山(なかさとかいざん)の長編小説「大菩薩峠(1913年~1941年)」が注目を浴びだした頃です。中里介山は2つの山小屋に関わりがあり、一つは大菩薩峠にある介山荘。もう一つは、現在閉鎖している「勝緑荘」です。勝緑荘は中里介山が命名し、小説「大菩薩峠」を執筆していた場所とされています。
かつて旧青梅街道を利用していた人々、中里介山が描いた大菩薩峠。
歴史を探求しながら登る大菩薩嶺は、一味違う楽しみ方ができます。
大菩薩嶺登山の中で一番のおすすめが、大菩薩嶺から大菩薩峠までの稜線歩きです。
都内からのアクセスが良く、日帰り可能でこれほど景色が素晴らしいところは大菩薩嶺しか思いつかないほど、稜線歩きは気持ち良いです。(もちろん天気が良いということが条件ですが)
360°見渡す限りの広大な景色、さっきまで都会にいたことが嘘のように感じます。
「標高2,000mの世界が手軽に味わえる」
それこそが大菩薩嶺の最大の魅力です。
大菩薩嶺の頂上は木に囲まれているため、見晴しがないです。3等三角点にて登頂記念の撮影を済まし、すぐに雷岩へ戻るという方が多いです。その反面、頂上は広くはありませんが、少しスペースがあるため、日差しが強い夏の時期は木陰に隠れてお昼ご飯を食べることができます。
雷岩からは、富士山、南アルプスの山々と上日川ダムを眺めることができます。大菩薩峠からは同じく富士山、南アルプスと八ヶ岳、奥秩父の山々が見られます。晴れていても昼過ぎになると白いもやがかってしまうので、可能な限り朝早い時間に頂上付近まで来ることができれば、最高の景色を堪能できます。
頂上付近は標高2,000m近くあるので春や秋は冷え込みます。
防寒対策は怠らないようにしましょう。
大菩薩嶺は、日本百名山だけではなく花の百名山、新・花の百名山にも選定されています。四季折々のお花を楽しむことができます。
春(4~6月)アセビ、バイカオウレン など
夏(7~8月)ウメバチソウ 、コウリンカ など
秋(9~11月)ヤマトリカブト、コウシンヤマハッカ など
大菩薩嶺へのコースは上日川峠から頂上を目指し、周回して下りてくる「上日川峠周回コース」がおすすめです。山コミュの活動で大菩薩嶺へ行くときはこのコースを利用します。
その他に、上日川峠から大菩薩峠、大菩薩嶺頂上を目指し、丸川峠から大菩薩峠登山口まで下りる「上日川峠~大菩薩峠登山口コース」があります。今回は「上日川峠周回コース」をご紹介いたします。
冬季は上日川峠までのバスが運行していませんのでアクセスにはご注意ください。
JR甲斐大和駅よりバスで上日川峠まで(片道1,000円)行きます。週末や登山シーズンは大変混雑し、臨時のバスが出ますが限りがあるので出発時間にはご注意ください。
上日川峠のすぐそばに山小屋「ロッヂ長兵衛」がありますので準備体操やお手洗いなど準備をここで行います。登山道を20分ほど歩くと「福ちゃん荘」に到着し、一休みできます。飲料水など販売していますので必要があれば購入しておきましょう。
福ちゃん荘から少し歩くと唐松尾根と大菩薩峠の分岐点がありますが、今回は唐松尾根を登ります。
登りを楽したいか下りを楽したいかの違いにもよりますが、振り返ると富士山を眺められる唐松尾根から登るコースがおすすめです。
雷岩付近では岩がゴロゴロしてるので足場が不安定です。石を蹴ったり、踏み外したりしないようゆっくり登っていきましょう。
雷岩まで登ればあとは大菩薩峠までの稜線を楽しむのみです。大菩薩嶺の頂上で記念撮影を済ました後、雷岩付近でお昼ごはんを食べるのが一般的です。大菩薩峠までの登山道では急な下り坂もありますのでご注意ください。
大菩薩峠にある介山荘の裏手に下山道がありますので、そこから上日川峠まで下ります。
終始なだらかな道が続きますので、比較的楽に下ることができます。
【交通機関を利用される方】
JR「甲斐大和駅」よりバスで移動します。時間に限りがあるためご注意ください。
①JR中央本線「甲斐大和」下車
②「甲斐大和」より栄和交通バス「上日川峠行」にて「上日川峠」で下車(約35分 1,000円)
バス停のそばにロッヂ長兵衛があります。
【参考リンク】
株式会社栄和交通 時刻表
【お車でアクセスされる方】
車で上日川峠へアクセスする場合は、中央高速「勝沼IC」より上日川峠を目指してください。山道を走るため運転に慣れていない人は甲斐大和駅よりバスで行くことをおすすめします。上日川峠には第1~第4まである無料駐車場があります。
上日川峠駐車場(第1~4)
大菩薩嶺登山で最初にお出迎えしてくれる山小屋。お土産も購入できます。
家族で経営しているアットホームな山小屋。
※山小屋の情報が古い場合がございますのでご注意ください。
①登山する際は必ず地図を持っていきましょう。※コンパスもあるのがベストです。
②山歩きの基本3大装備「登山靴」「ザック」「レインウェア」は準備して登山に挑みましょう。※行程や季節により異なりますので山行計画に合った装備や道具を準備しましょう。
④登山に慣れていない方は、できるだけ経験者と行くようにしてください。
⑤危険を感じたら無理せず引き返すことも必要です。
⑥冬や残雪期の登山は技術や装備が必要です。無理な計画をせずにご自身に合った登山計画を立ててください。
⑦雨や霜、残雪時で濡れた木道は大変滑りやすいので転ばないよう注意して歩きましょう。
⑧大菩薩嶺には野生動物が生息しています。特に狐を見たという報告が多いです。食料を与えたり、写真を撮ろうと近づくことをしないでください。
▼山の地図は登山・トレッキングに必ず持参しよう!
▼道に迷った時でもすぐに居場所がわかる便利な「GPS」
大菩薩嶺登山を十分楽しんだ帰りは、汗を流して着替えたいですよね。日帰り入浴可能な温泉をご紹介します。
標高1,000mの深山にある温泉。甲斐大和駅への帰りのバスで立ち寄れます。
1千年前から湧き出た大地の恵み。露店風呂が気持ち良い。
※料金や営業時間などの情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
大菩薩嶺での登山でもっとも重要なのが天気です。平地は晴れていても山は雨なんてことも多々あります。特に夏の天気は変わりやすいため事前に天気の状況を把握しておきましょう。
全国レジャースポットの詳しい天気予報を掲載している「てんきとくらす」を参考にしています。
大菩薩嶺の天気を見る
(てんきとくらす)
大菩薩嶺はいかがでしたでしょうか?手軽に2,000m級の世界を味わうことができるので日本百名山デビューの山として親しまれています。大菩薩嶺一帯はご紹介した歴史以外にも、甲斐武田との関係も色濃いため登るだけではなく、歴史を旅する山とも言えます。
アクセスも良く、日本百名山、花の百名山にも選定されている大菩薩嶺。登山を初めて間もない友だちを連れていきたくなる山です!
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