それほど標高が高くない山々が並ぶ奥武蔵。その中にある長瀞アルプスの主峰となるのが宝登山です。宝登山といえば梅やロウバイを堪能できることで有名ですね。登山というよりもハイキングに近いかもしれません。花だけではなく、動物園や神社まであるという宝登山の魅力をたっぷりお伝えします。
宝登山の場所や特徴、山で見られる植物など基本情報をご紹介します。
宝登山は埼玉県秩父郡長瀞町にある標高497mの山です。頂上まで一気に行くことができる宝登山ロープウェイもあり地元や関東周辺のハイカーから親しまれている山です。
宝登山がある長瀞町は観光としても人気があり、荒川のライン下りや長瀞渓谷のラフティングは夏にはもってこいのアクティビティです。朝早めに出発してから下山後は長瀞観光というのも良いですね。
さらに長瀞は「日本さくら名所百選」に選ばれるほどの桜の名所なんです。ソメイヨシノやシダレザクラ、ヤエザクラなど様々な桜が約3000本ほど植えらており、桜の時期には多くの観光客で賑わいます。
古くから信仰の対象とされていた宝登山の名前の由来はいくつもの諸説があります。広く認知されているのが、日本神話における日本武尊の伝説。なんでも日本武尊が宝登山近辺を登山中に山火事に遭遇してしまい、道がふさがってしまう大ピンチに陥ります。その窮地を救ったのが大きな犬。たちまち火を消し止め、日本武尊は無事に道を進むことができたとされています。
火を消し止めたことから火止(ほど)山と名付けられた起源とされています。この大きな犬は神さまの使い「大口真神(おおくちのまかみ)」とされ、その背景から宝登山神社にはオオカミの狛犬像が並んでいます。秩父一帯がオオカミ信仰が深い理由には日本武尊の伝説が語り継がれているからといえますね。
もう一つ有名な諸説は引法大師が山頂に宝珠の翻るのをみて宝が登る山=宝登山と名付けられたとう説です。宝というのは、山上に黄色く輝くロウバイのことでしょうか。宝登山に咲く花の美しさを物語っているような話ですね。
宝登山は大きく3つの見所があります。1つ目はロウバイや梅を代表する「花園」
2つ目はこんなところにあるのかと驚かされる「宝登山小動物公園」
3つ目は歴史深く山の神さまを祀る「宝登山神社」
【ロウバイ・梅百花園】
冬のまだ寒い時期(1月~2月下旬ごろ)に見所を迎えるロウバイは宝登山の代名詞と言えますね。山上を黄色で埋め尽くす写真にほれぼれしてしまいます。ロウバイは漢字で蝋梅と書きますが、実は梅の仲間ではないことをご存知でしたか。梅はバラ科に属しロウバイはその名の通りロウバイ科に属しています。甘い香りに包まれるロウバイ巡りは低い山を楽しむコースの一つに入れてみてはいかがでしょう。
また宝登山にはロウバイ園と梅百花園があり、時期をずらしても楽しむことができます。梅百花園の見ごろは2月上旬~3月下旬ごろとされ、一足先に春を味わえます。さらにツツジ(4月下旬~5月下旬)、シャクナゲ(5月中旬~6月中旬)、そして秋には紅葉と一年を通じて楽しめる山でもあります。
【宝登山小動物公園】
宝登山小動物公園は宝登山の山頂にある動物園。ニホンザルやホンシュウジカ、うさぎなどの動物とふれあえる子どもに人気なスポットです。ロープウェイで山頂まで行き、ハイキングしながら動物園に行くのも良いですね。
【宝登山神社】
宝登山神社は「秩父神社」「三峯神社」と同じく秩父三社の一つとして1900年以上も鎮座しているとても由緒正しい神社です。神さまの使いとされる犬が火を消し止めた逸話が深く関わることから御祭神は「神日本磐余彦尊(かんやまといわれひこのみこと)」「大山祇神(おおやまづみのかみ)」「火産霊神(ほむすびのかみ)」が祀られています。
「大山祇神(おおやまづみのかみ)」は山を司る神さまなので時間に余裕があれば登山祈願をするにも良いでしょう。奥宮が山頂にあるのでそこでもお参りができます。気になる宝登山神社の御利益は、宝の山を登るということから「金運」アップとして知られています。その他にも家内安全、商売繁盛、火防盗賊よけなどご利益があるとされています。
宝登山山頂からの眺めはなんといっても秩父山地の山々が一望できることが魅力です。秩父を象徴する「武甲山」、日本百名山の一つ「両神山」が見られます。ロウバイの時期に合わせればこれぞ宝の山!と言わんばかりの黄色い景色が目の前に広がります。
宝登山といえばロウバイと梅ですね。それぞれ開花時期をご紹介いたします。
ロウバイ12月下旬~2月下旬
梅百花園2月上旬~3月下旬
詳しくは宝登山ロープウェイのWEBサイトをご確認ください。
宝登山への登山コースはもっともポピュラーな野上駅から長瀞アルプスを歩き宝登山、長瀞駅へと下りるコースをご紹介します。約3時間40分のコースで少し長めのハイキングを楽しむに程良いです。下山後にそのまま長瀞観光を楽しむのであれば、交通機関を利用するのがおすすめです。
【交通機関を利用される方】
野上駅へのアクセスはいくつかありますが、起点になる駅は池袋になります。ここでは西武池袋線を利用したルートをご紹介します。特急のレッドアロー号に乗っていけば観光気分を味わえます。
①池袋駅より西武池袋線「西武秩父駅」下車
②「西武秩父駅」より徒歩で秩父鉄道の「芝桜駅(御花畑駅)」へ移動
③秩父鉄道「芝桜駅(御花畑駅)」より「野上駅」にて下車
合計料金:(特急)1,972円
その他にも、東武東上線を利用したルートもあります。
池袋駅→小川町(埼玉)駅→寄居駅→野上駅(計1,325円)
秩父鉄道の時間は限られているため事前にチェックください。
【参考リンク】
秩父鉄道 各駅情報
【お車でアクセスされる方】
車で野上駅へアクセスする場合は関越自動車道の花園ICから約30分ほどで到着します。駐車場は少ないためご注意ください。
野上駅前駐車場
【参考リンク】秩父鉄道 野上駅
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野上駅には自動販売機があり、コンビニは歩いて10分ぐらいのところにあります。食料の準備は事前にしておいた方が良さそうです。駅からはまず萬福寺を目指して歩きます。道中田んぼが広がりのどかな風景を楽しめます。
萬福寺の手前に「長瀞アルプス」の標識が見えたら登山口はもうすぐ。萬福寺までは約20分ぐらいで到着するので、それよりも長いなあと感じたらスマホや地図でチェックしてみましょう。駅から登山口は意外に迷ったりします。
登山口から雑木林に入り長瀞アルプスを歩きます。天狗山分岐までは登りが続き、氷池分岐を超えるとゆるやかなアップダウンの道へと変わっていきます。野上峠までは1時間10分、そこから頂上までは50分ぐらいかかるので、野上峠まで来たらあと半分ぐらいと目安になります。頂上付近には疲れたハイカーを試すように200段続く階段が待っています。
頂上には山の神さまが祀ってある「宝登山神社奥宮」にてお参りすることをおすすめします。歴史好きな方はオオカミの狛犬にも注目です。神社近辺には売店がありますのでお土産を買うのもいいですね。ロープウェイ乗り場もあるので時間がなかったり、身体が疲れていたりする場合は利用しましょう。
宝登山頂上から約1時間30分ぐらいで長瀞駅に到着します。途中には宝登山神社があり、参拝はもちろん、建造物としても価値ある歴史深い神社なので是非立ち寄ってみてください。
長瀞駅周辺は商店街で賑わい長瀞グルメを味わえます。時間に余裕があれば長瀞観光を楽んでください。
ロープウェイを使ってすぐに頂上へ行ける!
【参考リンク】宝登山ロープウェイ
①登山する際は必ず地図を持っていきましょう。※コンパスもあるのがベストです。
②山歩きの基本3大装備「登山靴」「ザック」「レインウェア」を準備して登山に挑みましょう。※行程や季節により異なりますので山行計画に合った装備や道具を準備しましょう。
③登山届けの提出、山岳保険も忘れずに。
④登山に慣れていない方は経験者と行くようにしましょう。
⑤危険を感じたら引き返すようにしましょう。
⑥冬や残雪期の登山は技術や装備が必要です。無理な計画をせずにご自身に合った登山計画を立ててください。
⑦動物に遭遇してもエサを与えないようにしてください。
⑧ゴミは持ち帰りましょう。
▼山の地図は登山・トレッキングに必ず持参しよう!
▼道に迷った時でもすぐに居場所がわかる便利な「GPS」
宝登山登山を十分楽しんだ帰りは、汗を流して着替えたいですよね。日帰り入浴可能な温泉をご紹介します。
長瀞駅からは少し遠いけど、奥長瀞の自然を眺めながらの温泉は最高!
※料金や営業時間などの情報が古い場合がございます。直接ご確認くださいませ。
宿泊もできる西武秩父駅にできたとっても便利な温泉施設
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登山をする上で天気はもっとも重要な情報と言えます。平地は晴れていても山は雨なんてことも多々あります。特に夏の天気は変わりやすいため事前に天気の状況を把握しておきましょう。
全国レジャースポットの詳しい天気予報を掲載している「てんきとくらす」を参考にしています。
宝登山の天気を見る
(てんきとくらす)
宝登山登山時のグルメをご紹介いたします。
秩父地方の郷土料理「ずりあげうどん」その名の通りずり上げて食べるうどん。
宝登山登山の魅力はロウバイや梅を眺めながらのんびり歩くことができるところですね。高い山も素晴らしいですが、低い山ならではの楽しみ方も魅力的です。
宝登山はロープウェイもあることから比較的時間に余裕ができるため、長瀞観光を含めた登山計画を立てて、大人の遠足を味わう一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
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