登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方

登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方

「日帰り登山だからヘッドライトは必要ない」と考える方もいらっしゃいますが、ヘッドライトは必需品です。予期せぬトラブルで下山が遅くなると山は暗闇に包まれることがあります。

今はスマホにライトが付いているものがほとんどですが、片手が塞がり危険です。今回は登山にヘッドライトが必要な理由と、ヘッドライトの選び方のご紹介です。



登山をするなら、ヘッドライトは必需品

登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方

日帰りの登山でも、ヘッドライトを忘れずに

日帰り登山であっても予定よりも下山が遅くなることはよくあることです。都会に住んでいる方には想像しにくいかもしれませんが、秋冬の山は15時くらいになると薄暗くなり、足元が見えなくなるほどです。

山には照明がないので、陽が落ちると暗闇になります。霧があるとさらに真っ暗です。そんな時にヘッドライトがないと、道迷いや滑落などのリスクがいっそう高まります。

ヘッドライトがあれば遭難した時にもサインを送り、救助してもらいやすくなります。実際、ヘッドライトの光が手掛かりとなってヘリコプターで救助された例もあります。

特に初心者はアクシデントに備えるという意味でヘッドライトを持参しましょう。

泊まりがけの登山なら、ヘッドライトは必須

山に照明はありませんので、テント泊の場合はヘッドライトが必須です。

山小屋に泊まるからヘッドライトは要らないと考える方もいるかもしれません。山小屋の消灯時間は早いので、トイレに行きたくなったり、早朝出発の準備をする時に手元を照らすライトが必要です。

山小屋の中でヘッドライトを使う場合、他の人の迷惑にならないようにマナーを心がけましょう。

日の出を見るために早朝登山をする場合、登山道はまだ真っ暗なのでヘッドライトが必要です。

懐中電灯やスマホのライトでなんとかなると考える方もいるかもしれませんが、足元の悪い道を、片手が塞がった状態で歩くのは危険です。両手が使えて、視界を明るく照らしてくれるヘッドライトは初心者こそ必須アイテムです。

ヘッドライトを有効に活用するポイント

登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方

防水性があり、軽くて使いやすいことが大切

初心者の場合、ヘッドライトと言えば念のために持っていくアイテムなので、万が一使用する時にスムーズに使えるのがベストです。明るければいい、高ければいいというものではないのでポイントを押さえて選びましょう。

荷物を軽量化するためにも出来るだけ軽いものがいいですね。ベルトが細すぎると装着が不安定で歩くときにストレスになります。バンドが多いもの、バッテリーケースが別でコードの配線が出ているものも装着がしづらいです。

押しやすいボタンかどうかもポイントです。グローブをしたまま操作できると便利ですね。

山では雨や霧などでヘッドライトが湿気ることがありますが、乾電池やバッテリーは湿気を嫌います。濡れたまま放置していると電池から液漏れを起こすことがあるので、防水性のあるヘッドライトを選んでおくと安心です。

予備のヘッドライトや電池の準備も忘れずに

さらに安全性を追求するためにヘッドライトをもう一つ持って行くことをおすすめします。

ヘッドライトを使って歩いている時に、急に電池が切れてしまうと電池交換もできないくらい暗闇になってしまうからです。そんな時にもう一つ予備があると役に立ちます。

充電式であれば充電器を、電池式の場合は電池の予備を持って行きましょう。ハイブリット式も便利です。バッテリーチェッカーがあると焦らなくていいですね。あくまで予備は予備なので一つあれば十分です。

最近のヘッドライトはコンパクトなので、登山前に電池の蓋の開け方、電池の向きの方向をチェックしておき、スムーズに交換できるように練習しておきましょう。

登山向けのヘッドライトの選び方

登山にヘッドライトは持参すべき?活用ポイントとヘッドライトの選び方

ヘッドライトの性能や明るさはさまざま

LEDの普及に伴い、明るさの単位に「ルーメン」が用いられるようになりました。ルーメンの数値が大きいほど光量が多いという意味です。

一般的な登山であれば100ルーメンあれば十分です。数十メートル先の道の状態も分かります。明るすぎると他の登山者の視界を遮ってしまい、目に負担がかかりますので迷惑です。

遠距離・近距離モードが切り替えられると便利です。遠距離モードは遠くまで明るく照らすことができるので暗い山道でも光を確保できます。

近距離モードは近くや手元を照らすのに適しています。角度を調整できる機能があると首への負担が少ないです。

レッドライト搭載モデルは瞳孔に刺激しにくいので、夜間でも他の人に迷惑をかけずに行動する時に活躍します。

点滅モードがあれば、自分の存在を周りにアピールする時に使える便利な機能です。万が一に備えて搭載されているかチェックしておきましょう。

ヘッドライトの人気メーカーをご紹介

ヘッドライトの定番「ペツル」

「クラッシックシリーズのティカ」

300ルーメンの光量、82gという軽さ、バンドの安定性など一般登山に十分なスペックを兼ね備えたヘッドライトです。

光の強さも3段階に調整でき、ワイドビーム、レッドライトも搭載しています。乾電池でもバッテリーも使用可能なハイブリットタイプです。夜光塗料が消灯後に光る工夫もされています。

ぺルツには性能に合わせて5つのシリーズがあります。上級者になるにつれて活動に合ったヘッドライトにしていくことができます。

リーズナブルな価格と十分な機能「モンベル」

「パワーヘッドライト」

明るさ200ルーメン、照射距離90mを誇る明るいヘッドライトです。明るさは20ルーメンからブーストモードの335ルーメンまで調整可能です。単4電池3本使用でお手軽です。歩行の時には白色LED、テント内では電球色のLEDと適した光を選べます。

誤作動を防ぐダブルクリック点灯など工夫もされています。扱いやすく、防水性なので安心です。入門機にピッタリです。

まとめ

ヘッドライトは登山をするなら必須アイテムともいえる重要なものです。サイズもそれほど大きくないのでザックの中に常備しておくと忘れることがないのでおすすめです。

ただし、登山前に電池が切れていないかチェックするようにしましょう。いざ使おうと思ったときに光らなかったら最悪の事態を招いてしまいます。

色々な種類がありますが、「ペツル」や「モンベル」といった定番のものから選ぶのがわかりやすくて良いでしょう。

▼登山でバテないための体作りに役立つ本

▼今すぐトレーニングを始めるための服装

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ

登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ

登山をするにあたって、必ずと言っていいほどついて回るのが虫問題です。一般的には虫除けスプレーを身体に吹き付けるのが基本の対策になりますが、それ以外にも様々な対策グッズや方法があります。

季節や登る山によっても生息する虫は違っていて、それぞれに対策が異なる場合があるでしょう。できれば事前に用意してリスクを回避したいですよね。



登山ではさまざまな虫への対策が必要

登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ

登山で遭遇しやすい虫を把握する

山は自然の宝庫です。都市や町では見かけない虫も多く生息しています。カやクモなど比較的よく見かけるものから、ブヨやヤマビル、マダニにスズメバチ、最近では病原体を持ったツツガムシという虫も、全国に生息域を拡げているようです。

ブヨは見た目はハエのように小さく、音も無く飛び回るので、あまり気にならないことも多いでしょう。しかし一旦刺されるとその翌日以降、長く続いた場合は一ヶ月もの間、腫れと強い痒みに襲われることもあります。

ヤマビルは日が当たらない湿った林の中に潜んでいることが多く、噛み付いて来てもほぼ無痛のため、下山してはじめて足にくっついているのを発見したりします。スズメバチは大きいものだと体長5cm以上にも達し、獰猛な性格は非常に危険です。

快適な登山のために虫除け対策は必須

このように山には様々な害をもたらす虫が生息しています。痛みや痒みだけにとどまらず、マダニやツツガムシなどの吸血する虫の中に病原菌を持っている個体もおり、吸血の際に感染して、病気にかかってしまう可能性もあるのです。

発熱や腹痛、果ては意識障害に至るような重篤の症状に陥る危険性もあります。そのような虫の脅威に怯えながらでは、せっかくの楽しい登山も台無しになってしまいます。

登山中はなんともなくても、帰ってきてから痛みや痒みに襲われるような事態では、日常生活にも支障をきたしかねません。

それぞれの虫ごとに対応できる対策は異なってきます。しっかりとした虫除け対策を事前に行うのは、登山にあたっての必須の準備と言えるでしょう。

登る山と季節に合わせた虫除け対策

登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ

虫除けグッズには多くの種類がある

虫除け対策に効果的なグッズには多くの種類があります。例えば虫除けスプレーは二つのタイプに分かれており、ミストタイプとエアゾールタイプが市販されています。

ミストタイプは霧状に噴射して身体の狭い範囲に吹き付けて使用し、エアゾールはガス噴射によって一気に広範囲に吹き付けることができます。ミストタイプの中でも好んで使われることが多いのがハッカ油のスプレーです。

ハッカはハエが嫌がる成分でして、ハエ科のブヨには特に効果的です。

頭から肩までを覆う虫除けネットは、露出部分の多い顔を防護してくれる効果があります。100円ショップでも買えるので、できれば持っておきたい一品です。他にも、強力な殺虫効果を持つ携帯用の蚊取り線香などもあります。

登る山と季節にあわせた虫除けグッズを選ぶ

このように多くの虫除けグッズから適切な物を、登る山や季節にあわせて選んでいきたいところですね。

登山する季節に関してですが、まず冬の間は虫もほとんどいないので対策は不要と言えるでしょう。

問題は春~秋にかけて、丁度見頃の草花や木々に誘われるように虫たちも活発に活動する時期です。特に暑い夏には危険な虫も多いので、これから登る山の情報を調べておくのが無難です。

今はYAMAPなど、いろいろな登山者の登山記録や山の情報を個別にチェックできる便利なサイトなどもあります。

そういった登山記録では、特定の虫の目撃情報なども目にすることが少なくないので、それに合わせて虫除けグッズを用意しておけるととっても安心です。

虫除け効果をさらに上げるコツ

登山の虫除け対策でリスクを回避。季節に合わせた対策と虫除けグッズ

複数の虫除けグッズを併用する

虫除けグッズには多くの種類がありますが、複数のグッズを併用することでより効果を上げることができます。

虫除けスプレーは身体に吹きかけることによってすぐに効果を発揮しますが、汗をかいてくるとだんだん効き目が薄れていってしまいます。そこで例えば、効果がずっと持続する虫除けネットを被っておくと、より安心できるでしょう。

このように虫除けグッズにはそれぞれ弱点があるので、お互いを補完するように使用すると便利です。他にも、ハッカ油はアブやブヨ以外には効果が薄いので、他の成分を含んだスプレーと組み合わせて使うといった方法があります。

グッズの組み合わせは無数にあるので、ご自身でいろいろ試してみるというのも面白いかもしれません。

登山では肌を露出さないことが大切

登山の虫除けにあたっては、服装も大事です。特に暑い夏はラフな格好でいたいところですが、肌の露出はなるべく避けましょう。虫の格好の餌食になってしまいます。

通気性のよい長袖、長ズボン、ソックス、靴は登山用の靴が理想ですが、無ければ露出部分の少ないスニーカーを履くと良いでしょう。アブやハエなどは濃い色を好みますので、なるべく薄い色をチョイスするのがコツです。

最近では防虫タイツなども売られており、服自体に虫除け効果が付いているものもあります。

しかしながら登山者の間では、いまのところ普及しておらず効果の程は未知数ですので、あくまで参考程度が無難のようです。登山用のサポートタイツでしたら、動きやすく脚も覆ってくれるのでおすすめです。

登山計画書を提出せず、山岳保険にも加入せず行方不明になって死亡した場合、自殺とみなされ保険金が請求できないこともあるので注意しましょう。

まとめ

特に虫よけ対策が必要なのが6月~8月ごろになります。梅雨の時期はヤマヒルが多く、夏は蚊やアブ、ハチなど危険な虫に注意しましょう。

刺されてしまうとせっかくの登山も悲しい思い出になってしまうので、虫よけスプレーや肌を露出しないなど対策を万全にして登山を楽しみましょう。

▼遭難防止に役立つ本

▼セルフレスキューに役立つもの

ファーストエイドキットは必要なものを個別で揃えるのもおすすめです。

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー

泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー

日帰り登山に慣れてきたら泊り登山にチャレンジしたいと考える方は少なくありません。「山小屋」を利用すればテントや食事に必要な道具を背負う負担を軽減できますし、悪天候になっても安心です。

疲れを癒し、力を得て登山を続けることができます。山小屋ではどんなサービスを受けることができるのでしょうか。またどんなマナーがあるのでしょうか。山小屋デビューしたい方必見ですよ!



泊まりの登山で山小屋はありがたい存在

泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー

山小屋では疲れた体を休め、登山の活力を養える

到着してすぐは体が温まっていて血流がいいので、荷物を降ろしてストレッチしましょう。山小屋に入ってからは靴を脱いで、リラックスした状態でストレッチすることも忘れないでくださいね。疲労回復につながります。

意外と知られていませんが、疲労物質は尿に交じって排出されます。体内の水分を入れ替えることを意識してください。たくさん出した後は脱水症状にならないように、水分補給をしてください。

質のよい睡眠は大切です。山小屋では耳栓やアイマスクが役に立つかもしれません。標高が高いと眠りが浅くなることがあります。なかなか眠りにつけなくても、目を閉じるだけでも随分違います。

忘れてならないのが食事です。基本1泊2食が基本の山小屋が多いです。しっかり食べてエネルギーを回復させましょう。最近では次の日のお弁当を有料で用意してくれる山小屋も増えています。

山小屋の不便さも登山の楽しみの1つ

単山小屋はホテルや民宿とは違って、登山者が宿泊できる必要最低限の設備しかありません。それでも目的地を目指す中継地点になるのでありがたい存在です。感謝して利用するために知っておきたいルールがいくつかあります。

山小屋では基本的にお風呂はありません。環境汚染のため、歯磨き、洗顔もできない場合も少なくありません。磨き粉や石鹸が使えないことを念頭に置いて荷物を準備しましょう。

山小屋に泊まったとしてもゴミはすべて持ち帰りが鉄則です。

朝早く出発する登山者や朝焼けを見るために早起きする人がたくさんいるので、山小屋での消灯時間は早いです。他の登山者達への配慮を怠らないようにしましょう。

山小屋の売店では販売物の価格が高めです。それらは空輸や人が背負って山まで運ばれてきたものですから文句は言えませんね。必要なものであれば感謝して購入してください。

基本的な山小屋の利用方法

泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー

山小屋には早めの到着と出発が基本

山小屋のチェックインは悪天候を除いて基本的に15時を目安に到着するようにしましょう。山の天気は変わりやすいので早めに到着できるように登山計画をきちんと立てておきましょう。

着いたら受付を済ませます。宿帳の記入、食事の要不要、翌日の行動予定などを記入します。登山者は早朝早くに出発する人も多いため料金は前払い制です。

夕食は17時頃からスタートします。チェックインした時に時間を確認しましょう。食事はエネルギー補給のために、また山の上まで食材が運ばれてきたことに感謝し残さず食べましょう。

就寝は20時頃です。電気で発電機おこす場合、一定時刻で消灯になる場合があります。消灯前に翌日の準備をしておきましょう。

起床時間は5~6時で朝食時間は山小屋によって異なります。朝食を山小屋で食べる場合、7時頃出発する人が多いですが、早朝に出発することもできます。

山小屋では宿泊者どうしの譲り合いも大切

山小屋の部屋は基本的に相部屋です。大部屋に雑魚寝、男女別相部屋、二段ベッド、寝具も布団と毛布、寝袋などさまざまです。

先客がいたら一言挨拶をするならお互いに気持ちがいいですね。疲れて休んでいる方も多いので大きな声でしゃべったり、騒いだりしないようにしましょう。

ご来光を見たい場合、深夜出発になります。まだ寝ている人もいるため大きな音を立てないように、またヘッドライトがまぶしくならないように配慮してください。

食堂の座席に限りがあるので最盛期の場合には、交代制で食べることも珍しくありません。食事を待っている人のことも配慮して食べ終わったらすぐに退出し、譲り合いの精神を示しましょう。

山小屋ではスペースが限られています。荷物の整理は前の日に自分のスペース内でしっかいり行い、コンパクトにまとめておきましょう。出発前に準備するのはマナー違反です。

山小屋のサービス内容は個々に異なる

泊まり登山で山小屋を利用しよう。山小屋の重要性や基本的なマナー

個室や食事、風呂などに注力する山小屋も増加中

着替え、いびきなど女性だけでなくプライバシーが気になる方は少なくありません。最近では、個室や食事、お風呂など他のサービスなどに力を入れている山小屋が増えています。

例えば「富士山・御来光山荘」は二段ベッドに壁と遮光カーテンが取り付けられた個室エリアが完備されています。その名のとおり山小屋からは壮大なご来光を見ることができます。

甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳の玄関口に位置する「北沢峠・こもれび山荘」はカーテンで仕切られたベッドスペースなのでプライバシーが確保され、安心です。それだけでなく、ボリュームのある食事や南信州のクラフトビールを味わえます。

八ヶ岳の赤岳鉱泉は標高2,000m以上の山小屋なのにボリュームたっぷりの鉄鍋ステーキやデザートなど食事のクオリティーが高いので有名です。

夏限定ですがお風呂にも入ることができますし、悪天候で動けない時に退屈しないように本も充実しています。また、怪我をしないための講習会、登山をいっそう楽しむための講習会なども行われています。

営業期間が限定されている山小屋も多い

富士山は標高が高く、気象条件も厳しいため、山小屋は7・8月の2か月しか営業しないところがほとんどです。

北アルプスなど多くの登山者が訪れる地域では6月中旬から10月中旬もしくは11月はじめというところが多いです。メインルートから離れている場合は夏季営業のみの場合があります。

登山者なら一度はやってみたい「山での年越し」。冬季営業している山小屋もありますが、積雪状況により変更になる可能性もあります。

冬山は素晴らしいものですが、多くの危険も伴います。山に入る前に必ず最新情報を確認してください。

登山シーズンが終わっても山小屋登山がしたいという方もいらっしゃるでしょう。そのような方のために、通年営業している珍しい山小屋もあります。

まとめ

登山をする上で山小屋の存在はとてもありがたいです。「ここは山の上なの?」と疑うぐらい設備が整ってる小屋もあり、登山の楽しみを広げてくれます。

山小屋ならではのマナーはしっかり守り、自分だけのお気に入りの山小屋をみつけてみてはいかがでしょうか。

▼山旅に誘う本たち

あなたを山旅に誘う本をご紹介します。よ読むだけで行きたくなりますよ。

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!

登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!

登山を楽しく安全に行うには、事前の準備がとても重要です。特に前日の行動において注意しておきたいことがいくつかあります。

数日前、早ければ一週間以上前から、入念に準備を進めているのであれば、もう前日には万全の状態と思えるかもしれません。それでも前日にできることは様々なことがあります。それは、当日の登山をより有意義な時間にしてくれることでしょう。



登山は前日から始まっている

登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!

登山の準備は前日までに済ませておく

登山は朝早くから現地に向かい、十分な時間を確保して望むものです。そしてその間の食事や飲み物は、ほぼ自分で持っていく必要があります。体調も出来るだけ万全の状態でいるのが好ましいです。

体調管理、必要な物の準備や登山計画をしている時点で、登山が始まっていると言えます。当日、途中で身体がだるくなって頭痛を感じたり、必要な物が無かったり、天候が崩れたりなど不測の事態が起きるかもしれません。それらは前日までに行う準備によって、ほとんどを防ぐことが可能となるでしょう。

まず心掛けとしては、前日に仕事や学校があればできるだけ早めに帰宅して身体を休めておき、または休日であっても、身体に負荷をかけるような激しい運動は控えておきたいところです。

登山の成功には前日の食事も重要

お腹が空いて目眩がする、足元が覚束ない、頭がぼーっとする・・。大半の方は、一度は経験したことがあると思います。

身体に必要な栄養素が足りてない状態、要はエネルギーが切れているのですが、登山ではそれを「シャリバテ」といい、最悪、歩けないほどにもなるので恐れられています。

主に朝食を抜いたり、途中でエネルギーを補給できる食べものが無かったりする時に起きます。ですが、実は他にも要因があり、前日の食事の内容も関わってくるようです。

エネルギーは貯蔵が効くため、前日から意識した食事が重要となってくるのです。一番必要な栄養素は最終的に糖分となる炭水化物、つまりお米やパンをしっかり摂っておくことがポイントです。

登山の前日にやっておきたいこと

登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!

登山するコースの確認や天候のチェック

初めて登る山へ行く時は特にですが、現地の情報を欠かさず前日にチェックすることも重要です。

明日の天気はどうでしょうか。たとえ降水確率0%で快晴の予報だとしても、ここ数日に強い雨が降っていたり、台風が来たりした後は要注意です。

道中、地面がぬかるんで大変滑りやすくなっているかもしれません。あらかじめ決めていた登山コースも、途中、倒木や土砂崩れで通行止めになっている可能性もあります。必ず事前に調べておきましょう。

最近は、登山のコース上の天気が確認できる登山情報サイト「登山ナビ」というのもあり、有料ながら詳細が分かるので大変便利です。山頂付近の天気だけでも知りたい場合は「てんきとくらす」がおすすめです。こちらは無料で利用できます。

食材や足りない装備の調達とパッキング

登山に持っていくものは、前日にザックに入れてパッキングしましょう。ザックはいわゆる登山用のリュックサックのことで、腰や胸周りにも固定するベルトがついているので、より密着させて固定し、身体への負担を分散させる作りになっています。

必要なものの調達はなるべく前日までには済ませておき、前日はパッキングだけするだけ、という状態にするのが望ましいです。その時点で万が一足りてないものがあれば用意をします。

パッキングのコツですが、よく使うものは上の方、取り出しやすい所に入れるのが良いでしょう。外側にサイドポケットがあれば、そこに入れておくのもいいですね。そして重心をよせるため、重いものはできるだけ背中の方に入れると良いでしょう。

登山の前日に気をつけたいこと

登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!

登山の前日は十分な睡眠を

登山前夜、荷物のパッキングをし、現地の天気、登山道の状態をチェックし終えたらあとはお風呂へ入って寝るだけです。

人気の山の登山口付近にある駐車場は、早朝から混み合います。夜通し車を走らせ、現地で駐車場所を確保してから仮眠をとる方も多いです。

しかし、車中泊では睡眠時間は短い上、深い眠りも得られません。そのような状態で登山を開始すると、初めは調子が良くてもお昼頃に強い太陽の日差しを浴びて、目眩や頭痛を起こしたりする場合があります。

たとえ、登山口から少し離れた場所に駐車することになっても、自宅で十分に睡眠をとってから現地に向かうことをおすすめします。

睡眠不足による体力低下でせっかくの眺望を山頂で楽しむ余裕も無くなるのは悲しいですね。

アルコールはできるだけ控えよう

明日の登山を控え景気づけに一杯、寝付きも良くなる…と前夜の晩酌を楽しみにしている方もいるかもしれません。しかし、あまりおすすめはできません。

アルコールはたとえ少量であっても、翌日のパフォーマンスに影響を与えます。二日酔いになれば登山どころではないのは明らかですが、普段からお酒を嗜んでいる方にとっては、日々その影響を実感することは少ないかもしれません。

ところが、激しい運動をすると体力の消耗が大きくなります。ましてや登山は標高が高くなるにつれ気圧は下がり、酸素は薄くなり、低酸素状態は軽い酔いのような症状が出ることもあります。

それが酷い状態がいわゆる高山病です。快適な登山を行うため、アルコールはなるべく控えましょう。

まとめ

平日仕事で週末だけ山に行く会社員はなかなか夜に時間をとるのが難しく、登山前日に全部まとめてやってしまう…ということはよくあるかもしれないですね。

日帰り登山なら前日にパパっと済ませば問題ないですが、1泊、2泊の登山になると前日の夜だけでは時間がかかってしまいます。移動時間を考えると尚更ですね。

できるだけ平日の夜に必ず持って行くものだけを先にまとめておき、パッキングしやすい状態にしておくのがポイントです。

細目に準備しておくことで前日の時間や睡眠時間に余裕が生まれるため、登山そのものを楽しめることになります。

▼登山でバテないための体作りに役立つ本

▼今すぐトレーニングを始めるための服装

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!

登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!

登山でいざというときに役立つのが「ホイッスル」です。滑落や遭難、ケガで動けなくなったときに救助を呼ぶために使用します。

グループ登山では距離が離れたときに大声を張り上げるより音を遠くまで伝えることができるので、合図としても使えます。

価格も比較的安く、小さくて軽いので、登山にぜひ持って行ってほしいアイテムのひとつです。今回はそんなホイッスルの使い方や種類をご紹介します。



ホイッスルは単独でもグループ登山でも有効

登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!

登山でのホイッスルは合図や危険を知らせる手段

ホイッスルは警告を発するのに有効です。たとえば落石などの危険に気が付いた時、他の登山者に知らせることができます。ホイッスルの音は木々の音や川の音にかき消されない音なので、他の登山者も気づいてもらいやすいです。

グループでの登山においては合図としてホイッスルを用いることができます。例えば、「応答せよ」「登ってこい」「登るのは待て」などです。

ホイッスルで合図し合えるとうれしいものですが、吹きすぎには注意が必要です。不必要に吹くと他の登山者が危険への警告音と勘違いするかもしれません。

霧の中で歩行する時にも自分の居場所を知らせる手段として有効です。この場合もライトと併用し適切に使いましょう。

単独登山ならホイッスルは緊急時の命綱

単独登山では、滑落や転倒で怪我をして動けなくなったときに、近くに人がいなければ気づかれる可能性が低くなります。声を出すのも難しい場合もあるので、助けを呼ぶためにホイッスルが役立ちます。

ホイッスルを使えば少しの力で音を遠くまで響かせることができます。

ただ、やみくもに吹くのではなく遭難信号を覚えておくと良いですよ。遭難信号はホイッスルを1分間に6回(10秒に1回)のリズムで鳴らします。その後、1分休みます。これを繰り返します。

応答信号は1分間に3回(20秒に1回)のリズムで鳴らし、1分間休むを繰り返すことで遭難信号に答えることができます。

遭難信号を忘れてしまったらモールス信号のSOSでも大丈夫です。「3短点・3長点・3短点…」です。

とはいえ、遭難してしまったらパニックになり信号もSOSも忘れてしまうかもしれません。そんなときはなんでもいいのでピーピーと吹いて必死に助けを呼びましょう。

登山用ホイッスルの使い方を事前に知っておこう

登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!

「ピッピッ」と強く吹くと高い音が出て効果的

ホイッスルを吹かなければいけない状況にならないことを願いますが、いざとなったときに使えないなら意味がありません。事前にホイッスルの鳴らし方を練習しておくと安心ですよ。

登山用のホイッスルは学校で使っていた体育用の笛とは吹き方が異なります。同じように吹いても大きな音はでません。実は大きく遠くまで聞こえるように鳴らすのにはコツがあるのです。

長く吹くのではなく、「息を一気に吹きかける」感じです。瞬発的に強く吹きます。遠慮なく思いっきり吹いてください。

ピッピッと強く吹くことで大きく高い音が出るので効果的です。練習する時はご近所迷惑にならないように気を付けてくださいね。

ホイッスルを意味なく吹くことは控えよう

ホイッスルはいざというときのためのものなので、意味なく吹くことは避けましょう。遭難者や怪我をして動けない人など本当に困っている人からの笛が聞こえなくなるかもしれません。

他の登山者が警告音と勘違いするかもしれません。そうなると驚かせて迷惑をかけることにもなりかねません。そうでなくても不必要な音は他の人を不快な思いにさせるかもしれません。

グループ登山では出発や到着の合図にホイッスルを鳴らして知らせることがあるようです。本来ホイッスルは警告や異常を知らせる合図です。

気を付けて使わないと、他の登山者が「何かありましたか」と心配して駆けつけることになったケースもありますので注意しましょう。

登山用ホイッスルの種類はさまざま

登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!

ホイッスルの素材は金属製やプラスチック製

それぞれの登山スタイルに合わせてホイッスルを選ぶとよいですね。ホイッスルの素材は金属製やプラスチックがほとんどです。泥まみれになって汚れたり、水に濡れても使えるものを選びましょう。

プラスチック製のホイッスルは、軽くて雨や水にも強いのが特徴です。メンテナンスも簡単にできるので人気が高いです。ただプラスチックは金属と比べると割れたり、ヒビがいったりしやすいというデメリットがあります。

同じプラスチック製でも大きさや形状によって弱い息でも大きな音が出るもの、強く吹かなければ音がでないが指向性の優れたものなど、性能が異なります。素材だけでなく特徴と合わせて覚えておくと選びやすいですよ。

金属製は耐久性があり、ニッケル、ブリキ、アルミ、真鍮などの種類があります。アルミ製のホイッスルは高くよく響く音が出ます。

登山用ホイッスルは大きさや形状に応じて3種類

登山用のホイッスルは大きく分けて3種類あります。

①本体が大きく、大きな音が出る
②薄くてコンパクトだが、力強く吹けば大型に負けない音が出る
③コンパクトで弱い息でもある程度の音は出る

アウトドアショップにはいろんな種類のホイッスルが売っていますが、衛生上試し吹きや吹き比べができないので種類頃の特徴を知っておくと選びやすいですね。

①のタイプは大きなホイッスルは少し息を吹くだけでビックリするくらい大きな音が出ます。

②のタイプはシンプルな作りで軽く息を吹き込むくらいでは音がなりませんが、大きく強く息を吹き込むと大型のホイッスルに負けないほどの大きな音が出ます。高音です。

③のタイプはキーホルダー感覚でいつでも身近に携帯できます。軽いし、デザイン性にも優れています。大型ほど大きな音はでません。

登山におすすめなのは①②ですね。

まとめ

登山用ホイッスルはいざというときのために役立つ必需品ともいえるものです。足が動かなくなったときでもすぐに取り出せるように首から下げたり、ポッケに入れておくのがおすすめです。

ホイッスルは比較的安価なため購入しやすいですが、登山に持って行く前に一度テストも兼ねて吹いてみましょう。思っていたより強く吹かないと音が出ない場合もありますので、感覚を掴んでおきます。

使う頻度は少ないかもしれませんが、コンパクトで持ち運びやすいため常備品として備えておきましょう。

▼ホイッスルのご紹介

▼山のエマージェンシーの知識

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!

初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!

「体力がないから山に登る自信ない…」「遭難とか怖そう…」など、登山は未経験者からすると距離が遠いイメージをもたれてるようです。実際そのような感想を聞いたこともあります。

しかし、登山と言ってもハイキング感覚のコースやロープウェイを利用して頂上周辺を歩くといった山もたくさんあります。登山に興味あるけどまだ自信がない方はそういった登山ルートを選び少しずつ慣れていくのがおすすめです。

今回は魅力的な低山も多い、関東にある初心者にやさしい登山ルートをご紹介します。



日帰り登山でも十分な計画と装備を準備しよう

初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!

低山の日帰り登山とはいえ計画はしっかりと

旅行の計画を立てるのと同じように登山でも計画を立てます。計画を立ててる時間は楽しいひとときですね。

どんなルートを歩くのかがイメージできるよう事前の情報収集が安全登山への第一歩です。登山計画を立てるポイントを順を追ってご紹介します。

①どの山に行くのか決める

まずはどの山を登るのかを決めます。初心者の方でよくわからない人は登山経験者の意見や本を参考に選ぶのがよいでしょう。中には初心者にやさしくない登山ルートを初心者向けと紹介しているものありますのでご注意ください。最初に参考にする項目は下記2つになります。

・往復にかかる時間(3~5時間を目安に)
・標高差(200~300mがおすすめ)

慣れてきたら少しずつ幅を増やしていくのがおすすめです。

②その日の天気やルートをチェック

テレビの天気予報で晴れだったとしても、山の天気も晴れとは限りません。街と山の天気は違うものと意識することが大事です。山の天気情報は色々なサービスがありますので「◯◯山 天気」と検索してみてください。

無料のサービスでは「てんきとくらす」や「天気.jp」などが人気ですね。さらに詳しく知りたい方は有料アプリを利用するのもいいですよ。

③出発と下山の時間を設定する

計画で一番大事なのは出発時間と下山時間を決めることです。下山時間は日が暮れる前の15時を目安としてするのが一般的です。そこから逆算すると何時に出発するのが良いのかが決まってきます。

登山ルートにはポイントがありますので、各ポイントや頂上に何時に着くのがベストなのかも把握しておきましょう。「YAMAP」や「山レコ」などの地図アプリを活用するとおおよその目安が定まってきます。

④装備や持ち物を確認する

山と時間が決まったら装備や持ち物をチェックします。登山靴、ザック、レインウェアなど基本装備がおさえておきたいところですが、観光地化されている山なら全部揃ってなくてもいいでしょう。

こちらの記事では持ち物リストがダウンロードできるようになっています。日帰りと泊まりで必要なものを分けていますので参考までにチェックください。

⑤登山中はタイムマネジメントを意識する

登山中は計画通りの時間にポイントを通過しているかチェックしながら歩きます。地図アプリを利用していればリアルタイムで自分の位置がわかるよいになっているのでとても便利です。

出発時間が予定より遅くなってしまったり、天候が悪くなりそうなら引き返すという選択も必要です。

⑥下山後、疲れた体をセルフケア

何事もなく下山できたら温泉に浸かったり、マッサージするなど疲れた体を癒してあげてください。登山は2,000kal以上消費するといわれており、体に大きな負荷がかかっています。ストレッチや足のマッサージでケアをすると回復が早くなります。

初心者向け関東の日帰り登山ルート

初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!

レベルに応じた登山が楽しめる「高尾山」

高尾山は世界一の登山客数を誇る関東の名山です。その標高は599mと低く、普通のスニーカーでも登るのは苦ではないと言われています。

高尾山にはいくつかのコースがあり、コースによってはやや上級者向けのところもあります。麓の参道や山中、食事ができるお店も多く存在しますが、特におすすめの施設や、見どころを簡単にご紹介していきます。

緑と水が織り成す、東京屈指の癒しスポット「御岳山」

東京都青梅に位置する御岳山は、山岳信仰で有名な霊山です。ケーブルカーで登った後の沢沿いを進むロックガーデン周遊は標高差が100m弱のゆるやかなコースで、ハイキング感覚で楽しむことができます。

霊山なので、寺や神社の僧が利用していた宿坊がいくつかあります。一般の登山客も有料で泊まることができるという、関東圏では珍しい特徴があります。

春の訪れを知らせる蝋梅が美しい「宝登山」

宝登山は埼玉県秩父郡長瀞町に位置する標高497mの低山です。山頂までロープウェイで気軽に登ることもできます。

ロープウェイ山頂駅の周辺にはロウバイや梅園、動物園や、歴史深い宝登山神社の奥宮があります。登った後、名峰「武甲山」をはじめとした秩父連山を望む景観も見どころです。登山以外にも様々なアクティビティにも富んだ名山と言えるでしょう。

体力が必要な中級者向き「鍋割山」

実は全国に鍋割山という名の山はいくつかあり、関東では他に奥多摩に同じ名前の山が存在しています。今回は、神奈川県の丹沢山地にある鍋割山についてのご紹介です。

標高差があり、急登が続く箇所があるため体力が必要です。ある程度経験を積んでから挑戦することをおすすめします。頂上では名物の「鍋焼うどん」を販売しています。道中ではブナの原生林を一年中楽しむことができます。

まとめ

今回ご紹介した山以外にも奥多摩や秩父、丹沢など関東には電車でもアクセス可能な山がたくさんあります。近年のアウトドア人気も相まって自然を楽しむアクティビティは広まってきています。

雑誌やネットなどで調べれば、どれくらいの山レベルなのかはわかりますので、最初は登山口から3~5時間で往復できるルートを選ぶことをおすすめします。慣れてきたら行動範囲を広げて、自分の好きな山を見つけてみてはいかがでしょうか。

▼登山を楽しむための本

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント

登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント

登山用のヘルメットと聞くと経験豊富な登山者が穂高岳や槍ヶ岳などの高い山で使うものと、低山やハイキングをメインにしてる人にとっては遠い存在ですね。

もちろん高い山では落石や滑落をする可能性も高まりますが、高い山ではなくてもヘルメットが必要な場合もあります。

今回はいざというときに頭部を守ってくれる登山用ヘルメットの必要性や選び方をご紹介いたします。



登山用ヘルメットの必要性

登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント

転倒や落石から頭部を守ってくれる

下山中に足を滑らせて転びそうになったことはありませんか?いくら気をつけていても、急な岩場やぬかるんだ道に足を踏み入れてしまうと滑って転んでしまうケースも少なくありません。

特に秋から冬にかけては登山道に落ち葉が積もっており、滑りやすくなります。転び方によっては、頭を強くうってしまい致命傷を負う可能性もあるのです。

岩場では落石の危険も潜んでいます。2019年8月下旬、多くの登山客が訪れる富士山で落石による死亡事故が起きました。落石防止のネットが張られてない場所だったため、落石の危険は少ないと判断されていたのです。

スタッフが事前にチェックしたはずの登山道でも、落石は十分に起こり得ることを知っておかなければいけません。

登山道での転倒なら頭部を守ってくれますが、高い所からの滑落や落石はヘルメットを被っていれば安心とは言えませんが、ケガが軽くなる可能性はありますので、ヘルメットは登山において必要な装備なのです。

ヘルメット着用の推奨地域がある

登山中の遭難では、およそ4人に1人は頭部の怪我を負っていると聞きます。そしてその要因は滑落、転落、転倒がほとんどです。

それらが多い地域の自治体では、登山用ヘルメット着用の推奨地域に指定されています。そういった地域では、実際にヘルメットのおかげで助かった登山客の事例もあります。

ヘルメットが推奨されている山域で代表的なのは、日本アルプスの北・中央・南、全ての地域を含む長野県です。

全国第3位の標高を誇る穂高連峰は、日本でも有数の険しい岩場を擁することもあり、多くの地域で着用が推奨されています。ヘルメットを有償でレンタルしている山小屋も少なくありません。

ただし、長野県も自ら喧伝していますが、推奨地域でなければヘルメットが不要という主旨ではないというところは心に留めておきましょう。

登山用ヘルメットの種類は大きく2つ

登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント

重たいけど丈夫な「ハイブリッドタイプ」

有用な登山用ヘルメットですが、その種類は大きく2つに分けられます。ハイブリッドタイプとインモールドタイプです。

まずハイブリッドタイプの方ですが、発泡ポリスチレン、いわゆる発泡スチロールのインナーを強化プラスチックで覆うような作りをしており、丈夫で耐久性に優れ、比較的値段も安い物が多いという特徴があります。

発泡スチロールはよく精密機器等の郵送の際、緩衝材として使われることも多いように、外部からの衝撃を吸収するので、頭へのダメージを軽減する効果が期待できます。

デメリットとしては、耐久性を重視するあまり、できるだけ頑丈なプラスチックで全体を覆うため、どうしても重くなりがちなのと、通気孔が小さく蒸れやすいところでしょうか。

軽いけど高価な「インモールドタイプ」

一方のインモールドタイプは、インナーに同じく発泡スチロールを用いていますが、外郭はポリカーボネートという特殊なプラスチックで出来ています。ハイブリッドに比べてヘルメット自体の耐久性は低く、やや高価なところがデメリットです。

ただ、その欠点を補うほどの「軽さ」があります。通気も良いため蒸れにくく、内側が頭に沿った形状をしているのでフィット感は優れています。デザインもカジュアルな物が多く、最近はこちらの方が人気なようです。

登山用ヘルメットを選ぶポイント

登山用ヘルメットの必要性。ヘルメットの種類と選ぶポイント

実際に試着してから選ぶことをおすすめ

ヘルメットには2つの種類があり、形や色もそれぞれに多くの物があります。人によってサイズや頭の形も違うので、実際選ぶとなると事前の試着をおすすめします。

フィット感は人それぞれではありますが、ある程度の基準はあります。ヘルメットのヘッドバンドを調節してもブカブカして動きが固定されなかったり、締付けが弱く感じるものは駄目でしょう。

また、あごひもを全部締めてもグラつきが生じる、作り自体が甘くてすぐ壊れそうなものも良くありません。

レインウェア等、フード付きのジャケットと併用できるのかもポイントです。最近の登山用フード付きウェアは大体対応していますが、手持ちの物に合わせるのでしたら、一緒に試着してみましょう。

EN規格や国際山岳連盟の規格マークも確認を

重要ながら盲点になりやすい要素が規格マークです。その有無によって、登山に関する国際安全基準にクリアしているかが分かります。

実は日本では登山ヘルメットの規制は特に存在せず、規格マークがなくても登山用として販売も可能なのですが、当然、それは国際安全基準のテストに合格していない商品ということになります。

ないよりはマシというレベルなので、規格がついてないものはできるだけ避けたいところです。なかには落石の可能性がある登山では不向きとされる超軽量タイプ等もあるので、気をつけましょう。

存在するのは2つのマークだけです。欧州規格の安全テストにパスした「EN12492」と、国際山岳連盟の「UIAA」です。こちらの両方か、もしくは片方が表示されているものを選ぶと良いでしょう。

まとめ

登山用ヘルメットは万が一のときに頭を守ってくれる大事な装備です。ちょっとしたハイキングには必要ありませんが、北アルプス、南アルプスなどに行く際は持って行った方がいいかもしれません。

種類も豊富にあるので軽さを選ぶか頑丈さを選ぶかによって好みは分かれてくると思います。購入する場合は一度手にとって自分の頭にフィットするヘルメットを選ぶことをおすすめします。

▼登山用ヘルメットのご紹介

マムート(MAMMUT)


amazonで購入

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山

春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山

長い冬が終わり春の暖かい気候に恵まれると、途端に登山心がうずくものですね!春から登山を初めてみたいと考えてる人もいるのではないでしょうか。

新しい季節の訪れを、どこよりも先に感じられる春山。今回は春山を十分に満喫するためにその魅力や注意することをご紹介します。思い立ったら気軽に出かけられる、都内のおすすめの山にも注目です。



自然を満喫できる春山の魅力!

春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山

花や新芽を探しながらのんびりハイク

春と言えば、寒い冬をじっと耐えてきた花々が咲き出す時期です。道端に咲く花でさえ私たちの心を癒してくれるものですが、春山は何百という花であふれかえっています。

春登山を楽しみは、草花を探しながら山歩きすることでがないでしょうか。山に咲く春の花々は、あまり目立たないところにも咲いており、登山中は、なんとなく気にとめずに通り過ぎてしまうこともしばしば。

登ろうとしている山にどんな花が咲いているのかをあらかじめ調べておくと、見つける楽しみも増えます。色々な草花を集めた本なども出ていますので、写真と見比べながら探すなんていうのもいいですね。

下山してから、見つけた草花を仲間と共有すれば、今まで知らなかったお気に入りが発見できるかもしれません。

一年の中でも一番登山しやすい気候

春山はなんといっても登山しやすい気候が魅力的です。暑くもなく寒くもない調度良い気温が私たちを迎えてくれます。これから登山を始めるのには最適な季節と言えます。

平地の桜と比べて一足遅く咲く「山桜」を目当てに登山する方もいます。関東で有名なところでは「生藤山」があります。里山景色を楽しみながら山桜も堪能できる、贅沢な山歩きになります。

山桜はその年の気温にもよりますが4月の中旬ごろに見ごろを迎えます。

日中は温かくても日が沈む時間帯や標高が高くなるにつれて寒くなりますので防寒対策も忘れないようにしましょう。

春山登山の服装や注意すること

春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山

春山の服装をチェック!

春山登山をするにはどんな服装がいいのでしょうか。陽気な季節ですが山は危険がつきものです。服装や装備をしっかり整えましょう。

春山の服装

・登山靴(足首を固定できるハイカットが◎)
・ザック’(リュック)
・レインウェア(防寒対策にもなる)
・アウトドア用のレイヤー(ベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウターレイヤー)

上記のものは季節関係なしに登山を始めるなら基本的に揃えておきたい服装です。機能やデザインにより好みもわかれますが、登山用品店で登山用の服を購入するこをおすすめします。もちろん代用品は他にもたくさんありますが、最初に良いものを揃えておくと後々楽になります。

登山の服装はレイヤーの着こなしが基本になります。ミドルレイヤーは春ならシャツでもよいかもしれません。アウターレイヤーは高価なのでレインウェアーと兼用することもできます。風よけとしてウインドウブレーカーがあると便利です。

春山に持っていきたい道具

・ヘッドライト
・軽アイゼン(チェーンスパイク)

春は夏と比べると日が沈むのがまだまだ早いです。予定時間より下山が遅くなってしまうと山道は次第に暗くなり、歩くことが困難になることもあります。

春だけに限ったことではありませんが、ヘッドライトは常備するようにしましょう。また山によっては頂上付近に雪が積もっていたり、道が凍っていたりすることもありますので、軽アイゼンやチェーンスパイクを持って行くといざというときに安心です。

高山はまだまだ冬…登る山は慎重に決める

春山は低山や里山ハイキングには調度良い気温なのですが、標高2,000mを超える山々ではまだまだ冬なのです。雪は多く積もり10本爪以上のアイゼンやピッケルといった冬山装備は欠かせません。

2019年には富士山で動画撮影されてた方が亡くなられた事故もありました。冬山の装備ではなかったと言われています。街中では温かく感じられますが、山は冬と認識した方がいいでしょう。

春から登山を始める方は、高い山や人が少なくわかりにくコースを選ばずに、道標が整備された山や里山のハイキングコースがおすすめです。慣れるまでは単独は避けて登山経験者と一緒に行くのが安心ですよ。

電車で行ける都内にあるおすすめの山

春から登山を始めてみたい!春山の魅力と都内にある初心者におすすめの山

軽い登山をするなら「高尾山」

都内にある春でも安心な山をご紹介します。まずは登山デビューするのに最適な「高尾山」です。

新宿から最短47分で行ける高尾山は、観光地化されてることもあり、ほぼ普段着で登山できます。まだ登山装備がない方でもほぼ普段着でも大丈夫です。

昼食も現地調達が可能なため持ち物も少なくてすみます。ケーブルカーを利用したり、全て歩くコースもあるため下山だけケーブルカーを利用するなどルート調整も可能です。

気軽に挑戦でき、本来の魅力である自然をたっぷりと楽しめるのも高尾山のおすすめポイントです。

緑と水に癒されるロックガーデン「御嶽山」

登山好きなら御岳山「ロックガーデン」は一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?御岳山も都心から電車で簡単にアクセスできる高尾山に次ぐ人気の山です。

沢沿いを歩くロックガーデンを通るコースや、軽いハイキングコースまでレベルに合わせたルート選びができます。ケーブルカーを利用すれば、ほぼ山頂付近まで連れて行ってくれるので初心者の方でも安心ですよ。

気軽に挑戦できますが、気温の寒暖差のある山であることを忘れず、万が一に備えて地図(アプリ)を準備しておきましょう。

まとめ

冬山には登らない人にとって春の訪れを待ちに待っている人も多いかと思います。暖かくなると無性に山歩きしたくなりますね。春から登山を始める方もワクワクしてるのではないでしょうか。

しかし、登る山には十分ご注意ください。山頂と街では温度が違いますので装備を整えてから望みましょう。そんなに一気に揃えることはできないよ!という方は、この記事でもご紹介した高尾山や御岳山で軽いハイキなングを楽しむのはいかかでしょうか。

登山の持ち物について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ!

▼季節を通じて楽しむための本

▼登山をサポートしてくれるアイテム

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山で遭難しないために知っておきたいこと。過去から学び万が一に備える

登山で遭難しないために知っておくこと。過去から学び、万が一に備えよう

登山遭難者は毎年増加傾向にあり、山での遭難は他人事ではありません。登山は危険と常に隣合わせです。対応すればいいのでしょうか。遭難しないためにどのような準備をしておけばよいでしょうか。

今回は登山を楽しいものにするために最低限知っておきたいことをご紹介します。



登山での遭難を他人事にしない

登山で遭難しないために知っておくこと。過去から学び、万が一に備えよう

山での遭難件数は年々増加中

警察庁によると2018年の山岳遭難は2,661件で、遭難者数は3,129人と毎年増加傾向にあります。山岳遭難事故は25年で3倍以上になったと報告されていますが、遭難事故が増加したというよりは携帯電話の普及に伴い警察庁への「通報件数が増加した」からとも一方で考えられます。

一昔前は命に関わるような大事故しか救助を要請せず、その他の事故は誰にも通報せずに解決されていたからです。

とはいえ、登山のリスクがあることは変わっていません。統計によると60代以上の遭難件数が一番多いですが、20~40代の事故も少ないわけではありません。登山ブームに伴い知識や経験のない人が危険について理解しないまま登山を始めることが事故につながることがあります。

遭難すれば二人に一人は怪我を負う、死亡するとの報告もあります。誰もが遭難する可能性があることを肝に銘じておきたいものです。

主な山岳遭難事故の事例

登山における遭難とは山で生死にかかわるような危険に遭遇することを意味し、道迷い、滑落、転倒、怪我、急激な天候の変化などが含まれます。過去に起きた遭難事例をご紹介します。

2003年11月「石尊山遭難事故」

2003年11月千葉県房総半島南部の低山(石尊山〜清澄山)にて日帰りハイキングに出かけたグループ30名が道に迷い一晩ビバークする事故がありました。命には別状なく、翌日に全員無事に下山しております。

主な原因はガイドが下見をしていなかった、無茶な計画だった、コース案内する標識がなかったなどです。

2009年7月「トムラウシ山遭難事故」

2009年7月にトムラウシ山で遭難事故がありました。この事故がテレビでも大々的に報じられ、登山の怖さを痛感した記憶に新しい事故です。

主な原因はガイドの天候判断ミス、現場での連携不足、引き返す決断をしなかった、ツアー客自身の遭難対策の不足、低体温症の無知などが挙げられています。

2019年5月「屋久島での孤立」

遭難ではありませんが2019年5月鹿児島県屋久島で314人が、予想以上の豪雨に遭遇し、山中に一時孤立する事故が起きました。冠水や陥没、土砂崩れが発生し孤立したまま一夜を過ごすことになりましたが、重傷者はいませんでした。

世界遺産に登録されている縄文杉の往復にはメジャールートの「荒川登山口」から約10時間かかり、早朝出発の時点では警報は発表されておらず各ガイドの判断に任されていました。

いずれもガイドつきの遭難事故ですが、例えプロのガイドが同行したとしても、事故は起こるものと捉え、ガイドに頼りっぱなしではなく自分でもまわりの状況をみて判断する知識や技術を身につけておくことも重要だと言えます。

遭難したときの対応と救助費用について

登山で遭難しないために知っておくこと。過去から学び、万が一に備えよう

遭難しても冷静にできることを行う

遭難の中でももっとも多いのが「道迷い」と「滑落」です。実際自分が遭遇したときはどのような対応するのが良いのでしょうか。一般的な対策をご紹介します。

道迷いをしてしまった場合

山岳遭難で一番多いのは「道迷い」です。低山の日帰り登山だからといって侮ってはいけません。有名で人気のある山はコースが整備されているため、道迷いの可能性は低くなります。

逆に人が少ない低山ほど、コース道案の標識がなく迷いやすくなるため遭難事故が多いのです。低山には農道、林道、作業道などが多く、登山道から外れてしまう可能性が高いことも原因の一つです。

もし道に迷ったらどうしたらいいのでしょうか?「おかしい」と思った時点で来た道を戻るのが一番です。進めばなんとかなる、地図を出すのが面倒くさい、自分は間違ってない…などと考えている時点でもう冷静でないことに気づきましょう。

遭難したときの心理としては早く下山したい、下れば道が見つかるかもしれないと考えがちですが、下り続けることで崖に阻まれ滑落の危険もでてきますし、裾の広い山域ではさらに深く迷いこんでしまいます。

1,000m級の山であれば登る方が救出の可能性が高まることもあります。尾根まで辿り着けば正しい道に出られることもありますし、携帯電話の電波が届く可能性も高まります。

登る体力がなく現在地を見失った場合は、その場から離れず救助を待つのが良いでしょう。

いかに早くおかしいと気づくことが道迷いをなくす一番の対策なので、各ポイントごとにGPSアプリや地図を確認して、現在地を常に把握するようにしておきましょう。

滑落してケガをした場合

滑落してケガをして動けなくなった場合は救助を待つほかありません。少しでも動ける場合はセルフレスキューをしましょう。まずやるべきことは「体温の確保」です。

遭難者の死亡例で一番多いのが「低体温症」と言われています。「低体温症」とは35度以下の状態が続くことを指していて、35度あたりから体の居震え、思考力の低下が起き始め、34〜31度で意識が朦朧としていきます。そうなってしまうと自力での回復が困難なため「体温の確保」を事前に行うことが重要なのです。

体温の確保は以下の点を対応します。

・服が濡れている場合は着替える
・防寒着を着こむ
・風よけ対策を行う
・エネルギーの確保

服が雨や汗で濡れている場合は、乾いた服に着替えもっている防寒着を着込んで体を温めます。

風よけはエマージェンシーシートやツェルトがあれば全体をまとうようにして、手袋や帽子で表に出てしまう部分を保護します。

水分補給と食料や行動食があれば先に摂取しエネルギーを補填します。一気に全部食べてしまうと救助がくるのがどれくらいかかるのかわからないため、どれだけ残っているか把握した上で口に入れるようにします。

もし、歩けるぐらいの怪我なら発見されやすいような開けた場所まで自力で移動して、そこで待機するのが良いです。誰かが一緒なら励まし合って、必ず生きて下山する決意でいてください。

遭難の救助費用は数百万円になることも

山での遭難は山岳救助隊が担当してくれます。山岳救助隊は「消防庁」に属しており、費用は税金から払われることになります。しかし、山岳救助を消防単位で行っていない自治体もあり、その場合警察庁の山岳警備隊が担ってくれることがあります。

民間の山岳会や民間人が捜索に協力してくれる場合、一日一人当たり2〜3万円、10%を山岳会として150人規模で捜索するなら一日少なくても30万円はかかることになります。日数がかかるとそれだけ費用もかさみます。

ヘリコプターレスキューは警察、消防、自衛隊、民間ヘリ会社が行っています。公的機関は無料で救助してくれますが、民間ヘリの場合は当然遭難者が費用を負担します。遭難現場が分かっており、1時間前後で救助できた場合で50〜80万円くらいかかります。行方不明などで時間がかかる場合はもっと費用がかかります。

平成30年1月から埼玉県は全国初山岳遭難救助の有料化に踏み切りました。燃料代相当分として運行5分当たり5000円を請求しています。一例として同県小鹿野町二子山で救助された60代男性は防災ヘリで救助され58分間の燃料費55,000円の手数料が請求されています。

遭難時に救助費用のことを考えてしまい躊躇するのは本末転倒ですので、事前に山岳保険に加入しておくことをおすすめします。

事前の準備が遭難防止に繋がる

登山で遭難しないために知っておくこと。過去から学び、万が一に備えよう

登山ルートの事前確認を怠らない

事前の準備をすることが遭難の確率を減らす何よりの近道です。よくありがちなのが、リーダーだけが登山計画を把握しており、他の人はまかせっきりで頭に全くルートがないことがあります。

万が一何かが起きたとき、何も分からなかったり、装備や道具がなかったりすると生死にかかわる可能性もでてきます。

事前に標高や登山口までのアクセス、登山ルート、登山道の状況、天候などを調べます。ルートや登山開始時間、下山予想時刻も把握して実際のタイムをチェックしながら歩きましょう。

道に迷いそうな地点は特にチェックして無理のない計画を立てるようにします。自分で登山計画を立てられるようになれば、もっと安全に登山ができ楽しめるようになります。

登山計画書の提出や保険の契約も忘れずに

登山計画書は誰がどんなメンバーで、どんなルートで登るのか、代表者の連絡先などを警察署や指定の場所に提出するものです。登山計画書を提出することで登山ルートの確認を本人とメンバーが確認できるだけでなく、緊急時の捜索活動をスムーズにするのに役立ちます。

登山計画書は登山道の近くに設置してある「登山ポスト」に投函する、前もってファックス、郵送、メールで送って提出することができます。

登山中の事故や遭難に備えて山岳保険に加入しておきましょう。日帰りで持ち物の破損、故障、盗難もカバーしている保険も登場しています。保険には年間契約のものと一日だけの保険もあるため、登山頻度に合わせることも可能です。

民間ヘリに救助を要請する場合、保険に加入していればすぐに飛ばしてもらえますが、未加入の場合、誰が支払うのか確認してからでないと出動してくれないケースもあるようです。もし救助してもらった場合、数百万かかることもあることを考えると保険に加入していると安心です。

登山計画書を提出せず、山岳保険にも加入せず行方不明になって死亡した場合、自殺とみなされ保険金が請求できないこともあるので注意しましょう。

まとめ

登山における遭難はどのように遭難してしまったかにより、やれることも限られてきます。滑落して骨折した場合や、急な天候悪化による視界不良時では動くこともできない状況ですので、そうなったときに予定時間に下山できていないことを他者がキャッチできるようにしておくことが早期発見の鍵になります。

そのためには登山計画の提出や家族への報告を怠らず、万が一遭難して捜査することになった場合に備えておくのが山岳保険になります。

自分の登山技術をよく知り、無謀な登山に挑まないことが何よりも大切です。悪天候が予想される場合は中止にする、道迷いを防ぐためにGPS機能付きのアプリを準備しておく、◯◯時までに頂上や山小屋に辿り着けないとわかったときは撤退する…など、基準を決めておくことがリスクを減らす第一歩です。

登山は楽しい面ばかりが表に出てきますが、その反面危険も伴うこともしっかり意識しておきましょう。

▼遭難防止に役立つ本

▼セルフレスキューに役立つもの

ファーストエイドキットは必要なものを個別で揃えるのもおすすめです。

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。

登山ではどんな食べ物を持っていく?登山に最適な食料を考えよう

登山ではどんな食べ物を持っていく?登山に最適な食料を考えてみよう

1回の登山で消費するカロリーは約2,000kalと言われるぐらい非常にエネルギーを消費します。そのため、どんな食べ物を持っていくかは、登山の計画を立てるにあたり重要なことの一つでしょう。

日帰りか泊まりかで持っていく食料の量が異なるため、足りなくなることがないよう食糧計画は十分に行いましょう。



登山で必要な食べ物と山小屋や飲食店での食事

登山ではどんな食べ物を持っていく?登山に最適な食料を考えてみよう

登山で最低限必要な食べ物は行動食と非常食

登山に持っていく食べ物で、まず最低限用意したいものとしては行動食と非常食が考えられます。

行動食は、手軽にエネルギーが補給できる食べ物のことを言います。例えば、チョコレートや羊羹など、一口サイズのものだと歩きながらでも食べやすいです。また小さくて軽いため気軽に持っていくことが出来ますね。

非常食は万が一の備えです。遭難や、怪我などで予定通りの時刻に下山できないといった想定外のことが起こり得ることがあります。登山を安全に行うため、非常食は必ず携行しましょう。

山小屋や飲食店があれば温かい食事を取れる

富士山や上高地など観光地化された山ですと、食事をとれるような山小屋や飲食店が、中腹や山頂付近に建っていることもあります。麺類やご飯もの、汁物など、その土地ならではのグルメが楽しめるところもあります。

山頂は地上より気温が低く風も強いため、外で休憩していると想像以上に身体が冷えてきます。室内で温かい食べ物を提供してくれるので、とても有り難いですね。

とはいえ、食べ物は別に持っていく必要があります。理由は非常時を想定するのももちろんですが、先程も書きましたように登山はとにかくエネルギーをたくさん消費するので、休憩時にこまめに行動食を取り補給することが大切です。

食料は日帰りか泊まりかで内容や量が変わる

登山ではどんな食べ物を持っていく?登山に最適な食料を考えてみよう

日帰り登山では朝食をしっかり取ろう

日帰り登山では朝食をしっかり食べることが大事です。大量にカロリーを消費する登山において一日で最初のエネルギー補給であることから、摂り方次第でその日のコンディションを左右します。

朝食は、大腸の動きを活発化させて、排便を促すスイッチにもなります。日帰り登山で登る予定の山は、途中にトイレがない場合もあります。なるべく早めに済ましておきたいところでしょう。

途中で消化不良を起こし、腹痛と下痢に襲われてしまう、という事態も避けたいですね。なので2、3時間で消化が済み、運動に必要な糖分が摂取できる、ご飯やパン等の炭水化物がおすすめです。

もし物足りない場合、リンゴやバナナなど1時間未満で消化が済む果物類を一緒に食べると良いかもしれません。

山小屋泊かテント泊かによって用意する食料が変わる

泊まりの登山…特にテント泊での食事を何にするのかは悩むところです。例えば1泊2日の場合、その日の昼と夜、翌日の朝〜昼の分まで考える必要があり、泊まる日数が多ければ多いほど食料も増えていきます。

それに加えて調理をする場合はコッヘルやバーナーも用意しなければいけません。荷物も比例して重たくなってくるので全部を用意するのではなく、山小屋で食事するというケースも考える必要もあります。

人気の山小屋はメニューも豊富で食後のケーキも提供しているところもあります。

計画に合わせて楽しい山ごはんにしよう!

登山ではどんな食べ物を持っていく?登山に最適な食料を考えてみよう

食べ物のバラエティを豊かに

山に持って行く食べ物はコンビニで買える手軽なものになってしまう傾向にあります。カップ麺やパンなどは日持ちはしますが栄養に偏りが出てくるのです。

日帰り登山ならコンビニ弁当でも問題ありませんが1泊する場合はバラエティ豊かに準備をしておきたいものです。中には山ごはんに気合いを入れて料理する人もいます。

最初から凝った山ごはんを作るのも難しいのでちょっとしたコツをご紹介します。

インスタント麺とウインナー

人気マンガ「山と食欲と私」にも掲載されたインスタント麺にウインナ一を入れるレシピです。アレンジとして卵や野菜を入れるだけでも美味しいラーメンが出来上がります。野菜はジップロックにまとめて持っていくとコンパクトにまとめられます。

アルファ米とフリーズドライ

アルファ米とフリーズドライを使うだけでも山ごはんは豪華になります。フリーズドライはカレーや親子丼など様々な種類がありますのでご飯との相性がよいものを探すのもいいですね。味噌汁とごはん…というシンプルな和食も楽しむこともできます。

このように簡単に調理できるもの同士を組み合わせて山ごはんを作るのがコツになります。

自炊するならコッヘルやバーナーを使う

「ジュー」隣からお肉を焼く美味しそうな音が聞こえる…という経験はありませんか?羨ましい限りですね。

登山に慣れてくると絶対やりたくなるのが山での料理です。自分で調理したごはんを景色を見ながら食べるのは至福のひとときとなります。登りで消費した体力を回復させるほか、翌日への活力が沸いてきます。

調理するにはバーナーとコッヘルが最低限必要になります。コッヘルとはアウトドア用の携帯調理器具のことでお湯を沸かしたり、具材を炒めたりといろいろな用途に対応できる必需品。そのまま食器としても使えるのでとても便利です。

器具によってはお米を炊くこともできるので、炊きたての白米をリゾットやどんぶり風に調理することで一層美味しい山ごはんが出来上がります。

まとめ

登山で持って行く食べ物は「日帰り」「山小屋泊」「テント泊」で変わってくるので食料計画が重要なことがわかりました。体力を切らさない為に行動食も準備する必要があります。

また、山ごはんにもインスタントやレトルトなどのお湯だけで簡単に調理できるものから、具材を持参して本格的に料理するものまであり、そのときのコースによって荷物の量を考えることも大事です。

試行錯誤しながら登山における食べ物について考えてみてはいかがでしょうか。

▼食料計画に役立つ本

▼山ごはんを作るために必要な道具

▼HIKES編集長の里山トラベル

HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。