登山でいざというときに役立つのが「ホイッスル」です。滑落や遭難、ケガで動けなくなったときに救助を呼ぶために使用します。
グループ登山では距離が離れたときに大声を張り上げるより音を遠くまで伝えることができるので、合図としても使えます。
価格も比較的安く、小さくて軽いので、登山にぜひ持って行ってほしいアイテムのひとつです。今回はそんなホイッスルの使い方や種類をご紹介します。
ホイッスルは警告を発するのに有効です。たとえば落石などの危険に気が付いた時、他の登山者に知らせることができます。ホイッスルの音は木々の音や川の音にかき消されない音なので、他の登山者も気づいてもらいやすいです。
グループでの登山においては合図としてホイッスルを用いることができます。例えば、「応答せよ」「登ってこい」「登るのは待て」などです。
ホイッスルで合図し合えるとうれしいものですが、吹きすぎには注意が必要です。不必要に吹くと他の登山者が危険への警告音と勘違いするかもしれません。
霧の中で歩行する時にも自分の居場所を知らせる手段として有効です。この場合もライトと併用し適切に使いましょう。
単独登山では、滑落や転倒で怪我をして動けなくなったときに、近くに人がいなければ気づかれる可能性が低くなります。声を出すのも難しい場合もあるので、助けを呼ぶためにホイッスルが役立ちます。
ホイッスルを使えば少しの力で音を遠くまで響かせることができます。
ただ、やみくもに吹くのではなく遭難信号を覚えておくと良いですよ。遭難信号はホイッスルを1分間に6回(10秒に1回)のリズムで鳴らします。その後、1分休みます。これを繰り返します。
応答信号は1分間に3回(20秒に1回)のリズムで鳴らし、1分間休むを繰り返すことで遭難信号に答えることができます。
遭難信号を忘れてしまったらモールス信号のSOSでも大丈夫です。「3短点・3長点・3短点…」です。
とはいえ、遭難してしまったらパニックになり信号もSOSも忘れてしまうかもしれません。そんなときはなんでもいいのでピーピーと吹いて必死に助けを呼びましょう。
ホイッスルを吹かなければいけない状況にならないことを願いますが、いざとなったときに使えないなら意味がありません。事前にホイッスルの鳴らし方を練習しておくと安心ですよ。
登山用のホイッスルは学校で使っていた体育用の笛とは吹き方が異なります。同じように吹いても大きな音はでません。実は大きく遠くまで聞こえるように鳴らすのにはコツがあるのです。
長く吹くのではなく、「息を一気に吹きかける」感じです。瞬発的に強く吹きます。遠慮なく思いっきり吹いてください。
ピッピッと強く吹くことで大きく高い音が出るので効果的です。練習する時はご近所迷惑にならないように気を付けてくださいね。
ホイッスルはいざというときのためのものなので、意味なく吹くことは避けましょう。遭難者や怪我をして動けない人など本当に困っている人からの笛が聞こえなくなるかもしれません。
他の登山者が警告音と勘違いするかもしれません。そうなると驚かせて迷惑をかけることにもなりかねません。そうでなくても不必要な音は他の人を不快な思いにさせるかもしれません。
グループ登山では出発や到着の合図にホイッスルを鳴らして知らせることがあるようです。本来ホイッスルは警告や異常を知らせる合図です。
気を付けて使わないと、他の登山者が「何かありましたか」と心配して駆けつけることになったケースもありますので注意しましょう。
それぞれの登山スタイルに合わせてホイッスルを選ぶとよいですね。ホイッスルの素材は金属製やプラスチックがほとんどです。泥まみれになって汚れたり、水に濡れても使えるものを選びましょう。
プラスチック製のホイッスルは、軽くて雨や水にも強いのが特徴です。メンテナンスも簡単にできるので人気が高いです。ただプラスチックは金属と比べると割れたり、ヒビがいったりしやすいというデメリットがあります。
同じプラスチック製でも大きさや形状によって弱い息でも大きな音が出るもの、強く吹かなければ音がでないが指向性の優れたものなど、性能が異なります。素材だけでなく特徴と合わせて覚えておくと選びやすいですよ。
金属製は耐久性があり、ニッケル、ブリキ、アルミ、真鍮などの種類があります。アルミ製のホイッスルは高くよく響く音が出ます。
登山用のホイッスルは大きく分けて3種類あります。
①本体が大きく、大きな音が出る
②薄くてコンパクトだが、力強く吹けば大型に負けない音が出る
③コンパクトで弱い息でもある程度の音は出る
アウトドアショップにはいろんな種類のホイッスルが売っていますが、衛生上試し吹きや吹き比べができないので種類頃の特徴を知っておくと選びやすいですね。
①のタイプは大きなホイッスルは少し息を吹くだけでビックリするくらい大きな音が出ます。
②のタイプはシンプルな作りで軽く息を吹き込むくらいでは音がなりませんが、大きく強く息を吹き込むと大型のホイッスルに負けないほどの大きな音が出ます。高音です。
③のタイプはキーホルダー感覚でいつでも身近に携帯できます。軽いし、デザイン性にも優れています。大型ほど大きな音はでません。
登山におすすめなのは①②ですね。
登山用ホイッスルはいざというときのために役立つ必需品ともいえるものです。足が動かなくなったときでもすぐに取り出せるように首から下げたり、ポッケに入れておくのがおすすめです。
ホイッスルは比較的安価なため購入しやすいですが、登山に持って行く前に一度テストも兼ねて吹いてみましょう。思っていたより強く吹かないと音が出ない場合もありますので、感覚を掴んでおきます。
使う頻度は少ないかもしれませんが、コンパクトで持ち運びやすいため常備品として備えておきましょう。
▼ホイッスルのご紹介
▼山のエマージェンシーの知識
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資料館で観た「チチブの武甲さん」という絵本には削られた武甲山への恩返しとして木を植えて再生を試みるお話が描かれていました。「ブコーさん」というゆるキャラがいることもわかり、愛され感がすごい。名前の変換にも歴史がある #里山トラベル #武甲山 pic.twitter.com/gd20ZPD5Wq
— 宮本 将弘🏡 (@masa_yco) February 23, 2020
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