登山保険という言葉を聞いたことはあるでしょうか。言葉自体は知っていても、どんな内容なのか知らないという方も多いかもしれません。
詳しい内容が分からなければ、どのような保険を選べばいいのかも迷ってしまいますよね。しかし高い保険に入ることが必ずしもベストとは限りません。今回は登山保険の内容やおすすめの商品についてご紹介します。
長野県で施行された登山安全条例では、山岳保険への加入を努力義務と定めています。長野県の条例によると、山岳保険について以下のように定義されています。
「山岳遭難者の捜索又は救助について負担する費用に対して保険金、共済金その他これらに類するものが支払われるものをいう」
つまり遭難時の捜索救助費用がカバーされる保険のことを山岳保険としているのです。
ピッケルなどを使った冬山の登山や、ロッククライミングなどはかなりハードな登山なので保険の対象には含まれないのではと思いがちです。しかし山岳保険は内容に関わらず登山中の事故に対して補償してくれます。また他人をケガさせた場合のために賠償責任特約が付いているものも。
登山に限った保険はあまり多くありません。いわゆる山岳保険と呼ばれるサービスもベースとなっているのは傷害保険です。なので山岳保険と言っても決して山専用の保険ではないのです。
山岳保険の補償対象は急激かつ偶然な外来の事故によるケガの場合で、病気は対象外です。偶然ケガをする確率というのは人によって大きな差がないので、年齢や性別によって保険料が変わることはありません。
登山保険として販売されている傷害保険には個人賠償責任特約が付帯されていることがほとんどです。実はこれ登山とは関係ない事故でも補償してくれるんです。
補償対象は子供や配偶者などの親族も含まれます。24時間補償のサービスであれば仕事中や自転車事故によるケガも対象となります。
登山保険は一般的によくある傷害保険をベースとして、救援者費用補償など様々なサービスが組み込まれています。中でも個人賠償責任補償は登山保険の内容として代表的なものです。
他には登山の際に高価な一眼レフを持ち歩く方は携行品損害補償に入っておくと良いでしょう。カメラが壊れてしまうなど偶然な事故による損害が発生した場合に修理費を払ってもらえます。
このように登山保険は自分に必要な補償内容を組み合わせることができます。雪山には登らないという方はアイゼンやピッケルを使うような登山は滅多にされませんよね。
登山保険は登山の難易度によってプランを選べます。選択肢は沢山あるので、自分に合った補償内容を選びましょう。
また登山保険は補償内容だけでなく、加入する期間を選ぶこともできます。中には一日だけ保険に加入するといったことも可能です。
月単位の保険なら花が咲く時期や紅葉のシーズンのみ保険を掛けることもできます。装備だけでなく保険も登山に挑む際には大切な備えです。油断することのないようにしましょう。
ただ基本的には一年契約の保険を選んだ方が安くなることが多いです。年に10回も山に行けば十分に元が取れます。また期間限定の保険に加入していた場合、いざ登山に行こうと思った時にはすでに保険が切れていたなんてことも考えられます。
このような加入漏れを防ぐためにも、よく登山に行く方は年間契約の保険を選んだ方が良いでしょう。
登山保険で一番重要なのは遭難時の補償ではないでしょうか。万が一遭難してしまった場合、ヘリを使っての捜索など費用が高額になることも考えられます。保険を適用しても支払いが不十分だと、残りの費用は全て持ち出しとなってしまいます。
また賠償責任が発生すれば弁護士に依頼することもあるでしょう。そうなると救援者費用補償だけではお金が足りないということもあるかもしれません。こういった点も加味して補償内容を吟味する必要があります。
逆に傷害保険に加入済みの場合、補償内容が被っているということもありえます。そうなるとせっかく登山保険に加入しても無駄な契約になってしまうでしょう。一度自分がすでに加入している保険についてチェックしてみるのがおすすめです。
加入や補償を受ける際の条件についても注意が必要です。まず保険に加入する前に会員になる必要があるサービスもあります。もし会員費が有料の場合、保険料とは別に会員費が必要になることもあるのでチェックしておきましょう。
また保険料の支払いがクレジットカードなどに限定される場合もあります。そうなるとクレジットカードを持っていないと保険に入れないということにもなるので、注意が必要です。
他には登山計画書の提出が補償の条件といったサービスもあります。この場合もし事故に遭っても計画書を提出していないと補償が受けられないということにもなりかねません。そのようなことのないよう、保険に加入する際には条件についてしっかりとチェックしておく必要があります。
国内の山岳保険中から人気の山岳保険をご紹介いたします。1〜2日の短期的なものから年間加入のものまでありますので、用途の応じて検討してみてください。
・YAMAP登山保険(https://yamap.com/insurance)
・jRO(ジロー)(https://www.sangakujro.com/)
・モンベル 野あそび保険(https://hoken.montbell.jp/aigshort/activity.php)
・やまきふ共済会(https://www.yamakifu.or.jp/)
「前行ったことあるだから」「低い山だから」と軽視して望まずに山岳保険もしくはそれに相当する保険には入ることは登山マナーの一つです。遭難して行方不明になると救助やヘリの費用が発生していきます。ご自身の登山スタイルに合わせた保険を選ぶようにしましょう。
▼遭難防止に役立つ本
▼セルフレスキューに役立つもの
ファーストエイドキットは必要なものを個別で揃えるのもおすすめです。
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
登山計画は安全登山の第一歩。計画の立て方と遭難防止に役立つサービス
「登山は計画で全てが決まる」と言っても過言ではないほど、登山計画を立てることは重要なことです。 何時…
ひとり登山の魅力とは。リスクを知りつつ、安全登山を心掛けよう
山雑誌では、毎年必ず単独行の特集が組まれるほど、ひとり登山の人気は高まっています。ひとり登山は、グル…
登山の緊急時に役立つホイッスル。使い方や種類を知って備えておこう!
登山でいざというときに役立つのが「ホイッスル」です。滑落や遭難、ケガで動けなくなったときに救助を呼ぶ…
登山で遭難しないために知っておきたいこと。過去から学び万が一に備える
登山遭難者は毎年増加傾向にあり、山での遭難は他人事ではありません。登山は危険と常に隣合わせです。対応…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…
【御嶽山・登山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン
長野県と岐阜県の県境に位置する「御嶽山(おんたけさん)」は、剣ヶ峰を主峰として、摩利支天山(まりして…
熊鈴はうるさい?賛否両論の熊鈴マナー。快適な登山をするために気を付けること
登山において、熊との遭遇は命に関わる危険の一つです。道迷いや滑落は自分である程度は回避できますが、生…
【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山
日本百名山のひとつ「八甲田山」は、岩木山とともに青森県を代表する山です。八甲田山という単独峰はなく複…
【至仏山登山】尾瀬のシンボル、花の百名山を日帰りで楽しむ最短コース
尾瀬ヶ原の西側に位置し、燧ケ岳とともに尾瀬のシンボルとなっている至仏山。高山植物の宝庫としても知られ…
【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ
双六岳(すごろくだけ)は、北アルプスの裏銀座縦走コースの主稜線で、槍ヶ岳方面や三俣蓮華岳方面、笠ヶ岳…
【唐松岳・登山】北アルプス初心者も挑戦しやすい花と絶景の山!ゴンドラ・リフトでアクセスする1泊2日の山旅
唐松岳(からまつだけ)は北アルプスの後立山連峰にある標高2696mの山です。 ゴンドラとリフトで標高…
【茅ヶ岳登山・登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く
山梨県北杜市と甲斐市にまたがる「茅ヶ岳」(かやがたけ)は、日本百名山を選定した深田久弥氏の終焉の地と…
【会津駒ヶ岳・登山】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン
尾瀬国立公園に属する「会津駒ヶ岳」は、日本百名山に数えられる南会津の名峰です。なだらかな山容が特徴的…
【武甲山・登山】採掘跡が可哀想な山?歴史を感じながら秩父の名峰を味わう日帰り登山
埼玉県秩父市にある武甲山(ぶこうさん)は奥武蔵の最高峰であり、地元の人々に古くから信仰されてきた山で…
登山の虫よけ対策に効果的な成分は?ディートやイカリジンの成分の違いや虫対策グッズを紹介
夏山シーズンで注意したいことの一つが虫刺されです。山の中には蚊やアブの他にも、マダニやハチなど刺され…
夏の登山でおにぎりは腐る?暑い時季でも安全な持ち運び方とおすすめ具材を紹介
山の食事は登山の楽しみの一つですよね。中でも、おにぎりは簡単に作れてすぐに食べられ、エネルギー補給が…