山や自然が好きな人は、山をテーマにした映画を観て、いっそう山の魅力に浸りたいと思うものですね。登山映画は山を舞台に繰り広げられるヒューマンドラマや遭難事故からの脱出など心温まるものからハラハラするものまでさまざまです。私たちがする楽しい山歩きとはちょっと違いますが、登山映画から大自然の畏怖を学び、山歩きがもっと好きになるそんな映画を集めてみました。
「春を背負って」は笹本凌平の同名小説を基に、日本映画界の名カメラマン木村大作が手掛けた映画(2014年)で、映像は圧巻です。立山連峰・大汝山が舞台にしたヒューマンドラマです。
立山連峰で山小屋を営む厳格な父・勇夫(小林薫)に反発し、東京の外資系投資銀行で働く長峰亨(松山ケンイチ)ですが、父の急死を受けて山小屋を継ぐことを決意。遭難しかかっていたところを勇夫に助けられたという高澤愛(蒼井優)が山小屋を手伝っている。勇夫の友人の悟郎(豊川悦司)が現れます。悟郎は「勇夫さんから息子を一人前にしてくれと夢で頼まれた」と。
世界を放浪してきた悟郎の自然に対する姿勢や笑顔に接しながら亨は新しい人生に向き合っていきます。
「ゆっくりでいい、一歩一歩負けないように自分の力で普通に歩けばいいんだ」「タバコと同じ、煙になってからその真価が分かる」「自分の足で歩いた距離だけが宝になる」などの心に残る名言も散りばめられています。
「岳」は、大人気漫画「岳 みんなの山」(石塚真一)が原作で、山岳救助隊を題材にした映画です。2011年5月に実写映画化されました。
主人公・島崎三歩(小栗旬)は、山をこよなく愛し、民間の山岳遭難防止対策協会に参加しボランティア救助隊員として活躍しています。彼の元に新人の椎名久美(長澤まさみ)がやってきて山岳救助の訓練を受けます。久美は実際の現場で救助者を助けられずに自信をなくしてしまいます。
そんな時、猛吹雪の雪山で多重遭難事故が発生します。久美は仲間と共に救助に向かいますが、上司の指示に背き遭難してしまいます。そこで、三歩が助けに来ます。
「山バカ」三歩の優しい人柄と北アルプスの美しい景色、厳しい環境の中でも様々な現場を経験しながら他の隊員と共に山岳救助のプロへと成長していく久美の姿が見どころです。
「神々の山嶺」は1994~97年にかけて「小説すばる」に連載された夢枕獏による長編小説で、映画化不可能と言われていましたが20年の時を経て「エヴェレスト 神々の山嶺」として映画化されたものです。エベレストでの実際の撮影なので高度感が恐ろしいほど伝わってくるはずです。
名声を得たいとの野心を持つクライマー兼山岳カメラマン深町(岡田准一)、ネパール・カトマンズで山岳史上最大の謎を秘める古いカメラを発見します。カメラの謎に迫っているうちに孤高の天才クライマー羽生(阿部寛)に出会います。羽生は史上初の挑戦をエベレストで試みようとしていました。
深町は羽生に興味を持ち、その壮絶な人生に惹かれ、彼を追い彼の姿をカメラに収めることを決意します。彼らは生きて帰ることができるのか、なぜ極限の世界に挑むのか、世界最高峰に命を懸ける男たちのロマンが描かれた感動的な作品です。
2015年アメリカ合衆国・冒険映画。人気紀行家のビル(ロバート・レッドフォード)が長年暮らしていた英国から故郷の米国へ戻りセミリタイヤ生活を過ごし、物足りなさを感じています。そんな時、ふと目にした「アパラチアン・トレイル」の標識が旅に出たいと想いが膨らみます。
北アメリカの全長3500kmもある旅は厳しく、順調でも5か月はかかると言うので妻(エマ・トンプソン)は心配し、誰かと一緒に行くならいいと許可してくれる。同行仲間を探し、けんか別れして音信普通だったカッツ(ニック・ノルティ)が一緒に行くことに決まります。
大自然の驚異と老いからくる体力の限界という現実を前に、彼らの珍道中は始まります。旅は人生と同じ。結果じゃない。ベストを尽くせばそれでいい。観た後、気持ちが晴れ晴れする映画です。
2014年アメリカ映画。原作はシェリル・ストレイドの自叙伝「Wild」です。本来の自分を取り戻すために3か月で1600キロの荒野を歩き続ける女性の実話のロードムービーです。
シェリル(リース・ウィザースプーン)は最愛の母(ローラ・ダーン)を癌で失います。母が全てだったシェリルは現実逃避するために男遊びとヘロインにはまり、結果心優しい夫とも離婚し、生活はどん底になります。そんな自分をなんとかするためにシェリルはパシフィック・クレスト・トレイルに挑むことにします。
スタートしたものの砂漠と山道を長時間歩かなければならないのに、詰め込み過ぎたザックに体力を奪われ、テントも上手に張れない、燃料を間違って温かいものが食べられない、女性ならではの危険などに遭遇し辛い旅になります。それでもシェリルは毎日毎日歩き続け、旅仲間や大自然から力を得て、自分を取り戻していきます。
2015年アメリカ映画。1996年5月にエベレストで実際に起きた大量遭難事故が映画化されたものです。
それぞれの想いや夢を抱いて集まったベテラン登山家たちが世界最高峰のエベレストの登頂に挑みます。遂にやって来た頂上アタックの日、固定ロープの不備や参加者の体調不良により下山が遅れます。さらに大型の低気圧が直撃し天候は悪化。登山家たちはデス・ゾーンで散り散りになってしまいます。その後どうなってしまうのか!?
自然の猛威もスゴイですが、人間が極限状態に追い込まれた時の精神状態、待っている家族の思いなどが観ている人に迫ってきます。遭難事故の実話が元になった映画ですから決してハッピーエンドではありませんが、自然の脅威のすさまじさ、生にしがみつく生きることへの執念などを感じることができる作品です。
3D映像はかつてないほどの絵スケールでまさに恐怖を感じるほど圧倒的です。臨場感たっぷりの映像に身がすくむかもしれません。
山歩きが好きになる映画ということで、極力激しい山登りではないものを厳選しました。登山映画は全体的に生死に関わるストーリーが多いのですが、山を通じた人と人との物語には心をうたれますね。
山に行こうとしていたのに雨で中止になったり、寝坊してしまったりしたときは登山映画を観てテンションを上げるなんてこともいいですね。
▼山歩きに役立つ本
▼山歩きの必需本!歩きをサポートしてくれるアイテム
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
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