登山と言えばかつては大学や社会人の山岳部や山岳会をイメージされていましたが、1990年代には中高年の登山ブーム、2009年には山ガールという言葉が生まれるほど女性登山者が増加したこともありました。
その後の登山者の年齢層はどうなっているのでしょうか。今回は登山の年齢層をテーマに事故の傾向や世代ごとの特徴をご紹介します
登山する年齢層で最も多いのは男性が65~69歳、女性が60~64歳という総務省の統計データがあります。若いころから登山を楽しんでいた方も中高年になり、時間に余裕ができたので登山を再開した方もいます。
仕事を退職しても身体はまだまだ元気だから、健康のため、自然を楽しむため…など理由はさまざまです。
最近では中高年のための登山ツアーやサークルなども数多くあるので、体力に自信のない方も登山をしたことがない人も安心して参加する機会が多いことも理由の一つです。。
さらに上の世代、70~80代の方でも元気に登山を楽しんでいる方はたくさんいます。80歳でエベレストを登頂した登山家三浦雄一郎さんは有名ですね。
健康で丈夫な体を維持し、無理のない計画で登るなら喜びの多い登山になるでしょう。
【参考リンク】
総務省統計局「登山・ハイキングを行った人の状況」
統計データをみると全世代でも1割以上登山をされていることがわかります。ベビーキャリーやロープウェイなどを利用して親子登山を楽しんでいる方々もいますし、小学生にもなれば富士山に自分の足で登れる子もいます。
20代前半の登山者も多いです。エネルギーに満ちた若い時代に登山の楽しみに触れるのはよいことですね。登山から得られるものは多いので今後の人生にプラスになるでしょう。新しい出会いもあるかもしれません。
30代、40代の登山者も自分のペースで登山を楽しんでいます。体力もそこそこあり落ち着いた年齢ですから、自然を楽しみ、ストレスから解放され自分スタイルの登山をエンジョイされている方が多いですね。山ごはんを研究し極めてる方もいます。
近年ではマンガやアニメでも登山を題材したものも増え、注目を浴びています。
世代ごとに登山をする目的は違いますが、生涯趣味として楽しまれる方は多いです。
【参考リンク(PDF)】
総務省統計局「登山・ハイキングを行った人の状況 ~山の日を迎えるに当たって~ 」
登山は楽しいものですが、毎年のように山岳遭難最多の記録が更新されています。1995年には年間800件ほどでしたが、2019年にはその3倍以上の2700件近くにまで増えています。
登山人口は増えていないことからすると、携帯電話の普及により通報件数が増加しただけとも考えられます。とはいえこれだけ多くの遭難があることは事実です。
死者・行方不明者は横ばいが続いており、遭難しても救助される方が増えています。だからといって安心してはいけません。山岳遭難で救助を要請すれば警察や消防など救助に当たる人の負担が増えます。ヘリコプターでの救助となると、高額な費用がかかります。
高齢者の遭難が多いとはいえ20代30代でも全体の15%ほどが遭難し、死者・行方不明者も約5%という報告があります。
遭難者が増えた原因は単純に登山人口の増加によるものと、スマホによる救助連絡が昔よりやりやすくなったこともあります。こんなに山奥なのに電波が通ってる?と思ったことはありませんか。
テクノロジーの発達により便利になった分、手軽に連絡がとれるため緊張感がなくなっているというのも課題として残っています。
中高年の登山ブームを背景に、山の遭難者の5割が60歳以上、死者・行方不明については7割以上と報告されています。
2018年の山岳遭難事故を年代別にしてみると、70歳代で22.3%、60歳代で22.1%を占めています。死者・行方不明者は60代で29.5%、70代で32.2%と、全体の割合を大きく占めています。
加齢に伴い持病を抱えている人は、山では悪化することもあるので要注意です。
若いころ登山をしていたからといった体力の過信は禁物です。特に日帰り登山の場合、登頂までに体力を使いきってしまうことが多いので注意しておきたいものです。
昔使用していたレインウェアを持参したものの、古くて機能を果たさず低体温になってしまう、登山靴の底が剥がれて動けない人なども見受けられます。事前に装備が劣化していないかチェックし、装備のメンテナンスや買い替えなど忘れずに行いましょう。
【参考リンク(PDF)】
警察庁生活安全局地域課「平成29年における山岳遭難の概況」
登山は日頃のストレスを開放する爽快感や達成感を気軽に味わえるので、大学生や社会人など若い世代の人も楽しんでいます。
山ガールブームをきっかけに、登山だけでなくアウトドアファッションを楽しんでいる人も少なくありません。
20代、30代の若い世代はまずは知名度の高い山から挑戦してみたいという方が多いようです。体力もあるので、初めての山で富士山に挑む人もいますね。
この世代は日常とは違う環境に身を置いてストレスを発散したい方、自然を純粋に楽しみたい方、仲間とワイワイしたい方などリフレッシュが目的なので、近くの手軽に登れる山に人気が集中しています。大自然の中でおいしいものを食べたいと山ごはんに力を注いでいる方も多くいます。
登山に行きたいと思っても学校に通っていたり、フルタイムで仕事をしたりしているので、登山ができるのは週末や休みの日に限られてしまいます。まとまった休みが取れなくて日帰り登山がメインという方がほとんどかもしれません。
それでも山の魅力に惹かれ少ない休日を山で過ごしたい、おいしい山の空気を吸ってリフレッシュしたい、SNSで共有する写真を撮りたい、おいしし山ごはんを食べたい、素敵な出会いがほしいなど山に求めるものは人それぞれです。
限られた休みを有効的に利用するために、まず自分にあったスケジュールを立てることが重要になってきます。事前準備や登山計画を十分に行い、貴重な休みの日の登山を楽しみましょう。
これまで難しいとされていたアルプス系の山々や冬山も、登山装備技術の進歩、情報の充実さによりチャレンジする人も増えていきています。人気の槍ヶ岳では登る人たちの渋滞ができるほどです。
また、山小屋をホテルのように勘違いする人や写真が撮りたいがために立ち入り禁止エリアに入る人などマナーが良くない人もみられます。
どの年齢で登山は楽しむことができますが、山でのマナーや準備は怠らないようにしましょう。
▼日本の登山の歴史を知る本
▼登山の豆知識本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
歴史は好きなんだけど、歴史の価値って現代では薄れつつある気がする。今を生きる人にとっては今と未来の方が興味あるもんね。…だからこそ知っておきたくて、興味深い本を購入した。一つのエリアを深掘りしたい。秩父は山歩きに目覚めた地なので愛着あるから気持ちものって入りやすい。#里山トラベル pic.twitter.com/zmSH0wWt2O
— 宮本 将弘🏡 (@masa_yco) September 29, 2019
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