2020年4月7日コロナの感染拡大防止のため日本でも緊急事態宣言が発令されました。それによって外出自粛が強化され、これまで会社へ出勤することが常識だった日本社会は一気にテレワーク可が進み、自宅で働くことが一般化されつつあります。
コロナ収束後もソーシャルディスタンスは続くと予想され、人との距離をとり、極力会わないような新しい習慣(ニューノーマル)も始まろうとしています。この流れの中で里山の価値が上がるのではないかと思っています。
今回はwithコロナの里山暮らしがどうなるのか書いていきます。
里山活動とは人を含む多様な生き物が共存して持続的に暮らしていけるように、山や森に手を加え農林業資源を共有の恵みとして保全や景観を守る活動のことです。
これまでは地域の人だけがそれを背負ってきましたが、都心に人口が集中してることや少子高齢化社会が進む中で地域コミュニティだけでは難しくなってきています。自然豊かな日本の共通資源として捉えることで、その地域以外の人にも里山活動に関わるような取り組みがされています。
環境省でも里地里山における「新たな共同利用」を推進しています。その理想な姿が書かれていますので、引用します。
————————————————————————————————
「新たな共同管理」の推進により実現される里地里山のイメージ
・健全な農地の生態系を活かして農家の人たちと地域の学校の生徒たちが一緒に生物の調査を行い、地域の中の豊かな人のつながりが生まれている。
・ 二次林・人工林・農地などが一体となった里地里山では、多様な土地利用・資源利用と都市住民をはじめとした多様な主体の連携・協働を通じて、さまざまなタイプの生態系が混在する状態が復活している。
・風景が美しく保たれ、それに惹かれて移り住んできた都市住民や外国からの観光客などが増え、エコツーリズムの浸透もあって生き生きとした地域づくりが実現している。
・里地里山の価値が広く国民に認識され、公的または民間の資金やボランティアにより維持管理の一部が支えられるようになっている。
————————————————————————————————
地域の特定の人のみだけにかかっていた負荷を分散して、大人から子ども、地域外や外国の方にも里山を楽しんでもらえるように様々な活動が全国で行われています。
詳しくは環境省のこちらの資料(PDF)をご確認ください。里山保全活動の全容がわかりやすくまとめられています。自治体、個人、民間団体、企業が一緒になって組織的に動いていく必要性があります。
【参考リンク(PDF)】
多様な主体で支える地域の里地里山づくり(環境省)
里山活動とは、実際どのようなことを行うのでしょうか。団体によってさまざまですが「森林保全」「田畑の手入れ」「植物や生物の学び」「次世代リーダーの育成」などがメインの活動になります。今回は「森林保全」「田畑の手入れ」に絞り活動内容をご紹介します。
人口減少や人材不足により荒れてしまった里山の再生や森林が元気になるような取り組みをします。体験を通じて環境問題、森林の役割を学んでいきます。規模にもとりますが、不必要な木を伐採する間伐や植栽した苗木が健やかに育つように雑草などを取り除く下刈りが主な活動になります。
一般の方でも参加しやすいのが「田畑の作業」ではないでしょうか。農家さんの人手不足も相まって農作業のお手伝いをする体験イベントは全国各地で行われています。3月の開墾から始まり、代掻き・黒塗り、種まき、田植えがあります。夏は草刈りが盛んになり、秋には収穫が行われす。一年の季節を通じて、自然からの恵みやその恵みを得るために整備することを体験します。
僕も里山活動には興味があるので、こちらの団体へ会員登録をしました。2020年度中はキャンペーンをおこなっているため、会費が無料のようなので興味ある方はチェックください。
【参考リンク】
樹木・環境ネットワーク協会(聚)
昔ながらの里山暮らしに戻した方がいいのかと問われると僕個人としてはNOです。その理由は人口減少、少子高齢化の波を止めることは難しいからです。戻すより一回り進化した里山暮らしこそ未来の街の姿だと考えています。
急速に発展したIT技術やネット回線により地方に住みながら都心の仕事をする環境は整いました。それでも全国的には情報格差が生まれ、IT技術の進歩と実生活が伴わず、スムーズに進んでいなかったのが現実です。
オンラインを活かした暮らし方が、コロナの影響によるテレワークやソーシャルディスタンスの習慣化で流れが大きく変わったと感じています。
東京を中心とした人口の多い都市での暮らしはウィルスの脅威にさらされることが明らかになりました。コロナが収束したとしても、別のウィルスによるリスクも考えられます。
もちろん職種は限られますが、会社へ出勤する必要性がなくなり、オンライン上でも支障なく仕事ができることがわかってきたのです。
今後は必要なときだけ出社することができる環境を作ることで、場所に捉われない働き方が主流になると予想されます。場所から解放されたとき、自然豊かで広い家に住める郊外へ移住を検討される方も増えてくるのではないでしょうか。
まわりに豊かな自然があり、居心地の良い家に住みながら最先端のことを学びながら働くことは個人的にも理想の姿だと思っています。
子どもの教育においても学校のリアルな場に通うことのリスクが高まり、オンライン教育への移行が急速に進んでいます。
一方で「環境の整備のが整っていない」「先生や保護者のITリテラシー不足」「全ての家庭にPCがあるわけではない」などによる教育格差が生まれるのではないかという課題も浮き彫りになっています。
また、オンラインのみでは人や社会との関わりが薄くなるため心を育むことができないと懸念されています。僕はそれを補うのが地域コミュニティであり、自然体験なのではと考えています。
自然体験活動をたくさん経験した子どもは、課題解決能力や豊かな人間力などの「生きる力」が備わると研究結果も出ています。植物や生物と触れ合うことで生命の大切さを学び、発想力や創造力が養われるとされています。
このように地域コミュニティや自然体験を通して子どもの心や教育をサポートして、地域みんなで子どもを育てるという昔ながらの文化を今の時代に合わせて変えていくことが大人に求められることではないでしょうか。
昔ながらの暮らしの良いところを残し、人手不足は最新のテクノロジーで補う。働きやすい環境で仕事をしながら経済に貢献して、地域コミュニティで社会に貢献する。里山が枯れないよう活動を通じて自分たちの地域を守っていく暮らしの仕組みが循環性のある未来型の里山だと思っています。
こうして記事を書くことは容易だけど、実現させるには色々な制限があり困難だと思います。その中でも自分なりに行動して小さくても良いので未来の里山作りに貢献できるよう、これからも里山トラベル活動を続けていきます。
▼里山に関する本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
歴史は好きなんだけど、歴史の価値って現代では薄れつつある気がする。今を生きる人にとっては今と未来の方が興味あるもんね。…だからこそ知っておきたくて、興味深い本を購入した。一つのエリアを深掘りしたい。秩父は山歩きに目覚めた地なので愛着あるから気持ちものって入りやすい。#里山トラベル pic.twitter.com/zmSH0wWt2O
— 宮本 将弘🏡 (@masa_yco) September 29, 2019
HIKES編集長。ハイク歴6年。壮大な景色も好きだけど、山の中の小さな世界に魅力を感じます。里山、山城、街道など山と人の間を巡る山歩き紀行を書いてます。
【那須岳(茶臼岳・朝日岳)】火山のダイナミックな光景と紅葉をロープウェイを利用して楽しむ日帰り登山
那須岳(なすだけ)は栃木県北部に位置する那須連山、特に「茶臼岳(ちゃうすだけ)」「朝日岳(あさひだけ…
【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂
津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山…
【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山
男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、…
【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山
中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は標高3000mに迫る標高がありながら、ロープウェイ…
【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く
奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の…
【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山
大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ご…
【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く
表丹沢の「塔ノ岳(とうのだけ)」は、展望の良さと都心からのアクセスのしやすさで人気の山です。標高は1…
【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介
檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢の山深さが感じられる静かな山で、「西丹沢の盟主」とも呼ばれています。…
【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く
栃木・群馬県境の足尾山地に属する袈裟丸山(けさまるやま)は、アカヤシオの名所として名高い山で、シーズ…
【大楠山・登山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング
神奈川県三浦半島の最高峰、大楠山(おおぐすやま)。海に囲まれた半島に位置するため、東京湾、房総半島、…
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…