春になるとぽかぽかとした陽気に誘われ山へ出かけたくなりますが、そこで悩みの種となるのが花粉症です。花粉症の人には、少し外へ出ただけでも目のかゆみや鼻水がつらいという方も多く、登山を泣く泣くあきらめている方もいるかもしれません。
「それでもやっぱり山へ行きたい……!」
そう考えている方に向けて、花粉症でも登山を楽しむための花粉症対策を紹介します。
日本で最もメジャーな花粉といえばスギやヒノキで、スギ花粉やヒノキ花粉は関東圏だと2〜4月がピークです。九州など南の地域ほど飛散時期が早く1月頃から飛散をはじめ、北海道や東北地方は5月頃まで飛散します。
スギ、ヒノキ以外の花粉症の原因となる植物には、
などがあり、地域によって飛散時期が異なります。スギやヒノキの花粉は春に多く飛散するため「花粉症といえば春」というイメージがありますが、秋にも少量の花粉が飛散するため、秋にも花粉症の症状が出る人も。
またイネ科の花粉は種類が多く、春から初春まで長く飛散が続きます。
ブタクサやヨモギなどは秋頃が飛散のピークです。
このように、花粉症の原因となる植物は数多く、ほぼ1年中なにかの花粉が飛散していることになります。
関東圏ではどの山もスギやヒノキが多いので、残念ながら花粉症の症状が出にくい山というものはありません。花粉症でも山に登りたいのであれば、できる限りの花粉症対策をするほかはありません。
花粉症がつらい時期でも登山をしたい方のために、花粉症の症状を最小限にするための対策をまとめました。
大きく分けると3つの対策が考えられます。
それぞれ説明します。
花粉の飛散が少ない天候の日や、1日の中で花粉の飛散が少ない時間帯を狙えば、症状が抑えられる可能性があります。花粉情報をチェックし、天気・時間・場所を選んで登山をしましょう。
花粉の飛散予報はWebサイトやスマホアプリで確認できます。
「環境省花粉観測システム はなこさん」や「日本気象協会TENKI.jp 花粉飛散情報」で飛散の少ない日を確認してみましょう。
花粉の飛散が少ないのは小雨や雨上がりです。空気中の花粉が地面に落ちて、舞い上がりにくいので症状が出にくいといわれています。
同様に花粉は雪に付着して地面に落ちる量が多くなるので、雪山も花粉が少ない傾向にあります。いつもは晴れた日にしか登山をしないという人は、あえて雨の日や雪の残る山を狙うのもいいでしょう。
都市部における1日の花粉の飛散のピークは「午前中から昼過ぎにかけて」と「夕方」の2回です。午前中から昼過ぎにかけては、朝に山から飛散した花粉が都市部に流れてくるため飛散が多くなります。
夕方は気温の低下により、地面に落ちていた花粉が再び舞い上がることが理由です。一方、山間部は都市部とは違い、花粉が飛び始める早朝が飛散のピークとなります。
そのため、山に登るなら早朝を避けた時間帯で、なるべく短い行程で登るのがおすすめです。
スギ・ヒノキは標高1,000m以下の場所に多く生えているので、標高が1,000mより高いと花粉の飛散量が少なくなる傾向にあります。標高の高い山は春先でも雪山装備がないと登れない山も多いので難しいかもしれませんが、花粉を避けるなら標高が高い山(登山口の標高が高い山)がおすすめです。
東北の山ではスギ・ヒノキ花粉が飛散する春先にもまだ雪が降り、残雪もあるので花粉の飛散が少なめです。また、北海道も雪山シーズンのため気軽に行けるわけではありませんが、スギが少ないため、スギ花粉による花粉症は抑えられる可能性があります。
ただし、北海道は4~6月にシラカンバ花粉の飛散がピークとなります。
花粉症の症状を抑えるために薬を飲んだり、目薬や点鼻薬を使ったりしている人は多いと思います。加えて花粉からガードするアイテムを取り入れると効果を感じられるかもしれませんよ。
花粉対策用のフード付きメガネや、スポーツ用の花粉症対策ゴーグルは、目のかゆみを抑えるのにおすすめ。普段メガネをかけない人でも、サングラスタイプなら違和感なく使用できます。
【商品一例】
ウイルス対策として不織布マスクが普及していますが、運動時には息苦しさを感じることも。メガネやゴーグルを併用するとレンズが曇ってしまう悩みもありますよね。
登山には通気性と速乾性に優れたスポーツ用のマスクの着用がおすすめです!
【商品一例】
登山ウェアは表面の凹凸が少なく、ツルツルした素材を選ぶと花粉が付着しにくくなります。
【花粉が付着しにくい服、素材】
ナイロンやポリエステルのジャケット・アウター、生地に凹凸のないシャツ
【花粉が付着しやすい服、素材】
フリース、ウール素材、ニットの帽子や手袋
山に登る前日や帰宅後の予防・ケアもしっかりおこないましょう。
花粉症の薬を症状が重くなった時にだけ飲む、目がかゆいときだけ目薬を使う、というのは間違いです。花粉症の薬は継続使用しないと効き目が落ちてしまいます。
花粉の飛散量の多さや外出の有無にかかわらず、毎日決められた回数飲む(点眼する)のが大切です。
帰宅後は服についた花粉を軽く払い、家の中に花粉を持ち込まないようにします。着ていたものはすぐに脱いでシャワーを浴び、全身の花粉を取り除きましょう。
また、うがい、鼻をかむ、目を洗うことも忘れずに!
ここまで、登山の花粉症対策について説明してきましたが、花粉症の人の中には「普段の生活圏にいるよりも山の中のほうが症状が出にくい」という人も多くいます。
また、スギの人工林の面積が少ない都市部のほうが花粉症患者の割合が多いというデータもあります。
これは、都会の空気には「アジュバント物質」と呼ばれる大気汚染物質が多く含まれ、花粉に付着することでアレルギーを悪化させるからです。
さらに、都市部は地面がアスファルトのため、地面に落ちた花粉が舞い上がりやすいのも花粉症悪化の原因のひとつです。
このように都市部では花粉症の症状がつらい人でも、登山中は案外調子がいいというケースは多く見られます。
花粉症がひどいからとあきらめずに、一度山へ行ってみてはいかがでしょうか。
登山と花粉症対策について紹介しました。春だからこそ楽しめる山の魅力もあります。
花粉症の症状がある人は、万全の準備をして山に出かけてみてください。
まずは花粉の時期が近づいたら、毎日欠かさず薬を飲み続けることが重要です。
花粉症でも憂鬱にならず、暖かい陽気やお花見が楽しめる春の山にぜひ出かけてみてくださいね。
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HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
今日は長野県松本市と新潟県糸魚川市を結ぶ全長120kmになる「塩の道トレイル」の一部を歩いてきました。松本市にある牛つなぎ岩から安曇野市の穂高神社まで、約30kmを7時間ぐらいです。市街地が多いコースですが、アルプス公園をまたぐ道や安曇野の道祖神巡りで楽しめました。#里山トラベル pic.twitter.com/gKAPNGXCUO
— m.miya(宮本将弘) (@masa_yco) May 7, 2022
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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