双六岳(すごろくだけ)は、北アルプスの裏銀座縦走コースの主稜線で、槍ヶ岳方面や三俣蓮華岳方面、笠ヶ岳方面など北アルプスの稜線が合わさる場所にあります。穏やかな山容と、その上に浮かぶような槍ヶ岳の展望が美しいとSNSなどで話題。また、花の百名山にも選出されており、山頂直下のカールにはお花畑が広がっています。
この記事では、初心者でも双六岳を目指せる「新穂高温泉往復1泊2日コース」の行程やアクセス情報、撮影スポットなどを紹介します。
双六岳(すごろくだけ)は、長野県大町市と岐阜県高山市にまたがる飛騨山脈の裏銀座の主稜線に位置する標高2,860mの山です。山名の由来は、神通川水系最上流部の双六谷にすごろくの碁盤に似た盤の石があることや「四五六谷」が転化して双六谷になったとする説など諸説は様々です。
(引用:wikipedia)
今回紹介する「新穂高温泉から双六岳を目指すコース」は、利用者が多く特に危険箇所もないため、初心者でも楽しめるコースとなっています。距離の長いコースですが、コースの途中には山小屋や水場が点在しているので安心です。本行程では、1日目に双六小屋まで登る1泊2日コースを紹介しますが、体力に自信がない方や遅い時間にスタートする場合は、途中の山小屋に宿泊して日数をかけて登るのがおすすめです。
スタートとなる新穂高温泉の「新穂高センター」には、奥飛騨温泉郷観光案内所、新穂高登山指導センターが併設され、登山ポスト、トイレ(24H)、自動販売機があります。双六岳方面だけでなく、新穂高ロープウェイや槍・穂高方面への登山口でもあり、多くの登山客で賑わっています。
新穂高温泉からは、左俣林道と右俣林道にわかれていて、双六岳方面は「左俣林道」なので間違わないようにしましょう。左俣林道は、舗装された道で歩きやすいです。途中、「笹新道登山口」の分岐を通過していきます。
左俣林道を1時間ほどで「わさび平小屋」に到着です。
わさび平小屋の前には、野菜やスイカ、ドリンクなどが流水で冷やされています。水は無料でわけてもらえますし、外トイレはとても綺麗です。お風呂もあるらしく、魅力的な山小屋です。
夏場に訪れたらぜひ食べたいそうめん!自然のなかで食べるそうめんは格別ですよ。
わさび平小屋から少し進むと、奥丸山分岐があり「小池新道」に入っていきます。ここから本格的な登山道の始まりです。
しばらく進むと、岩場が多くなり「秩父沢」にでます。秩父沢は、雪解け水の流れる涼スポットで、無雪期は木橋がかけられています。その後、岩に「チボ岩」と書かれたガレ場、「イタドリヶ原」を通過すると「シシウドヶ原」に到着します。シシウドヶ原は、開けた場所にベンチがあり休憩に最適です。
シシウドヶ原からは木道が現れ、1時間ほどで次のポイントである「鏡平」に到着します。
鏡平付近には木道が敷かれていて、手前に「鏡池」、その先に「鏡平山荘」があります。
「鏡池」は、槍・穂高連峰が水面に映る「逆さ槍」の絶景ポイントです。池畔に広めのベンチがあり、「逆さ槍」を眺めながらゆっくり休憩ができます。「鏡平山荘」には、名物のかき氷があり、テラスは一息つく登山客で賑わっています。
そして、鏡平から弓折乗越までが、本ルート一番の急登!休憩しながらマイペースで登りましょう。周りの登山者を追い越し、また追い抜かれ、を繰り返して顔見知りになっちゃう「登山あるある」を楽しんでみるのも良いかもしれません。
急登を登った先で鏡平小屋と鏡池を見下ろすと、かなり登ってきたことを実感するでしょう。
弓折岳、笠ヶ岳方面との分岐です。ここからは、森林限界に達して稜線沿いを歩く天空ロード。槍ヶ岳を横目に、お花畑が点在します。なかでも「花見平」のお花畑は規模が大きく、馬の背のような形をした双六岳とのコラボレーションは、双六岳を象徴する景観のひとつです。
お花の盛りは過ぎてしまっていますが、最盛期はお花でいっぱいの花見平。
花見平を過ぎるとハイマツ帯になります。運が良ければ雷鳥にも出会えるかも!?
ハイマツ帯を抜けると、双六池とテント場が見えてきて、その先に、宿泊する「双六小屋」が立っています。双六小屋は、双六岳と樅沢岳(もみさわだけ)の鞍部に位置し、小屋からは日本百名山である「鷲羽岳」がよく見え、絶好のロケーションです。
山小屋で鷲羽岳を見ながら生ビール!
2日目の行程は、双六岳に登り、その後往路と同じ道を下山します。
双六小屋に大きな荷物をデポして、身軽に双六岳へ向かいます!
登っている途中からのご来光。眼下に赤い屋根の双六小屋と奥に樅沢岳。双六小屋が鞍部に位置しているのがよくわかります。
登り始めは岩場の急登ですが、やがて広くてなだらかな砂礫地帯に到達します。背の低いハイマツや草が点々としていて、山の上とは思えない独特な雰囲気です。
そして、後ろを振り返ると…
広い台地状に一本だけのびる稜線、その先に北アルプスのシンボル・槍ヶ岳の雄姿。穏やかな双六岳と対照的な、荒々しい岩稜帯に目を奪われ、なかなか前に進むことができません。たくさんの人がこの風景を見るために双六岳へ登るのも納得の景色です。
絶景に魅了されていると、あっさり山頂に。山頂からは、槍ヶ岳はもちろん、笠ヶ岳、黒部五郎岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳など裏銀座の名峰が360度見渡せます。
下山は、双六岳山頂の少し先にある分岐から「中道」を通って双六小屋まで下りるルートでも良いでしょう。夏場はお花畑が広がっています。双六小屋で荷物をピックアップして、往路と同じ道を下ります。
標高2,550m、双六岳と樅沢岳の鞍部に位置する山小屋です。
※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックください。
登山者専用の無料駐車場と有料駐車場があります。
登山指導センターの500m~1kmほど手前/仮設トイレあり
登山指導センター近く
※その他の駐車場や詳細は、駐車場マップよりご確認ください。
松本バスターミナルと平湯温泉、都心からも直通バスがあり、比較的アクセスしやすいです。
■奥飛騨温泉郷 平湯温泉「ひらゆの森」
源泉かけ流しの16の露天風呂が自慢で、食事処、土産処も充実している総合温泉施設。公共交通機関を利用する場合、高速バス乗換時の時間調整にも便利です。
双六岳の稜線は、山雑誌やSNSなどで一度は目にしたことのある風景ではないでしょうか。初心者にとっては、距離が長く感じるかもしれませんが、槍ヶ岳や北アルプスの美しさを堪能できる山です。また、双六岳から雲ノ平や槍ヶ岳、黒部五郎岳など、縦走したいルートや行きたい山を見つけるキッカケになるかもしれません。
双六岳でしか出会えない絶景を求めて、フォトジェニックな山旅にでかけてみてはいかがでしょうか。
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昨日は赤ぼっこ(長淵丘陵)行ってきました。標高409.6mと低いのですが、そこからの景色が好きです。山ごはんは正月なので雑煮です。#里山トラベル
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山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。
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