奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の秘境100選にも選ばれる自然豊かな景観が魅力の山です。整備されたハイキングコースは、登山初心者から楽しめ、展望の良い「日出ヶ岳(ひでがたけ)」や断崖絶壁の「大蛇嵓(だいじゃぐら)」など見どころが満載です。
この記事では、そんな自然に恵まれた大台ヶ原の魅力や難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。
「近畿の屋根」と呼ばれる大台ヶ原は、標高1,695mの「日出ヶ岳」を最高峰に、ゆるやかな起伏が続く台地状の山地です。日本屈指の豪雨地帯で、豊富な降水が育んだ奥深い自然と神秘的な雰囲気を味わうことができます。一帯は吉野熊野国立公園に属し、ユネスコエコパークとしても登録されています。
大台ヶ原は、主要な展望地のある「東大台」と、原生的な森林が広がる「西大台」に大別されます。このうち「西大台」への入山には、事前の手続きが必要です。今回は、事前手続き不要の「東大台」のハイキングコースを紹介します。
東大台は、大台ヶ原最高峰の「日出ヶ岳」をはじめ、見どころである「正木ヶ原(まさきがはら)」、「大蛇嵓」、「シオカラ吊橋」などをめぐる周回コースが整備されています。快適に歩ける登山道には、標識や案内板が十分に設置されていて道迷いの心配もありません。今回は、東大台の周回コースを時計回りに進みます。
大台ヶ原ドライブウェイの終点に位置する、大台ヶ原の登山拠点です。約200台駐車できる大型駐車場で、バス停や大台ヶ原ビジターセンター、物産店、公衆トイレなどがあり充実しています。
登山口は複数あるため少し迷うかもしれませんが、東大台コースを時計回りに進む場合は、大台ヶ原ビジターセンター左の登山口からスタート(写真)となります。なお、ルート途中にトイレはありませんので、出発前に済ませておくと良いでしょう。
スタートしてしばらくは、平坦な登山道が続きます。少し歩くと石畳が敷かれた緩い坂道になりますが、スニーカーでも歩けるほど安全な道です。30分くらい歩くと、展望台に突き当ります。
天気が良ければ、熊野灘(くまのなだ)や尾鷲湾(おわせわん)、志摩半島、そして知多半島まで一望できます。
目的の「日出ヶ岳」へは、一度周回ルートを外れてピストンします。「展望台」から左手に折れると「日出ヶ岳」、右手に折れると「正木峠」になります。
展望台から日出ヶ岳までは、片道300mくらいですが、木道階段の急登です。
大台ヶ原の最高峰です。山頂には、一等三角点と木製の展望台があります。晴れていれば、360度の大パノラマで、大峰連山や熊野灘が一望でき、気象条件が良ければはるか遠くの富士山が見えることも!日の出スポットとしても人気です。
日出ヶ岳から展望台に戻り、「正木峠」を越えて「正木ヶ原」を目指します。正木峠周辺は、トウヒの立ち枯れとミヤコザサの絨毯、そのなかに白い木道階段が続く、大台ヶ原の象徴的な風景が広がっています。
晴れたら熊野灘が見渡せる絶景ですが、霧の正木峠は絵画のように神秘的で美しく、それはそれで得した気分に!途中に展望デッキがあり、景色を堪能しながら休憩ができます。
階段が終わり、生きている木も目立つようになってくると「正木ヶ原」にでます。
標識と展望デッキ、案内板があります。立ち枯れや倒木だけでなく、生きている木も混在しています。「比べてみてください」と書かれた案内板には、昭和44年の写真が掲載され、かつては深い森だったことがわかります。美しいと感じた立ち枯れの風景が、森林破壊が進んで形成されたことに複雑な心境になりました。ぜひ見比べてくださいね。
正木ヶ原を過ぎると樹林帯となり、「尾鷲辻(おわせつじ)」に立つ東屋が見えてきます。ショートカットで駐車場に戻れる「中道」との分岐になっています。目指す「大蛇嵓」から「シオカラ吊橋」への道は高低差があるため、時間や体力に自信がない場合は、アップダウンの少ない「中道」を通って駐車場へ戻るのも良いでしょう。
「尾鷲辻」から平坦な木道歩きが続きます。「牛石ヶ原(うしいしがはら)」へでると、神武天皇(じんむてんのう)と、その隣に「ヤタガラス」をかたどった像が立っています。像の前には「牛石」と呼ばれる、牛が寝ているような形をした岩もあります。広場になっているため、休憩中の人で賑わっています。
「牛石ヶ原」を抜けて少し行くと、「大蛇嵓」へ続く道との分岐があり、周回コースから一度外れてピストンします。「大蛇嵓」へは、片道300mくらいですが、岩場や根っこで足場が悪いので、注意して歩いてください。最後に、木道階段をあがるとパッと視界が開けます。
大蛇嵓の先端は高低差1,000mほどの谷底で、スリリングです。頑丈な鎖柵がありますが、高所恐怖症の方には厳しいかもしれません。岩場は先端へ向けて下り坂となっているため、滑らないように注意が必要です。
目の前には、弥山(みせん)、釈迦ヶ岳、八経ヶ岳(はっきょうがたけ)など大峰連山の大パノラマ、眼下にはシンボルである「不動返し」が見えます。木々が色鮮やかに染まる秋の紅葉シーズンは、一層見事な景色が広がります。
右に、「ブッシュマン」と呼ばれるクライミングルートがある「蒸籠嵓(せいろぐら)」の岩壁が迫ります。
北西方向の山の中に小さく見える「中の滝」は、実は落差250mもあり、日本の滝100選に選ばれる名瀑ですので、訪れた際は探してみてくださいね。
大蛇嵓から分岐まで引き返し、「シオカラ吊橋」を目指します。標高差約160mを一気に下ります。シオカラ谷までの道は、春はシャクナゲが楽しめます。
吊橋からは、渓谷美が堪能できます。スリルある大蛇嵓から一転、穏やかな清流に癒されます。
吊橋からは下った分登り返すイメージで、ここがルート一番の登り坂です。周囲の自然を満喫しながら進みましょう。坂が緩やかになってきたら、ゴールは近いです。
駐車場をはさみ、往路とは真逆の登山口(駐車場売店横)にでます。
近鉄・大和八木駅からバスが運行しています。
※情報が古くなっている可能性があります。必ずホームページをチェックしてください。
利用調整地区である「西大台」に入山するためには、事前手続きが必要です。
日本一の豪雨地帯でありながら気軽にハイキングコースを楽しめる大台ヶ原。この地ならではの豊かな自然と変化に富んだコースが楽しめます。晴れる日は少ないようですが、霧の風景も幻想的で美しく、大台ヶ原らしい風情が味わえるでしょう。
今回は東大台コースを歩きましたが、大台ヶ原の自然や地形に興味がわいたので、次回は事前準備をして西大台コースも歩いてみたいです。
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今日は新潟糸魚川〜長野松本を結ぶ塩の道の続きで、穂高〜安曇追分まで歩いてきました。本当はもっと歩きたかっけど、雨が振り出したので断念。塩の道の宿場町となる歴史ある穂高宿から安曇野の象徴とも言える北アルプスを背景にした田園風景を歩く。最高でした。#塩の道 #里山トラベル pic.twitter.com/iA3Rk9cSM1
— m.miyamoto | toritoke.inc. (@masa_yco) August 27, 2022
山と旅を愛するライター。元同僚とゆる登山部を結成したのをキッカケに山にハマる。出没エリアは丹沢、夏山シーズンは長野・山梨方面の山へ。ソロ登山が多くマイペースに花を眺めたり、新たな発見を楽しみに登っている。登山口アプローチのために、そろそろペーパードライバー脱出を考えている…。
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