関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳信仰の対象として人気の山であり、現在はケーブルカーで手軽にアクセスできることから、参拝者や観光客で1年中にぎわっています。
この記事では、丹沢・大山のルートや難易度、アクセス、紅葉ポイント、実際に歩いてみた感想を紹介します。
大山(標高1252m)は、周囲に同じような高さの山がない独立峰で、麓から見てすぐにわかるほどきれいな三角形をした山です。
丹沢の山々は急勾配が多いのが特徴ですが、大山は中腹の大山阿夫利神社までケーブルカーで行くことができ、登山道も歩きやすいよう整備されているので、登山初心者や子ども連れの登山に向いています。
一年中多くの参拝客が訪れますが、10月下旬から11月上旬は紅葉が見頃を迎えるベストシーズンで特ににぎわい、期間中は夜間にライトアップもおこなわれます。
大山は神奈川県伊勢原市にあります。都心からは小田急線を使って簡単にアクセス可能です。
大山の主な登山口である大山ケーブル駅へは、小田急線伊勢原駅から神奈川中央交通・大山ケーブル行きのバスで25分、バス停からさらに徒歩15分で到着します。新宿駅からの所要時間はおよそ2時間です。
マイカー利用の場合は、新東名高速道路の伊勢原大山ICより大山ケーブルバス停近くの市営大山第1・2駐車場まで10分程度です。
往復にケーブルカーを利用する阿夫利神社コースであれば、難易度は初級レベルです。ゆっくり登っても往復4時間以内で下山できるので、中腹やこま参道で観光や食事を楽しむこともできます。
登山道はしっかり整備されていて、ところどころに石の階段や木道があります。標識や丁目石が置かれ、道迷いの心配もありません。
ケーブルカーを利用して中腹の大山阿夫利神社へ。そこから夫婦杉、富士見台を経て大山山頂(阿夫利神社本社)をピストンするコースです。標準コースタイムは3時間30分と時間に余裕をもって歩けます。
登りは阿夫利神社コースと同じ。下山は見晴台方面へ下り、大山阿夫利神社へ戻る周回コースです。見晴台にはベンチとテーブルがあり、昼休憩にぴったりの場所です。標準コースタイムは往復ケーブルカー利用で3時間30分です。
ヤビツ峠レストハウスからイタツミ尾根を登るピストンコース。山頂までの標準コースタイムは1時間20分と短く、スタート地点からの標高差も一番小さいコースです。
このコースは眺望こそ少ないですが、自然の魅力を感じながら登れます。ヤビツ峠コースはバスの本数は少なめですが、喧騒を避けて静かに歩きたい方におすすめです。
紅葉が見頃の11月中旬に、阿夫利神社~見晴台周回コースを実際に歩いて紅葉スポットを巡ってきました。
小田急線伊勢原駅からバス停「大山ケーブル」まで。そこから昔なつかしい雰囲気のおみやげ店や飲食店が並ぶ「こま参道」を歩いて大山ケーブル駅まで向かいます。こま参道の階段は362段。ここを上るだけで登山前のいいウォーミングアップになりますよ。
今回は大山寺の紅葉を見たいので、ケーブルカーを利用せずに駅の左側にある登山道へと進みます。
ケーブルカーを利用しない場合の登山道は、女坂と男坂の2ルートの道があります。女坂は比較的ゆるやかで途中に大山寺に立ち寄ることができるルートで、男坂はきつい坂がひたすら続く健脚向けルートです。今回は大山寺へ向かう女坂を選択しました。
女坂には「女坂の七不思議」と呼ばれる見どころが設けられているので、七不思議の看板を見つけながら登るのも楽しいですよ。
女坂を20分ほど登ると、真っ赤に染まった紅葉スポットが現れました!紅葉を通り抜けた太陽の光が石階段を赤く染め、その美しさに思わず足を止めてしまいます。
大山寺へ続く階段の紅葉も見事な色づきで、まるで紅葉のトンネルをくぐっているかのような、幻想的な雰囲気です。
大山寺(おおやまでら)は山岳宗教の社寺で、山号を雨降山(あふりさん、あぶりさん)といいます。弘法大師が開祖ではなく、住職を務めたと伝わる珍しいお寺です。
西暦755年の開山以来、幾度かの大火にみまわれ消失したり、弾圧により破壊されたりしましたが、そのたびに再建され明治時代に現在の場所に移ったとのこと。奥深い山の中にある、荘厳な雰囲気を感じるお寺でした。
大山寺から眼下を走るケーブルカーを眺めながら40分ほど進むと、大山阿夫利神社下社に到着です。
大山は信仰の歴史が古く、奈良時代から信仰されていたといわれています。江戸時代になると講(町内会や同業者組合のようなもの)を作って集団で大山詣りツアーを行うのが人気となり、信仰と行楽を兼ね備えた庶民の観光スポットとしてもにぎわいました。
ここから、山頂までさらに登りますが、その前に「大山名水」をくむのがおすすめ!社務所の脇の小さな入り口から中へ入ると、龍のモニュメントの口からおいしい湧き水が出ていますよ。
阿夫利神社下社から表参道を出発すると、いきなり長い階段上りが始まります。しばらく急な階段が続くので、ここで息が上がらないよう、なるべくゆっくり上るのがポイントです。
ここからは「〇丁目」と書かれた丁目石が設置されており、山頂が28丁目となります。目安にしながら進みましょう。
道中には、8丁目に「夫婦杉」という樹齢5〜600年の巨木や、15丁目に「天狗鼻突岩」という穴の開いた岩など、いくつか見どころがあるので、休憩もかねて楽しみながら進みましょう。
20丁目にあるのが「富士見台」。晴れていれば遠くに富士山が望めるスポットですが、この日は残念ながら雲がかかっていました。
ここからさらに進み、25丁目にはヤビツ峠方面との合流地点があります。ベンチのある箇所は少ないので、見つけたら無理せず、休憩をとりながらペースを守って登りましょう。
鳥居が見えたら山頂はすぐそこ。標高1252mの大山阿夫利神社本社に到着しました。山頂からは伊勢原市内、横浜や東京方面が見渡せます。晴れていれば東京スカイツリーや横浜のランドマークタワーも見られますよ。
山頂付近には休憩ベンチやテーブルがたくさんあるので、ゆっくり休憩できます。見晴台方面へ少し下りたところにも休憩できる広場がありますので、混雑時にはそちらに行ってみるといいでしょう。
下山は見晴台方面へ。登ってきた表参道と比べるとゆるやかで、木道や木の階段が整備されているので歩きやすい道です。
雷ノ峰(いかづちのみね)尾根をゆるやかに下ると見晴台という広場に出ます。ここは東側・北側の展望が開ける休憩スポット。大山は独立峰なので、それぞれのスポットから全方位の景色を見ることができるのも魅力です。
見晴台から平坦な道をさらに20分ほど下り、阿夫利神社下社へ戻ってきました。下山はケーブルカーを使い、6分でケーブルカー駅へ。そこからこま参道を下りてバス停まで10分ほどです。
丹沢大山は、美しい山容を持つだけでなく、深い歴史があり人々の信仰を集めてきた人気の山です。都心からのアクセスが容易で、中腹までケーブルカーが利用でき、トイレや飲食店も豊富にあるため気軽に登山にチャレンジできます。
大山周辺はおみやげ店や温泉などもあり、登山のあとも楽しみがいっぱいのエリアなので、ぜひ訪れてみてくださいね。
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今日は半年ぶりぐらいの山歩きになる、日和田山ハイキングに行って来ました。巾着田を眺めるこの景色は好きだなー🌞#里山トラベル pic.twitter.com/v2fNgbou1e
— m.miya | marketing (@masa_yco) August 1, 2020
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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