日本には美しい四季があり、その四季に合わせた登山の魅力や楽しみ方があります。同じ山でも季節によって全く違う顔を見せてくれるのです。新緑や高山植物、紅葉などがきっかけで登山の虜になる人も少なくありません。しかし、夏山や冬山には危険が潜んでいます。四季を通じて登山を楽しむために、季節ごとの特徴と安全のポイントをご紹介いたします。
登山初心者にとって登山やハイキングのベストシーズンは春や秋かもしれませんね。
春の山は生命の躍動感がみなぎっています。山桜、つつじなどの花が山をピンクや赤に染め壮大な景色に魅了されること間違いなしです。若葉や新緑などのマイナスイオンのシャワーを浴びることができるのも春です。歩くと汗ばむくらいの春は登山やハイキングからさわやかさを得られるベストシーズンです。
秋はなんといっても紅葉の季節です。一年で最も彩り豊かな季節です。山が赤や黄色に染まり、その美しさに圧倒されるほどです。栗、アケビ、どんぐり、銀杏などもゲットできる季節です。9月下旬頃から天気も安定し、10月は移動性高気圧により絶好の山歩き日和になる確率も高くなります。
秋は紅葉が美しく、登山者も最も多い季節です。しかし、秋の序盤は台風の通過や秋雨前線により天候が不安定な日もあるので注意が必要です。
「秋の陽はつるべ落とし」と言われるほど秋は日照時間が短く、あっという間に日が沈みます。暗くなるのも早く、ヘッドライトが必要になることもあります。暗くなると気温も急激に下がるので、雨具や防寒具がないと命取りになることさえあります。薄手のダウンやフリースなどの防寒具をかならず用意して出かけるようにしましょう。
秋山は熊の出没にも注意が必要です。熊は冬眠に備えて食物を求めて活発に行動します。入山前に熊の出没情報を得るようにしましょう。死んだふりではすみませんよ!
梅雨が明けると日本アルプスも本格的な登山シーズンを迎えます。雪が解け、高山植物が芽を出し、花を咲かせます。険しい山並み、眼下には雲海、はるかに続く山脈、そんな壮大なスケールを体験するのに絶好の季節が夏です。
アルプスは登る距離も高さも里山とは全くスケールが全く違います。だからといって気後れすることはありません。ハイシーズンの週末ともなれば観光地並みに登山者がおり、設備も警備も充実しています。
初めてアルプスにチャレンジするのにおすすめな山は立山、乗鞍岳、燕岳あたりでしょうか。標高3000mの壮大なスケールの大自然を味わうことができますよ。比較的安心して登れるコースを選び、夏のアルプスや思い存分満喫してみるのはいかがでしょうか。
標高の高い山へ登れる夏山ですが、危険も伴うため注意しておきたいポイントをいくつか紹介します。
夏は街でも急に天気が変わりますね。山でも同じように変わりやすいということを忘れないように。雷に遭遇すると落雷の恐れもあり大変危険です。また、山では高度が上がるにつれて気温は下がり、風を受けると体感気温も下がります。夏であっても防寒着、レインウェアは必須です。
登山は長時間歩き続けるために体温が上昇します。また、呼吸や汗で体内水分が排出され、脱水症状になりやすく、体力も消耗するので熱中症になりやすいと言えます。
荷物が重くなるからと十分の量の水分を持って行かなかったり、トイレが近くなるからといって水分補給を制限したりするのは非常に危険です。汗をかくと水分だけでなく、ミネラル成分も奪われるので、スポーツドリンクがおすすめです。登山計画で水場をチェックし水分確保ができるように備えましょう。
冬山の魅力といえばなんといっても「白く染まった壮大な景色」でしょう。冬は空気が澄んでいて、透き通った景色を堪能することができます。濃く青い青空と雪の白のコントラストは息を飲むような美しさです。
冬は虫なども活動していないのでシーンとした静まりかえった空間も体感することができます。
雪山を楽しめるかどうかは「天気」に大きく左右されます。晴れで風のない日を選びましょう。予想天気図を見て、確実に高気圧にすっぽり覆われる日を選びましょう。
冬の登山は難易度が高く、気軽に行けるものではありません。初めてチャレンジする方は、冬山装備を整え、冬山経験者に同行するようにしましょう。
冬山は一度登ると虜になるほど美しいものですが、他の季節とは比べものにならないほどの危険が潜んでおり、死に直結する確率が高いです。毎年雪山でおこる遭難事故で命が失われています。登山をやっている人ならニュースを見る度に人ごとではないと胸を痛めます。
突然の雪崩による事故や天候の変化によるホワイトアウト、道迷い、滑落などのリスクが挙げられます。そのリスクを回避するには体力、知識、技術の高いレベルが求められます。必ず経験のあるガイドを付けて登るようにしてください。雪山に関する知識も経験もない素人が雪山に立ち入ることは自殺行為のようなものです。
冬山用の装備をひととおり揃える必要もあります。登山靴やアイゼン以外にもピッケルという杖としてバランスを保つために必要なものです。
雪山訓練の講座は各地で開催しているので参加して経験を積むのもよいですね。
色とりどりの四季を味わいながら登山ができる日本に住んでいるのは幸せなことかもしれません。同じ山でも季節ごとに表情が変わるので何回訪れても飽きないですね。
春夏秋冬ならではの魅力やリスクがありますが、事前調査を怠らず1年を通じて登山を楽しみたいですね。
▼季節を通じて楽しむための本
▼登山をサポートしてくれるアイテム
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
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