日本百名山にも選ばれた茨城の名峰・筑波山。百名山で一番標高が低いとはいえ展望が素晴らしく、奇岩群など見どころがいっぱいの山です。
また、ケーブルカーやロープウェイで気軽に山頂まで行けるので、年間を通して人気の観光スポットでもあります。この記事では筑波山のルートや難易度、アクセス、実際に歩いてみた感想を紹介します。
筑波山は日本百名山のひとつに数えられ、男体山と女体山の二つの峰がある双耳峰です。最高峰は女体山の877mで、日本百名山の中では一番標高が低い山でもあります。富士山との対比で「西の富士、東の筑波」と称されるほど山頂からの眺めが美しく、つくば市のシンボルともいえる存在です。
筑波山はケーブルカー、ロープウェイそれぞれで山頂近くまでアクセスが可能。ゴールデンウィークや秋の紅葉シーズンは観光客で特に賑わいます。
筑波山は茨城県つくば市の北端にあります。東京都内からであれば、つくばエクスプレスで秋葉原駅~つくば駅まで行き、そこから筑波山シャトルバスで「筑波山神社」もしくは「つつじが丘」で下車。
所要時間は1時間半~2時間ほどです。筑波山シャトルバスは30分間隔で運行しているため、楽にアクセスできますよ。
その他、東京駅・羽田空港・成田空港・茨城空港からつくばセンターまでの高速バスを使用する方法や、JR常磐線土浦駅から路線バスに乗り換える方法があります。
車を利用する場合は「市営筑波山駐車場(第1~第4まで合計約450台)」や「筑波山つつじヶ丘駐車場(約400台)」を利用すると便利ですが、繁忙期はかなり混み合うので早めの到着を心がけてくださいね。
標高1,000m以下でロープウェイやケーブルカーが運行していることから、簡単に登れる山だと思われがちですが、登山道は急勾配や岩場もあり決して難易度は低くありません。
普段着やスニーカーでは危険なので、しっかりとした登山靴とウェアを用意しましょう。急登や岩場があるとはいえ、登山道自体は整備されていて迷いそうな箇所はなく、技術はあまり必要としないので子どもから年配の方まで登れますよ。
筑波山登山の主なコースを紹介します。
筑波山神社から、弁慶七戻りなどの巨岩を経て女体山へ向かうコースです。
筑波山神社からケーブルカー筑波山頂駅までを直登するコース。
シャトルバス終点の「つつじヶ丘駅」を出発し、弁慶茶屋跡で白雲橋コースと合流するコース
筑波山への登山コースのなかでも距離が長く、見どころの多い「白雲橋コース」を実際に歩いてきたので紹介します。
スタートは筑波山シャトルバスの「筑波山神社入口」。大きな赤い鳥居をくぐってしばらく歩くと筑波山神社があります。筑波山神社は筑波山を御神体とし、イザナギノミコトとイザナミノミコトの夫婦神を祀っていることから、縁結びや夫婦円満にご利益があるとされています。
登山の安全を祈願してお参りし、おみくじを引くと大吉が出ました。晴天にも恵まれ、幸先のいいスタートです!
白雲橋コースの登山口は筑波山神社の拝殿に向かって右側へと進み、一度住宅地に出た先にあります。看板を頼りに進みましょう。
登山口からはしばらくは緩やかな木の階段が整備されていて歩きやすい道です。20分ほど登ると金運のパワースポット「白蛇弁天」が現れました。ここには白い蛇が住み、見た者は財を成すといわれています。
白蛇弁天を過ぎた辺りから徐々に傾斜がきつくなってきました。ゴツゴツとした岩が増え、木の根が張っているので、滑らないよう注意して進みましょう。
登山口から70分で弁慶茶屋跡地に到着。ここは以前に茶屋があった場所ですが、現在は建物はなく広い休憩場所になっています。
南西側に少しだけ展望が開けたところからロープウェーが見えました!20分おきに運行しているので、タイミングが合えば見られるかもしれません。
ここから先は、白雲橋コースの一番の見どころ、巨岩・奇岩ゾーンです。
まずは弁慶茶屋跡地からすぐの場所にある「弁慶七戻り」。岩と岩の上に、どうやってバランスを保っているのかがさっぱりわからない巨岩が乗っています。
あの武蔵坊弁慶ですら恐怖で7回も後ずさりしたという言い伝えが残っている岩ですが、実際に通る場合に危険はないので安心してくださいね。弁慶の時代から考えると、800年以上もずっと岩の上に乗り続けたままの巨岩。時の流れを感じます。
白雲橋コースにはこの他にも、「母の胎内くぐり」や「大仏岩」など不思議な岩が多く見られます。それぞれ看板が立っているので見逃すことなく、じっくり楽しめますよ。
自然のアート作品のような巨岩・奇岩を楽しみながら40分ほど歩き、筑波山の一つ目のピークであり最高峰の女体山山頂(877m)に到着しました。
山頂からは関東平野が一望でき、霞ヶ浦がはっきり見えました。女体山の山頂は岩に覆われており展望は素晴らしいのですが、柵が一切ないのでうっかり足を踏み外さないよう注意が必要です。
女体山から15分ほど下ると、ケーブルカーの終着駅がある御幸ヶ原に到着しました。御幸ヶ原はコマ展望台をはじめ、数件の飲食店や土産物屋が並ぶ観光客の休憩スポットです。ちょうどお昼の時間になったので昼食をとります。
筑波山の名物つくばうどんは残念ながら売り切れだったので、代わりにけんちんうどんをいただきました。温かいお出汁と煮込まれた根菜、やわらかめのうどんがやさしく体に染みわたるおいしさです。山を登ったあとは、少し濃いめの味付けがたまりません。
御幸ヶ原でうどんを食べるためだけに、寒い時期に筑波山に登るのもいいと思えるほど美味しいうどんでした!
お腹を満たしたところで、もう一つのピーク「男体山」へ向かいます。男体山へは御幸ヶ原から15分程度。ケーブルカーで着た観光客も多く、簡単に登れるかと思いきや急な岩の斜面があるので油断は禁物です。
男体山(871m)のピークは女体山とは違い、柵が設置された展望台のようになっていて安全に景色が楽しめます。女体山からは見えなかった富士山やスカイツリーがうっすらと見えました。それぞれのピークから違った景色が見えるのはお得感がありますね。
当初は御幸ヶ原コースで下山する予定でしたが、あまりにも見どころが多くて時間がかかってしまったため、ロープウェー利用に変更しました。日没時間が早い季節でも下山時間を気にせず楽しめるのは、登山初心者にとって嬉しいポイントですよね。
ロープウェーとケーブルカーは時期によっては夜間の運行もあるので、夜景を見てから下山もできます。詳しくは筑波山ケーブルカー&ロープウェイの公式Webサイトを確認してください。
ロープウェイの終着駅は「つつじヶ丘駅」です。ここの駐車場の奥のドライブインのような場所には、北関東屈指の珍スポットといわれる「ガマ洞窟」があります。
筑波山名物のガマの油からインスピレーションを得たお化け屋敷で、怪しくカオスな雰囲気が漂っていました。営業時間内であれば、この不思議なB級アミューズメントパークに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
筑波山は自然や歴史的な見どころも多く、雄大な展望も楽しめる観光地です。ロープウェーやケーブルカーを利用すれば簡単に山頂付近まで行けますが、麓から自分の足で登るとよりじっくりと筑波山の魅力を感じられるでしょう。
標高こそ高くないですがしっかり高低差があるので、本格的な登山デビューにもおすすめです。山頂付近はかなり混雑するので、早い時間の到着を意識してくださいね。
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今日の午前は長野県大町市にある鷹狩山を歩いてきました。標高1164mの山頂からは大町市とドーンと聳える北アルプスの絶景が。朝食に米粉パンのホットサンド、帰りに十割そばをいただきました。まだ早いけど良き一日でした☀#里山トラベル pic.twitter.com/POodfBDfT0
— m.miya(宮本将弘) (@masa_yco) May 29, 2022
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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