登山は楽しい!でも帰ってからの疲れが中々とれないということはよくありますね。疲れるから登山に行きたくないとなってしまうと残念です。さわやかな程よい疲れを感じつつ、疲労感なく安全に登山することは大切なことです。
今回は登山中の疲れにくい歩き方、下山後の疲れを上手に回復する方法、登山前に疲れにくい体を作るコツをご紹介します。
登山で疲れないために「最初の20分はゆっくり歩く」のがポイントです。ゆっくり、マイペースは人によって異なるのでピンとしないかもしれませんね。普段街中を歩いている時よりもゆっくり歩くことを心掛けてください。こんなにゆっくりでいいのか?と思うくらいで大丈夫です。最初にゆっくり歩くことで呼吸が安定し、歩くリズムができます。
20分経ったら息はゼーゼーしていないか、心臓はドクンドクンと高鳴っていないか確認し合いましょう。水を飲み、靴紐を見直し、ペースを確認しましょう。この時余裕があればペースを少しだけ上げてもOKです。
最初が元気だからとペースを飛ばして登ると呼吸が乱れ、リズムも作れず、休憩も増え、気持ちも焦り全く楽しくありませんし、体も疲れます。どんどん抜かれても気にしないで、ゆっくり歩いてください。
日頃あまり歩き方を意識して歩くことはないかもしれませんが、登山では歩き方を意識し、膝や筋肉に負担をかけない歩き方をすれば疲れ方が大きく軽減されます。
まず登りの基本の姿勢ですが、頭、背中、腰、後ろ足まで一直線になるような姿勢を意識してください。姿勢が安定し、筋肉だけでなく骨で体を支えるので疲れにくくなります。
足の裏全体で着地するような歩き方を心掛けてください。そうすることで太ももの筋肉への負荷を軽くすることができます。足を蹴り上げずに引き上げるような気持ちで足を移動させます。小さな歩幅で歩くのもポイントです。急な坂道の場合はがに股歩きすると足首の関節やふくらはぎの負担を減らせます。
下りは速度が増しやすいので速度とペースを保ち転倒を防止しながら歩くのがポイントです。下りは前へ進むというよりは真下へ降りるイメージで歩きます。膝を曲げ、バランスを取りましょう。
大きな段差は横向きになり、膝を手でサポートしながらゆっくり下りましょう。
体力には自信がある人でも登山では疲れて歩けなくなるというものはよくあることです。その原因の一つは「栄養不足によるエネルギー切れ」です。この状態は血糖値が極端に下がった時に起きやすくなります。
エネルギーになる栄養素は糖質、脂質、たんぱく質などです。登山前にしっかりと朝食を取り、登山中もこまめに行動食を取るならエネルギー切れを防ぐことができます。
登山中に足が攣ることがあるかもしれません。筋肉の疲労の蓄積や発汗によるミネラル不足が考えられます。スポーツドリンクなどでミネラルの補給をし、こまめにストレッチを行なえば筋肉疲労を軽減することができます。
特に下山時には疲労も溜まっていて、足で体を支えながら下るので足への負担がかなりかかります。トレッキングポールを利用すれば足の負担を軽くすることができます。
下山したら温泉、ビールといきたいところですが、まず糖質とタンパク質を含む食品を取ることをおすすめします。運動後6時間以内に糖質を摂取すると筋グリコーゲンの回復を早め、壊れた筋肉を修復する効果が高いと言われています。
失われたのは糖質だけではありませんから、できるなら栄養バランスの取れちゃんとした食事をするのが本当はベストです。失った水分補給も忘れないようにしましょう。ビールは脱水症状を促進させるので、水やスポーツドリンクなどで十分な水分と電解質を摂取した後に飲むようにするとよいですね。
下山後は筋肉を冷やす「アイシング」が筋肉の疲労回復に効果的です。アイシングを行うことで血管を急速に収縮させ、内出血や炎症を防ぎます。また披露した部位の血流量や新陳代謝を低下させ、周辺組織への疲労拡大を防ぐ働きもします。まずはアイシング!その後温泉にゆっくり浸かり、血流を促し、疲れを癒しましょう。
下山後はマッサージやストレッチを行い、血流をよくすることも筋肉の疲労回復を高めることができます。
登山の日程が決まったらトレーニングをして疲れにくい体を作りましょう。低い山やハイキングであっても長時間、平地ではないところを歩くので体力と筋力は必要です。
週に1回はウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を行い、体を慣らしておくといいですね。都心部に住む方であれば一駅分歩く、階段を使う、バスを使わず歩くことも持久力アップに効果的です。
登山の登り下りで必要な筋肉を鍛えるのにおすすめなのがスクワットです。スクワットがちょっとハードだと感じる方にはハーフスクワットでも大丈夫です。その時背中を丸めず、膝とつま先が同じ方向に向けて腰をゆっくり下げるのがポイントです。
腹筋、背筋も登山に必要な体幹を鍛えることができます。
トレーニングを途中で投げ出さないために、軽いトレーニングから始め、少しずつ増やしていくと長続きしやすいようです。あとモチベーションを上げるのもいいですね。
登山前の食事は重要です。登山前は燃料となる炭水化物をしっかり食べて準備します。お米、パスタ、うどんなどの炭水化物をいつもより多めに食べてグリコーゲン(糖)を体にため込むということです。
登山当日の朝はおにぎり、パン、うどんなどを中心とした高糖質食がおすすめです。おにぎりの米をもち米にすると糖質がさらにアップしますよ。
食べ物によって消化するのに時間差があります。それで、登山直前にはおにぎりやバナナ、消化のいいエネルギーゼリーなどを摂取し、食べるタイミングも工夫してみるとバテにくいです。
朝がどんなに早いからと何も食べずに登山なんてNGです。ガス欠のまま高速道路を走るようなものです。どんなに高価なギアを持っていても、エネルギーが無いなら何も始まりません。栄養のあるものをしっかり食べて登山に臨みましょう!
登山で疲れないポイントは「ゆっくり歩く」に限りますが、あまりゆっくり歩いてしまうと予定時刻までに下山できなかったり、山小屋への到着が遅くなってしまったりとなってしまうと本末転倒です。
現時点での自分の体力に合わせた登山コースを選ぶことが何より大事です。登山を続けていれば必要な筋肉や体力は自然とついてきますので、今回紹介したコツを参考にご自身のペースで登山を楽しみましょう。
下記の記事では登山後の筋肉痛のケアについて紹介しています。気になる方はチェックしてみてください。
【こちらもチェック!】
登山で起こる筋肉痛の予防法は?筋肉痛の原因や下山後のケア
▼筋トレやストレッチの本
▼登山をサポートしてくれるアイテム
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローされると喜びます。
昨日は三頭山を歩きました。コースが丁寧に整備されおり運営の方々の想いが伝わる道でした。朝の8時から12時ぐらいでしたが、木で日差しが遮られ涼しく歩けます。午後以降は暑いかも🤔低山やっぱりいいな。 pic.twitter.com/H3Ev5q7Nty
— 宮本将弘 | masahiro miyamoto (@masa_yco) July 25, 2021
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
雨の日の登山は中止にすべき?雨の日登山の危険性と雨対策
山に行く計画を山仲間と立てたのに明日の天気が雨、もしくは曇り雨などはっきりしない場合みなさんはそれで…
登山の歩き方にはコツがある?疲れを軽減させる登りと下りの歩き方
登山で疲れを軽減させる歩き方があることを知っていましたか?普段街で歩くのと環境が違うので、登りでバテ…
登山は体力がないとできない?体力が必要な理由とトレーニング方法
登山するために体力があるに越したことはありませんが、「体力に自信ができてから」「筋肉をつけてから」と…
【赤城山(黒檜山)】大沼を眼下にバラエティ豊かなコースを歩く、初心者におすすめの百名山
日本百名山の一つに数えられる群馬県の赤城山(あかぎやま)は、大沼や小沼などのカルデラ湖を囲む周辺の山…
冬の登山にはアイゼンが必要不可欠。アイゼンの種類と選び方
どこまでも澄み渡る青い空と白銀の世界。冬山の景色は息を飲むほど美しいものです。夏山と違って虫もいなけ…
知っておきたい登山マナーの基礎知識。安全登山と自然保護への観点
登山では街歩きと違いマナーがあることを知ってましたか?守らないと人によからぬ迷惑をかけたり、希少植物…
登山中のトイレにご用心!山のトイレ問題は下調べと準備を欠かさずに!
「登山中、トイレに行きたくなったらどうしよう…」誰もが抱える悩みですね。人気のある山は整備されている…
登山計画は安全登山の第一歩。計画の立て方と遭難防止に役立つサービス
「登山は計画で全てが決まる」と言っても過言ではないほど、登山計画を立てることは重要なことです。 何時…
登山でタイツは必要?効果やデメリット、人気メーカーをご紹介!
登山をする多くの人が着用しているタイツは険しい山を登るための必須アイテムになりつつありますね。近年で…
登山は下山こそ注意が必要!膝を傷めない歩き方や下山後のケア
山を下るのは一見楽そうですが、勢いにまかせて下山するとケガや筋肉痛の原因になることがあります。下山中…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…
【御嶽山・登山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン
長野県と岐阜県の県境に位置する「御嶽山(おんたけさん)」は、剣ヶ峰を主峰として、摩利支天山(まりして…
熊鈴はうるさい?賛否両論の熊鈴マナー。快適な登山をするために気を付けること
登山において、熊との遭遇は命に関わる危険の一つです。道迷いや滑落は自分である程度は回避できますが、生…
【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山
日本百名山のひとつ「八甲田山」は、岩木山とともに青森県を代表する山です。八甲田山という単独峰はなく複…
【至仏山登山】尾瀬のシンボル、花の百名山を日帰りで楽しむ最短コース
尾瀬ヶ原の西側に位置し、燧ケ岳とともに尾瀬のシンボルとなっている至仏山。高山植物の宝庫としても知られ…
【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ
双六岳(すごろくだけ)は、北アルプスの裏銀座縦走コースの主稜線で、槍ヶ岳方面や三俣蓮華岳方面、笠ヶ岳…
【唐松岳・登山】北アルプス初心者も挑戦しやすい花と絶景の山!ゴンドラ・リフトでアクセスする1泊2日の山旅
唐松岳(からまつだけ)は北アルプスの後立山連峰にある標高2696mの山です。 ゴンドラとリフトで標高…
【茅ヶ岳登山・登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く
山梨県北杜市と甲斐市にまたがる「茅ヶ岳」(かやがたけ)は、日本百名山を選定した深田久弥氏の終焉の地と…
【会津駒ヶ岳・登山】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン
尾瀬国立公園に属する「会津駒ヶ岳」は、日本百名山に数えられる南会津の名峰です。なだらかな山容が特徴的…
【武甲山・登山】採掘跡が可哀想な山?歴史を感じながら秩父の名峰を味わう日帰り登山
埼玉県秩父市にある武甲山(ぶこうさん)は奥武蔵の最高峰であり、地元の人々に古くから信仰されてきた山で…
登山の虫よけ対策に効果的な成分は?ディートやイカリジンの成分の違いや虫対策グッズを紹介
夏山シーズンで注意したいことの一つが虫刺されです。山の中には蚊やアブの他にも、マダニやハチなど刺され…
夏の登山でおにぎりは腐る?暑い時季でも安全な持ち運び方とおすすめ具材を紹介
山の食事は登山の楽しみの一つですよね。中でも、おにぎりは簡単に作れてすぐに食べられ、エネルギー補給が…