「登山中、トイレに行きたくなったらどうしよう…」誰もが抱える悩みですね。人気のある山は整備されているので、トイレはポイントごとにありますが、中にはトイレのない山もあります。
不幸なことにならないよう、今回はみんなが気になる登山におけるトイレのお話です。
登山前に用を済ませておくのは当然のことですが、排泄は生理現象なので避けることはできません。我慢すると体調を崩してしまい、その後の登山にも影響が出てきます。
体調を崩して、もよおしてしまうことさえあるかもしれません。山の中では日常のように、いつでもどこでもトイレに行けるわけではないということを肝に銘じておきましょう。
登山者の多い山であればトイレもポイントごとにあります。登山計画の中に、小休憩、お昼ごはんに加え、トイレ休憩も含めておくと安心ですね。
冬季にはトイレが閉鎖される場合があります。使用可能なトイレがあったとしても登山道入口だけかもしれませんのでご注意ください。
富士山や北アルプスなど、人が多く訪れる山ではチップ制の有料トイレが増えてきています。100~300円の協力金として徴収されます。
山の中という特別な場所でトイレを維持するには、その分お金がかかるものです。例えば、富士山の山頂トイレの年間維持管理費は約5,000万円かかるそうです。バイオ式などの環境に配慮したトイレの整備費用は約3,000万とも言われています。ヘリによる尿の運搬に莫大な費用がかかっているのです。
トイレを使用する場合は支払うために小銭を用意しておきましょう。基本的にはトイレの管理人はいないので無人です。支払いは任意になります。
前もってトイレを済ませて万全で臨んでいても、どうしてももよおしてしまうことはあります。生理現象ですから根性だけではどうにもなりません。特に子どもや女性が一緒に登山に参加している場合、トイレの場所をチェックしておきたいものです。
登山道でのトイレの場所は本やネットから情報を得ることができます。何メートル地点にあるか、どんなタイプのトイレか、有料か無料かどうかなどを確認してください。
「ここのトイレを逃したらしばらくない」「もう少し歩けばトイレがある」など、事前にトイレの場所を把握していれば、我慢する、しないの判断も早くなります。
トイレがない山の場合、登るときに「もしも」に備えてどこで用を足すことができるかイメージしておくことも大事です。この辺りは傾斜が多い、植生が多くて脇道に行けない、隠れるところがないといった場所は例え緊急時でも避けた方がいいでしょう。
余分な水分摂取はトイレが近くなるので、水分は適度に摂取したいものです。登山前にコーヒー、お茶などの利尿作用のある飲み物を控えることもできますね。なにより楽しいはずの登山なのに頭の中はトイレのことでいっぱいだったなんて残念ですものね。
逆にトイレに行かないですむようにと水分を控えると脱水症状に陥り、熱中症、高山病になるリスクも高まり危険です。登山では汗や息で体から水分が多く排出されるので、想像以上に水分は奪われています。水やスポーツ飲料をこまめに補給するのがポイントです。
適度な水分をチューブで補給できる「ハイドレーションシステム」を使うと便利です。体は吸収できる量の水分を超えると尿になります。少しずつ水分補給できるので脱水も回避できます。
お腹が痛くてどうしても我慢できない、しかもトイレがないときは、山の中で用を足さなければいけません。このような緊急事態を山用語で男性なら「キジ撃ち」、女性は「お花摘み」と言います。どちらもしゃがんだ姿勢の隠語です。
山にはルールがありますので何処でも用を足して良いという訳ではありません。登山道、沢沿い(特に川の上流)、土以外の場所は絶対避けてください。希少な高山植物が生殖している一帯もNGです。
登山道から少なくとも10mは離れた場所を選びます。コースから反れて迷わないように注意してください。
用を足す場合は、穴を10cmほど掘ってそこにしてください。土中のバクテリアが分解してくれます。終わったら忘れずに掘った土を戻して埋めてください。
ティッシュは水に溶けませんし、バクテリアも食べませんから使わないでください。山では「紙は持ち帰る」のが基本です。紙がどうしてもない場合、葉っぱで拭いて埋めるようにしましょう。密閉型ビニール袋なら臭いも汚れも気にならずに持ち帰ることができますよ。
登山アイテムに「携帯トイレ」があります。トイレがない、長い行列が出来て順番まで待てない、携帯トイレブースが設置されている場合などに便利です。
山でする罪悪感もなく、どこでもできて、持って帰れるという精神的な安心感があります。重量も軽く、登山以外にも災害や車の渋滞などにも使えるのでぜひ備えておきたいものです。
簡易和風便器を組み立て、ビニールをかぶせ、そこに用を足す仕組みのものがほとんどです。液体は固まり、臭わないようにもなっているので安心です。ポンチョがついている携帯トイレであれば体をすっぽり隠ししゃがんでできるので人目もあまり気になりません。
今では女性向けのかわいいパッケージの携帯トイレもあるのでザックから取り出すときも恥ずかしくありません。山に限らず避難用としても利用できるので一家に何個か持っていても損はありません。
生理現象とはいえ、登山中の急なお腹の痛みは嫌ですね。せっかく楽しい登山も台無しです。次にあるトイレが我慢できる範囲内ならなんとかなるものの、できそうにない場合は道を外れてするしか手はありません。
複数人のチームの場合は、少し恥ずかしいかもしれませんがチームリーダーや気の合う仲間に伝えてから準備を始めましょう。急にいなくなってしまうのは心配をかけることになります。
携帯用トイレ、ティッシュ(持ち帰る)、ビニール袋を持ってトイレマナーを守りつつ用を済ませ、体の調子を回復させてから登山を再開させましょう。
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— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
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