これから登る山のどのルートを歩くのか…。登山計画をたてるときの最初の悩みですね。そんなの頂上にたどり着けば、どこを通っても同じだよと思ってしまいますが、実際は全くそんなことありません。
選ぶルートによって難易度が違えば景色も違う、一緒に行くメンバーによっても変わってくるものです。ルート選びのコツを掴んで、目的に合った登山を目指しましょう。
山の頂上は一つだけど、登るためのルートは複数あります。初心者に優しいものから上級者向けのルートなどどこから登るのかがとても重要になってきます。ルートを正しく選ばないと難易度が高すぎて引き返すことに…なんてことが起きないようにどのルートで登るのかを意識しましょう。
ルートを選ぶ一番のポイントは所要時間です。どれくらいの時間で下山できるかを目安にしましょう。
ここでは谷川岳を例にとって、難易度の違いを調べてみます。谷川岳の場合、天神平コースを選ぶと、所要時間の合計は往復で5時間半ほど。これはほぼ直登するルートになっています。
それに対し、谷川連峰を縦走するルートですと、所要時間は1泊2日と一気にハードルが高くなります。時間が長くなればその分体力も必要になり、難易度が上がってしまうのです。
時間のほかにも、ルートの選択によりコースそのものの難易度が変わります。きつい登りが続く、狭くて危険な道を通る、アップダウンが激しい…などなど。難易度が高ければ人は少なり、優しいルートは人が多くなるという側面もありますので自分の知識と技術に合ったルートを選ぶことが大切です。
ルートの選択により、目に映る景色もがらりと変わります。
例えば、経験者向けの難易度の高いコースは、登山そのものを楽しむ人のためにあるので、それほど見ごたえのある風景はなく、歩きごたえ、登りごたえのあるルートであることが多いです。逆に稜線まで登るとそこでしか見られない景色に遭遇するところもあります。
それに対し初心者向けのコースは、登山の道中を楽しんだり、大勢で一緒にいることを楽しむ人のためにあるので、写真の撮りがいがあるスポットや、きれいな水の飲めるスポット、かわいらしい高山植物を目にできるルートであることが多いのです。ただ、登山人気が拍車をかけて人が多すぎる…という難点もあります。
ルートは何を見たいかを考えて選ぶのもよいですね。
登登山の目的は必ずしも頂上を目指すだけとは限りません。道中の景色、そこでしか見られない高山植物、仲間との思い出など、それぞれ違う目的を持って登山しているものです。ルート選びの際にも、それを考慮に入れて選択をしましょう。
例えば頂上を目指すグループの場合、できるだけ効率的に登頂を目指しますが、それに対して道中の自然を楽しみたいグループの場合は、四季折々の山の表情が見られるルートを選びたいですね。
みんなで楽しい思い出を作りたいグループの場合は、それほど難易度も高くないルートがよいかもしれません。写真を撮りつつ、おしゃべりをしながらでも登れるルート選びが優先されるのではないでしょうか。
グループ登山をする場合のルート選びのポイントは、最も体力のない人に合わせることです。家族で登山するのであれば子どもに合わせられますし、仲間内で登山するのであれば、メンバーの体格や経験なども考慮に入れられます。
まずは、一緒に行くメンバーの中で誰に基準を合わせるか考えることが重要です。次はルートの高低差や所要時間を確かめます。
最近は、インターネットでも簡単に調べられるうえに、難易度からルートを比較検討できるサイトも出てきました。また、県によっては山のレベルを公表している場合もあり、これは信頼のおける指標と言えます。
みんなが笑顔で下山できることを目標にルートを選んでみましょう。
ルート選びで気をつけたいポイントは、山では四季が非常にはっきりしており、街で感じる四季とはずれることが挙げられます。
例えば、若葉が見られる街の5月は、2,000mを超える山ではまだまだ雪山です。アイゼンやピッケルなど必要な装備も変わってくるため、この時期の標高の高い山への登山は、初心者にはおすすめできません。
また、季節によってルートそのものだけでなく、アクセス道路自体が閉鎖されることがあります。雪が積もって物理的に歩くことができないルートがあるのです。
せっかく山に向かったのにルートが閉鎖されていてはがっかりしてしますね。命にも関わる大切な選択なので、登りたい山の情報はしっかり入手しましょう。
ルート上にどんな設備のある山小屋がいくつあるか、トイレの有無、有料無料などの情報もしっかり確認しましょう。
例えば、山小屋が全くないルートの場合は水や食料、必要であればテントなどの装備を自分で用意しなければならないことになります。山小屋があればそこを頼りに荷物を減らすことができるので歩く負担は変わってきますね。
他にも登りと下山のルートが分かれていて、登りにはいくつかの山小屋があっても、下山時にはまったく山小屋がないという場合もあるものです。トイレの有無もしっかり確認しておきましょう。
初心者におすすめなのが、高尾山のような登山と観光が楽しめる山。観光やデートスポットしても楽しめ、下山後のお食事処も豊富なので快適な登山を経験できます。
東京だけではなく、それぞれの地域に観光×山という箇所はたくさんありますので探してみてください。
ルート選びに迷ったり、どういうルートがあるのかわからなかったりするときは、ルートを探す登山サービスを活用すると便利です。代表的な登山サービスを3つご紹介いたします。
山ハレ鳥トケ編集長も利用しているYAMAPのルート検索です。山名やキーワードを入れて活動日記からルートを探すことが可能です。MAPから探すことも可能ですので、行きたい山が決まっていれば便利です。
【紹介サイト】
「YAMAP」のコースタイム付き登山ルート検索
「新分県登山ガイド」を元に2,400件以上の登山ルートが掲載されています。体力や歩行時間に合わせたルート検索が可能です。
【紹介サイト】
「ヤマケイオンライン」のルート検索
ヤマレコ会員みんなの山行記録からルートの検索が可能です。フリー検索が主になるので、行きたい山や地域を入力して自分の最適なルートを探してみましょう。
【紹介サイト】
「ヤマレコ」の登山ルート検索
同じ山でもルートが違えば天国にも地獄にもなるルート選びは計画を立てるときの肝になる部分です。ルートによって景色も変わりますが、美しい景色を見たい気持ちを一旦抑えて、自信の知識や技術を考慮したルートを選ぶようにしましょう。
登山初心者のころはガイドブックに載っているようなメジャールートを選ぶと安心ですよ。特に体力がバラバラなメンバーで行く場合は難易度が低いルートがおすすめです。
▼登山ルート選びに役立つ本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
グループ登山は行動の幅を広げるきっかけに。グループのメリットと注意点
登山を始めたいけど仲間がいない。そんなお悩みありませんか。旅行会社が主催する初心者向けのツアー、ビギ…
登山前日にやっておきたいこと。食事や睡眠にも気を配ろう!
登山を楽しく安全に行うには、事前の準備がとても重要です。特に前日の行動において注意しておきたいことが…
登山のマナーやルールを知っておこう!山でのあいさつや動植物への対処法
ものごとにマナーやルールがあるように登山にもマナーやルールがあることをご存知でしたか?山岳会や登山サ…
ひとりでハイキングに行くのが不安。安全にハイキングを楽しむための基礎知識
豊かな森のなかを気軽に楽しむことができるハイキング。たまにはふらっとリフレッシュに行きたいものですが…
登山靴の種類と選び方。日帰り登山や富士山に最適な登山靴をご紹介!
登山を始めるきっかけは色々ありますが、まわりの様子を見ると「富士山」や「屋久島」から入る方が多いよう…
山小屋泊にチャレンジしよう!山小屋での過ごし方と服装や持ち物
日帰り登山を何回か繰り返し少しずつ山歩きに慣れてくると、やってみたくなるのが山小屋泊。日帰り登山では…
初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!
「体力がないから山に登る自信ない…」「遭難とか怖そう…」など、登山は未経験者からすると距離が遠いイメ…
登山装備を準備しよう!基本的な装備や持ち物と初期費用を抑えるコツ
一昔前なら登山装備と聞くと高価で専門的なイメージでしたが、技術が発達した近年では機能的かつ軽量、安価…
【筑波山】奇岩怪岩と関東一望の大パノラマ!意外ときつい?白雲橋コースを登ってみた
日本百名山にも選ばれた茨城の名峰・筑波山。百名山で一番標高が低いとはいえ展望が素晴らしく、奇岩群など…
登山装備は何から買えばいい?初心者が知っておきたい山の基本3大装備
登山を始めようと思った時、何から揃えればいいのかわからないという声をよく聞きます。靴は何が良いのか?…
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…
【御嶽山・登山】ロープウェイで紅葉と雲海の絶景へ!黒沢口から剣ヶ峰日帰りピストン
長野県と岐阜県の県境に位置する「御嶽山(おんたけさん)」は、剣ヶ峰を主峰として、摩利支天山(まりして…
熊鈴はうるさい?賛否両論の熊鈴マナー。快適な登山をするために気を付けること
登山において、熊との遭遇は命に関わる危険の一つです。道迷いや滑落は自分である程度は回避できますが、生…
【八甲田山・青森】紅葉が綺麗な山へ!温泉とトレッキングが楽しめる東北の名山
日本百名山のひとつ「八甲田山」は、岩木山とともに青森県を代表する山です。八甲田山という単独峰はなく複…
【至仏山登山】尾瀬のシンボル、花の百名山を日帰りで楽しむ最短コース
尾瀬ヶ原の西側に位置し、燧ケ岳とともに尾瀬のシンボルとなっている至仏山。高山植物の宝庫としても知られ…
【双六岳】稜線から望む槍ヶ岳が絶景!フォトジェニックな山旅へ
双六岳(すごろくだけ)は、北アルプスの裏銀座縦走コースの主稜線で、槍ヶ岳方面や三俣蓮華岳方面、笠ヶ岳…
【唐松岳・登山】北アルプス初心者も挑戦しやすい花と絶景の山!ゴンドラ・リフトでアクセスする1泊2日の山旅
唐松岳(からまつだけ)は北アルプスの後立山連峰にある標高2696mの山です。 ゴンドラとリフトで標高…
【茅ヶ岳登山・登山】日本百名山の生みの親・深田久弥終焉の地を歩く
山梨県北杜市と甲斐市にまたがる「茅ヶ岳」(かやがたけ)は、日本百名山を選定した深田久弥氏の終焉の地と…
【会津駒ヶ岳・登山】花と湿原広がる天上の楽園へ!滝沢コース日帰りピストン
尾瀬国立公園に属する「会津駒ヶ岳」は、日本百名山に数えられる南会津の名峰です。なだらかな山容が特徴的…
【武甲山・登山】採掘跡が可哀想な山?歴史を感じながら秩父の名峰を味わう日帰り登山
埼玉県秩父市にある武甲山(ぶこうさん)は奥武蔵の最高峰であり、地元の人々に古くから信仰されてきた山で…
登山の虫よけ対策に効果的な成分は?ディートやイカリジンの成分の違いや虫対策グッズを紹介
夏山シーズンで注意したいことの一つが虫刺されです。山の中には蚊やアブの他にも、マダニやハチなど刺され…