「山登りっていいなぁ」SNSで山の景色や登山している人の楽しい姿をみていると登山始めようかな…と思う方もいるのではないでしょうか。しかし、ただ楽しそうと山の知識や装備もなく登るのは危険が伴います。今回はそんな登山入門者の方に山の選び方や装備、持ち物などをお伝えします。
登山を始めるなら「まず富士山だ!」といいたいところですが、いきなりはおすすめしません。易しい山から始めて慣れてきてから富士山に登っても遅くはありません。
最初に苦しい思いをしてしまうと、山のことが嫌いになってしまう可能性もあります。最初は難易度の低い山から登ってみて小さな成功体験を積み重ねていくのが楽しい登山に繋がります。
入門者は標高差が300〜600m、歩行時間が2〜5時間以内の山から始めるのがおすすめです。物足りないくらいかもしれませんが、まずは山歩きに慣れることが重要です。
登山者が多く、道が整備されているルートを選びましょう。登山者が多いと遭難防止に繋がりますし、道が整備されていると滑落する確率は低くなります。
登山がどれだけの体力を消耗するのかイメージしにくいので、体力に自信のない方はロープウェイやケーブルカーのある山から始めるのもいいですね。
一般的には季節を感じられる春や秋が登山入門者におすすめです。
春は春を告げる花と萌える若葉など生命の躍動感に満ちています。春は高気圧に覆われ晴天が続き、歩くと汗ばむ陽気になり、気持ちの良い登山をしやすい季節です。しかし、2,000m級の山は5月でも雪が残っていて初心者には厳しい環境なので人気のある低山を選びましょう。
秋は一年で最も彩り豊かな季節で鮮やかな紅葉が目を楽しませてくれます。秋の天気は不安定なので、気象情報を得ること、防寒対策を講じることなどが必須です。
「山の日」は7月なので夏山は登山に最も適していそうですが、低い山は暑くて大変ですし、高い山は登山道が険しくて危険です。しかし、高山植物が美しく咲き、緑が深みを増す夏山の魅力にも触れてほしいところ。交通機関でアクセス可能な高原や湿原ハイキングなら夏でも涼しく歩けます。
冬山は難易度が高く、歩き方や冬用装備を揃えなくてはいけないので登山入門者にはハードルが高いです。しかし、標高が低く短いコースなら冬でも可能なので、冬だからとって諦めるのは早いかもしれません。
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登山における服装の基本は「重ね着」です。体温をコントロールするためです。下着(アンダー)で汗を出し、中間着(ミッド)で保温し、外着(アウター)で雨風を防ぎます。
登山では汗をたくさんかくので吸湿速乾性の高い素材の下着が大前提です。綿素材は肌触りがよく、吸収性がありますが、乾きにくく体温を奪うので登山には不向きです。
中間着は下着と外着の組み合わせを考えて選ぶことができます。何枚でもOKです。ポリエステル系のシャツがどんな衣服にも合いおすすめです。フリースやインナーダウンもミッドレイヤーに含まれます。山では寒く感じることが多いので防寒具は必須です。
夏山では雨具がアウターになります。ゴアテックスなどの素材のハードシェルジャケットやウインドブレカーが含まれます。
足腰に不安がる方はサポートタイツを活用してみてもいいかもしれません。膝や腰回りをサポートし、負担を軽減してくれる効果があります。
山に登るだけでもかなりの体力を消耗するので必要なものを見極め、できるだけ荷物を軽量化して歩くのが理想です。荷物が重いと楽しいはずの登山がつらいものになってしまいますからね。複数で登るならガスやコッヘルなど共用で使うものは分けて持つと軽量できます。
登山初心者であっても絶対に揃えておきたいのは、「登山靴、ザック、雨具」の3点です。持って行くべき必須荷物は防寒着、タオル、行動食、水、携帯電話、ヘッドライト、地図、コンパス、登山計画書、保健証コピー、小銭(トイレ用)、ファーストエイド、トイレットペーパーなどです。
登山中に食べる行動食はジップブロックに小分けにして持っていくといいですね。トイレットペーパーも芯を抜いて袋に入れると使いやすいです。
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登山初心者が一人で山に挑むのは危険です。経験のある人と登るのが安心ですが、そんな友達がいないという方もいらっしゃるでしょう。旅行会社が開催する登山ツアーや地域の同好会やサークルを探して参加するのもいいかもしれません。
山が好きという同じ気持ちの仲間と一緒に登るのは楽しいものです。新しい友ができる素敵な機会にもなります。そして、いざというときに助け合うことができます。
このようなツアーは出発地、登山やハイキング、日帰り・宿泊登山、登山入門・初心・中級・上級など自分に合わせて選ぶことができます。
女性限定のツアーもありますし、ネットにあるようなサークルでは婚活、恋活などもできるようですよ。やっぱり一人より誰かと登る方が何倍も楽しいですよね。
最後に登山入門者に登山の心構えについてお伝えします。山は未知の扉を開く素敵な冒険ですが、入門者の中には山を舐めてかかっている人が実に多いです。
山は魅力がいっぱいですが、危険もいっぱいです。山でのトラブルは死に直結する場合もあります。自分の身は自分で守る、安心・安全の登山を心掛けてください。
心待ちにしていた登山の日に体調が悪い、天候が悪い。そんな場合は、無理せず延期しましょう。山は逃げません。強行登山したとしても楽しくありませんし、危険です。
登山は街のようにはいきません。余裕のあるスケジュールを組み、安全に帰って来られる予定を立てましょう。急いでいても走ってはいけません。電車やバスを使う場合は乗り遅れることのないように注意しましょう。
登山を始めるきっかけは人それぞれで何歳からじゃないと駄目ということはありません。「友達に誘われたから」「自然に触れたくなったから」「運動になるから」など理由はさまざまですね。
でも、ニュースで流れるように遭難や滑落はどこの山でも起こりうる可能性があるのです。自分の技術や装備では難しそうな山を避け、身を守る安全登山を心がけるようにしましょう。
最初のころは登山経験者に相談しながら同行するのが成長も早いのでおすすめです。
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▼登山入門者に役立つ本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
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