登山と一言でいっても「アルプス系の頂上を目指す」「厳冬期の登山」「低山でのんびり登山」「里山を歩く」などスタイルによって呼び方や定義が異なります。話す人や団体によって捉え方に違いがありますが、今回は一般的な登山の種類や定義についてご紹介いたします。
そもそも登山とは、大きい意味では「山に登る」ことを指していますが、一般的には自分の足で山の頂上を目指すことを登山と呼んでいます。登山の中でも種類があり、「一般登山(無雪期)」「積雪期の登山」「バリエーションルート登山」と大きく3つに分けることができます。やりたい登山スタイルによって準備する装備や必要な技術が違ってきます。
雪が積もっていない時期に山頂を目指すことを目的にした登山です。主に初夏〜秋の山シーズンと言われる時期が該当します。雑誌やガイドブックなどに紹介されている一般コースを歩きます。
一般登山でも歩行時間の短い日帰り登山、山小屋やテントで1泊する登山、いくつもの山を何日かかけて縦走する登山と楽しみ方は様々です。
日帰り登山の場合は、往復で5時間、長くても7時間ほどの登山計画になることが多く荷物もそれほど重たくならないため、登山初心者の方はまずは日帰ろ登山をして山に慣れていきましょう。
登山装備も日帰り登山をしながら必要なものを揃えていくことをおすすめします。登山初心者の方で装備は何から揃えていいのかわからない場合はこちらを参考にしてください。
【登山初心者】登山装備は何から買えばいい?山の基本3大装備とは
1泊する場合は次の日の着替えや食料や水など、持ち物が多くなりザックも30~40ℓサイズのものが必要になってきます。テント泊する場合は、テントやシュラフ、マットなどさらに荷物が重たくなりますので、一緒に行く人と分担するなど少しでも負担が軽くなるよう工夫しましょう。泊まりの登山をする楽しみは、夜に星を見たり、友人と語り会ったり、山小屋で出会いがあったりなど日帰り登山では味わうことのできない魅力があります。
2,000~3,000m級の山を縦走する場合、森林限界を超えることが多いので山の景色を存分に満喫できます。その反面、岩場や鎖場や梯子も増えてくるためしっかりと基礎体力と技術を身につけてからチャレンジしましょう。
積雪期の登山は一般登山(無雪期)と比べ、技術はもちろんのこと装備も大きく異なります。アイゼンや冬用の靴、ピッケルなど冬山ならではの装備が必要になってきます。
アルプスの山々にある多くの山小屋は冬は閉めていますので計画も念密に立て、天気が悪くなりそうなら無理せず引き返すことも必要です。
毎年、年末年始になると富士山やアルプスでの滑落事故が発生します。冬山は夏や秋の山とは全く別物ということを認識し、登山講座や経験者からしっかりとした技術を身につけてから挑みましょう。
冬山は過酷なイメージがありますが、比較的安全なコースをスノーシューを履いてハイキングするスノーハイクやスキー・スノーボードなど雪山ならではの楽しみ方もあります。
バリエーションルート登山は、さらに専門的な技術が必要になります。川を上流に向かって登っていく沢登りや一般登山道を使わずに自分でコースを決めて自由きままに楽しんだり、岩場をロープを使って登るクライミングなど、技術と経験が必要な登山です。
クライミングやロープワークの技術は、一般登山(無雪期)でも通ずるものがあるので覚えておくとより登山を安全に楽しめます。
山頂を目指すことを目的とするのが登山なら、トレッキングは高い所までは無理して登らない山歩きです。結果として山頂をまで登ることもあるため、登山とトレッキングの境が難しく同じ意味として捉えられる場合もあります。山コミュ![週末登山部]では主にトレッキングをメインに活動していますが、ほとんどが山頂を目指す登山計画をたてています。ただ、無理してまでは登ろうとしないスタンスをとっていますので、のんびり山を楽しみたい方向けになります。
ロングトレイルという、山や自然の中を歩くことを目的としたトレッキングもあります。アメリカやヨーロッパでは広大な大地を活かし、3,000km以上の道を歩くというロングトレイが密かにブームです。大きなザックにテントを担ぎ何日もかけて大自然の中を歩く…一度はやってみたいですね。
日本では、土地の条件により100km前後が一般的なロングトレイルです。
日本にあるロングトレイルコースとしては、
北海道にある全長71.4kmの「十勝ロングトレイル」
信州にある全長80kmの「信州トレイル」
八ヶ岳を1周する全長200kmの「八ヶ岳山麓スーパートレイ」
などが有名です。
ロングトレイルの楽しみは自然を感じながら歩くこと以外にも、秘湯と呼ばれる温泉に立ち寄ったり、ご当地グルメを食べるという魅力もあります。たっぷり自然に触れ合い、心身共に癒される旅をするのも良いですね。
ハイキングとは距離が短く、ゆるやかな山や高原を歩くことを指しています。山頂を目指す必要もなく、歩くことでその土地の歴史に触れたり、植物を観察したりなど自然を親しむことを目的としています。
人気ハイキングスポットとして「尾瀬」や「屋久島」が有名です。どちらも登山経験がなくても行けますが、普段の服や靴ではなく登山装備が必要です。雨が降ったり、靴が壊れたりなどするので最低限の装備は揃えて行きましょう。
これから登山を始める方は、ハイキングから始め徐々に山に慣れていくことをおすすめします。登山装備もまとめて購入するとかなりの額になるので、ハイキング⇒トレッキング⇒一般登山と装備を揃えつつ、経験を積んでいきましょう。
本格的な技術を学びたい方は、山岳会に入ったり、登山講習を受けるなども良いです。1人では不安も多いので山仲間をみつけるために登山ツアーに参加したり、登山サークルに入ったりなど、現在は様々な環境が整っています。
山の楽しみ方は十人十色。何よりも安全を心掛け、自分に合う登山スタイルをみつけてみてはいかがでしょうか。
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HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
昨日は埼玉県の横瀬町エリアを楽しもうと武川岳を歩いてきました。伊豆ヶ岳や二子山縦走の中間点となる山です。一人だったのでブツブツ言いながら歩いてた気がします。お昼ごはんはチキンラーメンに生卵じゃなくてゆでたまごを投入した。#里山トラベル pic.twitter.com/x8eA9WAVZD
— 宮本 将弘 (@masa_yco) September 28, 2019
HIKES編集長。ハイク歴6年。低山・里山などの山道を歩くのが好きです。里山暮らしに憧れ東京から長野県安曇野市へ移住。森の中のログハウスで理想のライフスタイルを目指してます。里山・山歩き・キャンプ・山城・ガーデニングなどをテーマに発信しています。
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