登山をする女性には、どうしても女性ならではの悩みが出てきますよね。筆者もソロ登山が多いので、登山初心者の頃は山へ行くたびになにかと困ることがあり、
「こんなとき、他の女性はどうしているのかな?」
「山で困ったときは誰に相談していいか悩む…。」
といつも感じていました。
この記事では、実際に私が体験した内容も含め、女性ならではの登山の困りごとと解決方法を紹介します。
登りたい山にトイレがあるかどうかは、女性にとって重大な問題ですよね。男性とは違い、女性は隠れる場所がなければ用を足すことができません。
そのため、トイレが近いことを理由に登る山が限られてしまったり、登山自体をあきらめてしまう人もいるようです。2~3時間に1回くらいトイレに行けるのなら気にせず水分補給ができますが、そこまで環境が整っている山はほとんどなく、なかには登山道上にまったくトイレがないことも。
トイレの不安を軽くするためには、準備と正しい水分補給がポイントです。
山に行く前にルート上のトイレの場所を確認しておきます。登山口・下山口周辺のほか、山小屋のトイレを使えるか、次のトイレまで何時間かかるかを細かく知っておくだけで安心です。
また、山のトイレは有料のところが多いので、100円玉を多めに準備しておきましょう。
どうしてもトイレに間に合わないときは自然の中で用を足すしかありません。その場合も携帯トイレを持参し、排せつ物であっても自然の中に残しておかないよう配慮が必要です。
携帯トイレを使うときは目隠しのためのポンチョやツエルトを利用し、登山道から少し外れた場所を選びます。
急斜面や登山道から離れすぎると滑り落ちたり道迷いの危険があるので、トイレをする場所は慎重に探してくださいね。
立ったままトイレができる補助具や吸水ショーツなどを利用する方法もあるので、積極的に活用してみてください。
トイレが心配だからといって水分補給を控えると脱水症状を起こす危険があります。
熱中症やむくみの原因にもなり、運動のパフォーマンスも下がるため水分を取らずに歩くのは危険です。
登山中は30~60分ごとに水分補給を心がけましょう。飲み物は利尿作用のあるカフェイン入りのお茶やコーヒーを避け、汗をかいている場合はスポーツドリンクなど電解質の入った飲料がおすすめです。
水筒やボトルだとついゴクゴクと飲んでしまうという場合は、ストロータイプのボトルやハイドレーションシステムを利用すると飲みすぎ防げますよ。
生理の間隔や症状は人によって違うため、登山をする日に急に生理が来てしまうこともあります。事前にわかっていれば計画の変更もできますが、予想外に始まってしまって困った経験はありませんか?
なかなか人に相談しづらい登山中の整理について、どのような対策をとればいいのかを説明します。
グループ登山で生理が来てしまったら、メンバーには生理であることを伝えましょう。
黙っていると、体調が悪化したときにまわりに迷惑をかけるかもしれません。
心苦しいかもしれませんが体調が第一なので、行程の変更や下山も視野に入れた対応をメンバーで話し合うことが大切です。
私も実際、同行者が登山日に急に生理になってしまったことがありましたが、相談を受けていたためトイレのある道に変更したり、休憩時間を増やしたりして対応できました。
使用したナプキンやタンポン、トイレットペーパーなどはすべて持ち帰らなければいけません。使用済みの生理用品を持ち帰ることを想定して、普段の登山から密閉できる袋を用意しておきましょう。
食材を入れておくためのジップロックなどは水分やニオイを漏らさず密閉できるので多めに用意しておくといざという時に役立ちます。
お風呂に入れる山小屋は少ないので、宿泊を伴う登山の場合は汗のニオイが気になりますよね。
基本的には汗拭きシート(デオドラントシート)で首筋や脇、足など汗をかきやすいところを重点的に拭き取って雑菌の繁殖を防ぐだけでかなりニオイは抑えられます。
行動中はハッカ油のスプレーを使うとさわやかな香りでリフレッシュ効果も得られ、虫よけにもなるので一石二鳥ですよ。
また、ニオイ防止には着る服の素材も重要です。抗菌・防臭効果のある速乾性のウェアやメリノウール素材のウェアは体臭を抑えてくれるので汗のニオイが気になる人におすすめです。
標高が高い場所ほど紫外線も強くなります。日焼けやシミ・シワの原因になる紫外線はしっかり対策したいですよね。登山で使う日焼け止めは顔とからだ兼用のものであれば1つで済みます。
UV対策も兼ねてベースメイクはしっかりしておきたいところですが、朝、完璧にカバーしてもどうしてもヨレてしまいますし、日焼け止めの塗りなおしも必要です。
そのため、私の場合はカバー力よりも汗や皮脂で崩れても自然に見えることを重視してベースメイク用品を選ぶようにしています。
コンビニエンスストアでよく売られているミニサイズのコスメはメイク用品がスリムになるのでおすすめです。
また、泊まりのときは小分けのフェイスパックを利用すると紫外線ダメージを受けた肌の保湿ケアができて化粧水の代わりにもなりますよ。
ソロで登山をしていると、歩いているときや山小屋で親切に声をかけてくれる人がいますが、なかにはしつこく付きまとわれたり連絡先を聞かれたりすることもあるようです。
山に犯罪者がいるとは考えたくないですが、女性が狙われる可能性はゼロではありません。
「私は大丈夫だろう。」という思い込みはなくしましょう。
女性が一人で登山をする場合は、以下のポイントを押さえてください。
・なるべく登山者が多い山(ルート)を選ぶ
・異性と二人きりになる状況を避ける
・防犯ブザーを持つ
・しつこくされたら、隙を見せずに毅然とした態度をとる
トイレや生理の問題や、スキンケア、他の登山者との関わり方など、女性ならではの悩みはなかなか共有しづらいものです。
私自身も初心者の頃から試行錯誤を重ねて、自分なりの解決方法を見つけてきました。私が大切にしていることは「無理をしないこと」と「道具に頼ること」です。
楽しく登山を続けるには無理なことや危険な判断はしない、そして便利な道具があれば最大限に活用することで、より快適に登山を楽しめるようになります。
女性登山者の方にとって、この記事が少しでも参考になればうれしいです。
▼山歩きに役立つ本
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
昨日は埼玉県の横瀬町エリアを楽しもうと武川岳を歩いてきました。伊豆ヶ岳や二子山縦走の中間点となる山です。一人だったのでブツブツ言いながら歩いてた気がします。お昼ごはんはチキンラーメンに生卵じゃなくてゆでたまごを投入した。#里山トラベル pic.twitter.com/x8eA9WAVZD
— 宮本 将弘 (@masa_yco) September 28, 2019
山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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