男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、ふたらさんじんじゃ)の御神体として山岳信仰の対象となっており、日本百名山にも選ばれる栃木県を代表する山のひとつです。
この記事では、男体山の登山ルート、難易度、アクセス方法、そして筆者が実際に歩いて感じた印象について紹介します。
栃木県の奥日光に位置する男体山は、標高2,486メートルの火山です。日光連山の代表的な存在であり、日本百名山にも認定されています。また、西暦780年代より山岳信仰の対象とされ、山頂には日光二荒山神社の奥宮が祀られています。(以下、「日光二荒山神社」を「二荒山神社」と記載します。)
毎年7月31日から8月7日まで、奈良時代末より続く「男体山登拝講社大祭」(登拝祭)が開催され、期間中、深夜24時に多くの人が山頂を目指す夜間登拝がおこなわれます。2023年は、4年ぶりに夜間登拝が実施されました。
男体山は栃木県日光市の市街地から、クネクネと48か所ものカーブを曲がる「いろは坂」を登った先、中禅寺湖の北岸にあります。
登山口となる二荒山神社中宮祠へは、JR日光線・日光駅および東武日光駅からバスでアクセスが可能です。JRまたは東武日光駅前のバスロータリーより「湯元温泉」行に乗車し「二荒山神社中宮祠」で下車。所要時間はJR日光駅から56分、東武日光駅から53分です。
マイカー利用の場合は、日光宇都宮道路(日光道)の清滝ICから国道120号線(いろは坂)を経由し15㎞ほどで二荒山神社中宮祠に到着します。登山者用の無料駐車場は二荒山神社中宮祠の宝物館の裏に10台分、国道沿いに20台分あります。
男体山は二荒山神社の所有地のため登拝期間が決められており、登山をするには登拝料が必要です。例年、4月25日から11月11日までが登拝期間で、入山時に登拝料一人1000円(小中学生は無料)を現金で納めます。
男体山の主な登山ルートは、二荒山神社を起点とするものと志津乗越を起点とするものの2つがありますが、どちらも難易度は中級です。
この記事で紹介している二荒山神社往復コースの場合、標高差が1200m以上あり、四合目からは終始急勾配の直登が続くタフな登りになります。ただし、岩場やすべりやすい場所があるものの、クサリ場など技術が必要な箇所はなく、滑落や落石の危険は少ないコースであり、技術よりも体力が求められます。
二荒山神社起点 男体山 往復コース(紹介したコースの1番目)を実際に歩きました。
登山のスタート地点は「二荒山神社中宮祠」バス停です。バスを降りると、向かい側に二荒山神社の鳥居がありますので、ここから石段を上って神社の境内に進みましょう。
境内では、登山者登録と拝観料1000円を納め、登拝の安全祈願のお守りを受け取ります。このコース中、トイレは神社の敷地内にしかありませんので、出発前に済ませておくことをおすすめします。また、敷地内には飲み物の自動販売機もあり、飲み物を補給することができます。
境内の奥から登山開始です。一合目までは石の階段が続き、二合目からは木の根が張った樹林帯となります。最初から急勾配が続くので、ウォーミングアップとして無理のないペースで登ってください。
三合目からは、やや緩やかな舗装路が続きます。この区間は息を整えながら30分ほど進みましょう。
四合目からは再び登山道に戻ります。このエリアの手前には、中禅寺湖を一望できる展望スポットがあるので、ここで休憩を取るのもいいでしょう。
四合目からしばらくは樹林帯が続き、五合目、六合目に近づくにつれて傾斜が急になってきます。五合目を過ぎると、中禅寺湖が広がる素晴らしい景色が広がりますが、その後は「観音薙(かんのんなぎ)」と呼ばれるガレ場の急な登りが待っています。
この区間は岩と岩の間の段差が大きく、足を持ち上げるたびにじわじわと体力を削られるような険しい道が続きます。
四合目から1時間半ほどすると、鳥居が現れ、やがて「八合目 瀧尾神社」と書かれた石碑と避難小屋に到着します。ここを過ぎると森林限界を超え、長かったガレ場も終わりです。
九合目を越え山頂に近づくと、赤茶色の砂礫が広がり、火山らしい景色へと変わります。鳥居が見えたら山頂まではあと少し。ですが、ここまでの急登で脚の疲労がたまっているところに、踏ん張りのききにくい砂礫の道でさらに脚の筋肉を使うことになり、かなりキツく感じました。
男体山の山頂、日光二荒山神社奥宮に到着しました。山頂は広く、景色が360度見渡せます。
奥宮に向かって左手側には二荒山大神の像が祀られており、右手側に進むと鐘楼や神剣があります。
男体山のシンボルともいえる、天を突き刺すような御神剣。高さは約3.6mもあります。その大きさゆえ、季節や時間によっては御神剣に太陽の光が反射し、麓から光って見えることがあるそうです。
南西方面からは中禅寺湖を見下ろすことができます。この日の山頂到着時には雨が降っていましたが、一瞬だけ晴れ間に恵まれ、雲の間から中禅寺湖と戦場ヶ原を眺めることができました。
下山は登りと同じ道を戻ります。急な斜面を下るため、二荒山神社に到着する頃には踏ん張りがきかなくなるほど脚に疲労がたまる結果に。体力的には相当にハードな山であることを再認識しました。
男体山は二荒山神社の御神体として祀られている山であり、合目ごとに標識や避難小屋が整備されています。登山道も整備されており、日帰り登山コースとして距離はそれほど長くありませんが、五合目から七合目にかけての岩の直登区間はかなりの体力を要します。
私は実際に登ってみて、想像以上に体力を消耗するタフな山行だと感じました。ですので初心者向けの山とはいえませんが、自分の体力を試したい、ステップアップしたいと考えている人にはぜひチャレンジしてほしい山です。
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今日は新潟糸魚川〜長野松本を結ぶ塩の道の続きで、穂高〜安曇追分まで歩いてきました。本当はもっと歩きたかっけど、雨が振り出したので断念。塩の道の宿場町となる歴史ある穂高宿から安曇野の象徴とも言える北アルプスを背景にした田園風景を歩く。最高でした。#塩の道 #里山トラベル pic.twitter.com/iA3Rk9cSM1
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山に恋するフリーライター。運動嫌いだったのに、たまたまテレビで見た岩手山に一目惚れして登山を始める。ソロ登山の魅力にハマり、低山ハイキングからテント泊縦走まで自分のスタイルで楽しんでいる。
登山で訪れた土地の郷土料理や地酒、クラフトビールを楽しむのが至福の時間。地方の伝統工芸品や民芸品をアウトドアで使うのが好き。
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