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冬の登山にはアイゼンが必要不可欠。アイゼンの種類と選び方

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冬の登山にはアイゼンが必要不可欠。アイゼンの種類と選び方

どこまでも澄み渡る青い空と白銀の世界。冬山の景色は息を飲むほど美しいものです。夏山と違って虫もいなければ人も少ない。雪の吸音効果で辺りは静寂に包まれ、どこか神秘的です。

そんな魅力満載の冬山ですが、実は危険もいっぱい。雪に覆われた斜面では転倒や滑落の可能性も。安全に冬山を楽しむための対策グッズ、アイゼンについてしっかり学びましょう。



冬山にアイゼンが必要な理由とは

冬の登山にはアイゼンが必要不可欠。アイゼンの種類と選び方

冬山登山のリスクを考える

冬山と聞くと寒くて滑りそう…と怖いイメージをしてしまいますね。冬は平地でも寒いので山に登れば当然、気温はもっと低くなります。凍傷や低体温症に注意が必要です。

毎時正月に開催される箱根駅伝で山の区間を走る選手はアンダー・シャツに半袖や長袖のTシャツを重ねています。それ以外の区間の選手がランニング・シャツを着用していることを考えると、山に登るとなると対策が必要なことが推し量れます。

夏山でさえ、山頂などには雪が残っているのですから冬はたとえどんなに低山でも侮らず積雪もあるかもしれないと疑ってください。一般に標高が1,000メートル上がると気温は6度下がると言われていますから平地で雪が降っていなくても山ではしっかり積もっていたり、アイスバーンがあったりしますので冬山登山のリスク対策は入念にする必要があります。

雪道や凍った斜面の滑り防止に

東京都心では、雪が数センチ積もっただけで交通網が麻痺、大混乱が起こっているというニュースが流れますね。同時に滑って転倒、けがをしたという話題も耳にします。

雪に慣れているはずの東北地方や北海道の人でも、冬の初めは意外と転倒することもあるのだとか。雪の季節になれば常時履いているというスノー・ブーツやスノー・シューズの準備が追いつかなかった……なんていう理由かもしれません。

この、スノー・ブーツやスノー・シューズに当たるのが山ではアイゼンになります。雪道や凍った斜面を歩くときの滑り防止になる必須道具です。日当りが悪い山道では雪が溶けにくいのでアイゼンを持っていれば急な雪道でも安心ですよ。

計画に合わせて使い分けるアイゼンの種類

ハイキングなら「チェーンスパイク」

アイゼンよりも比較的手頃なのがチェーンスパイクです。チェーン・アイゼンとも呼ばれますが。蜘蛛の巣とまではいきませんが、放射状になったチェーンと短い爪10本ほどが組み合わせてあります。

これを登山靴の上から装着するのです。強力なゴムを利用することで伸縮性があり、まるで靴下をはくような感じで容易に着脱ができます。製品によって差はありますが、500グラム前後と軽量なので携帯しやすいのも魅力です。

特に重装備ということもないので、違和感なく通常歩行ができます。冬のハイキングにでかけるときは念のため持っていくと心強いですよ。

軽登山なら4〜6本爪の「軽アイゼン」

平坦な雪道でも歩きやすいチェーン・スパイクに比べると、ごつさがあるのがアイゼンです。チェーン・スパイクの短い爪なら地面に深く食い込むこともないので引っかかるということもなく、爪が食い込みようのない岩場などでも不安定になることはありません。ただその分、踏ん張れないので勾配が増してくると頼りないのです。

ハイキングコースよりも少し難易度が高いときは迷わず軽アイゼンを選びましょう。チェーンは付いていませんが、爪が長いので斜面でも安定します。標高の低い山や簡単なコースなら4〜6本爪の軽アイゼンで十分です。全てとは言えませんが登山靴なら装着可能です。

本格的な冬山なら10〜12本爪の「アイゼン」

関東近郊であれば標高1000メートルに満たない低山が主流ですが、八ヶ岳や日本アルプスといった、標高2,000〜3,000メートル級の山になってくると軽アイゼンでは不十分です。爪の数が多いほど引っかかり箇所が多くなるので安定感が増します。

10~12本爪のアイゼンになるとつま先部分にも長い爪がせり出すようについているので地面をがっちりホールドできます。一方でアイゼンの重量も増しますので、ハイキングや低山では少々オーバースペックです。また装着する登山靴もソールが硬い冬用の靴ではないと装着できませんのでご注意ください。初めて購入する場合は、登山靴やピッケルも併せて検討しましょう。

厳冬期の本格的な冬山は知識、経験、体力、装備と難易度は高いので準備不足のままチャレンジするのは無謀といえます。

軽アイゼンでゆるい雪山ハイクから始めよう!

冬の登山にはアイゼンが必要不可欠。アイゼンの種類と選び方

最初は6本爪アイゼンがおすすめ

キャンプやハイキング、トレッキング感覚での使用ならチェーン・スパイクでも対応できるかもしれませんが、たとえ低山であっても真冬など、相当量の積雪が見込まれるときにはやはりここぞというときに踏ん張れるアイゼンが安心です。

とはいえ、つま先のグリップがよい10~12本のアイゼンでは不向きということもあります。爪が多く長くなればその分、重さがでてきます。つま先部分の爪はやや内向きに付いているので、歩き方にも配慮が必要になってきます。

その点、軽アイゼンなら一定程度の扱いやすさと滑りにくいという安心感を得られるでしょう。軽アイゼンには4本爪と6本爪がありますが、4本だと土踏まず部分だけしか爪がないので6本爪のアイゼンがおすすめです。

逆に本格的な冬山に登るなら10本以上のアイゼンが必要になりますので計画に合わせて考慮しましょう。

装着タイプは「バンド式」か「ラチェット式」

基本的にアイゼンは登山靴とセットで考えます。爪の形や幅が靴底にピッタリ合っているものが安心ですよ。また、登山靴のつま先とかかと部分にアイゼンを掛けるための「コバ」が付いているものならワンタッチ・タイプ、セミ・ワンタッチ・タイプとも呼ばれるラチェット式のものが使えます。

靴先または靴末をレバーでサイズ調整、固定することが出来ます。靴末だけにこの方式が用いられているものをセミ・ワンタッチ、靴先にも付いているものをワンタッチ・タイプと呼びます。いずれもラチェット式です。

一方で「コバ」がない靴にも使えるのがベルト式、バンド式です。オール手動、マニュアル・タイプですね。着脱に時間はかかりますが、ラチェット式のものよりかさばりません。

まとめ

軽アイゼンやチェーンスパイクは3,000〜10,000円弱で購入することができるので比較的安価です。

購入時に注意することは靴に装着できるかどうかです。一番良いのは購入するお店の人に話を聞くことですが、通販で購入する場合はまわりにいる登山する人に聞いてみてください。

本格的な冬山は行けないけど、冬でも低山を歩きたいという方はアイゼンを持っていきましょう。夏とは違う白い景色を楽しんでみてください。

▼冬山登山の前に読みたい本

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