登山は頂上まで登って綺麗な景色をみて終わり…ではありません。山行後の楽しみといえば温泉ですね。無事に下山できた安堵感に加え、疲れきってから入る温泉は至福のひとときと言えます。
温泉に入ると疲れが癒える気がしますが、本当のところはどうなのでしょう。今回は登山後の温泉が心身にもたらす効果と一度は訪れたい関東の温泉をご紹介します。
温泉に入るために登山をする人がいるほど、下山後の温泉は楽しみですね。では、温泉に入ることでどのような影響があるのでしょうか。その答えに「浮力・水圧・温度」があります。
まず、お湯に入ると浮力が発生します。普段の生活では体重分の重力が掛かっていますが、温泉に入ることで身体への負担は9分の1ほどに減少すると言われています。筋肉への負荷も少なくなるのでリラックスできるのです。
体には水圧がかかり、お湯によって押された身体は若干小さくなります。ウエストは3センチから6センチほど細くなるとか…。それほどの力ですから胸腔と腹腔の間にある横隔膜を押し上げられることで、肺の容量が縮小し、空気量が制限されてしまいます。
これを補おうとして呼吸回数が増え、心臓の働きが活性化されていきます。その結果、血液やリンパの流れがよくなるのです。
また、38℃前後のお湯に入ると、副交感神経が作用することで癒し効果が、42℃前後では交感神経が働くので緊張感が得られ、活動的になれるのです。
温泉の癒し効果は成分だけではありません。心理的な面では、日常から離れることで気分転換ができる「転地効果」も期待できます。自然に恵まれた環境に身を置くことで自律神経が刺激されストレス解消や精神疲労が回復されると言われています。
「転地効果」は必ずしも温泉である必要はありません。旅行することも日常とは違う環境になるので、同じ効果が期待できると言えます。
そういう意味では登山することも非日常と言えるので「転地効果」になりますね。山でも温泉でも2重に得られると思うと登山と温泉がやみつきになるのもわかります。
登山で汗をかいて濡れた服を温泉後に着るのはちょっと気が引けますね。せっかく入浴するなら、清潔で心地のよい服に着替えたいものです。
温泉後の着替えは車で来ている場合なら、そのまま車の中に置いていけるのですが、交通機関の場合は持ち歩かなくてはいけません。もし同じ駅に戻ってくることがわかっていれば、コインロッカーに預けておく選択もできます。
着替えを入れる袋はスタッフバッグがおすすめです。コンパクトにしまうことができるばかりではなく、登山中の雨で濡れないように防水仕様になっているものもあります。
スタッフバッグはカラフルなものが多いので、着替えだけではなく他の荷物を色分けすることも可能です。例えば温泉セットはブルー、万が一の着替えはオレンジなどと、どのスタッフバックに何が入っているのか自分なりに決めることができるのでとても便利です。
シャンプーやボディーソープなどのアメニティもスタッフバッグに入れるのがおすすめです。濡れるのが気になるというより、液漏れ防止になります。
キャップをきつく締めたはずなのに、登山用ザックの中で揺られるうちにいつの間にか緩み気がついたらザック内部がドロドロに…なんてことは避けたいですね。
化粧品も同じです。パフやあぶら取り紙など、濡れると厄介なものはジップロックなどの小さな袋に入れて仕分けするとよいでしょう。ポーチ型のスタッフバッグは完全防水ジッパーになっているものもあります。開口部が大きく、すぐに何がどこにあるか把握できるものが便利です。
一つひとつは小さくて軽いのに、集まると意外と重さがあるお風呂セットは小分けにして分散収納すれば重さ軽減ができますよ。
山梨県は棚山の登山口にある「ほったらかし温泉」は宿泊施設などもなく、いたってシンプルな温泉。ただ、眼前にそびえる富士山、そして甲府盆地を見下ろすことができる、お宝絶景スポットなのです。
朝は日の出1時間前から入浴できるので、ご来光を拝むことができ、夜は満天の星空と市街地のイルミネーションを眺めることができます。気持ちの良い温泉に浸かりながら絶景鑑賞をする…なんとも言えない至福のひとときですね。
紅葉で有名な景勝地、西沢渓谷の帰りに立ち寄ってみるのも良いですね。
【公式サイト】
ほったらかし温泉
日本百名山にも選ばれている那須岳に行ったならぜひ、「鹿の湯」にも足を運んでみたいものです。7世紀初めに手負いの鹿によって発見されたという逸話の残る温泉です。
鹿が傷を癒すために浸かったというだけあって、その効能は本物です。古くから湯治場として栄え、戦で疲れた武将が好んで通いました。江戸時代になって平和が続くようになると農作業後の農民が足繁く訪れたとか。
山行で疲弊した身体に効きそうです。明治時代の建物が趣ある雰囲気を醸し出しています。
【公式サイト】
那須温泉 鹿の湯
都心から近い、奥多摩の御岳山は人気のパワースポットです。初級者ハイカーに人気の縦走コースが御岳山から日の出山まで登って、「つるつる温泉」へと下って行くものです。
日帰り温泉で、正式には「生涯青春の湯 つるつる温泉」です。インパクトのある名称ですが、この温泉に入れば「いつまでも青春。だってつるつるだもん!」というわけでしょうか。
「つるつる温泉」は「美肌の湯」として知られるアルカリ性単純温泉です。ぬめりのあるお湯がつるつる、すべすべの肌へと導きます。
【公式サイト】
生涯青春の湯 つるつる温泉
登山によって疲れた体を温泉の成分や「浮力・水圧・温度」による効果で回復され、「転地効果」によって心もリフレッシュする。色々な作用が働くことで温泉=癒しというイメージができるのではないでしょうか。
登山と温泉はとても相性がいいですね。山の付近には必ずと言っていいほど温泉施設がありますので、自分だけのお気に入り温泉をみつけてみてはいかがでしょうか。
▼登山×温泉ガイド本
▼登山の温泉セットお役立ちグッズ
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
登山で料理をしてみよう!必要な調理道具や場所選びのポイント
登山に慣れてくるとやってみたくなるのが登山料理。山仲間が山ごはんを作り、美味しそうに食べてる姿をみる…
登山用ガスバーナーどう選ぶ?バーナーの種類と選ぶポイント
登山に慣れてくるとやってみたくなる「山ごはん」。山でお湯を沸かしたり、調理したりするにはガスバーナー…
登山で使う双眼鏡の倍率は?双眼鏡の選び方と山ならではの楽しみ方
登山は山を登ることを目的としますが、道中での自然観察も楽しみの一つですね。普段見慣れない草花や生き物…
グループ登山は行動の幅を広げるきっかけに。グループのメリットと注意点
登山を始めたいけど仲間がいない。そんなお悩みありませんか。旅行会社が主催する初心者向けのツアー、ビギ…
登山における行動食の重要性。選ぶポイントやアレンジして楽しむ方法
登山は多くのエネルギーを消費するため、食事だけでなく「行動食」が欠かせません。そのため行動食を持参す…
登山向けクッカーの選び方。素材の特徴とおすすめクッカー
みなさんはクッカーについて何かこだわりを持っていますでしょうか。特にこだわりなく、ただの鍋だと認識し…
登山コーデのポイントは?山でも自分らしく着こなすコーデの基本
近年のアウトドア人気の影響から、ファッション誌でも登山やトレッキングのウエアが取り上げられることが多…
登山(アウトドア)で使える財布の選び方。軽くてコンパクトなおすすめ財布を紹介
皆さんは登山時いつもどのような財布を持って行きますか?普段使いの財布をそのまま使用する方もいると思い…
登山しながら御朱印巡り。苦労してまで欲しい霊山の御朱印
みなさんは趣味の一つとして、御朱印集めが密かに流行っているのをご存じでしょうか?御朱印集めにハマる女…
【那須岳(茶臼岳・朝日岳)】火山のダイナミックな光景と紅葉をロープウェイを利用して楽しむ日帰り登山
那須岳(なすだけ)は栃木県北部に位置する那須連山、特に「茶臼岳(ちゃうすだけ)」「朝日岳(あさひだけ…
【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂
津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山…
【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山
男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、…
【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山
中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は標高3000mに迫る標高がありながら、ロープウェイ…
【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く
奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の…
【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山
大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ご…
【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く
表丹沢の「塔ノ岳(とうのだけ)」は、展望の良さと都心からのアクセスのしやすさで人気の山です。標高は1…
【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介
檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢の山深さが感じられる静かな山で、「西丹沢の盟主」とも呼ばれています。…
【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く
栃木・群馬県境の足尾山地に属する袈裟丸山(けさまるやま)は、アカヤシオの名所として名高い山で、シーズ…
【大楠山・登山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング
神奈川県三浦半島の最高峰、大楠山(おおぐすやま)。海に囲まれた半島に位置するため、東京湾、房総半島、…
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…