登山するために体力があるに越したことはありませんが、「体力に自信ができてから」「筋肉をつけてから」と言っていたらいつまでたっても山に行けないですね。実は体力がなくても登山を楽しむことはできるんですよ。今回は登山に体力が必要な理由と日常生活でも簡単にできるトレーニングをご紹介します。
登山はスポーツと言われるほど、激しい有酸素運動を繰り返します。ウォーキングやジョギングよりも時間も長く、重たい荷物を背負うため体力や筋肉が必要になってきます。
「体力がないから自分には無理…」と身構えてしまいますが、登山に体力が必要な理由はより「安全」に楽しむためです。
疲れや暑さを我慢して体力の限界を超えて登山を続けていると、体調不良になり熱中症や高山病のリスクも高まります。
長時間歩いていると脚がガクガクして踏ん張りが効かなくなり転倒したり、足をくじいたりするケースも出てきます。
その上、疲労時は判断力も低下するためうっかりと道迷いをしてしまった…なんてことも。
体力がないと事故を招きやすくなる確率が高くなるのです。
複数人で登山する場合「体力がない自分だけが足手まといになってしまう」と不安になることはありませんか。みんなについていくだけでいっぱいいっぱいになるので余裕がなく、景色や自然を楽しめないこともあります。
「みんなに迷惑をかけたらどうしよう」「最後まで歩けるかな」「つらいっていつ言おう」などネガティブな感情と向き合う登山になってしまうと、ちっとも楽しくありませんね。帰った後もつらい思い出ばかりになってしまいます。
特に下山時は膝の痛みも伴ってくると歩く速度が極度に遅くなり、交通機関を利用されてる場合は時間も限られているため間に合わない可能性も出てきます。気の知れた仲間なら荷物を少し持ってもらうこともありますが、本人的には迷惑かけてしまったと益々つらい思い出が重なります。
山登りに最も適したトレーニングはズバリ「山登り」です。登山は重力に逆らって体を標高の高い場所に移動させたり、高度を下げたりするスポーツです。そして登りと下りで筋肉の使われ方も違うため、平地で行うトレーニングとは異なります。
例えば登山前にランニングや自転車などで体力作りをしたものの、登山後には筋肉痛に悩まされたというのはよく聞く話です。「登山で使う筋肉は登山で鍛える」のが一番効率良いトレーニングだと言えます。
登山初心者の方はいきなり標高差が大きいコースは避け、里山や低山を歩くだけでも自分の体重が負荷となり足腰の強化につながります。体力作りの際には「ややきついな」と思うくらいが効果的です。
登山するのに体力がある程度必要であることが分かっても、いざトレーニングしようと思うと「ジムに通う」「朝か夜にランニングする」などと、ちょっと億劫になります。自宅や日常生活の中で無理なくやりたいものですね。
自宅で簡単にできる体力作りとしてはスクワットがおすすめです。スクワットの正しい姿勢で、息を止めずに、ゆっくり行うことが大切です。はじめは5回くらいからはじめ、慣れてきたら10~15回を繰り返すようにすると登山で使う筋肉を鍛えることができます。
相撲の四股のような「四股スクワット」、慣れた人には「片足スクワット」、負担の少ない「フロントランジ」など自分に合ったスクワットを続けて鍛えることができます。
日常生活の中では階段を使うようにしましょう。いつもならエレベーターやエスカレーターを利用するところを我慢して、登山トレーニングだと思って登り下りをしてみましょう。
その際、つま先を意識して登ればヒラメ筋を鍛えられますし、下りで負荷をかけるようにゆっくり降りるだけでもトレーニングになります。
他にもラジオ体操や柔軟体操、ストレッチも効果的です。柔軟性があればスタミナが続き、転倒などのリスクも減りますよ。
登山の筋トレは下半身がメインになりがちですが、上半身とバランスよく鍛えることが大切です。上腕筋や握力を鍛えることをおすすめします。重い荷物を背負うための筋肉や山には鎖やロープがあり、足を滑らせたときにしっかりと自分の体重を支えるためにも必要になります。
登山に興味はあるけど「体力に自信がないから…」と踏み切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。その場合は歩く距離を短くするれば登山を楽しむことができますよ。
例えば標高の高い山でもロープウェイやケーブルカーを上手に活用すれば、山頂近くや高台まで気軽に行くことができます。帰りだけロープウェイを使うのもありですね。
本格的な登山ではなく、子どもでも歩けるハイキングコースや体力がない人でも登れる山を選ぶなど、徐々に慣れていくようにするのが登山を楽しむコツです。
その他にも「荷物を軽くする」「ストックを持つ」「サポートタイツを履く」など体力を補う工夫をすることで、長く歩けるようになります。
歩行距離のほかには、登山道にある設備やコースの案内が充実したところを選ぶことも重要です。
トイレがポイントごとにあったり、休憩で座れる場所があれば休みながら登り下りができます。休憩時には行動食を摂取するようにすれば体力回復にも繋がります。
北アルプスや八ヶ岳などの人気の山では登山道に山小屋があるので、そこをゴールとして雰囲気を味わうのもいいですね。例えば八ヶ岳の美濃戸口から赤岳鉱泉までを歩くコースとしておけば、ハイキングにもなりますし山小屋で一泊すりことで泊まり登山も味わうことができます。
丹沢(神奈川)にある大山や山梨にある大菩薩嶺なども比較的登りやすい山です。自分の体力に合うコースはたくさんあるのでできるところからチャレンジしていきましょう。
登山を安全に楽しむためには体力が必要だけど、すぐ体力がつくわけではないためまずはできる範囲の山から登るのがいいですね。
体力をつけるのに一番効果的なことが山を歩くこと、次に家でもできるスクワットや階段を意識して使うことです。もちろん走り込んだり、ジムに通うという方法もありです。
最初のことは友人・知人と一緒に山登りをはじめて、慣れてきたら単独登山にも挑戦してもいいですね。山を登るように一歩一歩体力をつけながら、より楽しい登山ライフをおくりたいものですね。
▼登山でバテないための体作りに役立つ本
▼今すぐトレーニングを始めるための服装
▼HIKES編集長の里山トラベル
HIKES編集長の山歩きをTwitterでも発信しています。山歩きをしながら地域の歴史を巡る里山トラベル活動をしています。フォローすると喜びます。
昨日は埼玉県の横瀬町エリアを楽しもうと武川岳を歩いてきました。伊豆ヶ岳や二子山縦走の中間点となる山です。一人だったのでブツブツ言いながら歩いてた気がします。お昼ごはんはチキンラーメンに生卵じゃなくてゆでたまごを投入した。#里山トラベル pic.twitter.com/x8eA9WAVZD
— 宮本 将弘 (@masa_yco) September 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
雨の日の登山は中止にすべき?雨の日登山の危険性と雨対策
山に行く計画を山仲間と立てたのに明日の天気が雨、もしくは曇り雨などはっきりしない場合みなさんはそれで…
登山でバテないためのトレーニング。今すぐできるメニューと注意点
下山するまで、登山を安全に楽しもうと思ったら、やっぱりトレーニングをするのが一番です。でもトレーニン…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
登山やトレッキングに欠かせない「行動食」のおすすめは?
登山やトレッキングに欠かせないのが「行動食」。登山は重たい荷物を背負い登ったり、下ったりとカロリーを…
登山とトレッキングの違いは?登山の種類を知ろう!
登山と一言でいっても「アルプス系の頂上を目指す」「厳冬期の登山」「低山でのんびり登山」「里山を歩く」…
登山装備は何から買えばいい?初心者が知っておきたい山の基本3大装備
登山を始めようと思った時、何から揃えればいいのかわからないという声をよく聞きます。靴は何が良いのか?…
登山で疲れないためのコツは?歩き方や回復方法、疲れない体作るをご紹介
登山は楽しい!でも帰ってからの疲れが中々とれないということはよくありますね。疲れるから登山に行きたく…
登山初心者はまず何からやるべき?揃えておきたい装備と歩きやすい山
「登山を始めたいけど何から始めたらいいのかな?」と誰もがはじめに抱く悩みですね。登山は街の環境とは異…
初心者にやさしい関東の日帰り登山ルート。計画立てて山へ行こう!
「体力がないから山に登る自信ない…」「遭難とか怖そう…」など、登山は未経験者からすると距離が遠いイメ…
登山のゴミは袋に入れて持ち帰ろう!ゴミ袋の分け方や快適にする工夫
山にゴミを捨てる人はいないと思いますが、登山で出たゴミは家まで持ち帰るのが一般的なマナーです。私たち…
【那須岳(茶臼岳・朝日岳)】火山のダイナミックな光景と紅葉をロープウェイを利用して楽しむ日帰り登山
那須岳(なすだけ)は栃木県北部に位置する那須連山、特に「茶臼岳(ちゃうすだけ)」「朝日岳(あさひだけ…
【岩木山】青森県の最高峰を九合目からお手軽に登頂
津軽平野の南西にそびえる岩木山は、青森県の最高峰で日本百名山に選定されています。その美しい円錐型の山…
【男体山】中禅寺湖を振り返りながら奥日光の霊山を登る日帰り登山
男体山は中禅寺湖の北側にそびえる、美しい円錐形の山です。古来、日光二荒山神社(ふたあらやまじんじゃ、…
【木曽駒ヶ岳】初心者でもロープウェイで中央アルプス最高峰へ!千畳敷カールの絶景が待つ日帰り登山
中央アルプス最高峰の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)は標高3000mに迫る標高がありながら、ロープウェイ…
【大台ヶ原】豊かな自然と見どころ満載の東大台ハイキングコースを歩く
奈良県と三重県の県境に位置する「大台ヶ原(おおだいがはら)」は、日本百名山をはじめ、日本百景、日本の…
【奥多摩・御前山】奥多摩湖から始まる急登の連続!達成感を味わえる日帰り登山
大岳山(おおだけさん、おおたけさん)、三頭山(みとうさん)とともに奥多摩三山に数えられる「御前山(ご…
【塔ノ岳・登山】首都圏近郊の好展望の山!丹沢を代表する人気コース表尾根を歩く
表丹沢の「塔ノ岳(とうのだけ)」は、展望の良さと都心からのアクセスのしやすさで人気の山です。標高は1…
【檜洞丸】西丹沢の秘境を巡る日帰り登山!アクセスと難易度、絶景ポイントを紹介
檜洞丸(ひのきぼらまる)は西丹沢の山深さが感じられる静かな山で、「西丹沢の盟主」とも呼ばれています。…
【袈裟丸山】花見登山を満喫!山肌をピンクに彩るアカヤシオの名山を歩く
栃木・群馬県境の足尾山地に属する袈裟丸山(けさまるやま)は、アカヤシオの名所として名高い山で、シーズ…
【大楠山・登山】三浦半島を横断!海と山の360°パノラマが楽しめる低山ハイキング
神奈川県三浦半島の最高峰、大楠山(おおぐすやま)。海に囲まれた半島に位置するため、東京湾、房総半島、…
【群馬・根本山】自然のアスレチック!低山ながらスリルと登りごたえのある古道歩き
栃木・群馬両県の百名山に選定されている「根本山」は、古くから信仰の山として親しまれています。根本山へ…
【丹沢・不動尻】一面黄色の世界!早春のハイキングで「ミツマタ」を見に行こう!
春が来て登山・ハイキングに最適なシーズンとなりました。春ハイキングの楽しみのひとつに、山で出合うお花…
トレイルランと登山の違いを解説!自分に合った山のスタイルを見つけよう
トレイルランと登山は、山を「走る」のか「歩く」のかという違いだけで、似たようなものだと思いがちですが…
【積雪期・谷川岳】雪山初心者におすすめ!日帰りで360度白銀の世界へ
「トマの耳」「オキの耳」の双耳峰(そうじほう)からなる「谷川岳(たにがわだけ)」は、日本百名山のひと…
【伊豆ヶ岳】奥武蔵屈指の人気コースを歩く日帰り縦走登山
気軽にハイキングが楽しめる低山の多い奥武蔵エリア。その中でも一番人気といわれるのが伊豆ヶ岳(いずがた…
【皆野アルプス】身近な里山のアルプスを縦走する日帰り登山(破風山・前原山・大前山・天狗山)
皆野アルプスは破風山をはじめとしたいくつかのピークをつなぐ低山縦走コースです。最高峰の大前山でも65…
【三国山・鉄砲木ノ頭】富士山の絶景を満喫するハイキングコース
丹沢山地の西端、山中湖の近くに位置する「三国山(みくにやま)」は、神奈川県、山梨県、静岡県の3県にま…
【丹沢・大山】都心からアクセス抜群!大山阿夫利神社と紅葉スポットを散策する日帰り登山
関東屈指の人気の山域、丹沢の東側に位置する大山は、ピラミダルな美しい山容が特徴の山です。古くから山岳…
【鳥取・大山】初心者でも安心!自然と歴史満喫の夏山登山道、行者コースを歩く
鳥取県西部に位置する「大山(だいせん)」は、西日本最大級のブナ林や国の特別天然記念物ダイセンキャラボ…
【棒ノ折山・登山】「鎌倉殿の13人」畠山重忠ゆかりの山!渓谷を沢登り気分で楽しむ日帰り登山
奥武蔵エリアにある「棒ノ折山(ぼうのおれやま)」は、渓流沿いのコースで沢歩き気分が楽しめる山です。ゴ…