登山では街歩きと違いマナーがあることを知ってましたか?守らないと人によからぬ迷惑をかけたり、希少植物の命を絶ってしまうことさえあります。
逆にマナーを守れば危険を回避するだけでなく、楽しく清々しい登山にもつながります。登山マナーはどのようなものでしょうか。今回は登山初心者が知っておきたい基本マナーをご紹介します。
登山マナーが命を守ることに繋がることってどういうこと?と疑問に思うかもしれませんが、いくつかある登山マナーの中には緊急時や命に関わるものがあります。
登山計画書はこれから登る山にはどのようなルートで何時ごろ到着するのかを記したものです。ご自身や同行するメンバーの名前や住所を記載します。もし遭難してしまった場合は、登山計画書をもとに捜索活動が行われるため届け出があるのとないのとでは、捜索時間が大幅に変わってくるのです。
登山届けは各登山口や最寄りの警察署、インターネットでも提出可能なところもありますのチェックくください。詳しくはこちらをご確認ください。
【参考】
登山計画書・登山届の提出先
もし遭難したり途中で動けなくなったりした場合、救助隊や場所によってはヘリコプターを出動させるケースあります。この救助費用は遭難者やそのご家族が支払わなければいけません。命が救われることが一番ですが、ヘリコプターの稼働は1時間あたり50万と言われていますので、あとでびっくりするかもしれません。
その万が一に備えておくのが山岳保険です。会社によってプランが異なりますが、1日だけのものから1か月~1年単位とさまざまですので登山する頻度に合わせて保険サービスを選にましょう。
富士山で起きた落石事故は多くの人がショックを受けました。落石の原因は判明しておりませんが、もし自分の不注意で石を落としてしまった場合は「らくー!」と大きな声で下の人に向かって叫びましょう。当事者ではなくても周囲で起きたときは声を出して協力してあげてください。
小さな石ころだとしても落下で速度が増すと当たり所が悪ければ命を落とす可能性もあります。石が多い山道は慎重に歩くようにしましょう。
これらは登山マナーのほんの一部ですが、もっとも重要な項目としてあげてみました。もちろん他のマナーも軽視してはいけませんので、次の項目でご紹介します。
みんなが気持ちよく安全に登山するためには一人ひとりがマナーを守る意識を高め、率先することが大切です。
だからといってマナーを守らない人やマナーを知らない人に無理やり押しつけてケンカするのはよくありません。マナーはそもそも利便性や安全性を考慮して生まれたルールのようなものです。規則と考えてイライラするのではなく、みんなが気持ちよく安全に登山するためのガイドラインとして理解しましょう。
よく話題になるのが「ゴミを持ち帰る」というマナーです。登山する人は自然に触れるのが大好きな人ばかりです。山にゴミが捨てられているとがっかりしますよね。街中のよにゴミ箱があるのでもなく、業者さんが処理してくれるわけではありません。ゴミは本人も気づかないうちに風で飛ばされたり、ザックからポロっと落ちてしまったりと故意に捨てられたものだけではありません。
もしゴミをみかけたら、気持ちを抑えて拾ってあげる余裕をみせるのもいいですね。(本当は本人が気づかなければいけませんが…)
山を綺麗に保つことでみんなが心地良い登山ができるようになります。
登山の基本的なマナーをご紹介します。全部覚えるのは難しいかもしれませんが、できることから始めてみましょう。
山で人とすれ違いときは「おはようございます」「こんにちは」と挨拶をするのがマナーです。挨拶するにも意味があり、人がいない山では挨拶をきっかけに情報交換ができるし、怪しいものではないですよという意思表示でもあります。あとは単純に挨拶をすると気持ちが良いものです。
綺麗な花や石を見つけて記念にしたいと思っても少しだけなら…と採取するのはNGです。山の中には希少な植物もあり、人の手で汚してしまうと生態系が崩れてしまため、荒らしてはいけないのです。とっていいのは写真だけにしましょう。
また、instagramやTwitterなどのSNSに投稿するために少しでも良い角度、構図で景色やお花を撮影しようと山道を離れて植物を踏みつけてまで写真撮影に夢中になる方もいます。山道から外れないように注意しましょう。
かわいい野生動物を見るとついついエサを与えたくなるものですが、自力でエサを取れなくなって死んでしまったり、食物連鎖に影響が出たりするのでやめましょう。
下りの方が視界がきき、相手に気づきやすいからです。しかし、狭い道では登り下りに関わりなく、山側にいる人が道を譲りましょう。崖から落ちたら大変ですからね。
ゴミは全て持ち帰りましょう。たとえゴミ箱でも山小屋や帰宅途中の駅やコンビニで捨てるのも厳禁です。タバコは吸い殻入れに入れて持ち帰りましょう。山火事の原因になることがあります。
複数人でのグループ登山は1列に並んで歩くのがマナーです。話が弾んで横並びになってしまうと狭い道では通れなくなってしまします。
また、複数人の場合、どうしても歩く速度が遅くなってしまうため後ろが詰まらないように安全なところで立ち止まって譲ることも忘れないようにしましょう。
山小屋や休憩所にあるトイレによっては水洗になっていないトイレがあります。山の中という特別な場所では下水処理を行うのが難しいことを理解ください。
トイレの種類によってはティッシュペーパーを分解することができないため、専用の箱や袋に捨てるよう指示が書いてありますので、状況に合わせて守るようにしましょう。トイレ利用料が必要なところもありますので、小銭を忘れずにトイレを利用してください。
山ごとにもルールがある場合はそれを守りましょう。例えば紀伊山地や尾瀬、上高地など人気の山域には多くの人が訪れることもあり、マナーもそれぞれあります。
文化遺産を守るためのルールが定められていますが、「道をはずれない」「ゴミを捨てない」など基本手的なマナーです。観光客の多いスポットですので一人がマナー違反をしてたから自分も少しだけなら…と魔がささないよう「人類の遺産」はみんなで守るという意思を持ちましょう。
湿原を守るための取り組みがなされているのでそれに協力することができます。小瀬には木道が敷かれているのでそこを歩き、湿原には立ち入らないようにします。小瀬には学術上貴重な動植物が多数生息いて特別保護地区、特別天然記念物に指定されています。昆虫採集、山菜取り、落ち葉・落枝一本でも持ち帰りはやめましょう。
山の入り口には外来種子の侵入を防ぐマットが敷かれています。土の泥をよく落としてから入山するようにしてください。
マイカー規制、アイドリングストップなどのルールがあります。公共の乗り物を使って協力しましょう。
山小屋には山小屋のマナーがあります。知らない場合は山小屋のスタッフに怒られてしまうこともありますので注意しましょう。
山小屋への到着は15時までには辿りつけるような計画を立てましょう。夜ごはんの準備や山小屋スタッフさんが心配してしまうので、もし遅れそうなら必ず連絡を入れてください。
宿泊料金はカードが使えないところがほとんどなので現金を用意しておいてください。夕食や朝食の時間も確認し、残さずしっかり食べ、感謝の気持ちでいただきましょう。
トイレの維持管理には膨大なコストがかかります。基本的には宿泊料金にトイレ使用料は含まれていることが多いですが、その都度山小屋のスタッフに確認をしてください。
宿泊する山小屋の近くに別の山小屋があったとしても運営会社が異なります。トイレが混んでるからと別の山小屋のトイレを勝手に利用するのは避けてください。利用する場合はきちんと使用料を払いましょう。
トイレも水洗式、バイオ式、汲み取り式、カートリッジ式などトイレの種類もさまざまです。使用済のトイレットペーパーを流してもいいのか、持ち帰るべきか利用する前に確認しましょう。
自然保護のため山小屋では石鹸や歯磨き粉の使用はできないのが基本です。メイクや日焼け止めを落とす場合はシートタイプのものを利用してください。山では水は貴重でシャワーもないことがほとんどです。ウェットティッシュがあると便利です。
山小屋はホテルや旅館と違うので便利さを求めてはいけません。泊まれることの感謝の気持ちを忘れずに楽しんでください。
山小屋にもよりますが消灯時間が21時が多いです。お酒を飲んで山仲間と盛り上がりすぎないよう注意しましょう。ご来光を目当てに朝早く出発される方もいますので話声も小さくして、できる限り消灯と同時に寝るようにしましょう。
登山に慣れてくるとテント泊をやりたくなるものです。テント泊デビューの前に、テント場ならではのマナーもありますのでチェックしましょう。
通常山小屋が管理しています。キャンプ指定地を確認し、料金を払い幕営しましょう。
山の天気は午後から変わりやすいのでお昼頃には到着しておきたいものです。ハイシーズンになると到着が遅いとテントを張る場所が見つからないこともありますよ。たとえ早く付いたとしてもテントを張ったり、食事の準備をしたり、することはたくさんあります。
夏山シーズンのときは、テント場によっては非常に混雑することがあります。敷地が限られているのでグループで来ているときは、一つのテントに2~3人で使うのが望ましいです。複数人で騒がしくならないよう、楽しい思い出を作りましょう。
山にあるテント場はキャンプ場のように洗い物をするところはありません。洗剤を使うのも食べ残しを捨てるなんてことは絶対NGです。ウェットティッシュで拭く程度にとどめ、家に帰ってから洗うようにしてください。
山ごはんの残りも残さずに全部食べ切るようにします。汁はご飯を入れて雑炊にしたり、ティッシュに含ませてビニールに入れたりと残さないようにしましょう。
残り汁は液体だから自然に返ると考えがちですが、塩分や油分も含まれています。野生動物がその味を知ってしまうと生態系に影響がでる可能性があるのです。
登山マナーを改めて確認すると登山をみんなが楽しくするために必要なことばかりです。自然を綺麗に保つ意識を持つことも登山者として、人間としても大事なことですね。山を汚染してしまうと綺麗な景色が見られなくなる可能性だってありうるのです。
最後に今回あげたマナーを過剰書きでまとめますので、忘れないようチェックください。
■知っておきたい登山マナー
*登山計画書を提出する
*山岳保険に加入しておく
*石を落としたら声をかける「らくー!」
*山ですれ違うときは挨拶をする
*山の植物は採取しない、踏みつけない
*動物にエサを与えない
*「登り優先」「崖側優先」
*ゴミは持ち帰る
*複数人のときでも1列に並んで歩く
*トイレではティシュペーパーを便器の中に入れない
*山ごとにもルールがある
*山小屋には15時までには到着しよう
*山小屋のトイレは無料ではない
*石鹸や歯磨き粉は使わない
*消灯時間は21時
*テントは指定された場所に幕営する
*到着は早めに、14~15時を目安に!
*複数人の場合は2~3人で一つのテントを使う
*山ごはんで使った食器は洗わない
人にも山にも優しくありたいものですね。マナーを守って楽しい登山ライフを過ごしましょう!
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— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
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