登山をするにあたって、必ずと言っていいほどついて回るのが虫問題です。一般的には虫除けスプレーを身体に吹き付けるのが基本の対策になりますが、それ以外にも様々な対策グッズや方法があります。
季節や登る山によっても生息する虫は違っていて、それぞれに対策が異なる場合があるでしょう。できれば事前に用意してリスクを回避したいですよね。
山は自然の宝庫です。都市や町では見かけない虫も多く生息しています。カやクモなど比較的よく見かけるものから、ブヨやヤマビル、マダニにスズメバチ、最近では病原体を持ったツツガムシという虫も、全国に生息域を拡げているようです。
ブヨは見た目はハエのように小さく、音も無く飛び回るので、あまり気にならないことも多いでしょう。しかし一旦刺されるとその翌日以降、長く続いた場合は一ヶ月もの間、腫れと強い痒みに襲われることもあります。
ヤマビルは日が当たらない湿った林の中に潜んでいることが多く、噛み付いて来てもほぼ無痛のため、下山してはじめて足にくっついているのを発見したりします。スズメバチは大きいものだと体長5cm以上にも達し、獰猛な性格は非常に危険です。
このように山には様々な害をもたらす虫が生息しています。痛みや痒みだけにとどまらず、マダニやツツガムシなどの吸血する虫の中に病原菌を持っている個体もおり、吸血の際に感染して、病気にかかってしまう可能性もあるのです。
発熱や腹痛、果ては意識障害に至るような重篤の症状に陥る危険性もあります。そのような虫の脅威に怯えながらでは、せっかくの楽しい登山も台無しになってしまいます。
登山中はなんともなくても、帰ってきてから痛みや痒みに襲われるような事態では、日常生活にも支障をきたしかねません。
それぞれの虫ごとに対応できる対策は異なってきます。しっかりとした虫除け対策を事前に行うのは、登山にあたっての必須の準備と言えるでしょう。
虫除け対策に効果的なグッズには多くの種類があります。例えば虫除けスプレーは二つのタイプに分かれており、ミストタイプとエアゾールタイプが市販されています。
ミストタイプは霧状に噴射して身体の狭い範囲に吹き付けて使用し、エアゾールはガス噴射によって一気に広範囲に吹き付けることができます。ミストタイプの中でも好んで使われることが多いのがハッカ油のスプレーです。
ハッカはハエが嫌がる成分でして、ハエ科のブヨには特に効果的です。
頭から肩までを覆う虫除けネットは、露出部分の多い顔を防護してくれる効果があります。100円ショップでも買えるので、できれば持っておきたい一品です。他にも、強力な殺虫効果を持つ携帯用の蚊取り線香などもあります。
このように多くの虫除けグッズから適切な物を、登る山や季節にあわせて選んでいきたいところですね。
登山する季節に関してですが、まず冬の間は虫もほとんどいないので対策は不要と言えるでしょう。
問題は春~秋にかけて、丁度見頃の草花や木々に誘われるように虫たちも活発に活動する時期です。特に暑い夏には危険な虫も多いので、これから登る山の情報を調べておくのが無難です。
今はYAMAPなど、いろいろな登山者の登山記録や山の情報を個別にチェックできる便利なサイトなどもあります。
そういった登山記録では、特定の虫の目撃情報なども目にすることが少なくないので、それに合わせて虫除けグッズを用意しておけるととっても安心です。
虫除けグッズには多くの種類がありますが、複数のグッズを併用することでより効果を上げることができます。
虫除けスプレーは身体に吹きかけることによってすぐに効果を発揮しますが、汗をかいてくるとだんだん効き目が薄れていってしまいます。そこで例えば、効果がずっと持続する虫除けネットを被っておくと、より安心できるでしょう。
このように虫除けグッズにはそれぞれ弱点があるので、お互いを補完するように使用すると便利です。他にも、ハッカ油はアブやブヨ以外には効果が薄いので、他の成分を含んだスプレーと組み合わせて使うといった方法があります。
グッズの組み合わせは無数にあるので、ご自身でいろいろ試してみるというのも面白いかもしれません。
登山の虫除けにあたっては、服装も大事です。特に暑い夏はラフな格好でいたいところですが、肌の露出はなるべく避けましょう。虫の格好の餌食になってしまいます。
通気性のよい長袖、長ズボン、ソックス、靴は登山用の靴が理想ですが、無ければ露出部分の少ないスニーカーを履くと良いでしょう。アブやハエなどは濃い色を好みますので、なるべく薄い色をチョイスするのがコツです。
最近では防虫タイツなども売られており、服自体に虫除け効果が付いているものもあります。
しかしながら登山者の間では、いまのところ普及しておらず効果の程は未知数ですので、あくまで参考程度が無難のようです。登山用のサポートタイツでしたら、動きやすく脚も覆ってくれるのでおすすめです。
登山計画書を提出せず、山岳保険にも加入せず行方不明になって死亡した場合、自殺とみなされ保険金が請求できないこともあるので注意しましょう。
特に虫よけ対策が必要なのが6月~8月ごろになります。梅雨の時期はヤマヒルが多く、夏は蚊やアブ、ハチなど危険な虫に注意しましょう。
刺されてしまうとせっかくの登山も悲しい思い出になってしまうので、虫よけスプレーや肌を露出しないなど対策を万全にして登山を楽しみましょう。
▼遭難防止に役立つ本
▼セルフレスキューに役立つもの
ファーストエイドキットは必要なものを個別で揃えるのもおすすめです。
▼HIKES編集長の里山トラベル
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東京青梅駅から歩いていける長渕丘陵は気軽なハイキングコース。なんだけど、あかぼっこからは奥多摩の山々が見渡せる素敵な場所です。年末年始でくっちゃりねっちゃりして、鈍った体を整えるきっかけになるのでおすすめです。多分1月に行く。 #里山トラベル pic.twitter.com/NyVksMhOA6
— 宮本 将弘 (@masa_yco) December 28, 2019
HIKES編集部です。「歩くを文化に暮らしを楽しむ」をコンセプトに自然の中を歩くことが暮らしの一部になるようなコンテンツを発信していきます。登山やハイキング、ロングトレイルを始め、地元の人しか知らない里山噺など、歩くことを軸にしたWEBメディアです。
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